2012年11月 関西本部:JR東海道線と神戸市営地下鉄線で非協力乗車会

活動履歴

実施ルート:JR大阪→(JR東海道線)→JR三宮→神戸市交通局三宮→(神戸市交通局・西神山手線)→新長田→(神戸市交通局・海岸線)→三宮・花時計前

当会関西本部では、最近の神戸市交通局の状況を見るため、JR大阪駅から東海道本線で三宮まで行き、神戸市営地下鉄に乗り換えて、非協力(任意確認)乗車会を実施いたしました。

以下、参加したメンバーからの報告です。


JR東海道線・神戸市営地下鉄で非協力乗車

終日実施の女性専用車は痴漢対策ではない

関西の女性専用車両のおかしさ

神戸市営地下鉄は2002年の導入当初から、女性専用車両の完全終日・土日も含めた全日実施で、悪名の高かった路線である。

特に海岸線では、4両編成中1両を毎日・完全終日女性専用車両にするというとんでもなさ。

神戸市営地下鉄の専用車ステッカー

しかも、1年365日・年中無休で終日女性専用車両を実施していながら、沿線でサッカーの試合などが実施される際は「混雑するので、その時だけ特別に解除」している。

痴漢は混雑に乗じて発生することを考えると、痴漢対策としては完全に本末転倒である。

その後(2004年)神戸電鉄も、神戸市営地下鉄に倣うような形で、4両編成で終日実施(※神戸電鉄の女性専用車両は平日のみで、土休日には実施していない)を行い、導入当初、沿線住民から激しいブーイングを受けた経緯がある。

そのブーイングを受けて導入から数ヵ月後に平日の朝ラッシュ時のみ解除したが、それ以外の時間帯は全て女性専用車実施という、これまた本末転倒のようなことになっている。

当時の報道によれば、「早朝時間帯は女性の利用が少ないことが分かったので解除した」とのことだが、実際は一番混雑する朝ラッシュ時のみ解除して沿線住民の怒りを鎮めようとしたものではないかと思われる。

なお、今回の乗車会では、神戸電鉄には乗車していない。

JR西日本も2011年春から関西の主要路線ほぼ全てで女性専用車終日実施を行っているが、これについては「2012年6月 関西本部:JR西日本線 非協力乗車会の報告」に紹介してあるので、そちらをご参照いただきたい。

JR東海道線・大阪~三宮

さて、私達は大阪駅13:43発、新三田行普通に乗車した。

ホームに警備員がいたものの、何も言って来ず。

昨年(2011年)春にリニューアルされ、キレイになった大阪駅だが・・・

大阪駅発車直後、「この列車の前から●両目は全日・終日女性専用車両となっており、終点まで女性専用車があります。皆様のご協力を・・・」というような、昼間でも休日でも女性専用車があることを強調したアナウンスが流れた。

列車内は空席が目立つ。

尼崎で西明石行普通に乗り替えた。

こちらもやはり空いている。私達は数人ずつ、3手に分かれて乗車した。

立花駅で、車掌が「業務連絡了解」と車内放送。

「男性が専用車内にいる」という連絡でも入ったのだろうか?

「もしやこの先の駅で、駅員らが集団で声掛けにやってくるのか?」とも思ったが、結局それはなかった。

さくら夙川駅で女性客が何人か降り、私達以外には女性客3人だけになった。

毎度のことながら「こんな状態でなぜ専用車が要るの」と言いたくなる。

JR西の女性専用車は表向き「痴漢対策」、実態は「女性集客目的車両」であるといっても良いだろう。

芦屋でややまとまった乗車があり、再び車内の人数が増えたが、それでも空席が目立つ。

芦屋からは2名、男性客が乗車。

昼間のJR西日本の普通列車は大抵ガラガラである。

JR西日本は「ラッシュ時も閑散時も痴漢の発生件数にほとんど変化がなく、平日・休日の偏りも少なかった」などと言って、女性専用車の毎日・完全終日化を実行に移した。

しかし、車内全体の人数を普通に数えられるくらいにガラガラの車内で「ラッシュ時並に痴漢が多発する」と言っても説得力は無い。

灘駅で、先ほど芦屋から乗ってきた男性客は下車したが、代わって孫(?)をつれた連れた年配の男性客が乗車。

14:22三宮到着。
一旦解散後、15時に再び三宮駅近くで待ち合わせ。

それから神戸市営地下鉄の三宮駅へ。

当日の神戸・三宮の街角

神戸市交通局西神山手線・三宮~新長田

地下鉄三宮15:13発の西神中央行列車に乗るためホームで並んでいると、通りがかりの女性客が「ここ女性専用車両・・・女の人のところ」と声をかけてきた。(今回の乗車会で声をかけてきたのは、この女性客のみ)

言っていた口調などからすると、恐らく親切心のつもりだったのだろう。

女性客が私達に声をかけてくる場合、特権意識・縄張り意識的なものから攻撃的に向かってくる場合(これは関東に多い)と、私達が女性専用車両に気付かずに乗っている(または乗車位置に並んでいる)と思って親切心で言って来る場合とがある。

しかしながら、当会が何度も言っているように、女性専用車両は「名前だけ」で、実は性別や年齢・障害の有無に関わらず、誰でも乗れる一般車両なのである。

つまり普通の車両に「女性専用」と書いたステッカーを貼っているだけで、そのステッカー自体には実は何の効力も無いのである。

「小学生以下のお子様や障害をお持ちの方は男性でも乗れます」というような、いかにも「それ以外の男性は乗車できません」と言っているように見える案内をしている鉄道事業者も多いが、これも正確には「小学生以下のお子様や障がい者も含め、年齢・性別に関わらず誰でも乗れる」が本当である。

鉄道会社が本当のことを乗客に知らせず、乗客を半ば騙した状態にしているから、こうして声かけをしてくる乗客が出てくるのだ。

今回の女性客は善意と思われるのでともかく、もし女性客がただ単に「男性が乗車していたから」という理由で、暴言・暴力に及んだ場合、これは女性客の方が侮辱罪・強要罪・そして暴行罪という犯罪を犯したことになってしまう。

現に、当会関東本部では、当会メンバーに暴言を吐いたり、暴力を振るった女性客を過去に何度か警察に突き出している。

(参考)2011年1月 関東本部:京王線 非協力乗車会の報告

神戸市営地下鉄・西神山手線の車両

やがてホームに電車が到着。

かなり空いていたが、すでに女性専用車両に2人の男性客の姿を確認した。

三宮駅からも私達のほか、男性客が乗車。私たちの向かいの座席に座った。

三宮駅を発車。

三宮駅から乗車した乗客で車内は座席がほぼ埋まるくらいの乗車率になった。

両隣の車両には、ちらほら立ち客の姿が見える。

車内に女性専用車両限定と思われる広告を発見。

当会のHP内でも少し取り上げているが、女性専用車両に非女性専用車両とは別枠で女性専用車限定広告を募集し、「ここに女性向けの広告を出すと効果が高いですよ」と非女性専用車両よりもかなり高い広告料をとって収入源にしている鉄道事業者が結構ある。

(参考)専用車調査結果・専用車両限定広告調査(JR埼京線 他)

こういうところからも女性専用車両が痴漢対策というのは単なる建前で、実際は別の理由で設置・存続されているのがわかる。

公共の交通機関において、同じ運賃を取りながら性別で乗車できる車両の数に違いを設けること自体、実は非常におかしいことなのだが、それを「痴漢対策」と称して正当化しているのが現状である。

しかしながらその実態は、「混雑のない昼間や休日まで終日実施」、そして「痴漢対策と言いつつ、実は(美味しい)広告料収入源」なのである。

よく専用車両賛成派が「専用車両をなくしたかったら、差別だの何だのいう前に、痴漢をゼロにして下さい。そうすればなくなりますよ」などと言って来ることがあるが、こういう発言に対しては「女性専用車両が痴漢対策だと、未だに本気で信じているのですか?」と返すのが良いだろう。

先にも述べたが、「痴漢対策」など単なる建前に過ぎないのである。

女性専用車両を推進している政治家・政党は、「女性専用車両導入は私達の実績です」とアピールできるし、鉄道事業者は「女性専用車両限定広告」で金儲けが出来る。

そして、女性専用車両に賛成している女性客の多くは、「臭いオヤジが居なくていい」「空いていて快適」などの、痴漢対策とは異なる理由で賛成しており、さらなる拡大を求める意見が出ることもしばしば。

つまり、各方面の利害関係が見事に一致しているのだ。

これでは女性専用車両が無くなるわけはない。
「痴漢が無くなること」と、「女性専用車両が廃止されること」とは、実は何の関係もないのである。

特にJR西日本などは女性専用車を痴漢対策ではなく、明らかに客寄せの手段として利用している。

だから仮に痴漢がゼロになったとしても、何か他の理由にすり替えて女性専用車を存続させるだろう。

こういうところからも「痴漢対策」という理由が、「単なる理由付け」に過ぎないということがお分かりいただけるかと思う。

神戸市交通局海岸線・新長田から三宮・花時計前

15:24新長田着。海岸線に乗り換え。

海岸線は新長田が終点で、電車は折り返しのため、ここでしばらく停車する。

海岸線の車両

私達が女性専用車両に乗車して発車を待っていると、運転士がホームを歩いて横を通り過ぎていった。

私達の存在には恐らく気づいていたと思われるが、何も言って来ず。

「男性に降車するよう強制してはいけない」という教育がなされているからだろうか?

やがて発車時刻になり、電車が動き出した。車内は空いている。

やはり、「なぜこんな時間帯に女性専用車が要るの?」というレベルの乗車率である。

途中、駒ヶ林駅で男性客1人乗車。

結局、さほど混雑することもなく、終点三宮・花時計前駅に到着。

関西では、関東ほど乗客はうるさくはないと思われるが、実施時間帯が悪質な鉄道事業者・路線が多い。

しかし、関西で私達が乗車会を行っても、特に乗客からほとんど反応がない点など、すでに関西では女性専用車内に男性がいることも、そう珍しいことではなくなっているということかも知れない。

「任意周知」という点では、それで良いのかもしれないが、やはり公共の交通機関に「痴漢対策などただの建前」の女性専用車両が、当たり前のように終日設定されている路線が少なくない関西の現状は異常であり、私達はこれからも反対運動を粘り強く続けていく必要があると考えている。

女性専用車両を廃止しようと思えば、反対派が地道に声を上げていくしかないのである。

そして、「女性専用車両に反対すること=痴漢対策に反対すること」ではないのだ。

これ以上の拡大を防ぐためにも、普段、女性専用車両について疑問に思っておられる方は是非当会まで入会申し込みいただきたい。

心の中で不満に思っていても何も変わらないのだから。

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