当会関西本部では、2016年3月22日の朝、この日から女性専用車運行開始となる阪急神戸線で非協力乗車を行い、そのあと阪急京都線でも非協力乗車を行いました。
神戸線は導入初日とあって、各駅に多数の職員が出ており、しつこい声掛けもあって大荒れの展開となりました。
以下、参加したメンバーからの報告です。
女性専用車両運行初日の阪急神戸線に乗車、そのあと京都線にも乗車
声掛けの執拗さは異常
神戸線・梅田~神戸三宮(往路)
このところ、「人にやさしい魅力ある鉄道サービス」と称して、高齢の足腰の弱った男性や移動が困難な障がい者男性を差し置いて健常者の女性を優先する、男性を「人」と見なしていないかのような、およそ痴漢対策とは言えない女性専用車両の導入を進めている阪急電鉄に対し、今回は神戸線での導入初日となる3月22日に非協力乗車会を行った。
午前7:30に、阪急梅田駅改札前に集合。
平日の朝だが、それでも今回は7名のメンバーが集まった。
梅田7:43発、通勤特急三宮行の女性専用車両に乗車するため、ホームを移動。
女性専用車位置に駅員がおり、乗車しようとした私達に声をかけてきた。もちろん、協力する意思はないことを告げ、全員乗車。
車内はガラガラ。
私達以外にも一人、男性客が乗車してきたが、駅員が乗車してきて声かけして降ろした。
さらに、駅員が乗車した私達のところにもやってきて、しつこく声掛けしてきた。
もちろん私達は拒否。
やがて、列車は梅田駅を発車。今日は良い天気だが、外の空気はひんやりしている。
淀川を鉄橋で渡り、数分で次の停車駅、十三に到着。ホームに駅員がいたが声掛けはしてこなかった。
十三発車後もこちらは空席があるくらいの乗車率だが、隣の車両はかなりの混雑になっていた。
神崎川・園田を通過して塚口到着。塚口では、私たちの姿を発見した駅員がすっ飛んできて声掛けして来たので、「協力できません」「お帰り下さい」等と返した。
塚口駅では停車時間が短いため、駅員はすぐ引き下がった。
列車は塚口を出発。
武庫之荘を通過し、西宮北口手前に差し掛かったあたりで、メンバーの一人がツイッターで、「西宮北口で駅員が壁をつくっている」というツイートを発見。
「本格的に来るか・・・」と思ったが、西宮北口駅では特に声掛けはなかった。しかし、向かい側の大阪梅田方面のホームに多数の駅員がおり、恐らく駅員の壁とはそちらのことだったのだろう。
その向かい側ホームにいる駅員たちが、私たちの方をじっと見ていた。
西宮北口出発。相変わらず隣の車両との混雑差が激しい。
この下の写真では少々分かりにくいかも知れないが、女性専用車はガラガラの一方、隣の車両は立ち客が一杯で車内が見渡せないほどの混雑である。
阪急に抗議すると、混雑率については決まって、「女性専用車両と他の車両の混雑率に差はなく、問題ないものと考えております」などと回答してくるが、どこでデータを取ったのだろうか?これを見る限り、「論より証拠」である。
次の夙川駅では、私達への声掛けはなかったが、駅員が女性専用車両に乗ろうとした男性を排除。
岡本駅でもホームの女性専用車両位置付近に駅員が立っていた。声はかけてこなかったが、恐らくホームから女性専用車両に乗ろうとする男性を見張るために立っているのだろう。
結局、女性専用車両は混雑することのないまま、8:17神戸三宮到着。
ホームには駅員の他、兵庫県警の警官が三人ほど立っていた。
警官は立っているだけで何も言ってこなかったが、阪急が通報したのだろうか?
私達の乗った列車はここが終点だったので、一旦降りて、トイレ休憩にしようとホームを歩いていたら駅員が2人、私達を追いかけてきて、ホーム上で声をかけてきた。
私達からは、「協力しないと言っているでしょう」「しつこい!」などと返したが、乗車中ならまだしも、降りてホームを歩いている私達を追いかけてきてまで声をかけてくるとは・・・
神戸線・神戸三宮~梅田(復路)
各自トイレを済ませ、折り返し神戸三宮8:26発、梅田行き通勤特急に乗車。
ここでもホームの駅員が声をかけてきた。
駅員:女性専用車両・・・
会員:だから何ですか!
会員:協力しません!
駅員:(車内までついてきて)こちらは女性専用車両でございまーす。ご協力をお願いしまーす!
会員:しつこいわー
会員:何で警察たくさんいるのあそこ
駅員:皆さんご協力ください、これはお願いですんで。
(↑降りるまで徹底的に声掛けするのなら、これはお願いではなく事実上の強制である)
会員:だから「ご協力」しません
会員:しつこい!しつこい!
会員:あなた差別にどう「理解しろ」「協力しろ」というの?
こちらも神戸三宮発車時点ではガラガラ。私達以外に女性客が2人だけ。
私達は7人でロングシートの座席一区画を、男性だけで埋めてみた。
梅田行きの列車では女性専用車両が最後尾となるため、車掌が女性専用車両に乗務しているが、この列車の車掌は私たちを見ても全く声をかけてくる気配はなかった。
列車は次の停車駅、岡本に到着。
駅員が乗り込んできて、大声で「こちらは女性専用車でーす!!ご協力をお願いしまーす!!」を連呼。
もちろん、一切「ご協力」などしなかったが、至近距離から大声で、まるで脅迫されているかのようだった。
列車は岡本駅を発車。
いつの間にか車掌室の人数が2人に増えていた。
ツイッターを検索していた会員の一人がここで、「今日から女性専用車両のおかげで座って行ける。ラッキー!」というような内容のツイートを発見。
全くもってふざけたツイートだが、阪急はこのような女性を喜ばせる女性専用車両を、「人に優しい魅力ある鉄道サービス」と称し、高齢の男性や障がい者の男性を差し置いて、「女性への迷惑行為防止」を建前に強行しているのである。
次の停車駅夙川でも、岡本駅同様、大声による声かけ。
車掌室はさらに人数が増えて3人に。
さらに西宮北口でも声かけ。
いったい何度声をかければ気が済むのか?
何度もしつこく声をかけ倒せば、こちらがそれに負けて出ていくとでも思っているのだろうか?
声かけしてきた駅員が、今度は周囲の女性客に詫びて回っていた。
しかし、私達が乗車していることよりも、車内で何度も何度もしつこく大声を上げている駅員達の行為のほうが、他の乗客にとっても迷惑なのではなかろうか?
まあ阪急も、女性客に詫びているというよりは、「女性の皆様、私達はきちんと仕事はしていますからね!!」という、「言い訳」のためにこのようなことをしているようにも見える。
西宮北口を発車。
車掌室は一人減って2人になったが、車掌ともうひとりの職員が何やら会話している。
私たちの事を言っているのだろうか?
車内は朝ラッシュ時にもかかわらず、全員着席で立ち客がいない状態。隣の車両はやはり混んでいた。
その後、塚口・十三と停車したが、駅員からの声掛け等はなかった。
列車は梅田に到着。
声掛けがあまりにもしつこかったので、梅田駅で抗議した。
しかし、私達が「任意協力というなら、こちらが拒否したらそれ以上はしないでもらいたい。声掛けは一回限りにせよ」という趣旨で何度も申し入れたのに対し、対応した主席助役は「声掛けは今後も続けさせて頂きます」として、全く譲らなかった。
(ならばこちらとしても、「乗車は今後も続けさせていただく」までのことである)
各駅では一回ずつでも、私達からすれば「何度でも」ということになる。
そこで、「協力する意思がないことが分かったらその時点で、行く先の駅に無線で連絡すれば済むことだろう」と抗議したが、首席助役は、「異常時以外、無線は使いません」などと言ってきた。
今日の神戸線は導入初日だから各駅に駅員を配置していたのかもしれないが、過去の阪急(京都線)での乗車会で、私達が女性専用車両に乗車していると、先の駅で阪急の職員が待機していて、私達に声をかけるために乗り込んできて、さらに私達が協力を拒否すると、私達にくっついて一緒に乗車してくるということが何度もあった。これは無線で連絡を受けた職員が、先の駅で待機していた可能性が高いと思われるが・・・
「異常時以外無線は使いません」と言いながら、任意協力でしかない女性専用車両(と名のつく、ただの一般車両)に、男性が乗っているだけで無線を使っているのなら、「異常時以外無線は使いません」はウソになる。
また、首席助役の横にいたもう一人の職員が、「女性専用車両を設置したのは国交省の指導があったから」とも言っていたが、当会会員が「いつ頃、そんな指導があったのか?」と問いただしても、まったく答えなかった。
少なくとも、比較的最近になって国交省が女性専用車両の拡大に向けて、鉄道会社各社への働きかけを再び強めだしたというような話は全く聞いていない。
「国交省からの指導があった」というのは恐らく、2002年に国交省の社会実験に付き合う形で京都線に女性専用車両を導入した頃のことを言っているのだろうが、これは今から10年以上も前のことである。
そして、昨年(2015年)に女性専用車両を導入した宝塚線については、「阪急自身の判断によるもの」だということで、実は阪急本社からすでに回答を得ている(下記)。
神戸線についても恐らく同様であろう。
(詳しくはこちら)
2015年1月 阪急電鉄への意見書(抗議文)提出の報告
>今般宝塚線におきましても、お客様よりいただくご要望に加えて、世論の動向、他社での実施状況を勘案し、弊 社 の 判 断 に て女性専用車両を導入することといたしました。
まあ、その職員の勉強不足の可能性もあるが、これでは「こちらが何も知らないと思って、『文句を言うなら国交省に・・・』などと誘導しようとしたのではないか?」と勘ぐられても仕方がない。
ちなみに国交省に問い合わせると、「女性専用車両は各鉄道事業者が自分の意思で導入・運行しているもので、国交省は”奨励”しただけ」という主旨の回答が返ってくる。
余談だが、この7月から新規に導入される名城線など、名古屋市営地下鉄の女性専用車両については明らかに公明党推進だが、阪急宝塚線・神戸線についてはJR西などと同様、自らの意思によるもので、公明党の推進ではないと思われる。
結局、30分近く抗議したが埒があかないので抗議は切り上げ、続けて京都線の乗り場に向かうことにした。
京都線・梅田~河原町(往路)
梅田でメンバーのうち一人が、仕事に行くため離脱。
梅田9時50分発、河原町行き特急に乗車。
京都線では神戸線・宝塚線と異なり、クロスシート(向かい合わせで座る座席)の車両を使用した特急・通勤特急に女性専用車両が設定されている(京都線のロングシート車には設定なし)。
また、神戸線と宝塚線は朝ラッシュ時のみの設定だが、京都線の特急・通勤特急だけは終日女性専用車両の設定がある。
私達は6人で、4人掛けのクロスシートに二手に分かれて座った。
発車してすぐ車内アナウンス、「この列車の前から5両目は女性専用車です。車内ではマナーを守って快適な車内環境づくりにご協力をお願いします・・・」これでは、女性専用車両に協力するのがマナーだと勘違いする人が出てきそうだ。
十三・淡路・茨木市・高槻市と過ぎ、京都府内に入ったが、駅員や車掌、他の乗客からの声掛けなどはなく結局、無事、河原町到着。先ほどの神戸線での”大荒れ”がウソのようだった。
しかし、私達はこのあと、京都線でもしつこい声掛けを受けることになる。
ここまでの異常にしつこい声かけは、神戸線が運行開始初日だからという特殊事情によるものかと思われたが、どうやらそうではないらしい。
京都線・河原町~梅田(復路)
河原町駅でしばらくの休憩を挟んだあと、私達は河原町10:50発、梅田行き特急に乗車することにした。
電車が到着し、乗り込もうとすると、車内清掃の男性が「ここ女性専用車両ですよ」と言ってきたので、協力しない旨伝えると、「もういいです」と言って去っていった。
さらに座席に座ってしばらくすると、今度は乗務員だろうか、職員が2人やってきて、「ここは女性専用なのでご協力ください」などと言ってきたため、「しつこい!」「帰れ!」と返し(神戸線も含め、余りにもしつこいので口調が強くなる)その2人は去っていったが、これで終わりかと思いきや、今度は駅の助役と思われる人物がやってきて、さらに声かけしてきた。
その助役と思われる人物は、「男性が乗車していると声かけしなければなりませんので・・・」などと言っていたが、そのようなマニュアルでもあるのだろうか?結局、私たちが「協力は一切致しません」と言うと、渋々ながら去っていった。
やがて、発車時刻になり、河原町駅を出発。
また、行く先々で声掛けの連続かと思われたが、予想通り、まず桂駅で職員が乗り込んできて声掛けしてきた。
桂からは私達以外に男性客が一人乗車。
さらに次の停車駅、長岡天神では特に声掛けはなかったが、乗車してきた職員が長岡天神~高槻市間走行中に女性専用車両内にやってきてまたもや「こちらは女性専用車両でございまーす。ご協力を・・・」などと声掛け。
私達が「協力拒否」すると、今度は周囲の女性客にお詫びして回り始めた。
阪急はどこまでも「女性様第一」なのだ。
どうやら阪急は、女性専用車両(と名の付く一般車両)に絶対に男性を乗せないよう、最大限の力を注いでいるようだ。
こちらが根負けするのを狙っているかのように、いくら協力を拒否しても、どこまでもしつこく、時には大声を出してまで徹底的に声をかけ続け、さらにそれでも駄目だと分かると、今度は女性客のご機嫌を損ねないよう、女性客にひたすらお詫びして回る・・・
こういうところからも阪急の女性専用車両の目的が、「痴漢対策・防犯対策」ではなく、女性客に「男性のいない快適な空間」を提供するための、「女性優遇サービス」であることが分かる。
それも、足腰の弱った高齢の男性や障がい者の男性を事実上完全に排除して、健常者の女性を優先する「女性優遇サービス」である。
「同じ運賃を支払えば誰もが公平に利用できるのが大原則」の公共交通機関で、このようなことは絶対あってはならないことだ。
阪急にはこれからも乗車し続けていく必要があるだろう。
この後は、特に声掛け等はなく、梅田駅に到着。
私達はここで解散した。