女性専用車両に痴漢冤罪防止効果はない
「女性専用車両の設置=男女分乗」ではない
よく、「女性専用車両は痴漢防止になるだけでなく、男性の痴漢冤罪防止にも効果があるのだから男女双方にとって良い。だからどんどん拡大するべき」などということを言う人がいます。
ではお聞きしますが…
「女性専用車両で痴漢冤罪が何件減ったのか、何%減ったのか、具体的な数字を挙げられますか?」
この質問にはっきりと答えられる人はまずいないと思います。
なぜなら、女性専用車両導入によって痴漢冤罪が何件減ったとかいうデータ(根拠)など全く存在しませんから
つまり、「女性専用車が痴漢冤罪対策になる」と言っている人は何の根拠もなくそのように信じ込んでいるということになります。
そこにあるのは「女性専用車両が設置されれば多くの女性がそちらに行き、男女の乗り分けが出来て痴漢も痴漢冤罪も減る」という「根拠のない思い込み」です。(実際には女性専用車両があっても利用しない女性客が非常に多い)
少し戻りますが、先の女性専用車両導入前後の痴漢件数比較を思い出してください。
2008年6月6日の朝日新聞に載ったJR中央線の例で考えてみましょう。
JR中央線では2005年に女性専用車両を導入しましたが、その前年に188件だった痴漢件数が女性専用車導入後の2005年には217件に増加しています。
つまり、年間30件近くも逆に増加してしまったわけです。
しかも、女性専用車両ができて、痴漢の発生する可能性のある車両が一両減っているにも関わらず、全体の痴漢件数が増えているわけですから女性専用車両以外の車両1両あたりの痴漢発生率は大きく上昇しているということになります。
これらのことから、女性専用車両以外の車両では以前にも増して痴漢や痴漢えん罪が発生しやすくなっていると見ることが出来ます。
女性客が女性専用車両へシフトしていない上に女性専用車両の設置により女性専用車両以外の車両の混雑が増していることも原因として考えられます。
そんな状況でなぜ「女性専用車両は痴漢冤罪防止に役立つ」と言えるのでしょうか?
実際、女性専用車両設置後も痴漢冤罪事件は起き続けています。
女性専用車両では痴漢も痴漢冤罪もなくならないのです。
男性の方で「女性専用車両のおかげで自分(男性)も冤罪から救われている。ありがたい」などと言っている(思っている)人は「実は、嬉しく騙されているだけ」であるということに早く気づいていただきたいものです。
女性専用車両は任意の協力であることについて
「任意協力」なのは憲法14条に違反しないようにするため
女性専用車両に反対する人の中には「女性専用車両は憲法14条違反ではないか?」とのご意見を持っておられる方も多いようですが、どうやら制度として男性が乗車することを禁止(強制)しない限りは憲法14条には触れないようです。
また、鉄道事業者も「女性専用車両は強制なのか?」という質問に対し、当初(2002~05年頃)は質問に答えなかったり、回答してきても「この回答は他には漏らさないように」と、厳重に口止めしたりしていましたが、この頃ではすぐに「女性専用車両は任意協力であり、強制ではない(法的強制力はない)」という回答をしてくる鉄道事業者が多くなりました。
しかし、実際には「任意協力」と言っておきながら女性専用車両にただおとなしく乗っているだけの男性乗客を駅員や警備員が強制的に排除するケースが後を絶ちません。
つまり、「強制ではない」といいながら実際には「任意協力である」ということを利用客にはほとんど公表せず、強制であるかのように思わせて、なおかつ女性専用車両に乗る男性には出て行くように言ったり、場合によっては強制排除する一方、裁判などで憲法14条違反について問われれば「強制ではないので法律上問題ありません」と言い逃れをするという、実に汚いやり方のように思われます。
「任意協力」と分かると「マナー違反」と言い出す賛成派
最近ではネットなどの情報から「女性専用車両が実は任意協力に過ぎない」ということが広く世間にも知れ渡り始めていますが、それでも何とかして男性を乗せたくない一部の専用車両賛成派からは「任意だからと言って男性が女性専用車両に乗るのはマナー違反」とか「法律で決められてないからと言って何をやってもいいのか」という声が聞こえてくるようになりました。
「法律で禁止されていないから男性が女性専用車両に乗っていいと言うのなら車内で携帯電話を使って大声で会話したり、座席に横になって寝たりするのも法律で禁止されていないからやっていいことになります。公共のマナーぐらいきっちり守りましょう」 などと言ってくるのですが、この意見には1つとんでもない間違いが含まれています。どこが間違っているか分かりますか?
答えは「車内での携帯電話の会話や座席で寝そべったりすること」等の自分の選択の行動であることと自分の選択の行動ではない「属性による乗車制限」を同列に扱っていることです。
車内で寝そべったり、携帯で大声で通話するような行為は本人の意思でそれをやめることは出来ますし、やめないのなら「迷惑行為・マナー違反」と言われても仕方ありませんが「性別」という、本人の意思ではどうすることも出来ない、生まれ持った属性(生来属性という)を理由に公共の場から男性を排除するのならこれは「人種」という生まれ持った属性を理由に黒人を排除したアパルトヘイトと同じことになってしまいます。
女性専用車両が「専用」と名乗りながら実際には「任意協力」になっているのも任意協力にしておかないとアパルトヘイトと同様の「公共の場における、属性を理由にした差別」になって、憲法14条に抵触してしまうからです。
「女性専用車両に男性が乗らないのがマナー」などと言うのは「白人専用車両に黒人が乗らないのがマナー」などと言っているようなものです。
そして、言うまでもありませんが ❝法律 > マナー❞ です。