実施区間:大阪~(福知山線・加古川線経由)~加古川~(山陽線・東海道線経由)~尼崎~(JR東西線・片町線経由)~放出~(おおさか東線・関西線経由)~天王寺
昨年の12月に、JR福知山線で、当会関西本部の会員が個人で非協力乗車(任意確認乗車)を行なっていたところ、塚口駅でJRの総括助役らに強制的に排除されるという事件が発生しました。
(この件については、当会サイトでも「活動報告」において、報告しています)
それを受け、当会及び当会の友好団体である「男性差別を許さない市民の会」がJR西日本の大阪支社などに抗議。
結局JR側が当会会員のもとを訪れて直接謝罪し、今後はこうした強制排除のないよう、社内で周知を行うということになりました。
そこで数ヶ月経った今回、改めて福知山線に乗車し、本当に改善されたかどうかなどを見てみることにしました。
以下、当日参加したメンバーからの報告です。
強制排除事件のあったJR福知山線で再度、非協力乗車
座席確保のため、男性排除を試みる女性客も
大阪~宝塚
JR大阪駅に集合した私達は、ホームで9:44発新三田行きを待つことにした。
この9:44発の列車は昨年12月、当会の会員Hが個人で非協力乗車をしていて、塚口駅で(尼崎駅から乗り込んできたJRの総括助役などから)強制排除を受けた列車である。
当会サイトなどで何度も述べているように、女性専用車両は任意協力であり、法的な強制力はない。
逆に、乗車している男性客を強制的に排除しようものなら、そちらの方が「暴行罪」や「強要罪」などの犯罪に該当する。
この件については昨年、当会サイトの「活動報告」でも報告したが、当会やその友好団体のメンバーで抗議を行い、JR側がH氏への謝罪を行うと同時に、以後同様のことがないよう、社内で周知徹底をしていただくこととなった。
それから数ヶ月たった今、本当にきちんと周知されているかどうかを見るため、というのも今回の乗車会の目的の一つである。
案内放送が流れ、列車がホームに滑り込んできた。ドアが開き、私達は一斉に乗車した。
車内は少し空席もある程度の乗車率。
私達のほか、数名の男性客も乗車していた。
大阪駅では数分ほど停車時間があるが、その停車時間中に「この列車の前から●両目は終日女性専用車です」等とアナウンスが流れた。
列車は7分ほどで大阪から2駅先の尼崎に到着。
尼崎駅のホームに駅員や警備員などはいなかった。
私達は一旦下車し、後続の尼崎10:01発、快速宝塚行きに乗り換え。
車内は私達以外に十数人乗っている程度でガラガラ。
男性客は私たちだけのようだった。
尼崎で快速に乗り換えたのは、自由が丘作戦(目的地につくまでに一旦下車して後続の列車に乗り換え、少しでも多く女性専用車両の任意性の周知を行う作戦)のためと、もう一つ、快速だと車掌が車内を回ってくる可能性があるから。(車掌が回ってきた際に、しつこい声かけをしてこないかどうか確かめることができる)
伊丹駅で、ややまとまった数の乗客が下車し、車内は私達以外は数人程度となった。
川西池田駅でも何人か下車し、ついに私達以外の乗客は1人だけに。
毎度のことながら、こんな状態の時間帯も含め女性専用車を終日設定しているJR西日本の意図は何なのかと言いたくなる。
列車は終点の宝塚駅に到着。
ここから折り返し、尼崎方面の列車になるが、私達はしばらく車内にとどまった。
車掌や運転士が声かけしてしてくるかどうか確認するためである。
しかし、結局声かけはなく、さっき川西池田駅で追い越した新三田行き普通列車がホームに入ってきたので、そちらに乗り換えた。
宝塚~新三田
福知山線の列車は、宝塚駅を出ると一気に山深いところへと入り、トンネルの連続となる。
車内はやはり空いていた。
私達以外には、数えるほどしか乗客が乗っていない。
向こうの方で中年の男女のグループがなにやら話をしていたが、その中でこんな会話が聞こえてきた。
「ここ、女性専用ちゃう?」
「あれは時間帯があるやろ?」
「終日ちゃうの?」
こんな感じだったが、結局この男女のグループも他車両に移動することなく、女性専用車にとどまり、その後は他の話をし始めた。そして10:43新三田着。
列車はここで折り返しとなるが、私達はやはり声かけがないかどうかの確認のため、しばらく車内にとどまった。
やがて、移動のためホームを通りかかった車掌が私達を見つけ、ドアを開けて「女性専用車なんで他の車両に移動してください」と言ってきた(福知山線の一部の列車は、車内温度保持のため、ドアを半自動扱いにしている。
つまり、ドアの横に開閉ボタンがあり、停車中なら乗客を含め、だれでもドアの開け閉めができる)
私達は無視したが、その車掌はしつこく声かけを続けることなく、そのまま立ち去った。
約束通り、JR西日本社内で「強制排除等のないように」周知がなされた結果なのか、それとも単に時間がなかっただけなのか、トラブル回避のため一言だけにしたのか。
ここではいずれとも断定できないが、今後も福知山線をはじめJR西日本路線では、しつこい声かけや強制排除が行われていないかどうか時々チェックする必要がありそうだ。
新三田~谷川~加古川
福知山線での女性専用車の設定は途中の篠山口駅までで、かつロングシート車(通勤電車によくある横長の座席の車両)のみ対象である。
新三田から先へ行く列車は、日中はほぼ全てクロスシート車(特急や新快速などのように向かい合わせで座る座席の車両)で、JR西日本では女性専用車設定対象外のため、新三田~篠山口間では女性専用車の設定のある列車は事実上、朝夕の一部の列車のみである。
私達は新三田11:03発、丹波路快速・篠山口行きに乗車。
女性専用車の設定がないので、非協力乗車としての乗車ではなく、単に移動のための乗車である。
先ほどまで非協力乗車をしていたせいか、精神的には楽に感じた。
流れる景色を見ながら、クロスシートの車内で仲間同士たわいのない話で盛り上がり、ちょっと楽しい時間であった。
ネット上では時折「女性専用車両にわざわざ乗る男は、そんなに女に囲まれてハーレム気分を味わいたいの?女性専用車両大好きなんだね(笑)」などという、見当はずれもいいところの発言を見かけることがあるが、私達は好きで非協力乗車しているわけではない。
いつどんなことが起きても対応できるようにと、いつも気を引き締めて乗車している。
しかし、あえて乗車する者がなければ「女性専用車両は男性を強制排除できる空間」という認識が当たり前となってしまう。
「女性専用と名前が付いているのだから、男は乗れなくて当然だ」と思っている人が世間には今も多いだろうが、前述の通り女性専用は【名前だけ】で、実際には女性専用ではない。
これは国土交通省や裁判所なども認めている事実だ。交通事業のような公共性の強いところにおいて「女性専用」は本来作れない。(本当に「女性専用」にすれば、法に触れる可能性大)
そして鉄道事業者はそれを知っていながら乗客には告知せず「女性専用車両」という名の一般車両を、世間を騙した形で運行し続けているのである。
つまり、女性専用車両はウソによって成り立っているのだ。
女性専用車両に関わるウソは他にもいろいろあるが、少なくとも「女性専用車両は純粋な痴漢対策ではなく、ウラのあるもの」と認識しておくべきであろう。
やがて列車は篠山口駅に到着。
ここから福知山行きに乗り換え、谷川駅で加古川線に乗り換えた。
加古川線は谷川駅~西脇市間では一日8~9本、1両編成の電車が走るだけの正真正銘のローカル線である。
12:10発、西脇市行きに乗車。
西脇市で加古川行きに乗り換えて、13:33に加古川駅到着。
加古川~尼崎
加古川から、明石まで各停の快速・米原方面行き(女性専用車設定なし)に乗り換え、西明石駅で下車した。
西明石14:24発、京都行き普通列車に乗るためである。ここからは再び非協力乗車開始となる。
西明石駅のホームに、列車が入ってきた。
ドアが開き、私達は女性専用車に乗車、座席に座った。
この時、私達乗車会参加メンバーのうち2人が背中に「女性専用車両は法律上も契約上も誰でも乗れます」と書かれたジャンパーを着て乗車した。
発車時間までは、まだしばらくあった。
ホームを通りかかった運転士が、窓越しに当会メンバーの着用していたジャンパーの背中の文言を「おや?」というような顔で、ちらっと見ながら通り過ぎて行った。
さらに女性客5~6人ぐらいのグループが女性専用車に乗車してきて、私達のほうを見て「男子が乗ってる」などと話しはじめた。
何か言いに来るかと思いきや、ジャンパーの背中の文言を見て「そういう活動なんやな」と一言。それ以後は何も言ってこなかった。
列車は14:24定刻通りに発車。
車内は私たちと女性客10人ほどで、空いていた。
発車後すぐ、「前から●両目は終日女性専用車です。男性のお客様はご遠慮ください」とアナウンスが入った。
さすがに「男性は乗れません」とまでは言わなかったものの、なぜこんなガラガラの昼間時にまで男性であるというだけで「乗車を遠慮」しなければならないのだろうか。
次の明石駅でややまとまった数の乗車があり、私達の近くに男女のペアが乗ってきた。
他にも男性客の姿を確認。
それでも座席がほぼ埋まる程度で、混雑はしていない。
舞子駅では、乗車してきた若い女性客がジャンパーを着た当会会員のすぐ隣に座ってきた。
ジャンパーを着た会員は、やや斜めに座って他の会員と話していたため女性客に斜めに背を向ける格好となり、女性客が会員のジャンパーの背中の文言を「おや?」という感じでしげしげと眺めていた。
しかしその女性客、しばらくするとジャンパーを着た会員のすぐ隣で居眠りをしはじめた。私たちに対して、警戒心は持っていなかったようだ。
自由が丘作戦のため、三ノ宮駅で一旦下車。
降車する際、私達と入れ替わりに女性専用車に乗車していった男性客を1名確認した。
後続の三ノ宮15:07発、松井山手行普通に乗車。
車内は空席が目立つ。
しかし、両隣の車両には立ち客が結構いるのが見える。
列車が駅に着くたび少しずつ降りていき、芦屋駅に着くころには車内はガラガラに。
芦屋駅で快速が先発し、乗り換え客が何人か乗ってきたが、それでもガラガラ。
立花駅で下車し、一旦改札を出て切符を買いなおした(大阪駅から立花駅までの切符で乗車していたため)そして立花15:49発、松井山手行普通列車に乗車。
先ほど私達が立花駅まで乗ってきた列車に比べると人が多いが、座席がすべて埋まって立ち客が若干いるくらいの乗車率。
確認できただけで、男性客が私達以外に3人乗っていた。
列車は次の尼崎駅に到着。ここからJR東西線へと入る。
尼崎~放出~天王寺
尼崎を出て何駅か過ぎ、やがて列車は北新地駅に到着。
ここで盲導犬を連れた視覚障がい者が乗車してきた。
列車の座席はほぼ埋まっていて立ち客も若干いる状態だったが、その時座席に座っていた山尾関西本部長が席を譲ろうと立ち上がった。
山尾関西本部長の隣に座っていた女性客も立ちあがり、結局その女性客の座っていたところに視覚障がい者の方が座ることになったが、山尾関西本部長はその方の手を引き、座席に誘導した。
私達は、こうした体の不自由な方が乗車してきた際には座席も譲るし協力もする。
決して見て見ぬふりをするような人間の集まりではない。
一方、山尾関西本部長の向かい側の座席に座っていた私のところには中年の女性客が「女性専用車ですよ」と言いに来た。
私から「分かってますよ」と返したところ怪訝な顔をしたので、
「国土交通省も男性が乗車できると認めています。女性『専用』は名前だけで、実際には男性の乗車を禁止することは出来ません」
と説明したが、それでも「屁理屈・・・」などというので、「嘘だと思うなら国土交通省に直接電話して確認してもらっても構いませんよ」とさらに返したところ「電話しません・・・」などと言いながら退散。
そして、少し離れた場所に空席を見つけると、そこへ吸いつけられるように向かっていった。
この女性客、どうやら座席を確保したいがために私達を降ろそうとしていたようだ。
「車内乗客の善意によって座席を譲ってもらえた視覚障がい者」と「女性専用ですよ」と男性を排除して座席を確保しようとしていた健常者の女性客・・・「譲り合い」は、譲る側の善意であって「譲られる者の権利」ではない。
何だか、非常に対照的でよくわかる話である。
列車はJR東西線を通り抜け、京橋からは片町線(学研都市線)に入る。
途中の放出(はなてん)駅で、おおさか東線に乗り換え。
車内は空いている。
女性客が何人かいたが、私達のことは気にはしていない様子だった。
結局何事もなく終点、久宝寺駅到着。
久宝寺からは16:48発、関西本線(大和路線)JR難波行普通に乗車、こちらも車内は空いていた。
やがて列車は天王寺駅に到着。私たちはここで降り、解散した。
(報告:関西本部 福山)