2018年、関西本部最初の非協力乗車会は、1月10日(平日)夕方、JR神戸線・東西線・大阪環状線での実施としました。
以下その報告です。
女性専用車は「専用」ではない
ウソの表示は(女性客からの)クレームの元
前置き
昨年(2017年)は、年間を通して女性専用車の新規導入や拡大はなかったが、この先まだまだどういう展開になるか、予想がつかない。
当会をはじめとする反対派はこれまで、「女性専用車が任意協力に過ぎず、女性専用車という名前はほぼウソに等しいこと」も含めて、様々な「女性専用車のウソ」を、世間に向け情報発信してきたが、これとて、この先も継続して情報発信し続けていかなければ、いずれ世間からは忘れ去られてしまう。
鉄道事業者は、ホームや車内・車体などに貼られた、「女性専用」と書かれたポスターやステッカーその他で、常に「男性は乗れません」という情報(もちろんウソ)を利用者に発信し続けているのだから、私達もそれに対して「女性専用はウソ」という情報を発信し続けなければならない。
私達はそうした考えのもと、2018年も積極的に乗車活動を行っていく所存である。
しかしながら当会もまだまだ人手が足りないゆえ、現在も新しい会員を募集している。
入会申し込みフォームよりお願いしたい。
大阪~尼崎
さて、今回は大阪駅から尼崎駅までJR神戸線・そこからJR東西線に乗り換えて京橋まで行き、大阪環状線の内回りに乗車して、天満まで行くルートとした。
まずは、JR大阪駅18:08発の普通西明石行に乗車するため、私達は専用車乗車位置に並んだ。
周囲の女性客は何も言ってこなかったが、これまで当サイトでも何度も紹介してきたとおり、JR西日本は、何とかして女性専用車を目立たせようとして、大阪駅のホームには女性専用車位置のステッカーを徹底的に貼りまくり、ホームドアにもやたらと派手な色をつけ、これでもかと言うくらいに「男性を乗車させない対策」を取っている。
女性客が「男性が乗っている」と苦情してくるから、徹底的に目立つようにし、男性を乗せないように、一生懸命”企業努力”をなさっているのだろう。
しかし、いくら女性専用車やその案内をいくら派手にして目立つようにしても、実際は女性専用車が「専用」と名乗りつつ、本当は「任意協力」であることも私達は知っているし、また「本当は専用ではない」ということがバレるのが鉄道事業者にとっては都合が悪い(=ウソがばれる)のも分かっているので乗車し続けるが・・・
それよりも、「専用」でもないのに「女性専用」と銘打って運行するから、勘違いした女性客が文句を言ってくるのである。
公共交通機関で本当に男性を「男性である」というだけで排除することは出来ないのだから、いい加減、乗客を「女性専用」という言葉で騙し続けること自体にそもそも無理があると気付いていただきたいものである。
さて、しばらくするとホームに案内放送が流れ、列車が入線してきた。
案内放送の中で「この列車の前から5両目は終日女性専用車です。皆様のご理解とご協力をお願いします」と言っていたが、当会メンバーの一人が「ご協力をお願いする(=任意)と専用は日本語として矛盾だ」と言っていた。
どの列車も、大阪駅で乗客がほぼ入れ替わる。
私達が乗車する列車も、大阪駅で多数の乗客が降りた。
そして私達は乗車してすぐに座席に着席した。
JR京都線・神戸線(東海道線)の普通列車は、大阪駅で3分程度停車するものが多い。
私達の乗った列車も、快速先発待ちのため、しばらく停車していた。
周囲の女性客は何も言ってこなかったが、直接言ってこなくても、女性客から「男がいるから排除してほしい」と言われた駅員などが、車内に乗り込んできて、降車要請してくることがある。
駅員が来ないか、車内から注意して見ていたが、どうやら今回はその気配はなく、やがて発車時刻となり、列車はゆっくりと大阪駅を発車していった。
発車してすぐに、今度は車内アナウンスでまた「この列車の前から5両目は終日女性専用車です。皆様のご理解とご協力をお願いします」という案内が流れた。
先にも述べたが、「(任意の)ご協力で成り立つもの」なら専用ではない。
車内は夕方のラッシュ時ということもあり、押し合いへし合いにはなっていないものの、そこそこの混雑。
そのまま約3分ほど走って次の駅、塚本に到着。
各停しか停まらない駅だが、ここで結構まとまった下車があり、車内は早くも空いて来はじめた。
まだ座席はすべて埋まっているが、立ち客が大きく減った。
普段なら、ドアの開閉をした後、すぐに発車する駅だが、今回はどうしたものか、停まったままでなかなか発車しない。
だれかが「男が乗っている」と通報でもしたのだろうか?
もしそうなら、駅員が声掛けにやってくる可能性が高い。
「これは来るか?」と身構えたが、しばらくして車掌の車内アナウンスが入り、「先行列車で急病人が出た」とのこと。
その後ほどなくして、列車は3分ほど遅れて塚本駅を発車。
そのまま尼崎に到着。ここでJR東西線に乗り換え。
尼崎~京橋
尼崎からは18:25発、松井山手行普通に乗車。
車内は空いており、私達も着席した。
一緒に中年の男性客一人も乗車してきたが、女性専用車の表示を見てすぐ移動。
何も移動する必要はないのに、「女性専用」というウソ表示に騙されているのである。
どうやら車内にいる男性客は私達だけの模様。
尼崎駅を発車し、加島・御幣島と過ぎたが、専用車内は立ち客が若干いる程度で比較的すいていた。
一方、両隣の車両を見ると、いつのまにか結構な混雑になっている。
なるほど、女性専用車に賛成し、利用する女性客の意見の中で、「空いていて楽」などという意見が、(「臭いオヤジがいなくていい」などという意見と共に)上位に入るわけだ。
鉄道事業者は女性専用車限定広告などで、女性専用車を商業目的に利用し、一方で女性専用車を利用する女性客も、その多くが「空いていて楽」「臭いオヤジがいなくていい」という理由で賛同しているわけだから、そんなものをいつまでも続けることのほうがおかしい訳だが、「女性専用車両は痴漢対策のために作られたのだから、その趣旨は正しい!」と言い張れば、いくらでもこうした「痴漢対策とは似ても似つかない別物」を正当化できるというのが、今の現状である。
しかしながら、女性専用車の問題の一番の本質は、混雑差や商業目的での利用ではなく、男性を男性であるというだけで、事実上排除していることであるから、仮に混雑率の格差が解消されたとしても、また鉄道事業者が女性専用車の商業利用をやめたとしても、それで問題ないということにはならない。
同じ運賃を支払っているにもかかわらず、男性であるというだけで排除を受けるのであれば、それがどのような形であれ、問題である。
結局、新福島までは女性専用車は比較的すいた状態のままで、その次の北新地から女性専用車も結構混雑してきた。
そのまま、大阪天満宮・大坂城北詰と過ぎ、大阪環状線との乗換駅である京橋に到着。
私達は下車した。
他の多くの駅と同様、京橋でも女性専用車が階段にぴったりの位置に来る。
これも、つい昨年くらいまでは、約一両分ずれていたのだが、わざわざ階段の位置に女性専用車が来るよう、停車位置を変更したようである。
JR西日本は男性客をどこまで軽視すれば気が済むのであろうか?
こういうと、「男が痴漢するからこうなったんだからしょうがないだろう、文句は痴漢に言え」などという輩がわいてくるが、痴漢対策などただの建前であるのは、これまでからも再三述べてきたとおり。
京橋駅はJR東西線・学研都市線の電車が発着するホームが地上にあり、大阪環状線の高架のホームが、その上に十字に交わるような形で交差している。
夕ラッシュ時で人通りの多い京橋駅のJR東西線・学研都市線ホームから階段を上り、私達は大阪環状線のホームに向かった。
京橋~天満
京橋駅からは18:54発、大阪環状線内回り電車に乗車することにした。
しかし、先ほど車内で急病人が発生して遅れたJR神戸線とは別に、こちらでも他の理由で電車が遅れている模様。
ホームの女性専用車位置に並びながら列車を待っていると、定刻の約4分遅れで、私達が乗車する予定の内回り電車がやってきた。
車両は新型の323系。ご存知の方も多いかと思うが、女性専用車のみ車体ラッピングの色を変え、さらに車内の照明も女性専用車だけ違う色にして、とにかく女性専用車が目立つようにした新型車両である。
先の大阪駅のホームドアもそうだが、323系も、女性専用車に男性を乗せないようにするための対策はしっかりと取っているのだ。
痴漢対策に熱心なのではなく、男性も一人も乗せないようにすることに熱心なのである。
もちろん私達はそのまま乗車。
車内は、混雑とまでは行かないものの、立ち客が結構いる状態で、私達も各自つり革をもって、立って乗車した。
ふと見渡すと、近くに中年の男性客が一人、乗車しているのが見えた。
列車は京橋を出て、桜ノ宮を過ぎ、そのまま天満に到着した。
ここ天満でも、本来、障がい者などの交通弱者のためのものであるエレベーターが女性専用車の目の前。男性は障がい者であっても、健常者の女性より優先順位は下のようである。
「たかが車両一両分」という者もいるが、足腰の弱った高齢者や移動に困難の伴う障がい者にとって、健常者の車両一両分とはわけが違うだろう。
今回は大阪駅からの大回り乗車のため、ここで下車。乗車会はここで終了とした。
乗車会のあと、駅でこのような動画がモニターで放映されているのを見た。
(写真は天王寺駅で撮影したもの)
警察と提携した、痴漢追放キャンペーンのようだが、もちろん当会としても痴漢対策自体は、きっちりとやっていただきたいと思う。
しかし、「女性専用車限定広告」で、割高な広告料を設定して女性専用車を広告料収入源に使用し、混雑のない昼前や休日にまで、毎日・終日女性専用車を実施した上、さらに「毎日終日運行しているからいつでも乗れる」などと女性専用車を宣伝するなど、とても痴漢対策として女性専用車を運行しているとは思えないJR西日本がこういうことをしていると、何だか「うちは痴漢対策はきちんとしてます」という言い訳をしているようにも見えてしまう。
「女性専用車が任意協力に過ぎず、女性専用車という名前はほぼウソに等しいこと」だけでなく、「女性専用車=痴漢対策は建前であり、痴漢対策という理由はほぼウソに等しいこと」も、引き続き世間に情報発信していく必要がありそうだ。