当会関西本部では、2016年8月28日の日中に、JR難波から、大和路線・学研都市線・東西線・神戸線を経由して大阪まで非協力乗車を行いました。
以下、当日の報告です。
JR西日本の女性専用車は営利目的 痴漢対策は建前
女性専用車限定広告・終日実施・女性専用車を売り物のように宣伝
JR難波~王寺~(木津)
今回はJR難波に10:10集合。
地元関西のメンバーの他、名古屋地区からもメンバーが一人、駆け付けた。
私達はホームに停車していた10:28発の快速王寺行に乗車。
JR西日本の駅は女性専用車の目の前に階段やエスカレーター・エレベーターが来ることが多いが、ここJR難波もエスカレータ―を降りたすぐ目の前が女性専用車である。
JR西日本では新設の駅や、高架化・改良工事などで階段等の位置が大きく変更になった駅などで、こういうことが多い。
他社の路線でも駅によっては、階段やエスカレーターが、「たまたま」女性専用車の前に来ることはあるが、JR西日本の場合、過去にも大和路線や阪和線で女性専用車を設置した際、「天王寺駅での乗り換えに便利なように、前から●両目に設置しました」などと、パンフレットなどで紹介していたこともあり、やはり女性専用車が階段等のすぐ目の前に来るよう、意図的にやっている可能性が高いと思われる。
また、JR西日本がポスターや駅のモニターなどで、「女性専用車、乗ってますか?」「毎日終日運行しているからいつでも乗れる・」「行きも帰りも女性専用車、もう私の習慣です」「私は乗る、女性専用車」などと、女性専用車に乗ることがカッコ良いことであるかのように女性の潜在意識に訴えかけ、まるで売り物のように女性専用車を宣伝していることからも、防犯対策のためにやむを得ず・・・ではなく、明らかに女性専用車に集客効果を期待しているのが分かる。
さらに、これまで何度も当サイトでも述べているように、JR西日本が女性専用車限定広告(※)で、女性専用車を広告料収入源として利用していることも併せて考えれば、JR西日本は、「女性専用車は儲かる」と考えていることが分かる。
決して痴漢対策などではない。
そんなもののために、足腰の弱った高齢の男性が特定の車両から事実上排除され、若い健常者の女性が優先されているのである。
当日乗車した電車にも、ドア部分にしっかりと「女性専用車限定広告」が張り出されていた。
どういうわけか、非女性専用車両の同じ部分(ドア窓)に掲出されている広告よりも、かなりサイズが大きい。
JR西日本の車内広告料について、以下のサイト(JR西日本コミュニケーションズのHP)によれば、
http://www.jcomm.co.jp/transit/price/media_guide/2016/
非女性専用車両広告(普通列車)は、納品枚数10200枚、1か月 116万4300円
女性専用車限定広告は、納品枚数1650枚、1か月 79万円
これでは分かりにくいので、広告1枚当たりの価格に直すと、
非女性専用車両広告・1枚当たり 約114円15銭 (116万4300÷10200)
女性専用車限定広告・1枚当たり 約478円79銭 (79万÷1650)
となる。
女性専用車限定広告のほうが、広告1枚当たりでは約4倍も割高な料金を取っているのだ。
「広告のサイズが大きいから高いのだ」と言う人もいるかもしれないが、車両の全く同じ部分(ドア窓)に出している広告なのに、なぜ女性専用車限定広告「だけ」サイズを大きくする必要があるのか?
「サイズが大きいから高い」のではなく、「高くするためにサイズを大きくしている」のではないのか?
いずれにしても、JR西日本コミュニケーションズのHPには「セグメント化したターゲットに確実に訴求」などと書かれており、JR西日本が女性専用車を広告料収入源として営利目的で運行しているのは明らかである。
長くなったがまとめると、
- JR西日本は意図的に、女性専用車を階段やエスカレーターなどの「ど真ん前」にもってきている可能性が高い。
- JR西日本は女性専用車に、集客効果を期待している(痴漢対策ではない)。
- JR西日本は、広告料が割高な「女性専用車限定広告」で、女性専用車を広告料収入源として利用している。
- そんなもののために、高齢者など男性の交通弱者が事実上排除され、女性が優遇されている。(しかもそんなものを世間は未だに、痴漢対策だと思い込んでいる)
世間では、そうした鉄道事業者の腐りきった実態も知らずに、「女性専用車両を差別とか言うやつは、痴漢被害に怯える女性のことを全く考えていない。
痴漢被害に怯える女性のことを考えないこいつらこそ差別主義者だ!!」などと言う者もいるが、JR西日本などのような、「女性専用車を営利目的で運行している鉄道事業者」から見れば、そんな「勘違い人間」ほど都合の良いものはないだろう。
一応念のために言っておくと、私達は、女性専用車両が痴漢対策を建前にしているだけで、実際には痴漢対策ではない(鉄道会社の金儲けのための男性に対する差別である)から反対しているのであって、痴漢対策に反対しているのでもなければ、痴漢犯罪を容認しているわけでもない。
また、名古屋市営地下鉄など公営の鉄道事業者は市議会での政党の圧力が相当働いているが、私鉄などの場合は(政党が推す場合もあるが)このJR西日本などのように、女性専用車が営利目的になっているところや、他社との横並びで導入している事例が目立つ。
・・・さて、発車までまだ10分くらい時間がある。
女性専用車内は私たちだけ。
両隣の車両もほとんど人がいない。
しばらくしてJR職員(おそらく運転士)がホームを歩いて通りかかるも、声かけは無し。
以前なら、ここで必ず声かけがあったと思われるが、こういうところは、以前から比べると変わってきているといえるだろう。
地道に活動を続けることは決して無意味ではない。
結局、発車間際になっても、乗ってきたのは女性客1人だけで、そのままJR難波を出発。
JR難波発車後に車内アナウンスが入るが、女性専用車については触れず。
今宮駅は通過して、新今宮・天王寺と停車したが、天王寺を出た時点でも女性専用車内は、私達以外に女性客が4人だけだった。
天王寺を出た時点で、女性専用車案内アナウンスが入ったが、通り一遍の簡単なものだった。
大阪市南部の市街地を走り抜け、八尾市に入って次の停車駅、久宝寺に到着。
ここで乗っていた4人の女性客が全員降り、そのあと誰も乗ってこなかったので、車内は私達、男性8人だけになった。
そこで参加者の一人が、「あ、男性専用車だ!」と一言。
私達だけしかいない車内で笑いが起きた。
当会では、今まで数えきれないくらい乗車会を行ってきたが、「女性専用車内に男性多数で、女性客が全くいない」という状態になったのは(筆者が知る限り)これが初めてである。
列車はそのまま久宝寺を発車した。
快速は久宝寺を出ると、この列車の終点、王寺まで途中の駅はすべて通過である。
事実上、私達のみで貸し切り状態になった車内で、各自いろいろな話をした。
両隣の車両もガラガラで人の姿は少ない。
しかし、考えてみればこんな全く混雑しない時間帯に女性専用車を設けていること自体、本当は異常なのである。
こういうところからも、女性専用車が痴漢対策にかこつけた「女性優遇サービス」であることが読み取れると思う。
列車は大阪府と奈良県の県境の山の中に差し掛かり、大和川を何度も橋梁で渡りながら、いくつかのトンネルを抜け、奈良県内へ。
やがてあたりが少し街らしくなってくると、この列車の終点、王寺はもうすぐである。
左側車窓に近鉄生駒線の電車を見ながら、王寺駅に10:56到着。私達はホームに降りた。
ホームでしばらく待って、王寺からは11:03発大和路快速加茂行き(女性専用車の設定無し)に乗車。日中は女性専用車両の設定のある列車(201系などのロングシート車)の多くが王寺までで折り返すので、大和路線の王寺から先、奈良方面は女性専用車の設定がない列車(221系など)が多い。
車内ではメンバーたちが楽しそうに雑談を交わしている。
鉄道会社の動向やネット上での動画の話題、その他もろもろ、メンバー達の話題は尽きることがない。
「女性専用車はおかしい」「女性専用車には納得がいかない」と思っていても、世間では「女性専用車=痴漢対策」でまかり通っているので、当会のような団体に所属していないと、なかなかそうした考えを表明しにくいし、また表明しても周囲からの賛同が得られにくいのが現状ではある。
しかし当会に所属していれば、そうした考えを表明することも出来るし、同じように考えているほかの仲間とこうして楽しい会話もできる。
そして、他のメンバーといろいろな情報を交換することも出来る。
私達の乗った列車は、何年か前に高架になった奈良駅(ここもエスカレーターの前が女性専用車位置)を過ぎ、学研都市線(片町線)の分岐駅である木津に着いた。
乗り換えのため、全員ここで下車。
木津~京橋(JR学研都市線)・京橋~尼崎(JR東西線)
木津から11:30発、区間快速塚口行に乗車。
木津発車時点では、女性専用車もほかの車両もガラガラ。
その後、西木津・祝園・JR三山木と、少しずつ乗客は増えていったが、松井山手あたりまではまだ空席がある状態だった。
津田で男性客一人乗車。このあたりから立ち客が出はじめる。
四條畷・住道と過ぎて、女性専用車内も結構人が多くなってきた。
といっても混雑とまではいかない。
車内を移動しようと思えばできる程度。
放出(はなてん)を出ると、おおさか東線の工事区間に入る。
現在久宝寺~放出間で暫定開業しているおおさか東線が、新大阪まで開通するのが平成31年の予定。
そして放出~鴫野(しぎの)間は、片町線とおおさか東線が併走する予定。列車はそのまま工事真っ最中の鴫野駅を通過した。
そして、大阪環状線との乗り換え駅である京橋に到着。多くの乗客が降り、車内は座席が埋まっているものの、立ち客はほとんどいなくなった。
京橋からは地下に降りて、JR東西線に入る。
大阪城北詰・大阪天満宮と過ぎて、北新地駅でまた多くの乗客が下車。車内はガラガラになった。
次の新福島で男性客が女性客とともに一人乗車してきた。
そのまま地上に出て、12:55尼崎着。
片町線からの区間快速では、結局一度も女性専用車アナウンスは行われなかった。
尼崎では数年前に駅の大幅な改良(コンコースの拡張など)が行われたが、その際に新しく設置されたエスカレーターがやはり、女性専用車のど真ん前である。
先ほど、「高架化・改良工事などで階段等の位置が大きく変更になった駅などで、階段などのど真ん前に女性専用車が来ることが多い」というようなことを述べたが、ここ尼崎もまさにそのパターンである。
尼崎から、JR神戸線(東海道線)に乗り換え。
13:07発、高槻行普通に乗車。
車内は座席がほぼ埋まる程度の乗車率。
私達以外に男性客が2人、それぞれ別々に乗車してきた。
そのうち一人は高齢だったので、やや間隔をあけて座席に座っていた女性客が詰めて、その男性客を着席させていた。それで良いのである。
塚本を過ぎ、13:14大阪駅着。
ここで乗車会は予定通り終了。
今回も女性客やJR職員・警備員などからの声掛けはなかった。
JR職員や警備員などからの声かけがなかったのは、私達がこれまで活動してきたことによる対応の変化であろう。
ネット上では、私達が女性客を攻撃する目的で乗車し、女性客から声をかけられるのを待っているかのようなデマを流す者がいるが、私達としては、「男性が女性専用車に乗りやすくなれば(=任意協力であることが知れ渡れば)よい」、そして「実際に女性専用車に乗る男性の数が増えればよい」と思っているだけで、実際のところ、声掛けはして欲しくない。
また、女性客などが声掛けをしてきたとしても、こちらが移動する意思がないと分かった時点で引き下がれば、それ以上何もする気はない。ただ、こちらが「移動する意思がない」と言っているのに、それでもしつこく降車させようとしてくる者がいれば、対応せざるを得ないということである。
男性が乗車しても声掛けが少なくなってきたのは良いことだが、一方で、これまで述べてきたように、JR西日本など一部の鉄道事業者では女性専用車をあからさまに「営利目的」「女性向けサービス」として運行している実態がある。
女性専用車が「専用」と銘打っていても、実は「任意」で、男性であっても年齢や障害の有無に関わらず、誰でも乗れるということ(=女性「専用」というウソ)は、今では多くの人々が知るところとなった。
しかし、それだけでなく、「痴漢対策」という導入理由が、「実はウソ」であるということについても、もっと多くの人々に知っていただく必要があるだろう。