2018年12月の日曜日に、JR難波駅から、今宮乗り換えで大阪環状線・JR神戸線・JR東西線・おおさか東線・大和路線のルートで、天王寺駅まで非協力乗車会を行いました。
2014年の御幣島での一件以来、職員からの声掛けは減り、男性客の乗車もちらほら見かけられるJR西日本ですが、どうやらこのところ、女性専用車に男性を乗せないための対策に本腰を入れ始めたようです。
以下、その報告です。
JR西日本、反対派への反撃に転じたか?
駅員が「マニュアル」の存在明かす
今回は、まずは前置きから・・・
今回は、報告が長くなるので、先に前置きとして、今回の報告の要約をしておく。
- 2014年の御幣島での事件(JR東西線で非協力乗車していた私達を下車させるため、JR職員が多人数で乗りこみ、20分近くも電車を止めた挙句、当会メンバーの腕を掴んで引っ張ったりして、JR職員が暴行の容疑で書類送検された)以来、職員などからの声掛けは減っていたJR西日本だが、このところ、女性専用車に男性を乗せないよう、その対策に本腰を入れ始めたようである。
- JR西日本は、2018年の後半に入ったあたりから、駅構内や車内のモニターで、男性が乗車しないよう、「マナー」と称して女性専用車の存在を繰り返しアピールしたりし始めた(詳しくは後述)。
- 今回は、スタート地点のJR難波駅で、停車中に乗務員が車内に乗り込んできて、乗車していた男性客に、わざわざ個別に、「女性専用車ですので移動して下さい」と、【任意協力であることを知らせずに】声をかけ、強制であるかのように思わせて移動させるという、大変アンフェアな方法で男性を移動させたので、次の今宮駅で下車後、駅で抗議した。(こちらも詳しくは後述)
- しかし、対応した駅員も、「女性専用車は女性onlyになっている」などと発言し、こちらから「任意協力でしょう?」と突っ込むと、「私達ではどうすることも出来ないので本社に行って下さい」 を繰り返しはじめた。そして、そのやり取りの中で、駅員が「マニュアル」の存在を明かした。
- JR西日本は女性専用車についてもマニュアルを作成し、それに沿った社員教育を行っているようだ。
- JR難波駅で、乗務員が「任意協力」であることを知らせずに、男性客を移動させたのも、恐らくそのマニュアルに沿っての行動であろう。
女性専用車と言えば、世間一般の人々は当然のごとく、「痴漢対策」だと思っているだろうが、実態はおよそ痴漢対策とは言えない代物である。
JR西日本はこれまで、痴漢対策とは到底思えないような、女性専用車の毎日・終日運行のみならず、「女性ばかりの場所に、女性向け広告を出せば宣伝効果が高い」ということで「女性専用車限定広告」と称して、他車両より割高な広告料(=広告一枚当たりの広告料が、他の車両の広告の約4倍!詳しくはこちらを参照)を取って、女性専用車を広告料収入源にしたりしている。
また、ポスターやモニターなどで、「終日運行しているからいつでも乗れる」「行きも帰りも女性専用車もう私の習慣です」などと、女性専用車をまるで、女性客を引き寄せるための「売り物」のように宣伝していたこともあった(下の写真)。
これらのことからもお分かりいただけると思うが、JR西日本が女性専用車を守ることにここまで熱心なのは、女性専用車を「営業戦略」と考えているからである。
決して「痴漢対策」や、「女性のことを思いやってのこと」ではない。
当ページをご覧の皆様には、まずはそのあたりのところを間違えないよう、お願いしたい。
そして、法的にも公平性を強く求められているはずの公共交通機関が、このようなことを平然とやっていること自体、言語道断であるということを念頭において、以下の報告をお読みいただきたい。
JR難波駅で
今回はJR難波駅15時集合。
改札を抜けてすぐ、「人権週間」という大きな張り紙がしてあった。
女性専用車という、「現代のアパルトヘイト」を、日本中のどこの鉄道事業者よりも大々的にやっていながら、何が「人権週間」なのか?
移動に困難の伴う高齢者や障がい者の男性より、健常者の女性が優先で、しかも、(これはJR西日本に限らないが)「バリアフリーに反する」と指摘された場合の抜け道として、建前上、「男性の障がい者も乗れる」ということにして、実際には障がい者であっても、出来るだけ男性は乗せないようにしている。
そして、このJR難波もそうだが、多くの駅で女性専用車が階段を降りたすぐ目の前の、一番便利な位置に停まる。
それも、JR西日本の場合、意図的にそうしている可能性が高い。
「何を言っているのか?痴漢は女性に対する重大な人権侵害であり、それに対して対策を取っているのだから、JR西日本はどこよりも女性の人権に配慮しているじゃないか!」という反論もあるかもしれないが、JR西日本が「痴漢対策」や、「女性への思いやり」で女性専用車をやっているのではないことは、先に述べた通り。
JR西日本の社員による痴漢や盗撮が後を絶たないことから考えても、それは分かるだろう。
もちろん、女性専用車が痴漢対策だったとしてもやり方に重大な問題があるし、また痴漢対策なら他にも方法がいくつもある。
結局のところ、痴漢対策にかこつけて、営利目的の女性専用車をいつまでも続けているというのが実際のところであろう。
さて、私達はJR難波15:15発の普通王寺行の女性専用車に乗車した。
JR難波駅は将来「なにわ筋線」が建設されれば途中駅となるが、現在のところ、行き止まりの終点駅である。
そのためすべての列車がここ始発である。
私達が乗車した列車は、ところどころ座席に空席がある程度の乗車率だったが、私達以外にも男性客が確認した限りで5~6人は乗っていた。
当「活動報告」で過去、何度も述べているように、2014年の御幣島事件以来、男性が乗車していても、職員や警備員などからの声掛けは少なくなったJR西日本だが、このところ駅や車内のモニターで、マナーと称して「男性は女性専用車に乗らないで下さい」と言わんばかりの動画を繰り返し流しだした。(画像はJR北伊丹駅で撮影したもの)
一応言っておくと、多くの鉄道事業者は「女性専用車はマナーとは認識していない」と回答してくる。
公共交通機関は法的にも公平性を強く求められており、女性専用車はその公共交通機関の公平性に真っ向から反するものだ。
しかし、そこを押し切って、表向き「痴漢対策のためのやむを得ない施策」と称して導入したのが女性専用車である。
つまり、法的にもグレーな存在であるわけだが、そんな女性専用車をマナーと称して守らせようとすること自体、実はとんでもないことである。
法治国家での優先順位は、「憲法>法律>政令>条例>ルール>マナー」であり、法を無視ないしは軽視しながら女性専用車を運行し、利用客にはそれをマナーと称して守らせようとするなど、本来はありえないからだ。
そして、法的にもグレーな存在であるからこそ、「女性専用」と称しつつ、実際には「任意協力」ということにしておいて、「強制ではないから法的に問題ない」ということにしておく必要があるのである。
よって、任意なのにそれを利用者に知らせず、強制であるかのように思わせて移動させ、それを「男性のお客様が自らの意思で移動されましたので問題ありません」などというのは、とんでもないことなのだ。
しかし、JR西日本は、モニターだけでなく駅のポスターでも、「女性専用車は、次のお客様にご乗車いただけます」などと、あたかも「障がい者・介護者と小学生以下の男子以外の男性は乗車禁止」であるかのような告知をし始めた(写真のポスターは天王寺駅、モニターは京橋駅のもの)。
このポスター(左写真)をよく見ていただけると分かるが、「次のお客様(=小学生以下・障がい者とその介護者)に、ご乗車いただけます」とは言っているが、「それ以外の男性は乗車できません」とは、ひとことも言っていない。
「それ以外の男性」については、「触れていないだけ」である。
つまり、本当は任意協力であり、誰でも乗れるのだが、「小学生以下・障がい者とその介護者の男性は乗れます」と書いて、見る人に「それ以外の男性は乗れない」と勘違いさせているのである。
また、(先にも少し触れたが)「障がい者やその介護者が乗れる」といっても、実際には障がい者であっても、男性は出来る限り乗せないようにしている。
要は「バリアフリーに反する」と指摘された際に「障がい者は男性もOKになっていますので問題ありません」と、上手くかわせるようにするためのものと考えられる。
このように女性専用車は、数々のウソやごまかしの上に成り立っているのだ。
・・・・・さて、私達の乗った列車がJR難波駅を発車するまで、まだ10分くらいある。
そこへ、ホームを乗務員と思われるJR職員がやってきて、車内に乗り込んできて、「女性専用車」のステッカーを指さして、乗車していた男性一人一人に声をかけ降ろしはじめた。
御幣島事件以来、車内に男性客がいても、(女性客からの申告がない限り)男性客には声をかけてこなかったJR西日本だが、最近はどうやらポスターやモニターでの呼びかけだけでなく、実際に乗車している男性を降ろすことにも再び力を入れ始めたようだ。
声をかけられた男性はすべて、乗務員の言う通り、皆降りていった。
そして、その乗務員が私達のところにもやってきて、「ここは女性専用車ですので」と言いはじめたので、「協力しません」「差別だぞ!」とメンバー達が次々に返し、乗務員は「ご協力いただけないということですか?」と応答。
そのまま私達を降ろすのは諦めたが、今度は優先座席に座っていた高齢の男性客に声をかけに行った。
御幣島事件以前なら、私達が移動を拒否しても、電車を止めてまで、何が何でも徹底的に排除しようとしていただろうが、今回さすがにそこまではして来なかった。
しかし、JR西日本は男性排除自体を諦めたわけではない。
移動を拒否した私達に対してだけ排除を諦めたということは、乗務員は、「本当は任意協力だと分かっていて、それを男性客に知らせずに移動させていた」ことになる。
任意協力であることを知らせずに、女性専用車というウソの表示を指さして、「男性乗車禁止」だと思いこませて移動させ、それを「男性が自分の意思で移動した」という事にしてしまうのは、あまりにもアンフェアなやり方というものである。
それだけでも十分許しがたいが、この乗務員、優先座席に座っていた高齢の男性客にも声をかけて、隣の車両に移動させてしまった。
隣の車両に空席がなければ、これは座っていた高齢者を立たせて乗車させることになる。仮に、移動先の車両で誰かに座席を譲ってもらえたとしても、「男性である」というだけで、優先座席にいる高齢者まで移動させるとは、どこまでもひどい話である。
女性専用車の優先度はそんなにも高いのだろうか?
男性の高齢者より、若い健常者の女性のほうが優先されるこの状況。
それも、「臭いオヤジがいなくていい」「空いてるし座れるから快適」などとして歓迎する女性客の声も多い女性専用車を守るため、男性であるというだけで、高齢者まで移動させるとは!
これを差別と言わずして何と言うだろうか。
先にも述べたが、女性専用車は鉄道事業者の美味しい広告料収入源であり、また女性の利用増を期待した、女性優遇サービスである。
「痴漢対策だから差別ではない」などという、賛成派のたわ言は通用しない。
やがて列車はゆっくりとJR難波駅を発車していったが、開始早々、大変腹立たしいことが起きたので、次の今宮駅で駅員に抗議することにした。
今宮駅で抗議するも・・・
本来は、今宮駅ですぐに大阪環状線に乗り換える予定だったが、予定を変更して駅の改札に抗議に向かった。
そして、この今宮駅での抗議の際、やり取りの中で駅員が「マニュアル」の存在を明かした。
私達はとりあえず、JR難波での事の経緯について駅員に話したのだが・・・
駅員A:申し訳ないんですが、女性専用車は女性onlyになって居るんですよ
↑任意協力であることは言わずに、先に「女性only(=「男性は乗れない)」とはっきり言っている。
これもマニュアル化された対応の可能性がある。
会員A:女性onlyではないでしょう
会員B:ということは、男性は乗ってはいけないんですか?
駅員A:困るんですわ。
会員A:困るとかそういうことではないでしょう、禁止なのかどうか聞いているんですよ。どっちなんですか?
駅員A:禁止とか、そういう強いことは言えないんですが、皆さんご協力をお願いしとるんで・・・
↑先に「男性は乗れない」と言ったものの、こちらが任意協力であることを知っていたので、仕方なく「ご協力」であることを一応認める。
もし、こちらが「任意」だと知らない相手だったら、(マニュアル通り?)まんまと騙す”予定”だったのか?
会員A:だから「ご協力」を拒否したら、(乗車を)断れないんですよね?
駅員A:ですから、ご協力のお願いということで・・・
会員A:実際は任意協力になってないでしょう!
(ここで、後ろにいた駅員Bが出てくる)
駅員B:たまに過去、痴漢にあって、男性が怖いというお客さんがいるんです。
で、そういう人に男性を降ろしてくれといわれたら断れないんで・・・
↑「任意なのに半ば強制に近い状態」であることを指摘されると、今度は「過去に痴漢被害にあって男性が怖いお客様」を引き合いに出してきた。
これもマニュアル化された対応の可能性がある。
それに、痴漢対策なら、「痴漢対策ですので・・・」とストレートに言えば良いものを、なぜ過去に「痴漢にあって男性が怖いお客様が・・・」などと言うのか?
これも、「痴漢対策なら、なぜガラガラの昼間や休日まで、毎日・終日女性専用車をやっているのか?」と、突っ込まれないようにしているものと思われ、こちらもマニュアル化された対応の可能性がある。
会員A:そもそもこういう車両を設定していること自体、公共交通機関としてまずいのではないですか?
駅員B:男性に対して恐怖心を持たれているお客様もいらっしゃいますので・・・
↑「痴漢対策」と、「男性が怖い女性のお客様のため」では、同じように見えて、実は全然意味合いが違う。
痴漢対策なら、「混雑の無い昼間や休日まで女性専用車をやり続けているのはおかしい」 となるが、「男性が怖い女性のお客様のため」と言っておけば、ガラガラの車内の隅のほうに男性が一人、おとなしく乗っているだけでも「男性がいると怖い女性のお客様もいるので・・・」などと、ガラガラの列車の女性専用車を正当化できる。
もちろん、本当に「男性がいると怖い女性のお客様」のためではなく、「営業戦略」であるのは先に述べた通り。
会員B:そう言うんだったら、「女性に対して恐怖心のある男性」はどうでもよいということなんですか?
駅員A:そういう意味ではないんですけど、そらもう、会社が決めているので、会社のほうに言っていただかないと・・・あれは、女性専用と決まっているので・・・
会員A:決まっているも何も、元々痴漢対策だと言ってましたよね?
いつの間に「男性が怖い女性のため」に変わったんですか?
会員B:「男と一緒に乗りたくない」という、女性客のわがままに応えているだけではないですか?
「黒人と一緒に乗りたくない」というのと、どう違うんですか?
駅員B:会社が決めていることで、僕らは上からやれと言われているだけなんで、僕らのほうでは申しわけありませんとしか言いようがないことで、ご要望等は本社のお客様サービスのほうに言っていただくしかないんですよ。
会員C:車掌が声をかけて移動させた中には高齢の男性客もおられたんですよ。これは高齢者虐待と言われても仕方ないんではないですか?
駅員B:女性専用車である限り、男性のお客様が車両に入ってこられた場合、お客様の方が「怖いのでやめてください」と言われれば、僕らもそう言わざるを得ない(女性専用車なので移動してくださいと言わざるを得ない)形になるので・・・そういった形で、僕らのほうではマニュアルがあって・・・
↑「男性が女性専用車に乗ってくると怖い」というのは、反対派を悪者にするための、便利な言葉である。
多くのメディアで取り上げられた、今年(2018年)2月の差別ネットワークの乗車会を思いだしていただきたい。
差別ネットワークの男性達が「(女性専用は名前だけで)実は誰でも乗れるはずの車両」に乗っただけで、集団で「降りろ!降りろ!降りろ!」などとコールするような連中が、本当に男性を怖がっているのか、考えてみればすぐわかるだろう。
「男性が女性専用車に乗ってくると怖い」などという言葉を鵜飲みにしてはいけないし、また本当に怖いと思う女性が仮にいたとしても、それは女性専用でもないのに「女性専用車」とウソをつく鉄道事業者が悪いのである。
会員A:マニュアルがある?
駅員B:そのマニュアルの中で、何か僕らのほうで改善できることがあるならば、申し訳ないということで対応等はさせていただくんですが。
会員A:どういうマニュアルなんですか?
駅員B:これが、例えば僕らも「決定である状態」のものをどうすることも出来ないので、本社のほうに連絡していただくしかないんです。
ここでは申し訳ございませんとしか言えない状況で・・・僕らのほうから本社に上げることも出来るんですが、お客様のほうから直接言っていただいたほうが効力がある形になります。
僕らのほうではどうすることも出来ないので・・・
会員B:「どうすることも出来ない」じゃなくて・・・そもそも「男性かどうか」はどこで判断してるんですか?
↑このように、駅員Bは「マニュアル」の存在を認めた。
恐らく、「女性専用車に男性がいたら、(任意だと知らせずに)声をかけて移動させる」ことも「移動を拒否する男性については(仕方がないので)それ以上言わない」 というのも、マニュアルの内容にあるのだろう。
その後も駅員達は、こちらが何を言っても「私達のほうではどうすることも出来ませんので、お客様センターへ・・・」を繰り返すばかり。
埒があかないのと、駅の窓口で他の乗客の方が待っておられたので、納得は行かないが、ここで切り上げて、大阪方面に向かうことにした。
今宮~大阪
納得いかない気分を引きずりつつ、私達は今宮15:33発大阪環状線外回り列車に乗車。車両は323系。
乗車すると、目の前に男女のカップルが座っていた。
これ自体は良いことなのだが、今日が日曜日だったため、女性専用車が不実施だと思って乗車している可能性もある。
他の多くの鉄道事業者は、土日祝日は女性専用車を設定していないが、このJR西日本は日曜日でも女性専用車を始発から終電まで、終日実施しているのである。
(これを「毎日終日実施しているからいつでも乗れる」などと、JR西日本がセールスポイントとして宣伝していたのは先述の通り。いつまでも「痴漢対策」などというウソに騙されていてはいけない。)
そういえば、JR西日本は駅などの案内でも、表立っては女性専用車が「痴漢対策だ」とは全く言っていないし、ポスターやモニターなどでも、導入理由については全く触れられていない。
導入理由は述べず、当然のことのように女性専用車の案内をしている。
(電話やメールでJR西日本に問い合わせると、「迷惑行為防止のため」とか、「痴漢から女性を守るための取り組み」 などと言ってくることもあるが、これが真実ではないのは、ここまで繰り返し述べた通り)
同じ関西の事業者で、JR西日本に倣ってか、ここ数年やたら女性専用車に熱心になりだした阪急などは、言い訳臭いながらも、一応「迷惑行為防止のため」などと、案内ポスターに書いている。
もっとも、これとて非常に嘘くさいし、突っ込みどころ満載であるが、JR西日本の場合、昔から女性専用車を売り物のように宣伝してきており、近年では私達が知る限り、駅構内のポスターなど、表立っては「痴漢対策」とか「迷惑行為防止」とかは言っていない。
あまり表立って「痴漢対策」を前面に出すと、ガラガラの昼間や休日も含め、毎日・終日実施していることなどを突かれるので、導入理由は述べず、当たり前のように女性専用車の告知・宣伝を行っているということであろうか?
そして、近年では女性専用車が導入されて年数が経ち、当たり前のように定着してきたので、いちいち「痴漢対策」「防犯対策」と断る必要もなくなってきたし、また「触れないほうが都合がいい」ということなのだろうか??
そういえば、先の今宮駅の駅員も、直接「痴漢対策」と言わず、「男性が怖いお客様が・・・」などと言っていたが、いずれにしてもJR西日本が痴漢対策を真剣に考えて女性専用車をやっているとは、到底思えない。
結局、環状線内では特に何事もなく大阪駅に着いたが、納得のいかない私達は、改めてJR大阪駅で、先のJR難波の件について、抗議することにした。
大阪~尼崎~JR東西線~放出
抗議のため、私達は大阪駅の改札口で駅員に事情を話し、「上の人を呼んでいただけませんか?」と伝えた。
利用者数が西日本最大の駅であるJR大阪駅は、改札口も常にお客様対応で多忙であるため、改札の駅員に長々と抗議するわけにもいかない。
そこで、「上の人」を呼んでいただくことにしたのだ。
しばらくして私達の前に現れたのは、「当直駅長」のA氏。
私達は、A氏にJR難波での出来事を詳細に話し、その上で「任意協力であるといいながら、実際にはそれを知らせずに排除している」ことや「女性専用車が痴漢対策から完全に外れてしまっている」「JRは2025年の大阪万博誘致を推進したというのに、その時になってもまだこんな、アパルトヘイトまがいの車両を続けるのか?」など、各自言いたいことを伝えた。
今宮駅の駅員連中と違い、A氏は私達の話をきちんと聞いてはくださったが、この会社のことである。
私達が抗議申し入れた内容を、A氏がきっちり本社に伝えてくれたとしても、それだけでは恐らく、会社としては何の動きも見せないであろう。
しかし、だからといって諦めてしまったら、それこそ鉄道事業者の思う壺である。
JR西日本は、今も相変わらず女性専用車を毎日・終日実施しているし、また男性を可能な限り乗せないようにすることに一生懸命だが、これまでと違って移動を拒否する男性を力づくで引きずりおろすようなことはしなくなった。
というより出来なくなった。
だからこそ、今度は「女性専用車だと知らずに乗っている男性」の排除を徹底する方向に動いてきたのである。
よって、反対派としては今後も諦めずさらに活動していく必要がある。
それも単に活動を続けるだけでなく、この先「女性専用車は任意だと知って乗る男性」の人数を増やす必要があるのだ。
たとえ地道な活動で、時間がかかっても、諦めなければ少しずつ状況は動いていくものである。
我こそはと思う方は、入会申し込みフォームよりお申し込みいただきたい。
さて、一通り伝えたいことは伝え、当直駅長のA氏に「お忙しいところ、ありがとうございました」と礼を述べて、私達は大阪駅のホームに戻った。
時刻は夕方の午後4時過ぎ。
私達が女性専用車乗車位置に並んでいると、後ろにいた男女数人のグループが「ここ女性専用ちゃうの?」「休み(恐らく女性専用車を適用しない時間帯のことだろう)は無いの?」などと会話していた。
また、私達のすぐそばには、警備員が立っていたが、私達には声をかけて来なかった。
さっきのJR難波駅の乗務員とは全く対応が違うが、JR西日本の社員と外部委託の警備員とでは、教育内容が違うのだろうか?
やがて、16:12ごろ新三田行の普通が入線。
列車の到着に合わせて「前から5両目は終日女性専用車です」と構内アナウンスが入った。
後ろで会話していた男女のグループもなんだかんだ言いながら、女性専用車に乗ってきたが、すぐに隣の車両に移って行った。
移動する必要はないのだが・・・
やがて列車は大阪駅を発車。
車内は立ち客が目立ったが、次の塚本駅で結構な数の乗客が降り、車内はやや空いてきた。
そのまま特に何事もなく、塚本の次の尼崎に到着。
ここも女性専用車を降りたすぐ目の前がエスカレーターで、乗り換えのため、向かいのホームに移動しても、そこもやはり、エスカレーターを降りた目の前が女性専用車である。
こんなことをすれば、女性がJR西日本をこぞって利用するようになって増収増益につながり、企業イメージもアップするとでも考えているのだろうか?
はっきり言って、あまりにも男性客を蔑ろにし過ぎである。
ホームに16:31発、JR東西線経由の木津行快速が入ってきた。
車内は座席がほぼ埋まるくらいの乗車率。
列車は夕暮れの市街地を走りだし、淀川を渡って、そのあと地下へ。
JR東西線内では特に何事もなかったが、列車がJR東西線を通り過ぎて地上に上がり、京橋駅に到着すると、乗車してきた女性客数人が「女性専用車が終日」だの何だのと会話し始めた。
私達が乗車していたからであろうが、正確には「誰でも乗れる、女性専用車と名の付いた一般車両」である。
京橋では数分間ほど停車時間があるが、今度はホームから駅員がやってきて乗りこんできたので、「ここでも男性排除か?」と、一瞬身構えた。
しかし、その駅員は「パスケース落ちてませんか~?」と言いながら、私達のことは完全スルーで、車内を通り抜け、別の扉から降りていった。
どうやら、京橋で降りた乗客がパスケース(定期入れ)を車内に落としていないか、駅員に確認を依頼したようだ。
私達の下車する予定の駅は、ここからさらに2駅先の放出(はなてん)である。
やがて列車のドアが閉まり、私達の乗った木津行快速は、ゆっくりと京橋駅を出発した。
JR東西線は京橋駅までで、ここからは学研都市線(JR片町線)に入る。
先ほど、尼崎を出たときよりも、やや薄暗くなった大阪の市街地を列車は走り抜ける。
このあたりは、2019年春に新大阪まで延長開業する、おおさか東線の工事が行われているところである。
やがて、工事ですっかり様子の変わった鴫野駅を通過。
ほどなくして、列車は次の放出駅に16:56到着。
ホームを挟んで向かい側に、おおさか東線の久宝寺行が停まっていて、すぐ発車するみたいだったので、とりあえず乗車。
ドアが閉まり、列車は放出駅を発車した。
放出~久宝寺~天王寺
放出駅発車後、「車内に女性専用車の表示のある車両は、土曜・休日も含め、終日女性専用車です」とアナウンス。
車内ではところどころ空席がある状態だったので、私達は3カ所くらいに分かれてそれぞれ座席に座った。
高井田中央・JR河内永和・JR俊徳道と過ぎ、外は一段と日が暮れてきた。
西の空がわずかに赤くなって残っているものの、もう冬至も近いので、この時間(17時過ぎ)ですでに、辺りは完全に暗くなる直前である。
JR長瀬駅付近からは、進行方向右側の車窓の遠くのほうに、あべのハルカスがはっきり見えた。
JR長瀬の次は、後から追加設置された衣摺加美北。
そして、その次の新加美駅の先からは大和路線(関西線)が並行して、終点の久宝寺に17:11着。
しばらく久宝寺駅のホームで待っていると、大和路線・JR難波行の普通列車がやってきたので乗車。
大和路快速を先に通すため、しばらく停車するようだが、車内はガラガラ。
後からやってきた大和路快速が先発し、やがて私達の乗った普通列車も発車したが、私達以外に女性客が7人ほど乗っているだけ。
加美・平野と過ぎ、その次の東部市場前で男性客が2人乗ってきた。
そして、17:25に天王寺に到着。私達はここで下車し、解散した。