実施区間:渋谷~田園調布/新木場~大崎~池袋
当会関東本部では、去る10月26日に東急東横線及び、東京臨海高速鉄道りんかい線・JR埼京線において任意確認乗車会を実施いたしました。
以下、参加したメンバーからの報告です。
東横線・りんかい線・埼京線で任意確認乗車
女性専用車両は男性でも無条件に乗車可能
渋谷~田園調布
東急東横線・渋谷駅。
今は行き止まりの地上ホームの駅だが、来年3月より東京メトロ副都心線等との直通運転が始まり、以後、列車は地下ホームに発着することになる。
それに伴う女性専用車両の動向も気になるところだが、今回はまず、東急東横線・渋谷駅から田園調布までの区間で乗車活動を行い、その後さらに新木場から、りんかい線・JR埼京線でも乗車活動を実施した。
渋谷19:21発の急行に並んで乗車したが、駅員や女性客からの声かけはなし。
私達以外にも数名の男性客の存在を確認した。
車内では私達のことを異様な物を見るような目でにらんできた女性客が何人かいたが、当会やその関連団体がいつも言っているように、「女性専用車両は任意協力に過ぎず、実は男性であっても無条件で誰でも乗れる」のである。
つまり、誰でも乗れる車両に「女性専用」というステッカーを貼っているだけなのである。
これは鉄道会社自身も認めていることだが、一般には告知していないし、また鉄道会社に直接問いたださないと認めない。中には大阪や札幌の地下鉄のように、一応ホームページで任意であることを書いている鉄道事業者もあるが、それとて仕方なしにホームページに一言、目立たないように書いているような感じである。
ネット上では、「女性専用車両に法的根拠は無く、実は任意協力に過ぎない」ということが比較的知られるようになってきたが、実際にはまだまだ女性専用車両は男子禁制であると思い込んでいる人も多いのだろう。
また、任意であると知っていても、「これは鉄道会社が定めたルールなのだから、法律に書いていなくても男性は乗るべきではない。ルールは守るべき」などと言う人もいる。
しかし、鉄道会社や国交省・さらには裁判所も「任意協力である」と認めている以上、女性専用車両についてのルールは「男性の乗車を拒んではいけないし、また乗車した男性を排除してはならない」である。
女性専用でもないのに「女性専用」という、事実に反する表示を出すから、こういう勘違いをする人も出てくるのである。
ではなぜ、女性専用車両への男性の乗車を禁止する法律が無いのか。
正確には、男性の乗車を「法律で禁止できない」のである。
男性の乗車を法律で本当に禁止すると、それこそ大問題になりかねないからだ。(鉄道営業法34条2号は現在の女性専用車両には適用されない)
2002~3年頃から、公明党の北側氏が国土交通大臣であった2005年頃にかけて、国土交通省も女性専用車両を積極的に推進していたが、国の省庁も絡んで、男性を「性別」という、本人の意思で如何ともしがたい生まれ持った「属性」を理由に、(何も悪いことをしていないにもかかわらず)公共の場から排除するなど、憲法14条などの規定に照らし合わせれば、とんでもないことである。
しかしそれでも女性専用車両を建前上、「任意協力」ということにして法に触れないようにし、しかもそれを利用客には隠すという、何とも姑息なやり方で女性専用車両は維持されているのである。
・・・電車は市街地の中を走り、中目黒に到着。
ここでも男性客が私達以外に数名ほど乗車してきた。
ホームに駅員の姿は無く、特に何も問題は起きなかった。
電車は東京の市街地をさらに走り、やがて自由が丘に到着。
ここでもやはり駅員の姿はなかった。
結局、今回の東横線では、私達のことを異様な物を見るような目でにらんできた女性客は何人かいたものの、女性客や駅員・警備員などとトラブルに発展するようなことは無く、無事に田園調布に到着した。
田園調布で差別ネットワーク代表、「ドクター差別」こと兼松氏と合流。
りんかい線・埼京線での女性専用車両実施時刻まで少し時間があったので、ファミレスで食事をすることにした。
新木場~(大崎)~池袋
りんかい線・埼京線の女性専用車両実施時刻にあわせ、私達は新木場へ移動した。
新木場駅のりんかい線ホームに行くと、人がほとんどおらず、閑散としていた。
22:50発赤羽行きに乗車。
車内がガラガラであったにも関わらず、発車前に車掌から声かけがあった。
当会メンバーの一人が「任意でしょう。ちゃんと告知しなさいよ」と言うと、車掌はスゴスゴと引き下がって行ったのだが、乗務員室の前で見ていた兼松氏によると、その車掌「専用車反対の連中が乗り込んでいる」というようなことを、どこかに電話(?)で報告していたそうである。
しかし、りんかい線は駅員がほとんどおらず、途中駅での「声かけ」はなし。
そして、ある途中駅で車掌が交代。
途中駅からも男性客が乗り込んできたのだが、列車が天王洲アイル駅辺りに差し掛かったところで、先ほど交代した別の車掌が走行中に客室に入ってきて、「こちら、女性専用車ですので・・・」と言ってきた。
さっそく、乗客2人が隣の車両に移動。私達の向かい側に座っていた男性3人・女性1人の4人グループも慌てて席を立とうとしたので、当会メンバーが車掌に「任意でしょう。強制するんじゃないよ」と抗議。
少し離れたところにいた兼松氏もこちらにやってきて車掌に抗議。
車掌は乗務員室に引き下がって行った。
移動しようとした乗客4人には当会メンバーから、「乗ってていいんですよ。移動する必要はありません」と伝えると、4人はもとの座席に戻った。
大崎駅に着く頃には、隣の車両はいつの間にか大混雑状態になっていたが、私達の乗った車両は相変わらずガラガラのままだった。
列車はここからJR埼京線へと乗り入れる。
これまで行ってきた乗車会では、主に新宿駅・池袋駅で駅員が声かけに来ることが多かった。
今回も新宿駅で駅員が多人数で来るかと予想していたが、列車が新宿駅に着いても駅員の姿はなかった。
警備員はいるものの私達の存在に気付きながらも何もして来ず・・・ 私達もJRに顔を覚えられ、「あいつらは相手にするな」となっているのかも知れない。
しかしながら、私達が乗っていたせいか、この時点で女性専用車両には多数の男性客が乗り込み、いわゆる“ザル状態”となっていた。
池袋でも、(これまでの乗車会では)ホームに必ずいた警備員の姿もなし。
私達はここで降りたが、電車は専用車に男性客が何人も乗った状態で発車して行った。