当会関東本部では、去る9月21日、JR秋葉原駅前で街頭宣伝活動を行いました。
以下、その報告です。
土曜日の秋葉原駅前で・・・
私達「反対する会」関東本部は9月21日、JR秋葉原駅中央口前で街宣活動を行った。
空は気持ちの良い秋晴れで、絶好の街宣日和である。
9月も下旬に差し掛かり、まだ日中は暑いが、夕方近くには少し涼しく感じられるようになってきた。
土曜日の秋葉原駅前は、多くの人々が行き交っていた。
そんな中、私たちは会の幟(のぼり)を立て、集まったメンバーの中から一人が拡声器を持って演説を開始した。
世間では、「女性専用車両は痴漢対策として、痴漢被害者のために設けられたもの」という認識が、半ば「当たり前」になっているが、実際には、痴漢対策など、世間を納得させるための「うわべの理由」に過ぎない。これは当会がこれまで言い続けてきたことであるが、そもそも女性専用車両が本当に「痴漢被害者のため、やむを得ず設置されたもの」であるなら、当会もここまで女性専用車両を問題にはしない。
女性専用車両のおかしなところを挙げていくと、例えば・・・
- 女性専用車両は最初から「導入ありき」でごり押しされてきた(痴漢対策でやむを得ず設けられたものではない)こと。
- 特定の政治家・政党が導入拡大を強く推進してきた(政治目的に利用されてきた)こと。
- 導入後も痴漢件数が減っていない路線が多いことや、さらには女性専用車両導入後の痴漢件数を「当社では痴漢件数の統計は取っていない」などと言って隠蔽している鉄道会社が多いこと。
- 女性専用車両に(広告料が割高な)専用車両限定広告を出し、女性専用車両を広告料収入源に利用している鉄道会社があること。
- 女性専用車両利用客の中からも、痴漢対策で利用しているとは思えない意見(空いていて楽・臭いオヤジが居ないからいい 等)が多数出ていること。
- 「痴漢がいる限り女性専用車両は絶対必要。反対するなら代替案を出せ」と言う賛成派に、監視カメラ(JR埼京線で痴漢件数6割減の実績あり)を示すと、「痴漢件数6割減」という肝心のところを完全に無視して監視カメラ設置に強く反対し、痴漢件数の減らない女性専用車両の維持・存続を主張しだすようなケースが珍しくないこと。
(つまり、「痴漢がいるから女性専用車両が必要」という言い分はウソで、実際には痴漢件数の増減などどうでも良く、単に「女性専用車両という名の既得権益」を保持したいだけなのがバレバレ)
これらの他にも、女性専用車両のおかしなところを、演説しているメンバー達が次々と挙げていった。
しかしながら、世間一般の人々の多くはそうした女性専用車両のウラ側の事情など知らないだろう。
こういうことは女性専用車両の問題に関心をもち、調べた者でないと手に入らない情報でもあるからだ。
「女性専用車両=痴漢対策」で思考停止していると、女性専用車両の問題性が見えてこない。
逆に「女性専用車両に反対する奴は、痴漢被害者のことを考えられない奴なんだろう」だとか、「たかが1両ぐらいで・・・」などといった考えになりがちである。
しかしながら先述のとおり、女性専用車両は痴漢対策ではない。
「痴漢対策」という聞こえの良い「うわべの理由」で、体よくまかり通っているだけである。そして、そんなものを「公共の」交通機関が痴漢対策と称して半ば世間を騙し、「性別」という、本人の意思ではどうすることも出来ない「属性」によって、同じ運賃を支払っている男性客に不利益を与えているのである。
さらにそこから、「女性専用車両を作らなければならないぐらい、日本の男が悪質なのだろう」「こんなものが作られるのは男の自業自得」といった、男性一般に対する偏見や誤認識が生み出されている。
かつて、黒人の犯罪率が高いからと、「人種」という属性で公共の場から黒人を排除していた、南アフリカやアメリカのアパルトヘイトを彷彿とさせる状況だ。
現在の日本の女性専用車両には法的な強制力はないが、これとて、鉄道事業者等が法的な問題点を問われれば、「強制ではないので問題ありません」とうまく逃げるためのものである。
「痴漢対策」という隠れ蓑によって見えなくさせられているこうした問題点に、一人でも多くの人が気付いていただければと、当会は考えている。
当会の『新兵器』
集まったメンバーは各自、数分から数十分くらい演説をしながら、次々と交代でマイクを握った。
街宣をはじめてしばらくすると、通行人のうち何人かが演説している私達の前に立ち止まり、演説を聞いて下さるようになってきた。
中には「チラシ下さい」と言って当会メンバーに話しかけてくる人も。
幟(のぼり)を立て、拡声器で演説するほか、当会関東本部ではLED表示の電光掲示板も街宣時に使用し、拡声器による演説だけではなく、文字でも見る人に訴えかけられるようにしている(下の写真)
ちょうど電車の行先表示のように、LEDの文字が右から左に流れていくようになっていて、文章は事前に設定すれば自由に作ることが出来る。
音声だけの場合よりもさらに分かりやすく、こちらの主張を見る人に確実に伝える、当会の「新兵器」である。
物珍しさも手伝ってか、なかなか注目を浴びていた。
今の世の中、女性専用車両だけではなく・・・
当会はその名の通り、女性専用車両についての問題に取り組む団体であるが、つい最近、大阪府・市の採用試験で、筆記試験を廃止して”人物重視”にした結果、(男性の志願者のほうが多かったにもかかわらず)女性の合格者率が8割というニュースが報道された関係で、この件についても演説で触れたメンバーがいた。
もちろんこれは、「人物重視にした結果」ではなく、試験の点数できっちり合否を振り分けられる筆記試験を廃止して、恣意的な採点が可能な採用方法にしたための結果であり、いわゆるアファマーティブアクション(ポジティブアクション)と呼ばれるものである。
アファマーティブアクションとは、女性の比率が少ないのは女性差別の結果だから、女性を優先的に採用・昇進させ、数を合わせることによって男女平等になるという考え方であるが、まず「女性の比率が少ない=女性差別の結果」と断定してしまっているところがおかしいという意見がある。
つまり、男性は男性であると言うだけで、たとえ優秀であっても採用・昇進されず、一方女性はそれほど優秀でなくても、女性であるということで採用され・昇進出来るということになるのである。
採用・昇進の「機会」を男女に同等に与えるというのであれば分かるが、女性の数が少ないから優遇するというのなら、これは女性差別是正策ではなく、男性を男性であるというだけで採用・昇進させない、明らかな男性差別ではないのか?
アファマーティブアクションは過去に諸外国でも行われたことがあり、一部では「差別に当たる」と言うことで違憲判決も出ているという。
先にも述べた通り当会は、女性専用車両問題に取り組む団体であるが、しかしながら今の日本の世の中、女性専用は通勤電車だけではない。
つい数ヶ月前も、東京都内の図書館で「女性専用席」なるものが設置されていることがニュースとなったが、その設置理由は、「男性に席が占領されていて本が読めないという声が女性からあったから」という、およそ防犯対策とは言えないものであった(もちろん男性が女性から席を奪ったのではなく、単に男性の方が先に席に着いていて、席が一杯になっていたというだけ)。
公務員採用試験・図書館・そして公共交通・・・いずれも公共性の高いものばかりである。
私企業のやることならばまだ「個々の企業の自由」という言い分もあろうが(それとてあまり良いとは言えないが・・・)今の世の中、私企業のみならず公共性の高いものまでが、当たり前のように女性優遇をやっているのである。
今や、世の中全体がそういう方向に傾いてきていると言っても良いのではないだろうか。
私達が取り組んでいる女性専用車両問題もそのうちのひとつである。
「たかが1両」ではない。
これも世の中全体の大きな流れのうちの一部である。