当会では、友好団体「差別ネットワーク」が実施した「女性専用車両」についての意識調査に協力し、各種活動時に調査を行いました。
ここで、その結果を報告いたします。
「女性専用車両」についての意識調査 最終結果報告
この結果は、以下の鉄道事業者に提出済です。(2012年11月13日現在)
●JR東日本
●京王電鉄
●東急電鉄
●小田急電鉄
●東京メトロ
●横浜市交通局
調査期間:2012年8月から10月にかけて
調査場所:街頭演説する駅前、集会場所、ブログによる呼びかけ、「NPOまつり」など
調査対象:「女性専用車両」について知っている人
調査団体:差別ネットワーク(協力:女性専用車両に反対する会、男性差別を許さない市民の会)
回答者数:109人
質問1 あなたの性別は?
①男性:86人(79%)
②女性:23人(21%)
(注1)性別に偏りがありますが、意図したものではなく、回答していただいた人に(たまたま)男性が多かった、ということです。
質問2 あなたは、「女性専用車両には、法律上及び運送契約上、男性も乗れる」とご存知ですか?
①知らなかった:59人(54%)
②知っている :50人(46%)
(注2)「NPOまつり」(9月29日)でアンケートに協力してくれたのは(たまたま通りかかった)ごく一般の人たちですが、一方で「NPOまつり」以外(=街宣時や集会時等)にアンケートに協力してくれた人達は、どちらかと言えば「女性専用車両」に関心のある人たちが多く、「NPOまつり」でアンケートに協力してくれた人たちよりも「女性専用車両に(一般の)男性も乗れる」と知っている人が多かった可能性があります。
実際、結果を見ると、「NPOまつり」でアンケートに協力してくれた「40人」の回答結果と「NPOまつり」以外でアンケートに協力してくれた人たち「69人」の回答結果には、以下のような大きな違いが見られました。
●NPOまつりでの回答結果
①知らなかった:30人(75%)
②知っている :10人(25%)
●NPOまつり以外(=街宣時や集会時等)での回答結果
①知らなかった:29人(42%)
②知っている :40人(58%)
質問3 「質問2」で「②知っている」と答えた50人にお聞きしますが、いつ頃、「男性も乗れる」と知りましたか?
①導入された時:14人(28%)
②数年前 :22人(44%)
③つい最近 :12人(24%)
④不明 : 2人( 4%)
質問4 「質問2」で「②知っている」と答えた50人にお聞きしますが、どうしてお知りになりましたか?
①鉄道会社の人から聞いた : 2人( 4%)
②ネット情報で知った :24人(48%)
③街頭演説を聞いて知った : 3人( 6%)
④家族・友人・知人から聞いた: 7人(14%)
⑤その他 :10人(20%)
⑥不明 : 4人( 8%)
(注3)予想はしていたことですが、「(一般の)男性も乗れる」という事実を「鉄道会社(の人)から聞いた」という回答が、アンケートをしてもらった「109人中2人」からしか返ってこなかったのは、由々しき事態です。
「消費者基本法5条」からしても、鉄道会社は「(一般の)男性も乗れる」という事実を利用者に周知する責務があります。
質問5 あなたは、「女性専用車両」に乗ったことがありますか?
①乗ったことがある:男性40人(47%)/女性16人(70%)
②乗ったことがない:男性45人(52%)/女性 7人(30%)
③不明 :男性 1人( 1%)/女性 0人( 0%)
質問6 あなたは、「女性専用車両」に乗りたいですか?
①乗りたい :男性23人(27%)/女性15人(65%)
②乗りたくない:男性57人(66%)/女性 7人(30%)
③その他 :男性 2人( 2%)/女性 0人( 0%)
④不明 :男性 4人( 5%)/女性 1人( 4%)
(注4)「女性専用車両」には、「乗りたい」という男性は少数派で、「乗りたくない」という男性が多いのですから、「(一般の)男性も乗れる」と告知したところで、「男性がドッと乗り込む」ということにはならないでしょう。
また、「乗りたい」という男性に対しては、安心して、なおかつ、安全に乗れるように、利用者に「(一般の)男性も乗れる」とキチンと告知して、女性乗客とのトラブルを避けるようにすべきです。
質問7 鉄道会社は、「男性も乗れること」を利用者に伝えるべきだと思いますか?
①伝えるべきだと思う:男性71人(83%)/女性19人(83%)
②伝える必要はない :男性15人(17%)/女性 4人(17%)
質問8 鉄道会社は、名称・表記を「女性優先車」、「思いやり車両」等に変えるべきだと思いますか?
①変えるべきだと思う:男性68人(79%)/女性16人(70%)
②変える必要はない :男性15人(17%)/女性 6人(26%)
③その他 :男性 3人( 3%)/女性 1人( 4%)
(注5)質問7の「男性も乗れると利用者に伝えるべき」には、男女とも80%以上の人たちが賛成、質問8の「名称・表記を変えるべき」には、男性の80%弱、女性でも70%の人たちが賛成しています。
鉄道会社は、この「事実」を真摯に受け取り、利用者の声を今後の運営に反映させていただきたいものです。
なお、当会のスタンスとしては、「女性専用車両」には問題が多く、廃止(=原状回復)が最終目的でありますが、最大の妥協をするとして、
①名称・表記を改める。
②「(一般の)男性も乗れる」と告知した上で、男性の理解と(任意の)協力を仰ぐ。
③男性乗客に対して「女性専用」と思わせるような紛らわしい声掛けをしない、「女性専用」と思わせるような紛らわしい車内アナウンスをしない。
④「痴漢対策」と言うのであれば痴漢被害に遭う女性が「女性専用車両」に優先的に乗るように誘導のアナウンスする。
などが条件になります。
これらの条件が満たされないのであれば、改善が見られないのであれば、私らとしては「廃止」を主張せざるを得ません。
報告:差別ネットワーク代表 兼松信之(ドクター差別)