2019年5月31日の朝、神戸・三宮からJR西日本線、および阪神電鉄と大阪メトロ御堂筋線で乗車会を行いました。
今回、当会としては初の阪神電鉄での乗車活動となります。
今年4月の近鉄奈良線の時もそうでしたが、今では女性専用車両の設定時間が長いJR西日本や神戸市営地下鉄などよりも、平日朝のみ実施の鉄道事業者のほうが、男性を乗せないようにすることに熱心なようにも思えます。
以下、その報告です
阪神電鉄の区間特急に非協力乗車
各停車駅ごとに、必ず女性専用車アナウンス
神戸・三ノ宮からスタート
当会関西本部ではこの4月に、「普段なかなか乗車活動のできない、平日朝のみ女性専用車両実施の路線でやってみよう」ということで、奈良から近鉄奈良線で非協力乗車を行ったが、今回は神戸のJR三ノ宮駅からスタートし、阪神電鉄の区間特急への乗車を行った。
まず、朝の6時50分にJR三ノ宮駅に集合。
今回も平日に仕事の休みの都合がつけられるメンバーで予定を合わせ、実施した。
まだ朝早いためか、三ノ宮駅の改札口周辺は人がまばらである。
しばらくして参加予定メンバーが揃ったので、改札を抜け、三ノ宮7:01発の京都行普通列車に乗車した。
女性専用車内は、座席は埋まっているが、立ち客は少なく、まだ余裕がある。
男性は私達だけの模様。
私達が乗車しても、周囲の女性客は特に声などはかけてこなかった。それで良いのである。
しばらくして次の灘(なだ)駅に到着、若干の乗り降りがあった。
灘駅を出て、さらに走ると摩耶駅に到着。ここで下車した。
摩耶駅で、特急「らくラクはりま」が、私達の乗った普通列車を追い越して行った。
「らくラクはりま」は、今年(2019年)3月のダイヤ改正で登場した列車で、ご存知の方も多いと思うが、女性専用席が設置されている列車である。
JR西日本の特急の女性専用席は、この「らくラクはりま」が最初ではなく、今から12年前の2007年10月に、大阪~北陸方面に向かう特急サンダーバードや南紀方面に向かう特急くろしおなどに女性専用席が設けられたのが最初であるが、これらの女性専用席が2007年に特急サンダーバード車内で発生した性的暴行事件の直後に設定されたこともあり、世間ではこれらを「やむを得ない防犯対策」だと思いこんでいる人がいる。
しかし、実際には当時、サンダーバードでの事件についてのマスコミ会見でJR西日本は「女性専用席はサンダーバードでの事件とは関係ない」などと明言していたのだ。
さらに、設定直後の女性専用席の宣伝の謳い文句が、
>女性専用席できました!
>「あったらいいな」からできました。
である。
もうお分かりであろう。
JR西日本はサンダーバードでの事件に便乗して、女性優遇目的の女性専用席を設置したのである。
「らくラクはりま」の女性専用席も防犯対策だと思っている人が多いであろうと思われるが、とんでもない。
防犯対策とは全くの別物であり、「人種」が「性別」に置き換わっただけで、やっていることはかつてのアパルトヘイトそのものである。
・・・話がややそれたが、元に戻そう。
三ノ宮駅から摩耶駅まで2駅、わずか5分ほどだったが、普段乗車しない時間帯に乗車しておくのも任意周知の意味で重要である。
私達は、JR摩耶駅から阪神電鉄の西灘駅まで、徒歩で移動した。
当会としては初の、阪神電鉄非協力乗車
JR摩耶駅から阪神西灘駅まで、歩いてもそれほど時間はかからなかった。
阪神電鉄では現在、平日朝ラッシュ時のみに運行される、御影~梅田間の「区間特急」のみに女性専用車両が設定されており、関西の鉄道事業者の中では設定時間帯や本数が極めて限られているほうである。
しかしそれゆえ、4月の近鉄奈良線同様、乗車活動の実施については後回しになっていた。
西灘駅から御影駅まで、阪神電鉄の普通列車(女性専用車両なし)で移動。
御影駅に到着すると、そろそろ時間的に本格的な朝ラッシュが始まる時間帯になっていたため、ホームは人で一杯であった。
後続の特急列車が到着し、ホーム上にいた乗客の多くがそれに乗車。
その特急列車発車後に、私達はホームの女性専用車位置に並んだ。
すると近くにいた女性客の一人がメンバーの一人に声をかけてきた。
しかし、こちらが(女性専用車であると)承知している旨を伝えると、私達にはそれ以上は言ってこなかった。
ただ、その女性客はすぐ引き下がったものの、その後、私達が乗車してから、車内での女性専用車アナウンスが異常なくらいしつこく流されたり、途中の青木駅では声こそかけてこなかったが、阪神電鉄の社員が乗りこんで来たりした。
その女性客が乗務員に「女性専用車両に男性が乗車しようとしている」ということを言いに行ったのだろうか?
ちなみに阪神電鉄の女性専用車両は中間車両への設置であり、車掌が直接目視できる位置ではない。
しばらく待っていると、ホームに私達の乗車する予定の区間特急が入ってきた。
ここ御影始発のため、車内にはもちろん誰も乗っていない。
ふと見ると、車両の窓に出ている「女性専用車両」の掲示が、ステッカーではなく着脱式のボードであるのを確認した。
関東の京急や京成などが、この着脱式のボードで「女性専用車両」の掲示を行っていると聞いてはいたが、関西でこれをやっているのは初めて見た。
ドアが開くと、私達は車内に乗り込み着席した。
御影始発のため、車内は座席は埋まっているものの、まだ立ち客は少なく余裕はある。
しばらくして御影駅を発車。
発車後、「この列車の前から●両目は女性専用車両です。皆様のご理解とご協力を・・・」と、女性専用車アナウンス。
住吉駅を通過して魚崎に到着。
魚崎駅でかなり乗車してきて、車内は早くも混雑し始めた。
魚崎発車後もまた女性専用車アナウンス。
魚崎に続いて、青木駅(「あおき」ではなく、「おおぎ」と読む)にも停車。
ここでは列車2本通過待ちのため、約6分停車する。
青木駅停車中、制服を着た阪神電鉄の職員(男性)が車内に乗り込んできて、私達のすぐ目の前を通りすぎていった。
声はかけてこなかったが、何だったのだろう。
上から指示されて声をかけに来たが、「多分声をかけても、移動しないだろう」ということで、そのままスルーしたということだろうか?
あるいは、様子を見に来ただけなのか?
しばらくして青木駅を発車。もちろんその直後に女性専用車アナウンス。
その後も、深江・芦屋・打出・香露園と各駅に停まるが、それらの駅を発車する度に欠かさず「この列車の前から●両目は女性専用車両です。皆様のご理解とご協力を・・・」と、女性専用車アナウンス。
こうもしつこいと、まるで女性客への「私達はちゃんと仕事してます」アピールに聞こえてしまう。
香露園を出ると、次は西宮を通過して、今津である。
「区間特急」は、特急の名がついているが、実際には始発の御影から甲子園までは、途中3駅通過するだけで、ほとんどの駅に停まる。
ただ、甲子園までほとんど各駅に停まりながら、特急停車駅の西宮は通過する。
朝ラッシュ対策なのだろうが、阪神独特のかなり変わった停車駅の設定の仕方だ。
阪神電鉄の特急と区間特急の停車駅(御影~尼崎間)
駅名 | 御 影 |
住 吉 |
魚 崎 |
青 木 |
深 江 |
芦 屋 |
打 出 |
香 露 園 |
西 宮 |
今 津 |
久 寿 川 |
甲 子 園 |
鳴 尾 |
武 庫 川 |
尼 崎 セ |
出 屋 敷 |
尼 崎 |
特急 | ● | → | ● | → | → | ● | → | → | ● | → | → | ● | → | → | → | → | ● |
区間特急 | ● | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | → | ● | → | ● | → | → | → | → | ● |
香露園を発車の際、車掌が「次は今津に停まります。西宮へお越しの方は後の列車をご利用ください」と、アナウンス。
しばらく走って列車は西宮駅を通過。
本格的なラッシュの時間だからか、西宮駅のホームもかなりの人が列車を待って、列を作っていた。
私達が乗車している車内もかなり混雑している。
ほぼ各駅に停まりながら、主要駅だけ通過するという、ちょっと変わった体験のあと、列車は今津駅に到着。
今津の次の久寿川駅は通過して、甲子園球場で有名な甲子園駅に到着。
ここで、降りる人も結構いたが、乗ってくる人もいたので、車内の乗車率はそれほど変わらなかった。
甲子園からは、区間特急も主要な駅のみ停車して、それ以外は通過するようになる。
鳴尾・武庫川・尼崎センタープール前・出屋敷と通過して、阪神尼崎駅に到着。
列車はこのまま梅田まで行くが、私達は阪神なんば線に乗り換えるため、ここで下車。
長年の活動で対応の変わってきたJR西
尼崎からは阪神なんば線(女性専用車両なし)で西九条まで移動。
西九条でJR大阪環状線に乗り換え。
ホームの女性専用車位置に駅員がいたが、私達が近くで女性専用車両に乗っても何も言ってこなかった。これで良いのだ。
先日(4月)の近鉄や先ほどの阪神と異なり、JR西日本は今では声掛けが非常に少なくなった。
以前は、JR西日本もかなりしつこい声掛けをしてきたり、場合によっては電車を止めてまで男性を降ろそうとしていたこともあったが、これについては何年にも渡って、反対派が活動する中で少しずつ変わってきた。
よく、「反対派が10年以上も活動しているのに、何も変わっていないじゃないか」などという人がいるが、そういう人は良く見ないでものを言っているのだ。
今、私達が乗車している、大阪環状線の西半分は港湾地帯を走るため、内陸部の市街地を走る東半分に比べて乗客が少ない。
昼間の普通列車など、この西半分の区間ではガラガラのことも多い。
私達の乗った列車も、午前8時30分を過ぎ、最ラッシュ時間帯を過ぎたからか、比較的余裕があった。
弁天町・大正・芦原橋と過ぎ、JR難波に向かうため今宮で下車。JR難波行に乗り換え。
しばらく今宮駅のホームで待って、やってきたのは221系のJR難波行(女性専用車なし)。
毎日・終日女性専用車実施のJR西日本だが、列車の車種によって、女性専用車の設定がない場合がある。
この221系も女性専用車の設定はない。
今宮駅を出てすぐ地下に潜り、JR難波に到着。
一旦改札を出て、JR難波9:02発、王寺行普通に乗車。こちらは女性専用車のある201系。
JR難波が始発ということもあり、車内には私達の他、女性客が3人乗っているだけ。
停車中、JR職員などからの声掛けはなかった。それで良いのだ。
ガラガラのまま、列車はJR難波を発車。
しばらく走って、地上に上がり先ほどの今宮、新今宮から若干の乗車があり、天王寺からはほぼ座席が埋まった。
天王寺を発車し、すぐ女性専用車アナウンス。
今回JR線で私達が耳にした女性専用車アナウンスはこの一回だけ。
東部市場前・平野・加美と過ぎ、おおさか東線への乗換駅である久宝寺に到着。
西九条でJR線に乗車してからここまで、JR職員や女性客などからの声掛けはないが、一方で私達以外の男性の乗車もまだ、(私達が確認した限りでは)ゼロ。
平日の朝ということもあるのかもしれないが、もう少し男性の乗車があっても良いのにとは思った。
久宝寺では既に、おおさか東線の新大阪行がホームで発車を待っており、私達はすぐに乗りこんだ。
車内は座席がほぼ埋まっている状態。
新大阪開業以前のおおさか東線に比べると、結構乗客が多い。
私達が乗りこんですぐ、新大阪行が発車。
新加美・衣摺加美北・JR長瀬と過ぎて、さらに乗客が少しずつ増えていった。
放出まで暫定開業だったころはもっと空いていたように記憶しているが、やはり新大阪まで全線開業した効果だろうか?
JR俊徳道・JR河内永和と、近鉄との連絡駅が続く。
その次の高井田中央で、少し離れたところに男性客っぽい乗客が一人立っているのが見えた。
今回初めて、「私達以外の男性が乗車か?」と思ったが、良く見ると「男性っぽく見える女性客」だった。
やがて、JR学研都市線(片町線)が進行方向右手から現れて、おおさか東線と並走。
そのまま放出に到着。ここで多数の乗客が降りた。
その際、私達の隣に座っていた女性客が、降り際に「ここ女性専用車」と言い残して降りていった。
私達からは、「男性も乗れます」と返したが、恐らく私達が女性専用車であることを承知で乗車していたのを(私達の会話の内容から)知っていて、声をかけていたものと思われる。
恐らく、私達が乗車しているのが気にいらなかったのだろう。
放出で多数の乗客が降りたのは、どうやら学研都市線(片町線)への乗り換えのためのようだ。
新大坂開業効果で、久宝寺~放出間の先行開業区間も乗客が増えたのかと思っていたが、そうでもないらしい。
放出を出て、鴫野に到着。
車内は先ほど(放出以南)の区間ほど人は乗っていない。
そのまま、今年3月に開業した新線区間に突入。
JR野江・城北公園通・JR淡路・南吹田と過ぎたが、この区間では特に何事もなく、新大阪に到着した。
御堂筋線新大阪~なんば
JR新大阪駅の改札を出て、大阪メトロ御堂筋線の新大阪駅へ。
JRの改札を出てから、メトロの駅までは通路を約200メートルほど歩く。
大阪メトロの新大阪駅は高架駅である。
地下鉄ということになっているが、このあたりの御堂筋線は地上を走っているのだ。
ホームは現在工事中。
しばらくホームで待っていると、新大阪始発の天王寺行が入線してきた。
始発のためか、乗客は私達以外に女性客が数人ほど。
私達につられてか、会社員風の男性が一人乗車してきて、私たちとは少し離れた席に着席した。
今回の乗車会で初めて、「本当に」私達以外に男性が乗車したのを見た。
ほどなくして列車は新大阪駅を発車。
ここから2駅先の中津駅の手前までは、御堂筋線は高架で新御堂筋(道路)と並走しながら走る。
地下鉄の車両が地上で車と「競走」している姿を見ることが出来る場所は、多分、全国的にも珍しいだろう。
次の西中島南方駅も、地上の高架駅である。
ここで、先ほど座席に着席した男性客が突然立ち上がり、隣の車両へ移動していった。
どうやら、ここまで女性専用車と気付かずに乗っていただけのようである。
敢えて乗っていたのではないと分かり、少々残念ではあったが、まあ仕方ないだろう。
西中島南方駅を出ると、淀川を橋梁で渡り、その先で地上から地下に潜り、中津駅に到着する。
中津到着時点でも、まだ車内には空席が残っていた。
両隣の車両はすでに立ち客がいる模様。
中津の次は、大阪キタの中心地、梅田である。
ここで乗客の入れ替わりがあったが、梅田から乗車してきた乗客の中に男性が2人ほどおり、2人とも着席した。
乗車してきた男性客のうち1人は、次の淀屋橋で降りていったが、女性専用車に気づいて慌てて降りたという感じではなく、本当に淀屋橋に用があって降りた様な感じだった。
降りるまで気づいていなかった可能性もあるが、分かっていて乗車していたのなら良い傾向である。
また、梅田から乗車してきた女性客2人が、私達の着席している目の前に立ったが、2人とも私達のことは全く気にする様子はなく、何気ない日常会話をしはじめた。それで良いのである。
私達の目的は専用車内で女性客とトラブルを起こすことではない。
男性がいても、それが当たり前のようになり、誰も気にしなくなることこそが、私達の望むところである。
もちろん、単に形骸化するだけでなく、最終的には女性専用車両など廃止されるべきであるが、まずは形骸化を進める必要があるだろう。
しかし、そのためにはもっと男性が乗車する必要がある。
(関西の皆様で、自分も参加したいという方は、入会申し込みフォームよりお願いします。)
その後、本町・心斎橋と過ぎ、特に何事もなく、乗車会終了予定のなんば駅に到着。
私達はここで降り、解散した。