2019年2月 札幌:市営地下鉄東西線&南北線で任意確認乗車会

活動履歴

2019年2月8日(金)の朝、札幌市営地下鉄東西線・南北線で非協力(任意確認)乗車会を行いました。

今回、関西などから応援が入って乗車会が実現しました。

札幌市営地下鉄をご利用の皆様で、女性専用車両(女性と子どもの安心車両)に疑問をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非当会までお越し下さい。

以下、その報告です。


高齢の女性が「女性専用車は法律で決まっています」などと妄言

まず東西線に乗車

今年の冬は例年に比べ、温かい冬かと思っていたら2月になって、「最強寒波」がやってきた。

時刻は朝6時過ぎ。昨夜降った雪が降り積もり、札幌市内は氷点下10℃を下回る厳しい寒さとなっている。

当日朝の札幌市内。氷点下10℃を下回る厳しい寒さ
西18丁目駅改札口。朝早いためか人の姿はまばら

今回は、地下鉄東西線の西18丁目駅からスタート。

札幌市営地下鉄の「女性と子どもの安心車両」(・・・本当に男性に対して失礼な名称だ)は、始発から午前9時までなので、今回朝の7時に集合した。

一応先に言っておくが、「女性専用車両=安心な車両」というのは、単なるイメージであり、一種の思い込みである。

札幌市営地下鉄の「女性と子どもの安心車両」というネーミングも、そうした思い込みが元になっていると考えられる。

よく、反対派に対し、「女性が安心できる車両を作ることの何がそんなに気にいらないのだろう」などという者がいるが、そういうことを言う者は、実態を見ずに、思い込みでものを言っているのである。

さて私達はまず7:17発の新さっぽろ行に乗車するため、私達は早速乗車位置に並んだが、周囲の女性客は特に何も言ってこなかった。

改札口では、まだ朝早いためか、人の流れもまばらだったが、ホームで列車を待っていると、少しずつ人がやってきて、列車到着直前には結構な人数が並んでいた。

やがて、新さっぽろ行きが到着。

押し合いへし合いにこそなっていないが、結構な乗車率である。

到着した新行到着した新さっぽろ行き

私達はそのまま全員立って乗車。

西11丁目を過ぎ、南北線・東豊線との接続駅である大通に到着。

主要駅のためか、ホームでは多数の乗客が列を作っていた。

ここで多数の乗客が降りたが、同じくらい乗車してきたため、車内の混雑度はほぼ変わらず。

大通駅で男性客が1人乗ってきたが、すぐに隣に移動。

それにしても、札幌市営地下鉄は車内にも車外にもやたらと女性専用車両(女性と子どもの・・・)の掲示がしつこい。

今回乗車してみて気がついたのだが、以前はここまでしつこくなかったような気がする。

しつこい安心車両の掲示
写真に写った範囲だけで5カ所にステッカーやポスターなどを掲出
車内にも至るところにステッカーが。
しかも直径が50cmくらいもあり、かなり大きい。

そして、そのほとんどにイラスト入りで「この車両には、以下の方がご乗車いただけます・・・(女性、小学生以下の男児、障がい者と介護者)」という記載がなされている。

これは関東・関西など、他の地域でもやっている、「子供と障がい者以外の男性は乗ってはいけない」と思いこませるための、「ひっかけ案内」である。

実際には、「男児と男性障がい者は乗れる」と言っているだけで、「男児と障がい者以外、男性は乗ってはいけない」とは言っていない(男児と男性障がい者以外の男性については「触れていない」だけ)のだが、こう書いておけば「男性は乗車禁止」と書かなくても、見た乗客が勝手に勘違いしてくれるのである。

ウソだと思うなら、鉄道事業者に対し、男性は乗車禁止かどうか問い合わせてみればよい。

まず通常、「男性の乗車は禁止」とは言わない。

「法的根拠はなく、任意でご協力頂いている」と回答してくるか、もしくははぐらかして、なかなか答えようとはしないかのどちらかである。

それでももし、こちらが無知だと思って「女性だけが乗れる」だとか、それに近いことを言った場合、「それは法的根拠に基づくものですか?」などとさらに突っ込むと、渋々ながら任意協力であることを認める。

つまり、本当は誰が乗車しても、それを禁じることは出来ないのだ。

従って、鉄道事業者が「子供と障がい者以外の男性は乗ってはいけない」と言うことは出来ないのである。

公共交通機関は、法的にも強く公平性を求められている以上、本来は同じ運賃を取りながら、性別によって乗れる車両数を変えることは出来ないのだ。

そういうと、「男女は違うのだから、扱いに差を設けることがあっても、それは当然」とか、「痴漢被害にあうのは圧倒的に女性ばかりなのだから」などと言いだす者が必ず出てくるが、そもそも女性専用車両は痴漢対策ではない。

札幌の場合も、実際に女性専用車両(女性と子どもの・・・)が導入されるまでに、主に市議会などでどういう動きがあったか、きちんと調べれば、初めから痴漢対策で導入されたものではないことは、すぐに分かるはずである。

もっとも、その経緯について述べだすと長くなるので、(本当は触れたいが)ここでは割愛する。

さて、あたりを見ると、専用車(女性と子どもの・・・)も結構な乗車率だったが、両隣のほうが明らかにもっと混雑していた。

札幌でも、専用車両と他の車両とで混雑差があるようだ。

南郷7丁目で、男性客が下車。

どうやら私達が知らない間に乗車してきていたようである。

車内は相変わらず、結構な乗車率のまま、大谷地・ひばりが丘と過ぎ、終点の新さっぽろに7:41頃到着。

一旦改札外に出て、切符を買い直し、7:49発の宮の沢行きに乗車し、折り返すことにした。

東西線・新さっぽろ~大通

7:49発、宮の沢行に乗車するため、私達は専用車両位置に並んだ。

やはり周囲の女性客は何も言ってこなかった。

内心どう思っていたかは知らないが、任意協力である以上、声掛けがないのは結構なことだ。

やがて列車が到着したので乗車。始発なので私達は全員着席した。

新さっぽろ駅停車中に、自動アナウンスではなく、肉声で「前から4両目は、女性と子どもの安心車両になっております。ご協力をお願いします」などとアナウンスがあった。

乗務員が私たちの姿を確認したのだろうか?

それにしてもこの「女性と子どもの安心車両」という名前、「男性は存在自体が安心できない原因」と言っているようなものであり、これは男性利用客に対し、非常に失礼な名称である。

また、「『女性や子供が安心ならば、それでよい』のか?」というのもある。

本当はすべての乗客が安心して乗車できるように、交通局は努力するべきではないのか?

(もっとも実際には、女性客にとっても、女性専用車両が実は「安心・安全・快適な車両というわけではない」というのは先に述べた通りだが・・・)

札幌での女性専用車両導入は2008年と、本州に比べてやや遅れての導入だったが、そのため、すでに本州でいろいろな批判が上がっていることを交通局も知っていたと思われる。

そのため、試験導入時は「女性専用車両」の名前を使っていたが、本導入の際、「任意協力なのに女性専用とウソをついている」という反対派からの批判をかわすため、「女性と子どもの安心車両」などと名前を変えてきたのではないだろうか。

だが、名称を変えたとはいえ、男性客を排除しようとする意味を含んだ名称であることに変わりはない。

また、地元・札幌ではやはり、「女性専用車両」で通っているという。

名称を変えて、「専用」という文言を外しても、これは所詮、小手先のごまかしでしかないのだ。

新さっぽろ発車時点で、座席がほぼ埋まっていて立ち客が何人か・・・という状態だったが、大谷地あたりから混んできて、南郷18丁目あたりからは、先ほど乗車した新さっぽろ行きを上回る乗車率となった。かなりの混雑である。

座席に着席している私達の目の前に、ぎっしりと立ち客が詰まっていた。

列車の両数こそ首都圏よりは少ないものの、まるで首都圏や関西圏を思わせるような、まさに朝ラッシュの光景といえるだろう。

列車はそのままの乗車率で、大通駅まで走行。

大通では満員の乗客が一気に下車していったが、私達もここで南北線に乗り換える予定であったので、立ち客が下車して行くのを見てからそれに続いて下車した。

大通駅の東西線ホームに降りると、先ほどの列車から降りた人で、ホームはいっぱいであった。

私達も、お互いはぐれないよう気をつけながら、ゆっくりと人の流れに身を任せ、南北線ホームへの連絡階段に向かった。

人でごった返す大通駅東西線ホーム
この奥に南北線ホームへの上り階段がある

南北線・大通~麻生

私達は東西線ホームから階段を上って、東西線ホームへの連絡通路に入ったが、やはりラッシュ時のためか、そこでも人通りの多さは相当なもの。

さすがに、200万人都市というだけのことはある。

大通駅、南北線への案内表示
人で一杯の、南北線ホームへの通路

その人ごみをかき分け、南北線ホームに到着。南北線の専用車両(女性と子どもの・・・)は一番後ろ(麻生行の場合)なので、さらにホームをそこまで移動した。

しばらくして、麻生行が到着。

私達も含めホームで待っていた乗客が乗ると、車内はそこそこの混雑となった。

乗ってきた乗客の中に高齢の男性客が一人いた。

次のさっぽろ駅(JR札幌駅との連絡駅だが、地下鉄の駅名はひらがな表記)で、乗客が大量に降りて、車内は一気に空いた。

さっぽろ駅から麻生までは、ラッシュと逆方向になるということもあり、車内は座席こそ埋まっているものの、立ち客はほとんどいないくらいの状態になった。

北12条を過ぎ、次の北24条駅で、たぶん60代~70代くらいの高齢の女性が「ここ女性専用車両・・・」などと、降り際に声をかけてきた。

(やはり、札幌の利用客の間でも「女性専用車両」で通っているようだ)

当会メンバーの一人が、「法的根拠はありません」というと、「法律で決まっています!」などと、小学生でも言わない(?)ようなデタラメ発言を行ったので、すかさずメンバーの一人が「決まっているというなら、何という法律で決まっているのですか?」と突っ込むも、その時点ですでにホームへと逃げ去っていた。いわゆる「言い逃げ」である。

その後は特に何事もなく、列車はそのまま終点の麻生駅に8:27頃、到着した。

当日の麻生駅

南北線・麻生~すすきの

麻生駅でも一旦改札を出て、切符を買いなおした。

そして、麻生8:36発の真駒内行に乗車。

麻生駅停車中に運転士が私達のいる近くを通りかかったが、何も言って来ず。

また、私達以外に一人、若い男性客が乗車してきて、ドア横の手すりの位置に立った。

朝ラッシュの時間は過ぎようとしていたが、やはり都心に向かう方向の列車ということで、車内には立ち客の姿も見られ、またさっぽろ駅に近づくにつれ、徐々に乗客が増えていった。

北12条駅で、「すみません」と男性の声がしたので振り向くと、メガネをかけた若い男性客(先ほど、麻生駅でドア横の位置に立った人物とは別人)が、車内の人ごみをかき分け、下車していった。

どうやら私達が知らないうちに、いつの間にか乗車していたようだ。

列車が北12条駅の次のさっぽろ駅に到着すると、車内にいた乗客が一気に降りて、車内はガラガラになった。

ふと車内を見渡すと、麻生駅から乗車してきた、「ドア横に立った男性客」はまだ乗車しており、この先も引き続き乗車するようだった

私達も引き続き乗車。

大通駅を過ぎ、その次のすすきの駅で下車した。

南北線の車両(すすきの駅)

すすきの駅で抗議

すすきの駅で下車した私達は、とりあえず駅の事務室に向かい、北24条駅で声掛けされたことやその女性客が「法律で決まっています」などとデタラメを言っていたこと(=任意協力であることが、十分周知されていないのではないか?)などについて、抗議することにした。

私達は、対応した駅員に先ほどの北24条駅でのことを詳細に伝え、その上で「任意協力であるなら、その旨もっと周知するべきではないか?」「駅構内や車内に多数貼り出されているポスターやステッカーの内容では、誰も任意だとは思わないのではないか?」といったことを伝え、そして、さらに「女性と子どものあんしん車両」という名前は失礼であるということについても伝えた。

今回の乗車会では、結構、私達以外にも男性が乗車しているのが確認できた。

札幌市交通局は、先にも述べた通り、駅や車内でかなりしつこく女性専用車両(女性と子どもの・・・)を告知し、出来るだけ男性を乗せないようにしているが、実は強制力はないということは徐々に知れ渡ってきているようだ。

以下のツイートは、2月6日(つまり今回の乗車会の2日前)に、札幌市営地下鉄を利用していたと思われる女性のものだが、やはり男性が結構乗車しているようである。

ちゃんと見る・見ない以前に、「誰でも乗れる車両」なのだが、しかしながらこういうツイートが出てくること自体、男性の乗車が珍しくなく、形骸化が進んできているとも取れる。

一応言っておくが、女性専用車両(女性と子どもの・・・)は痴漢対策でも無ければ、女性のためを思っての思いやりでもない。

札幌も含め、各都市の交通局では、市議会での一部政党・政治家による、「実績作り」のためのごり押しの結果であり、また関東や関西などの鉄道事業者では、女性専用車両は女性客を引き寄せるため、また女性専用車両限定で、かなり割高な広告料金を取って車内広告(車体広告)を募集したりするための「営業戦略」と化している。

そしてそんなもののために、何の罪もない男性客が(高齢者などの弱者も含め)不当に排除されているということを、そしてそれが、一見もっともらしく聞こえる、「痴漢対策」という表向きの綺麗事で正当化されているということを知っておく必要がある。

しかし、現在のマスコミはそうしたところを完全に黙殺しており、今でも女性専用車両が「痴漢対策」であることを「全く疑いの余地のない、当然の前提」として報道してくることが多い。

そのため、世間では反対派のことを今でも「女性に対する思いやりのない人間の集まり」などと本気で信じこんでいる者が少なくないのが現状であろう。

もちろん、当会は痴漢対策自体には全く反対していない。

むしろ、監視カメラの設置や私服警官の付き添い乗車など、どんどんやるべきであろう。

但し女性専用車両は、痴漢対策を建前にしているだけで実際には、導入・推進すると何らかの形で得をする者が押してきたという経緯がある。

平べったく言えば、「大人の事情」で設置され、今も継続されているものなのだ。

もっとも本当に痴漢対策だとしても、問題がありすぎであるが・・・。

当日のすすきの交差点
ビルの壁面の温度計

すすきの駅での抗議を終え外に出ると、雪はやんでいたが、やはり-10℃を下回る厳しい寒さであった。

関東・関西だけでなく、札幌においても当会への入会希望者を引き続き募集しているので、我こそはと思う方は、入会申し込みフォームよりお願いしたい。


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