2018年2月 関西本部:阪急京都線で非協力乗車会

活動履歴

当会関西本部では、平日の夜、阪急京都線において非協力乗車会を行いました。

ここ数年、阪急電鉄も女性専用車両にはかなり力を入れてきており、(任意であるはずの)女性専用車両から男性を排除するための声掛け等も大変しつこいということも知っていたため、一度多人数で乗車会を行わなければ、という話になっていました。

以下その報告です。


「任意協力」を知らせずに移動要請

任意協力というなら、それを知らせなければフェアではない

声掛けのしつこいと言われる阪急で

今回は、阪急京都線・梅田~河原町を往復で非協力乗車するルートとした。

やはり、乗車会をするにしても、平日よりも土日・祝日のほうが人が集まりやすいことから、関西本部では非協力乗車会というと、土日でも女性専用車を終日実施しているJR西日本の路線になりがちだが、ここ数年、JRよりも阪急のほうが女性専用車両に乗る男性の排除に非常に積極的であることから、「一度、阪急でも可能な限り人数を集めて乗車会を行わなければ」という話になっていた。

当日の阪急梅田駅改札口

すでに当サイトでも何度も触れているが、阪急電鉄の女性専用車両は、「人にやさしい、魅力ある鉄道サービスを実現するための、サービス向上策の一環」であって、「やむを得ず実施している痴漢対策」ではない。

「人にやさしい」と言いつつ、恩恵を受けるのは、ほぼ女性客のみ(女性専用車両は冤罪対策にはならない)であり、男性は、高齢者や障がい者であっても、男性であるというだけで事実上排除しながら、それを「人にやさしい」などというのだから、阪急の言う「人」の中に男性は入っていないと解釈できる。これでは、「女性にあらずは人にあらず」と言っているも同然である。

阪急HPより。
(2015年に宝塚線に女性専用車両を設置した際のもの)
———————
>当社では、京都本線の平日ダイヤ運行日、特急・通勤特急の2人掛けシートのある車両に「女性専用車両」を設定しておりますが、
「女性専用車両」の導入が、「人にやさしい、魅力ある鉄道サービス」を実現するためのサービス水準向上の一施策であると考え、
このたびの宝塚線のダイヤ改正に合わせて同線に新設する「通勤特急」(10両編成)においても、その最後部(宝塚方)の車両に「女性専用車両」を設定します。

当会でもこれまで阪急で過去、何度も非協力乗車会を行ってきたが、男性が専用車内にいると、職員がしつこく声掛けし、それでも男性客が任意協力を主張して降りないと分かると、今度は周囲の女性客一人一人に謝罪して回るという徹底ぶりであり、こういうところからも阪急が女性専用車両を痴漢対策ではなく、「男性がいないと快適」という、一部のわがままな女性のニーズに応えた、「女性向け快適サービス」と位置付けているのがはっきりとわかる。

つまり、男性がいると女性客へのサービスダウンになるので、徹底的に男性を降ろそうとし、それでもだめなら女性客に謝って回るわけである。そこに、「痴漢対策のためやむを得ず女性専用車をやっている」 という感覚は全く存在しない。

しかし、世間は女性専用車をいまだに「痴漢対策」だと思っている。だからこそ、こうしたものになかなか批判の声が上がらないし、逆に私達のように反対する者を、「被害者への理解がない」などと言うのである。

今では、鉄道に限らず、いろいろな場所に(それも、トイレや銭湯などのような、特に男女を分ける必要があるもの以外で)男性を排除して、「女性のみの快適な空間」をウリにするサービスがあふれているが、それらの多くは防犯対策でも何でもなく、単に「そうすれば儲かるだろう」 という考えからのものである。そして、そういった「男性を男性であるというだけで排除」するような、差別的サービスを正当化するのに最も適した口実が、「防犯対策」「痴漢対策」なのである。

そう言っておけばもっともらしく聞こえるし、また、「男が〇〇するから悪い」などと、すべての責任を男性に押し付けることも出来る。
そして、反対する者がいても、「防犯対策に理解のない奴」で、簡単に撃退できる。
「防犯対策(痴漢対策)」という口実はまさに、男性排除サービス正当化の「王道」なのである。

まあ、一般のサービス業なら、「防犯対策がウソ」だということになってもまだ、「企業経営の自由」という、更なる言い訳が使えるが、鉄道のような公共性の高い事業ともなれば、「企業経営の自由」などという理由で、男性客の存在を完全に無視した、「女性向け快適サービス」としての女性専用車両を設置することは許されない。

いや、痴漢対策であったとしても、やり方がまずいので許されないが、阪急などは先にも述べた通り、平然と「人にやさしい、魅力ある鉄道サービスを実現するための、サービス向上策の一環」などと自らのHPに出してきていた(つまり痴漢対策ではないと公言していた)のはすでに周知の事実。

だからこそ当会としても今後も、阪急電鉄にはどんどん積極的に乗車活動を展開していきたいと考えている。
しかし、現状今よりももっと人数が欲しいところであり、今このHPを見ている反対派の皆様も、「何となく、活動している反対派に期待するだけで、自分は何もしない」のではなく、思い切ってどんどん参加してほしい。入会申し込みフォーム

当会のメンバーは皆、普通の会社員や学生の集まりで、ネットを通じて知り合った者達である。

特に現在、まだ学生の若い世代の方々には是非当会に入会して頂いて、行く行くはこの先の反対運動のあとを継いで行っていただきたいと思っている。反対運動も、継続して行かなければ、いずれ世間からは忘れ去られてしまうから。

梅田~河原町(往路)

さて、前置きが少々長くなってしまったが、本題に入ろう。

今回は18:50集合。平日の夜だったが、やはり当会メンバー達も、このところ阪急の男性排除がひどいということをインターネット動画などで(あるいは自分が個人的に乗車して)良く知っているためか、まるで土日の乗車会の時のように、当会の会員達が集合場所に続々と集まってきた。

19:00発、河原町行通勤特急に乗車するため、私達は5分くらい前からホームの女性専用車位置に並んだ。
男性が多人数で女性専用車両位置に並んでいたので、周囲からは相当目立ったはずだが、近くにいた女性客は何も言ってこなかった。もちろんそれで良いのだ。いつも言っているが、女性客に絡むのが当会の目的ではない。

男性が乗車していても、特段珍しいことではないようにすること、ひいては、鉄道事業者の「任意と言いつつ、事実上強制」のようなウソを許さず、最終的には女性専用車を廃止に持っていくこと。これが私達の目的である。
もちろん当会も痴漢対策自体には反対しない。むしろ大歓迎である。しかし痴漢対策とは名ばかりで、公共の場における、属性を理由とした差別に当たる女性専用車両には断固反対するものである。

しばらくすると、駅に案内放送が入り、列車がやってきた。放送でわざわざ、「前から5両目は女性専用車両です・・・」などと言っていたが、もちろん「専用」などというのは「ウソ」であることは分かり切っている。

京都線特急車両(9300系)に貼られている専用車ステッカー。非常に目立つ。
「障がい者男性は単独でも乗れる」(本当は誰でも乗れる)と、なかなか告知しないのとは対照的である。

関西の方には説明は不要だと思うが、阪急梅田は起点駅なので、到着した列車はすべてここで折り返す。
ホームに到着後、私達がいるホームとは反対側の扉を開け、乗っていた乗客をすべて降ろすと、今度は私たちが待っている側のドアが開き、私達も含め、ホームで並んでいた乗客が一斉に乗車。

私達も、今回は人数が多かったので、車内でいくつかのグループに分かれて乗車した。
ちなみに筆者は、4人掛けのクロスシートの座席(クロスシート=向かい合って座る座席)に他のメンバー2人とともに、3人で座った。1人分空いたところには、見知らぬ女性客が座った。

ホームに並んでいた乗客が一斉に乗車したため、車内は押し合いへし合いにこそなっていないものの、結構な乗車率になっていた。
クロスシート車ということもあり、他の座席に行ったメンバー達がどこにいるのか、分からない状態だったが、多分、車掌が声掛けに来た際(阪急梅田では、停車中に車掌が通りかかって声をかけてくることが多い)には、「今日は随分と人数が多いな・・・」と思うことだろう。

当会のような団体に所属せず、個人で非協力乗車活動をしている方もいるが、そうした方々の場合、たいていは単独での活動である。しかし、単独での活動は、その頻度を高くすることが出来る。
一方、多人数での活動は単独の場合に比べ、反対派の人数が少なくないことをアピールできる反面、参加者各自の都合を合わせなければならなくなるため、どうしても頻度は低くなってしまう。理想を言えば多人数で頻度の高い活動をしたいところだが、ちょっと難しいだろう(但し、会員数を今後もっと増やせれば、これも不可能ではなくなるかもしれない)。

しばらくして、列車の発車を知らせるアナウンスが入り、ドアが閉まった。
梅田停車中に声掛けに来るだろうと予想していたが、今回は来ないまま梅田を発車した。

阪急の方針に変化が見られたのか、それとも今回たまたま来なかっただけなのか、いずれとも判断しかねるが、これは今後も乗車活動を重ねて、見極めていくしかない。(注:このページを作成している最中に、当会とは別に、個人で活動している専用車両反対派の方に対し、阪急が警察を出動させたうえ、改札外まで警官がついてきて職務質問したという知らせが入ってきた。やはり、今回の乗車会はたまたま声掛けが少なかっただけのようだ。)

やがて列車は、淀川に架かる長い橋梁を渡り、すぐに次の停車駅十三(じゅうそう)に。
十三でも、バイトの駅員が女性専用車両の前に立っていることがあるが、今回はここでも特に声掛けはなかった。

列車は十三を発車。他の座席に座ったメンバー達の様子が分からないが、列車はこの先しばらく停まらないのと、周囲の女性客も声掛けしてくる気配もなさそうなので、私達はとりあえず、向かい合って座っている3人で、何気ない雑談をしていた。

昨年の関西の忘年会でたくさんの会員が集まったことや、大変楽しかったことなどを話しながら、「やはり、ただ単に活動するだけでなく、こういう楽しいこともしなければ、なかなか人も集まってこない」「忘年会以外にも、今度また何かやるか?」などと当会の今後について、いろいろと意見をかわした。

列車は、高架工事中の淡路駅をゆっくり通過した後、速度を上げ、茨木市・高槻市・長岡天神と停車していった。
長岡天神を過ぎると、車内はやや空いてきて、余裕が出てきた。次の停車駅、桂を過ぎ、西京極を通過して、その先で列車は地下に潜る。ここから先は終点の河原町まで、阪急京都線はすべて地下である。

地下に潜ってすぐ、西院に到着。通勤特急はここから先、河原町までは各駅に停まる。西院から男性客が一人乗車してきた。
そのまま地下を進み、大宮・烏丸と停車、烏丸を出てすぐ、終点河原町に到着し、他の座席に座ったメンバー達と再び合流。西院からの男性客もここで下車した。

今回、他の座席に座ったメンバー達にもここまで、特に声掛けはなかったとのこと。結局、河原町行(往路)の車内では、誰からも声掛けはされなかった。

河原町~梅田(復路)

河原町駅で一旦改札を出て、切符を買いなおした後、今度は20:10発、梅田行通勤特急で引き返すことにした。

(左右とも)阪急河原町駅で

駅のホームで発車5分くらい前から女性専用車位置に並んだ。やはり多人数だと傍目にも非常に目立つ。隣の車両の乗車位置に並んだ男性客がこちらを時折ジロジロと見ていたが、やはり「女性専用車両」という、いかにも強制力のありそうな名前に騙されているのだろう。しばらくして列車が到着。折り返しなので、ここまで乗車してきた乗客が全て下車。そのすぐ後、私達は今度は一カ所に集まって、4人がけのクロスシート2つ分に分かれて座った。

座席からほかの座席も見渡して見た限り、若干の空席はあるものの、ほぼ埋まっているような感じである。私達以外に男性客が一人乗車しているのが見えた。河原町ではこれまで、私達が乗車活動を行った限りでは、声掛けの無かったことのほうが少ない。
というか近年では、河原町ではほぼ、声掛けは確実に来るといっても良いだろう。

私達も座席で、「きっと来るだろう・・・」などと話していたが、しばらくすると案の定、車掌と思しき職員がやってきて声をかけてきた。

職員:こちらは女性専用車両になっておりますので、ご協力をお願いします。
会員:「ご協力」って、具体的にどうしろと?
職員:他の車両に移動していただきたいんですけど。

さらに、当会メンバーがこの職員にいろいろ言おうとしたが、職員はさっとその場を去り、今度は同じ車両内の別の座席にいた、他の男性客に声をかけに行った。私達からは、「移動する必要はないですよ」と聞こえるように言ったが、結局その男性客は席から立ちあがり、隣の車両に移ってしまった。

その男性客が女性専用車両は任意だと知っていたうえで移動したのならまだしも、「女性専用車両が任意」だということを知らせずに移動させるのは、フェアではない。いや、そもそも公共交通機関で、「人にやさしいサービス水準向上策」として、男性排除サービスをやること自体、本当はNGである。しかし、ここは世間がこの車両を痴漢対策だと思っているから、大きな問題になることもなくまかり通っているのだろう。

なお、「女性ばかりの空間は安全で快適」というのは、大きな間違いである。

これは、女性専用車両に乗車した女性が、ツイッター上に書きこんだものだが、これはほんの一例であり、実際にはこのような、「女性専用車両はロクなものではない」 という趣旨の女性のツイートは、探せばいくらでも出てくる。
賛成派はよく、「女性専用車両のおかげで、女性が安心して電車に乗れる」などと、女性専用車両が絶対的に素晴らしいものであるかのような発言をするが、これは疑ってかかったほうが良い。

その後、車掌がいなくなってから、また別の男性客が2人ほど、(それぞれ別々に)乗車して、座席に着席した。
そして、電車は河原町駅を発車。

これまでの阪急乗車会では、河原町駅で声掛けがあると、次は桂駅で阪急の職員が待ち構えていて、乗りこんでくるというのが、お決まりのパターンだった(河原町で降りない男性がいた場合、桂に連絡することになっているのだろう)ので、「今回もまた桂で来るだろう」と皆、予想していた。

烏丸・大宮と過ぎ、西院辺りで、車掌が、「この列車の前から5両目は女性専用車両となっております」とアナウンス。そのまま続けて、「車内ではマナーを守り、快適な車内環境づくりにご理解・ご協力をお願いいたします」と流した。これだと、「男性が女性専用車両に乗るのはマナー違反」だと言っているように聞こえる。

実は、過去の阪急での乗車会でも、このパターンの車内放送を何度か聞いたことがあった。どうやら「女性専用車両=マナー」と思わせるために、意図的にやっているものと思われる。

こうしているうちに、桂駅が近づいてきた。「間もなく桂に到着です・・・」とアナウンスが流れ、列車は桂駅のホームに滑り込んだ。 桂駅でドアを開けてしばらく停まっていたので、今までのことから考えて、「これは確実に来るだろう」と思われたが、結局声掛けには誰も来ないまま、発車のアナウンスが流れ、ドアが閉まった。

ちょっと意外だったが、もしかしたらこの先の停車駅で来る可能性もある。この先、長岡天神・高槻市・茨木市と停車するが、そのうちのどこかで来てもおかしくない。

停車駅に近づくたび、「次は来るか?」と身構えたが、結局、長岡天神・高槻市・茨木市のいずれも、声掛けはなかった。
結局、声掛けはなく、終点梅田に到着。

梅田で下車した後、駅のサービスカウンターで、河原町駅での声掛けのことなどについて、抗議を行った。

梅田駅サービスカウンター

「任意というなら、なぜそれを十分に告知しないのか」
「任意だということを知らせずに、男性客に移動を求めるのはフェアではない」
「そもそも、女性専用という名称自体不適切」

などの意見を述べたが、対応した職員(男性)は、「任意だが、女性客のほうでその認識が薄いのではないか?」と言っていた。
「だったら、もっと任意だということを分かるようにするべきだ」と述べたが埒が明かず、まあ、この職員一人で変えられるものでもないので、「こういう意見があったということを、本社にも伝えておいてほしい」と言って、抗議は終わりにした。

結局、今回は河原町で車掌が声をかけてきたのみで、「声掛けがしつこい」といわれる阪急にしては、意外とおとなしかった。
ただし、これは今回、たまたまそうだっただけだと思われる。阪急には今後も引き続き、力を入れて活動する必要があるだろう。

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