当会関西本部では、2017年10月29日に神戸・JR元町駅前での街宣活動を予定していましたが、よりによって季節外れの台風の接近とちょうど重なり、街宣は実施不可能になってしまいました。
そのため、集まったメンバーで、神戸市営地下鉄での非協力乗車を行うことにしました。
以下その報告です。
痴漢対策という建前
土休日も含めて毎日・終日実施、車内はガラガラ
街宣予定日に台風接近・・・
全くどうしたものだろう。今年は10月に入ってから、梅雨でもないのに2週間毎日ほぼ連続で雨続き、そして季節外れともいえる大型台風の接近・上陸。
10月といえば例年、天候が良い日が多いと思われることから、久しぶりに神戸・JR元町駅での街宣を予定していたのだが、先週の週末に上陸した台風21号に続き、この週末も台風22号が日本列島にかなり接近する見込みだという。
当「活動履歴」に、街宣の報告があまり上がらないので、当会が街宣活動なども行っていること自体を知らない人も恐らくいると思う。
実際、ネットなどを見ていると、当会が非協力乗車ばかりやっているように勘違いしている人を見かけることも少なくない。
女性専用車両賛成派だけでなく、反対派の中にも「街宣とか署名とか、鉄道会社の本社に抗議するとか、何なりと方法はあるのになぜ、女性専用車に乗りこむようなことばかりするのか?」という意見があるのを見るたび、「何でそんなことを言うの??」と思う。
街宣なら今でも時々やっている。(昨年・今年と京都で実施している)
活動履歴に上げていないだけだ。
署名も過去には行っていた。
しかし署名は何万筆・何十万筆と集めなければ効果は薄い。
労力がかかる割に効果が薄いのだ。
また本社(局)訪問なら、この8月に京阪・阪急・阪神で行ってきたばかりである。
その後、新しいページが、当「活動履歴」に追加されたので、少し下のほうにさがってしまったが、まだ読んでいない人は、是非時間のある時にでも読んでいただきたい。
(京阪)2017年8月 関西本部:京阪本線 非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告①
(阪急)2017年8月 関西本部:京阪本線 非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告③
(阪神)2017年8月 関西本部:京阪本線 非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告④
非協力乗車の是非について、ここで述べると、前置きがあまりにも長くなりすぎるので、これは後で述べることにするが、とにかく当会は非協力乗車ばかりやって他の活動を何もしていない、というわけではない。
神戸市営地下鉄海岸線・旧居留地・大丸前~新長田
「この分じゃどうせ街宣は無理だろうな」と思いつつ、集合予定場所のJR元町駅に向かった。
元町駅の改札を抜け、外に出ると、大雨が降る中を時折、突風も吹くという最悪のコンディション。
到底街宣など出来そうもない。
しかし、当日街宣が出来ない場合は、神戸市営地下鉄の非協力乗車会に切り替えることにしていたので、それはまあ良いのだが、なぜこの10月下旬の通常、台風など来ないこの時期に、しかもよりによって、ちょうどこの時間帯に台風が来るのか。
おかげで、わざわざ警察署まで申請しに行って取ってきた、せっかくの「道路使用許可証」が無駄になってしまった。
しばらくして、参加予定者が集まったので、私達はJR元町駅から徒歩で、最寄りの地下鉄駅に向かうことにした。
外は相変わらずの大雨で、時折突風も吹いているから、傘をさしていても、足元が濡れてきそうである。
少し歩いて、地下鉄海岸線の旧居留地・大丸前駅に到着、ここで全員「地下鉄一日乗車券」(820円)を購入。
これさえあれば神戸市営地下鉄全路線(といっても西神・山手線と、海岸線の2路線だけだが)に今日一日乗り放題である。
ホームでしばらく待っていると、13:50発の新長田行がやってきた。
車内は、私達以外に女性客が7~8人いる程度。
今日は台風が接近しているからというのもあるかもしれないが、普段から海岸線はあまり混雑しない路線である。
わずか4両編成で、しかも終日、土日も含めて毎日女性専用車両を終日運行している神戸市営地下鉄の異常さは今に始まったことではないが、こんなことをしている時点で、「痴漢対策」はウソである。
「女性」を「白人」に置き換えれば、ほぼそのままアパルトヘイトではないか。
もちろん、そのように突っ込まれてもうまく逃げられるように、建前上、「女性専用車両は任意協力で誰でも乗れます」ということにしているわけだが、(神戸市交通局に限らず)鉄道事業者は任意協力であることを出来るだけ乗客に知らせないようにすることによって、男性が乗れないような空気を作り出し、男性客が自分の意思で勝手に協力していることにして、体よく片付けてしまっているのである(そもそも、女性専用でもないのに「女性専用車両」と名乗っていること自体問題)。
だからこそ私達は非協力乗車するし、移動するよう言われても、目的地につくまでは決して移動しないのだ。
よく、「反対派は女性客に嫌がらせするために、非協力乗車している」などという者がいるが、あくまでも私達は鉄道事業者が任意だと言っている以上、それを守らせる(任意という名の強制は許さない)のが目的であって、乗り合わせた女性客に用はない。
さて、列車は旧居留地・大丸前駅をゆっくりと発車。
そこから、みなと元町、ハーバーランドと走って、車内は座席がほぼ埋まるくらいの乗車率になった。
外は大雨だが、地下鉄ならそれは全く関係ない。
途中、中央市場前駅で子供を連れた男性が乗車したが、すぐに隣の車両に移動して行った。移動する必要もないのに・・・
御崎公園駅で、ややまとまった下車があり、車内はガラガラに。
私達以外では、女性客が数人いるくらいになった。
なぜこんな路線に、毎日・終日女性専用車が必要なのか?
いやはっきり言って必要ないだろう。
公共交通機関が、それも「公営の」鉄道がこんなことを平然と十年以上も続けていること自体、異常なのだが、世間はいつになったらそれに気づくのか。
さて、そうこうしているうちに終点の新長田が近づいてきた。
海岸線はさほど長い路線ではない。
新長田についた列車は、そのまま三宮・花時計前行きとして折り返すが、新長田駅に到着して、私達が降りようとしたら、ホームで待っていた男の子連れの女性客が「子供やったら(乗っても)ええねん」と、近くにいた他の女性客(多分、いわゆるママ友だろう)に言っていた。
いやいや・・・ 小学生以下でなくても「年齢・性別に関わらず誰でも乗車可能」である。
「障害を持つ男性や、小学生以下のお子さまは女性専用車両に乗れます」などと、障がい者や子供以外の男性は乗ってはいけないかのような案内をするから、こうして勘違いする女性客が出てくるのである。
この女性客、私達には声はかけてこなかったが、恐らく「中学生以上の男性は乗車禁止」だと、今でも思っているであろう。
いつも言っている通り、「障がい者や小学生以下」というのは、例示列挙であって限定列挙ではない。
つまり、「障がい者や小学生以下も乗れる」と言っているだけで「それ以外乗ってはいけない」とはどこにも書いていない。
実際、女性専用車両に法的根拠はないし、鉄道事業者の輸送約款にも全く触れられていない。
また、鉄道事業者に問い合わせると、「任意協力で強制力は持たない(=実は誰でも乗れる)」と回答してくる。
そういうと、「強制ではなくても、女性専用ということになっているのだから男性は乗らないのが常識」などと言う輩が出てくるが、そういう人間はなぜ女性専用車両が「強制」になっていないのか(正確には、なぜ「強制」に出来ないのか)、よく考えるべきである。
女性専用車両は常識でもなければ、モラル・マナーの類でもない。
むしろ、公平性を非常に強く求められる公共交通機関でありながら、痴漢対策とはかけ離れた女性専用車両をいつまでも運行し続ける鉄道事業者のほうがモラルに反するであろう。
こうした、乗客を勘違いさせる表記も、本来なら早急に改めるべきものである。
神戸市営地下鉄西神・山手線・新長田~西神中央
新長田で、西神・山手線に乗り換え。
先ほど乗ってきた海岸線は、言ってみれば支線のような存在で、こちらの西神・山手線が神戸市営地下鉄の「本線」というべき路線である。
昼間の新長田駅は人もまばらで、閑散としていた。
私達は女性専用車両乗車位置で並んだが、周囲にいた数人の女性客は何も言ってこなかった。それで良いのだ。
私達の目的はトラブルを起こすことではない。
14:17発西神中央行に乗車。車内は先ほどの海岸線よりは乗客が多いものの、やはり空いており、ところどころ空席も見られる状態。
私達が乗車すると、すでに私達以外に男性客が一人、座席に座っているのが見えた。
西神・山手線は一部、地上区間もあるので、台風のせいでダイヤが乱れていないか、少々気になっていたが、どうやら大丈夫のようである。
しばらく地下を走り、妙法寺あたりで地上に出る。
車内に外光が入り、辺りは一気に明るくなった。
妙法寺を出ると、一旦また地下区間になるが、名谷から先は、終点の西神中央までほぼ全部、地上区間になる。
ふと辺りを見やると、目の前の車両の窓に出ている広告が「女性専用岩盤浴」の広告であることに気づいた。
「女性専用車両」に「女性専用岩盤浴」の広告・・・
しかも、大きさが50センチ四方近くもあり、異様に大きい。
車窓の広告としては破格の大きさである、これは当会がこれまでから問題にしている、「女性専用車限定広告」ではないのか??
つまり、『「女性ばかりの場所に、女性向けの広告を出すと宣伝効果が高い」ということで、鉄道事業者が他の車両よりも、かなり割高な広告料を取って、女性専用車両を金儲けの道具にしている、「例のアレ」ではないのか?』ということである。
後で調べたところ、神戸市営地下鉄ではどうやら、この「特大サイズ」の広告枠は、女性専用車両だけでなく、他の非女性専用車両の窓にも同様にあるようだ。
広告の内容が女性専用車両と他の車両で異なっており、「やはり女性専用車限定広告か?」 と思われたが、正確にその女性専用岩盤浴の広告が女性専用車両のみで出されているのかどうかまでは確認できなかった。
しかし、(神戸市営地下鉄では確認しきれなかったが)JR西日本など、今も多くの鉄道事業者が女性専用車両限定広告で金儲けをしているのは事実であり、このようなことをしている時点で「痴漢対策など、どこ吹く風」であるのはお分かりいただけるであろう。
だから、仮に痴漢が完全に撲滅されたとしても、女性専用車両が無くなることはない。
なぜなら、女性専用車両は痴漢対策ではなく、「ただの金儲け」だから。
痴漢がゼロになったからといって、鉄道事業者が美味しい広告料収入源を手放すわけがない。
よく、「女性専用車両は痴漢対策なのだから差別ではない」などという者がいるが、とんでもない。
「公共交通の公平性」に真っ向から反するようなことを行いながら、それを金儲け目的に利用しているのだから言語道断。
痴漢対策を建前にした露骨な差別であり、現代のアパルトヘイトそのものである。
もちろん、本当に痴漢対策であったとしても、このようなことは公共交通機関でするべきことではないのだが・・・。
さて、列車は速度を落とし、間もなく終点の西神中央に到着するというアナウンスが入った。
車内は私達以外、数えるほどしか人がおらずガラガラである。
電車が駅に到着し、ドアが開くと、私達以外の乗客が降りていき、車内は私達だけになった。
私達は「地下鉄一日乗車券」を持っているので、電車を降りて改札を抜ける必要がない。
電車はそのまま折り返し、新神戸行きとなるので、私達もそのまま乗車し続けることにした。
神戸市営地下鉄西神・山手線・西神中央~三ノ宮
折り返し、新神戸行となった車内でしばらく座席に座っていると、列車折り返しのため、乗務員(車掌)と思われる人物が、車内を歩いて移動してきた。
「声をかけてくるか?」と思ったが、その乗務員は私達に気づきながらも、全く声掛けすることなく、私達の目の前を素通りして行った。それで良いのだ。
やがて、発車時刻が近づき、私達以外に数名の女性客を乗せて、列車は西神中央駅を発車。
これまで走ってきた道のりを引き返し始めた。
発車してしばらくは何もなかったが、名谷駅で乗車してきた中年女性客が私達を見るや、わざわざ私達の近くに座って来て当会メンバーの一人に文句をつけてきた。
女性客:女性専用車両・・・
会員:知っています。
女性:昼間はいいのかな。
会員:時間帯に限らず誰でも乗れる。
女性:そんなことないよ!男の人みんなでていきはる
会員:みんな(ウソだと)知らないからね。
女性:あなたたちだけよそんなの
女性:あなたたち神戸の人?これ神戸の税金で作った
・・・はあ?(乗車してよいかどうかは)神戸市の税金を払っているかどうかではなく、「運賃を支払っているかどうか」なんですけど??
相手の思考回路がずれており、これ以上話し合っても仕方ないと思われたことから、「そんなに言うなら、後で駅員に確かめろ」といって、話を打ち切った。
その後も、その女性客は私達の隣に座り続けていたが、結局私達が下車した大倉山まで、何も言ってこなかった。
妙法寺から地下に潜り、神戸の中心市街地の地下を走る。
先ほど、海岸線から乗り換えた新長田駅も過ぎ、私達は「自由が丘作戦」のため、大倉山駅で一旦下車することにした。
「自由が丘作戦」とは、当会や差別ネットワークなどの団体の内部用語で「少しでも多く任意周知を行えるようにするため、目的地に着くまでの途中駅で一旦下車して、後続の列車に乗り換えること」である。
私達は、鉄道事業者が隠している「女性専用と書いてあっても、実は乗車は任意であり、誰でも乗れる」という事実を周知するために乗車しているのだ。
で、なぜこれを「自由が丘作戦」と呼ぶのかというと、かつて関東の東急東横線で女性専用車両が夕方・夜間も実施されていた時(現在は、朝の上りのみ)当会の関東のメンバーが、途中の自由が丘駅でこれをやっていたからである。
ちなみに、東急東横線には自由が丘のほか、今私達がいる駅と同じ名前の、大倉山という駅がある。
そして東急東横線の大倉山といえば、専用車両反対派の間では有名な、あのドクター差別氏のお膝元でもある。
「大倉山で自由が丘作戦」・・・偶然の一致だが、なにか奇妙な縁のようなものも感じる。
とりあえず、私達は駅の改札に向かい、先ほど車内で女性客に絡まれた件について、『運送約款に「女性専用車」が追加されていないのだから、契約上誰でも乗れるはず、にも関わらず「女性専用車」と案内することによって、女性乗客が男性を排除しようとする。利用者としては名称について変更をお願いしたい。』旨、駅員に伝えた。
その駅員も抗議されているのには慣れているのか、私達の話を一通り聞いたあと、「はい、わかりました、上に伝えておきます」ということで、抗議はすぐに終わった。
もちろん、これをやったからといって、すぐに状況が変わるわけではないが、何もしなければ鉄道事業者も反対派の存在を認知すらしない。
私達の活動は地道な活動である。それだけに根気がいるのだ。
私達は再びホームに戻り、後続の谷上行に乗車。
乗車しても周りの女性客は特に何も言ってこなかった。
しばらく走って、列車は三ノ宮駅に到着。
ここで下車して解散。
各自、各方面に帰って行った。