当会では、特急列車に、防犯対策とは直接関係のない、「女性客からの要望に応えたサービス」としての女性専用席を設置したJR西日本と、車内で発生した刃物による傷害事件(性犯罪ではなく、男女問わず誰でも被害者になりうるもので、女性専用車を設置しても防ぐことは出来ない)を理由に、市長に女性専用車両導入の要望書が提出された札幌市交通局に対し、抗議書及び意見書を、「交通の男女差別に反対する会」との連名で、書留郵便にて送付いたしました。
JR西日本への抗議文
(冒頭の挨拶文等は省略)
御社においては、10月1日から昼間の特急に女性専用席を導入されるとの事ですが、マスコミ報道によれば、 「女性客からの要望に応えたもので、先日のサンダーバード車内での暴行事件とは直接関係ない」というのが御社の見解と伺っています。
しかし、外部の者から見れば、特急列車への女性専用車(席)導入の大義名分作りのために、 このような事件が起きるのを待っていたような印象を持たざるを得ません。
また、女性専用席導入の理由については「女性客からの要望があったから」との事ですが、 これは御社が列車内の防犯対策の必要性からやむを得ない措置として踏み切ったものではなく、単に女性客に媚びているという事に他なりません。
このような措置は、利用者を平等に扱うという公共交通機関の趣旨に反し、男性に対する不当な人権侵害と言わざるを得ません。
また、性別のみを理由に乗車を拒否する事は、民法上の不法行為に該当します。
福知山線事故の際にも御社は批判されましたが、まさに遵法精神の自覚を根底から疑わざるを得ないものであります。
以上の理由から、私達は御社の行った今回の女性専用席導入に対し、強く抗議すると共に、法的措置を講じる事も検討致します。 また、列車内での犯罪防止のため、乗務員や警備員による巡回の強化や防犯カメラの設置などを切に要望致します。
平成19年9月●日
札幌市交通局への抗議文
拝啓
皆様方におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて先日、公明党が、貴局東豊線車内で起きた傷害事件を理由に、女性専用車両導入の要望書を市長に手渡したとのことですが、公明党のこのような要求には絶対に応じないよう、強くお願い申し上げます。 公明党は、自らの実績作り・選挙対策等のために、女性専用車両を利用しています。 女性専用車両は痴漢対策と言われていますが、実際にはすでに導入されている首都圏や関西等の各路線でも、女性専用車両導入後の痴漢件数は、多くの場合横ばいか、路線によっては逆に導入前よりも増加しているケースも報告されており、その効果は甚だ疑問視されるべきものです。
先日、名古屋においても、地下鉄東山線のみで女性専用車両を実施している名古屋市交通局に対し、公明党が、地下鉄の他路線にまで女性専用車両を拡大させようとして、市議会で交通局に圧力をかける事例が発生しました。
名古屋市議会の議事録によれば、交通局側から、「女性専用車導入後も痴漢件数は全く減っていない」という答弁があったにもかかわらず、「交通局は、女性専用車両の実施路線や実施時間帯の拡大に努めること」という意見が、名古屋市土木交通委員会(女性専用車両推進派の公明党市議が委員会に入っている)から出されています。
そして、女性専用車両の導入・拡大理由についても、以前、東山線に導入した際には、首都圏や関西圏の各路線と同様に、「痴漢対策」としていたものを、女性専用車両で痴漢件数が減らないと分かると、「痴漢対策に限らず、女性が安心して利用できるようにするため」とすり替えてまで、強引に女性専用車両を増設・拡大させようとしています。
このことからも、公明党は痴漢対策のために女性専用車両の導入を求めているのではなく、女性専用車両の設置・拡大そのものが目的であり、痴漢対策などの理由は、単なる口実に過ぎないということがお分かりいただけると思います。
今回の貴局東豊線での傷害事件についても、これは性犯罪ではなく、性別問わず誰でも被害者・加害者になりうるものであり、女性専用車両を導入したところで、全く防ぐことはできないものです。
しかし公明党は、何が何でも女性専用車両を導入させようとして、今回の事件を口実にしているのです。
たとえ、防犯対策であったとしても、貴局のような公共交通機関が、女性専用車両のような差別的なものを導入することは、決して許されるべきことではありませんが、「導入すること自体が目的」の女性専用車両を、圧力に屈して導入するようなことがあれば、これはまさに「言語道断」であると言わざるを得ません。
決して、公明党の要求には応じないよう、重ねてお願い申し上げます。
また、貴局が先日実施したアンケートにおいても、女性専用車両の導入に反対する意見が多く、社会的合意を得ているとは言えません。このような現実も考慮頂きますよう、宜しくお願い致します。
敬具
平成19年9月27日