当会関西本部では10月13日(火)の日中に、JR西日本線で非協力乗車会を行いました。
普段は平日の夜か、もしくは土休日の日中などに乗車会を行うことが多いのですが、今回は普段、なかなか乗車活動を行いにくい平日の日中に、8月22日の乗車会のルートとほぼ同じルート(JR大阪駅~JR京都線・JR奈良線・学研都市線・大阪環状線)で改めて実施しました。
以下、当日参加したメンバーからの報告です。
JR側の対応に変化?
女性専用車に乗車中の私達の前を車掌が素通り
大阪~京都
今回は大阪駅に昼の14時集合。
これまで、当会関西本部で乗車会といえば、平日の夜か休日の実施であり、平日の日中や朝の通勤時間帯などについては、各会員が個人的に乗車活動する以外は、なかなか乗車活動が行いにくかった。
しかし、「普段、乗車活動を行っていない曜日・時間帯にも乗車会を実施してみたい」 という声は当会内で以前からあり、今回、平日に仕事が休みになるメンバーで事前に予定を合わせ、平日の日中に実施することにした。
大阪駅7番線に14時11分発、普通高槻行が入線してきた。
JR京都線・神戸線の普通列車の多くは大阪駅で数分程度の停車時間がある。
通常ならここで全員乗り込むところだが、今回は全員一斉に乗り込むのではなく、一部の参加メンバーが先に乗車し、残りのメンバーは発車直前まで乗車せず、わざとホームに残り、発車直前に乗車する形を取った。
ホームにいる駅員や警備員などが声をかけてこないかどうかの確認のためである。
一方、先に乗車したメンバーには、隣に座っていた女性客から声掛けがあったらしい。
声をかけられたメンバーによると、恐らく私達が気付かずに乗っていると思って声掛けしてきたような雰囲気だったが、いきなり肩に手をかけて話しかけてきたので、「見ず知らずの人の体に、いきなり触れるのは失礼ではないですか?」と抗議したとのこと。
ホームで残っていたメンバーのほうには声掛けは無く、こちらも発車直前に乗車。
予定通り14時11分に列車は大阪駅を発車した。
私達は車内で2カ所に分かれて別々に座席に座った。
日中なので、それほど乗車率は高くないが、座席はほぼ埋まっている状態。
やがて列車は淀川を渡り、間もなく新大阪駅というところで、今度はまた別の女性客が、「ここ女性専用ですよ」と声掛けしてきた。
声をかけられたメンバーが「知っています」と返事したところ、それ以上は何も言ってこなかったが、この女性客が女性専用車両は任意だということを知っていたため、これ以上の声掛けをしなかったのか、それとも単にこれ以上関わると厄介そうだと思ったからなのか、これだけでは何とも言えない。
しかし今回の乗車会ではないが、別の乗車会の際に、私達の近くの座席にいた女性客が2人で、
「男が乗ってる」
「でも、任意だから・・・」
というような会話をしていたこともあり、「女性専用」が名前だけで実は強制力はないということは、以前にくらべるとかなり知れ渡ってきているのだろう。
岸辺・千里丘と過ぎ、車内はだんだんと空席が目立ち始め、結局半分以上空席の状態で、この列車の終点、高槻に到着。
高槻から先は、日中は女性専用車が設定されている列車がない(JR西日本の女性専用車は終日実施だが、列車の車種によって、女性専用車の設定がない場合がある)ため、高槻から女性専用車の設定されていない米原行快速で京都まで移動した。
窓の外は気持ちのいい秋晴れである。
そんな中、列車は大阪府から京都府に入り、長岡京、向日町と過ぎて、京都駅に到着。
私達はここで下車した。
京都~木津
JR京都線の次は、学研都市線(片町線)で非協力乗車を行うため、京都からJR奈良線の「みやこ路快速」で、学研都市線の折り返し駅、木津まで移動。
JR奈良線は現在のところ、路線自体に女性専用車の設定がないため、こちらも非協力(任意確認)乗車ではなく、単なる移動であるが、京都と奈良という、外国人観光客が多数訪れる2つの都市を直接結ぶ路線で、外国人だけが使える観光用フリーきっぷをJRが発売しているためか、外国人の利用が近年増えてきているようだ。
私達が乗った列車でも日本語だけでなく、英語やその他、数か国語での車内アナウンスが流れていた。
日本ではこの女性専用車に限らず、「女性専用」は良いものであるかのように思われているような感があるが、少なくとも他の先進国では日本よりもずっと「女性専用」については批判的であると聞く。
JR奈良線のような外国人が多数利用する路線には今後とも、女性専用車を設定しないようにしていただきたいものである。
さて、私達の乗車したみやこ路快速は、奈良方面へ向けて一路南へ。
京都の市街地を過ぎてしばらくすると、沿線には田畑が増えてくる。良く実った稲が田園風景を黄色く染め、時折、コスモスの花が咲き乱れる畑も目に飛び込んできた。
私達の乗ったみやこ路快速は木津川を鉄橋で渡り、16時12分、木津に到着。
ここで学研都市線に乗り換え。
木津~京橋・天満
木津駅に到着した私達は、跨線橋を渡り、学研都市線の発着ホームへ移動。
ホ―ムでしばらく待っていると、木津で折り返しの16:25発、篠山口行快速電車が入線してきた。
折り返し運転のため、ここで車両の最前部と最後部にいる車掌・運転士が場所を替わるために移動する。
関西のJRでは木津の他にも、福知山線の新三田や大和路線のJR難波など、列車が折り返す駅で同じような光景が見られるが、これまで私達が乗車活動してきた経験では、折り返しの際に移動する運転士や車掌が声掛けしてくる確率が高い(JR西日本の女性専用車は中間車両の設置のため、移動の際に運転士や車掌が声掛けしてくることが多い)。
私達は女性専用車に乗車したが、先の大阪駅の時と同じく、一部のメンバーが乗車せずにホームで女性専用車の前に立って様子を見ることにした。
車内は私達の他に、女性客が6人。
しばらくして、運転士と思われるJR職員がホームを歩いてきたが、ホームで女性専用車の前に立っていたメンバーの横を、全く声掛けすることなく素通りしていった。
これまでの乗車会の際は、(折り返し駅で)私達が女性専用車に乗車していると、ホームを移動してきた車掌や運転士が、わざわざ車内に乗り込んできてまで声掛けをしてきたりということがよくあったが、今回は声をかけてこなかった。
やがて発車時刻になり、列車は木津駅のホームをゆっくりと出ていった。
発車時点でも、車内は私達の他は女性客が数えられるほどの人数で、非常に良く空いていた。
そして、発車後しばらくしてから、今度は車掌と思われる人物(名札の色で分かる)が列車最後尾方向から女性専用車内に入ってきた。
座席で座っていた私達は、互いの顔を見合わせ、小さな声で「来たぞ」などと言いながら、声をかけられた場合に対応できるよう準備していたが、その車掌は私達に軽く会釈して、声をかけることなく、そのまま私達の前を通り過ぎていった。
先の木津駅の運転士もそうだが、明らかにこれまでと対応が違う。車掌は私達の前を先頭車両方向に通り過ぎて行ったが、車内には次の西木津駅への到着を知らせるアナウンスが流れた。
どうやらこの列車には車掌が複数乗務しているらしい。
列車が西木津の次の祝園(ほうその)駅に到着した時に、先ほど私達の目の前を会釈して通り過ぎた車掌がまた戻って来たが、もちろん声掛け無しでそのまま通り過ぎていった。
祝園・JR三山木と過ぎて、少しずつ乗客が増えてきたが、それでもまだかなり空いている。
男性客は今のところ、私達だけのようだ。
やがて列車は同志社前に到着。
ここは同志社女子大学の最寄駅で、そこの学生と思われる女性客が多数乗車してきて、空いていた車内はたちまち立ち客でいっぱいになった。
同志社前から女性客が大勢乗ってくるであろうことは予想していたし、正直なところ、奇異の目で見られるのではないかとも思ったが、そのようなことは無く、周囲の女性客たちは私達のことは全く気に留めていない様子で、何気ないおしゃべりに華を咲かせていた。
恐らく、女性専用車に男性がいること自体、普段からそれほど珍しくないのであろう。
また、インターネットなどで女性専用車が「名前だけ」で、男性が乗っても実は問題ないということが知れ渡っているというのもあるだろう。
これが女性専用車の導入間もない頃なら、男性がいるというだけで大騒ぎになっていたかもしれない。
そういう意味でも、女性専用車の任意性を周知していくことは、地道ではあるが決して無駄ではない。
京田辺駅では数分間ほど停車。多少の乗り降りはあったものの、乗車率はほぼ変わらず。
京田辺駅を出てしばらく走ると、列車は京都府から大阪府のエリアに入る。
外を見ると、日が少し西に傾き始めたようだ。木々や住宅の屋根が、西日に照らされて少し赤く見える。
ついこの間まで猛暑日の連続だったが10月に入り、涼しくなって、かなり日も短くなってきたようだ。
松井山手・長尾と過ぎ、乗客が下車して乗車率は少し下がってきた。
しかし、四条畷駅で乗客が多数乗って来て、車内は再び立ち客で一杯になり、車内全体が見渡せなくなってきた。それでもまだ押し合いへし合いするほどではない。
向こうの方に中年の男性客が一人、つり革をもって立っているのが見えた。
放出(はなてん)駅を出た時点で、女性専用車の案内アナウンスが流れた。
木津から一時間近く乗車しているが、良く考えたらこの列車ではこれが初めての専用車アナウンスだった。
鴫野駅を通過して京橋に到着。
ここで多数の乗客が下車し、車内は再び比較的空いた状態になった。
私達もここで降りて、一部のメンバーがここで離脱。
残りのメンバーが大阪環状線(内回り)に乗り換え。
大阪環状線でもちょうど夕方のラッシュが始まるころで、車内は比較的人が多かったが、それでも互いの体が接するほどではない。
私達はつり革をもって立って乗車したが、周囲の女性客も私達のことを特に気に留めるような様子はなかった。
先の学研都市線でもそうだったが、やはり男性の乗車はそう珍しくないのだろう。
特に何事もなく、列車は京橋から2駅先の天満に到着。
大阪駅から120円の切符で大回り乗車していたため、私達はここで下車。
乗車会はここで終了とし、天満駅近くの居酒屋へ、夕食もかねて飲みに行くことにした。
結局、今回は最初に大阪駅停車中と、新大阪駅手前で女性客から少々声掛けがあったものの、特に大きなトラブルにはならず、また木津駅~学研都市線内では明らかに乗務員が私達に声掛けをしないようにしていた。
そういう意味では、以前から比べると、状況は大きく変化したといえるだろう。
しかし、女性専用車が廃止されたり縮小されたわけではなく、また「女性専用」という、事実とは異なる名称が改められたわけでもないので、今後も継続して活動していく必要がある。
さらに活動を続けていれば、今後もっと大きな変化があるかも知れない。
このページをご覧の専用車反対派の皆様も、進んで積極的に参加してほしい。