前日の北海道集会に続き、翌朝は地下鉄南北線さっぽろ駅より非協力乗車会を行いました。
乗車会終了後、さっぽろ駅事務室と札幌市交通局本局へ行きました。
札幌市交通局本局では、高速電車部業務課の課長・係長ともう一人の職員の3名と45分間面談して、
私たちの意見について質問するとともに、改善要望をしてきました。
以下、関東本部会員S氏からの報告です。
札幌市交通局本局で45分間話し合い
「女性と子どもの安心車両」がなくとも誰もが安心して乗車できるような取り組みと、見直しを要望
非協力乗車
今回は札幌で初の非協力乗車会ということで、乗車する前にさっぽろ駅の「女性と子どもの安心車両」の停車位置付近で、15分ほど様子を見てみました。
まず、ホーム南端の停車位置付近に向かったところ、警備員の姿はありませんでした。
程なくして2番線に麻生行きの電車が到着しました。
混雑率は見た感じで120%くらいであり、関東の朝ラッシュ時と比べたらかなり空いています。
夜のTXの区間快速くらいの混雑といったところでしょうか?
乗っていたのは女性客だけで、男性客はゼロ。
「女性と子どもの安心車両」が空いていて、隣の車両が混雑しているというのは本州と一緒です。
続いて1番線に真駒内行きが到着しましたが、こちらは麻生行きよりも空いていました。
この電車にはさっぽろ駅到着時も発車時も、男性客が2~3名乗っていました。
次の麻生行きにも、さっぽろ駅発車時点で男性客が2名いました。
麻生行きは最後尾となるために、車掌が車内放送で呼び掛けたり直接注意したりする可能性もあったのですが、そのような行為は全くありませんでした。
私たちはこの次に1番線に到着した8時47分発の自衛隊前行きに乗ろうとしたのですが、1番線の「女性と子どもの安心車両」の乗車口に、既に男性客が1名並んでいたのです。
私たちもすぐに並んで乗ったのですが、他にも2名ほど男性客が乗っていました。
男性客は私たちを除いて全員次の大通駅で下車しましたが、誤って乗ったというよりも、この車両は大通駅の階段に近く便利なので最初からその車両を選んで乗ったように見受けられました。
特に「上からの押し付け」が強い関東では「女性専用車両」のせいで、このような本来あるべき自然な流れの選択肢が失われつつあるのです。
すすきの駅を過ぎるとラッシュ輸送が終わったような感じで空いてきて、後は下車する一方でしたが、乗車している間、女性客が注意してきたり、嫌な顔をしたりしてきたということはありませんでした。
途中で設定解除の9時を迎えましたが、車掌からの解除案内の放送は一切ありませんでした。
実際に乗ってみた感じですが、実質「女性専用車両」のようでした。
しかし、関東のような「男性は乗っていけない」とか「ルールなんだからきちんと守れ!」
という類の押し付けはなく、かといって関西のような「形骸化」という状態までは至っていませんでした。
結論として、札幌では男性が普通に乗っている分には、何ら問題ないという状況でした。
ステッカーはこんな感じです。(いずれも乗車会の前日に撮影)
ちなみに右下の画像に「グラフSGI」という雑誌の吊り広告がありますが、これは聖教新聞社発行の創価学会系の雑誌です。
また他でいう「優先席」のことを、札幌市交通局では「専用席」と称しています。
非協力乗車時の車内の様子です。ラッシュと逆方向になったので全体的に空いていますが、隣の車両が座席がほぼ埋まっている状態なのに対し、
「女性と子どもの安心車両」はガラガラです。
青色の座席は「専用席」ですが、そこに至っては誰も座っていません。
(日中や土日でも、「専用席」には誰も座っていないことが多い)
ちなみに、「女性と子どもの安心車両」内で足を組んでいる女性は車内で化粧をしています。
女性が安心して車内で化粧ができるように導入した車両なのですか?
さっぽろ駅事務室
さっぽろ駅に戻ってきた私たちは、その足で駅事務室へ行きました。
応対したのはH氏という20代半ばほどの駅員です。
当方からは主に会員Fと会員Sが対応しました。
会員F「女性と子どもの安心車両には男性も乗って構わないんですか?」
会員S「中学生以上の健常な男性のことですけど」
駅員H「任意ということでお願いはしているんですが・・・」
会員S「ステッカーを見ると、女性・子供・体の不自由な男性だけが乗れると書いてあって、英語でも”Women and Children Only”と書いてあるから、一般のお客さんは、男性は乗っていけないと思ってしまうんですよ」
駅員H「まあ、強制ではないんで男性の方も乗って頂いてもいいんですが、車内放送とかでご理解とご協力をお願いしますとは案内してるんですよ」
会員S「でも、あれでは男性は乗ってはいけないと思ってしまうから、せめてステッカーの下の方にでも、今言ったことを書いて周知してほしいんですよ」
会員F「ですから、男性も乗車禁止でないってことをね」
会員S「任意ってのは協力したい人は協力する、協力したくない人は協力しない、ってことなんですよね」
駅員H「そうですね。強制でなくて一応お願いってことで・・・」
会員F「強制でないってことをお知らせしてほしいんですよ。アレだと強制だと思う人もいると思うんですよ」
会員S「さっき見たんですけど、男性が誰も乗ってなかったり、2~3人しか乗ってないんですよね。周知徹底されてないから。実質女性専用車両と一緒なんですよ。警備員はいなかったし声かけもなかったけど、周知徹底は足りないかな、と思ったんですよ」
駅員H「周知と言いますと、広報札幌とか、駅のポスターとかでご協力をお願いしたいとは書いてあるんですよ」
こんな感じで10分ほど話しましたが、結局駅員は「ご協力をお願いしたい」としか言えないんですよね。
さらに、試験導入後に取ったアンケートで、会員Fが「回答数が男女ともちょうど1000人というのはおかしいのではないか?」という点を突いたのですが、奥から助役が出てきて「ここでは分かりかねるので、本局に問い合わせしてほしい」と言い、私たちに電話番号を伝えて打ち切りました。
確かに言われてみれば駅に言っても仕方がない内容ですし、なんと言っても今は平日の就業時間帯。
これは本局に行かねば、ということで、渡された電話番号にかけたところ、業務課のT課長が電話に出ました。
私が「女性と子どもの安心車両のことで問い合わせしたいのですが、今から伺って構わないでしょうか」と言うと、あっさりとOKしました。
「スペースがない」とか「女性専用車は廃止するつもりはないので、反対意見の人と会うつもりはない」とか訳の分からない屁理屈をつけて面会を断るTXとは偉い違いですね。
札幌市交通局本局
東西線大谷地駅と直結している札幌市交通局本局の受付でT課長を呼んだのですが、先に業務課旅客係のK係長とO氏が出てきて応対しました。
少し遅れてT課長も加わり、45分ほど話しました。
今回は現場での男性排除行為はなかったので、抗議というよりも質問・要望がメインとなりました。
こちらは会話方式では長くなるので、Q&A方式で記したいと思います。
回答の大部分はO氏がしていました。
O氏は「質問慣れ」しているのか、当方の質問に対して回答に詰まるということはありませんでした。
一部遠回しな言い方をして、結局明確な回答が得られなかった部分はありますが・・・。
Q:任意であることの周知が足りないのでは?
A:このような車両の設定をするので、「乗っていい」というのではなく、「できれば協力して下さい」ということ。
だから「乗れます」という案内はできないし、「乗れます」と言ったらこの車両を設定した意味がない。
「この車両が必要だ」と言ったのは札幌市民のニーズである。
Q:本州では「任意」というのが現場に周知されておらず、駅員・車掌・警備員が乗客に執拗に直接注意することがあるが、札幌はどうなのか?
A:節目の駅とかで車内放送をすることはあるが、乗客に個別に注意することはしない。
これは全員に周知徹底させている。
Q:9時を過ぎて設定が解除になっても、車掌はお礼の放送をしなかったが、どういうことか?
A:そのような放送はしないようにしている。あくまでも自然な形で移行させたいため。
Q:英語の”Women and Children Only”という表現はおかしいのではないか?
A:外国人に対してはストレートに表記した方がよいかと思った。
抽象的に書いてしまうとなかなか理解できないので。
そもそも通勤時間帯に地下鉄を利用する外国人は実際そんなにいない。
(日本語の方については)本州のような「女性専用車」というストレートな名称ではなく、もう少し和らげないかということで検討した結果が、「女性と子どもの安心車両」という名称である。
Q:体が不自由な方の基準は?
A:基準は特にない。(それ以上の明確な回答はなし)
Q:アンケートの回答数が男女ともちょうど1000人ずつとなっているが、どういうことか?
A:全駅の改札で委託業者が対面調査を行い、男女別に分かれた番号を振ったものを使用してちょうど各1000人行うというノルマを課して行った。
公平になるように実施時間帯に改札で無作為に行った。
作為的なことは全くやっていない。
【参考】女性専用車両導入実験におけるアンケート調査結果報告書
Q:前回アンケートを取った時に反対多数だったにもかかわらず、今回は賛成多数というのはどういうことか。
A:前回はHPからアンケートを行ったが、回答者のほとんどが男性であり、本州など実際に利用していない方が回答していた。だからあくまでも参考意見にしかならない。
交通局として本当に知りたいのは、実際に利用している札幌市民の方々がどう思っているのか、ということ。
必要であれば導入するし、必要でなければ導入しなかった。あくまで導入を前提とすることはやっていない。
それで何度も何度も検討して、多くの皆さんに理解していただけるように検討を重ねてきた。
ここは札幌なんだから、本州がどうのこうのではなくて、あくまでも札幌市民のニーズに合わせたものを検討してきた。
Q:前回の理由にあった「男女差別になる」というのが今回は削除されているが、どういうことか?
A:前回は反対理由を選択肢にしたが、今回は一般的に利用する上で障害になるものを選択肢にしたから。
もし必要であれば「その他」のところに書いてもらうようにした。
Q:一昨年起きた凶悪事件の直後に、公明党が上田市長宛に女性専用車両の導入要望を出したのだが、それがきっかけで導入することにしたのか?
A:平成17年から導入するかどうか検討を重ねてきた結果なので、あの事件がきっかけになったわけではない。
Q:男性が誰も乗っていない車両で凶悪事件が起きたらかえって危ない。そういうことは考えたのか?
普段男性を排除しておいて、都合の悪いときだけ男性の助けを借りようなど、虫が良すぎる。
A:(明確な回答なし)
Q:アンケートの回答で「女性、子供が安心して乗車できる」としているが、何をもって「安心」なのか?(痴漢・冤罪・異性と同じ車両に乗らなくてよい、という選択肢は他にある)
A:(明確な回答なし)
Q:本来、公共交通機関というのは、運賃を払えば誰でも自由に乗れるもの。
それを押し切ってまで導入するというのはどういうことか。
A:そのような意見の男性もいるが「女性、子供が安心して乗車できる」と回答した男性が一番多い。あくまでアンケートの結果を基に行ったもの。
あと、「専用席」というのは議会からの要望があって、「優先席」から名称変更したもの。
Q:見直しは行うのか?
A:今年見直しを行う。導入後の意見は少ないが多少反対の方が多い。
全般的に反対意見の方が言ってきやすい傾向にあるから。
あと、HPでは本州からの反対意見が多い。
Q:東西線が夏頃に導入されるというのは本当か?できれば見送ってほしい。
A:一応実施する方向でいるが、できる限り動線の少ない車両を選ぶ必要があるので、どの車両に設定するのかを検討しているところ。
Q:危険に晒されるのは女性と子供だけではない、誰もが安心して乗車できるようにすべきではないか?(当会の「男女が憎しみ合わない社会を」というスローガンも引き合いに出した)
A:それは常日頃から取り組んでいる。「専用席」とかも含めてそのようなものがなくてもよい、というのが理想。
ざっとこんな感じであり、交通局側は
「札幌市民の意見を聞いて札幌のニーズに合わせ、真剣に検討を重ねて取り組んできた結果」
ということをやたら強調していました。
結局のところ、「ご理解ご協力」というのは本局でも同じでしたが・・・。
あとは、賛成意見として「女性、子供が安心して乗車できる」という理由を回答してきた男性が最も多かったことも見逃せません。
この選択肢を回答した男性は「女性のためなら男は犠牲になるべき」とでも考えているのでしょうか?
「自分は不当に差別されている」という考えが全くない男性の意識を変えさせない限り、いくらアンケートを取っても、男性の意見ですら賛成多数ばかりになってしまします。
そのような賛成派の男性のせいで、日本ではますます女性優遇がエスカレートしているのです。
さらに、一部の勘違いした女性が変な特権意識を持つようになったのです。
最後に、
- 本当に必要なのかどうかしっかりと見極めて見直しをしてほしい。
- 「女性と子どもの安心車両」なんかなくとも、誰もが安心して乗車できるように取り組んでほしい。
- 東西線への導入を見送ってほしい。
などを要望して交通局を後にしました。
(関東副本部長 清野)