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白兎

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鉄道事業者の対応例

鉄道事業者の対応(1)

~女性専用車両で痴漢が減らないと分かれば「女性に安心して乗っていただくため」と導入理由をすり替え、痴漢件数も隠蔽~

上記で述べてきた通り、女性専用車両導入後も多くの路線で痴漢件数に大きな変化はなく、中には増加してしまった路線もあることはお分かりいただけたかと思います。

そして、そのことについて、当時の国土交通省や鉄道事業者が(痴漢件数が逆に増加したのは)「女性専用車両の設置によって、女性が勇気を持って被害を申し出るようになったからではないか?」という、こじつけ的な解釈の仕方をしていたこともお分かりいただけたと思います。

このように、「女性専用車両で痴漢は減らない」ということはほぼ証明されてきたかのような感がありますが、女性専用車両推進勢力や鉄道事業者はこのところ導入理由を「痴漢対策」から「車内における迷惑行為防止」(迷惑行為は男→女とは限らないのですが…)や「女性に安心して乗っていただくため」等、「痴漢対策という言葉を使わない理由」に変化させてきているような感があります。

(あるいは、痴漢対策を理由に出していてもそれ以外の理由と併記することにより「痴漢対策はたくさんある理由のうちのひとつに過ぎない」ということにしようとしていると思われるケースもあります)

また、以前は新聞記事などで各鉄道事業者の女性専用車両導入前後の痴漢発生件数が公表されたりしていましたが「女性専用車両で痴漢件数が減らない」と分かると女性専用車両を導入している鉄道事業者が自社路線での痴漢件数を隠蔽するケースも多々見られるようになりました。

つまり、問い合わせても「痴漢件数の統計は取っていない」と言ってかわすか、または「件数は把握しているが教えられない」「内部情報だ」などと返してくるわけです。

中には個人情報だから公開できないと言って公開を拒否した鉄道事業者もありましたが「痴漢件数」の一体どこが個人情報なのでしょうか。

「痴漢件数の統計は取っていない」という回答については、以前、新聞記事で女性専用車導入・拡大後の具体的な痴漢件数が公表された鉄道事業者の中にもこのような回答をしてきたところがありますのでこれは明らかに「痴漢件数を隠蔽したいがためのウソ」であると分かります。

なぜ、痴漢件数が減らないことがわかっても導入理由をすり替え、導入後の痴漢件数を隠してまで女性専用車両を継続・推進するのでしょうか?

本当に痴漢対策なら件数が減らないと分かった時点で考え直すはずですが…

ここからも「女性専用車両は設置・継続自体が目的で痴漢対策は単なる口実に過ぎない」ということが分かります。

鉄道事業者の対応(2)

~女性専用車両導入アンケートの不可解~

ここまで「痴漢件数が減らないと分かっても導入理由をすり替えたり、痴漢件数を隠蔽してまで女性専用車両を継続・拡大している鉄道事業者の対応のおかしさ」とそこから「痴漢対策というのは表向きの理由に過ぎない」ということを述べてきましたが、鉄道事業者の対応のおかしさはそれだけではありません。

現在ではもう既に女性専用車両が定着したと見なされているためか、女性専用車両が導入・拡大される前にアンケートが取られることはほとんど無いようですが2000年~2003年頃(関東では2005年頃)、まだ女性専用車両が導入され出して間もない頃は鉄道事業者が自社路線での女性専用車両導入前に「女性専用車両の導入に賛成か反対か」などを利用者に問うアンケートが盛んに実施されていました。

しかし、これらのアンケートがまた「おかしい」の一言に尽きる、なんとも不可解な物だったのです。

詳しくは当会のRed Bearが こちら で述べているのでそちらも参照いただきたいのですが、具体的には日本全国の鉄道事業者で以下のような対応がありました。

  • アンケートを取って「反対多数」の結果が出ると何か理由を付けて「このアンケートは不適当」ということにして、再度アンケートを取り直し「再度アンケートを取り直した結果、今度は賛成多数の結果が出ましたので女性専用車両を正式導入します」と言って本当に女性専用車両の正式導入を決定。
  • 女性専用車両の利用客に重点的にアンケート用紙を配るなど、最初から「賛成多数」の結果を出そうとしていると思われるようなアンケートの取り方をして「アンケートの結果、大多数のお客様が女性専用車両の導入・拡大に賛成しました」と発表し、女性専用車両の正式導入を決定。
  • アンケートの結果が反対多数でも「(アンケートの結果以外の要素も含めた)総合的判断により導入・拡大を決定しました」と言って反対多数のアンケートの結果に関わらず、女性専用車両の正式導入を決定。

利用者の賛否を聞いて女性専用車両を正式導入するかどうか決めるためのアンケートなら反対多数の結果が出た時点で正式導入は取りやめにするのが普通でしょう。

ところが、実際にはこのようなおかしな対応をとってまで鉄道事業者が女性専用車両の正式導入・拡大を強引に決めたことなどから、これはアンケートの結果以前に「最初から」女性専用車両の正式導入(または拡大)が決まっていたとしか思えません。

つまり、女性専用車両の正式導入・拡大を行うかどうか決めるためのアンケートではなく、最初から「賛成多数」の結果を出して「きちんと利用者の意見を聞いた上での導入・拡大なのだから、やり方としても間違っていない」と世間に思い込ませるためのアンケートだったのではないか(いわゆる”出来レース”だったのではないか)と思われます。

こういうところからも、女性専用車の導入にあたって鉄道事業者に政治的な圧力がかかっていたこと、そして「痴漢対策」と言いつつ、実は痴漢対策などではなく、導入そのものが目的であったことがお分かりいただけるかと思います。

しかしながら、女性専用車両も導入され始めてからかなり年数が経過し、導入当初の頃のこうした経緯は世間から忘れ去られようとしています。

そして、そうした経緯のあったことを知らない者が反対派に対し「反対する前になぜこんな車両を導入せざるを得なくなったのか考えろ。痴漢を撲滅するのが先だろう」などと言ってくるわけです。

反対派の皆様(とくに現在10代・20代の若い方々)には過去のこうした経緯もよく調べ、知識として知っておいていただきたいと思います。