カテゴリー
活動履歴

2024年5月 神戸市交通局訪問の報告

去る2024年2月17日、当会の会員が個人的に神戸市営地下鉄の女性専用車両に非協力(任意確認)確認乗車をしていたところ、女性客から暴行を受けるという事件がありました。

そのこともあり後日、当会の代表を含む会員3名で神戸市交通局を訪問し、様々な質問や申し入れ等を行いました。


神戸市交通局に申し入れ

訪問した理由

2024年5月21日、当会メンバー3名が神戸市交通局を訪問した。

当会の福山代表と関西本部の会員A、そして名古屋の会員Bである。

今年2月に当会の会員が個人的に神戸市営地下鉄で非協力乗車していたところ、女性客に髪を掴まれた上に頭などを数回叩かれるという事件があったが、会員Aはその時の被害者である。

また、会員Bは主に名古屋で活動しており、過去に他の名古屋メンバーと共に何度か名古屋市交通局を訪問した経験もある。

今回の神戸市営地下鉄で会員Aが暴行された件については『女性専用車両』という事実とは異なる表示(女性専用車両と表示されていても、男性の任意協力で強制力がないため、実は「女性専用」とは言えない)が引き起こした事件であるとして、当会内での「神戸市交通局に訪問して申し入れる必要がある」という意見に会員Bが呼応して今回の交通局訪問に名古屋から参加することとなった。

神戸市交通局のある和田岬駅まで移動

福山代表と会員A・BはJR神戸駅付近の地下街で待ち合わせて近くの喫茶店で軽く打ち合わせを行った。そして打ち合わせ終了後に地下鉄海岸線ハーバーランド駅に向かった。

JR神戸駅と地下鉄ハーバーランド駅は名前こそ違うもののほぼ同じ場所にある。

神戸市交通局の最寄り駅はハーバーランド駅から地下鉄海岸線で少し行った先の和田岬駅である。

そこで今回も地下鉄1日乗車券を購入し和田岬駅まで移動ついでに非協力乗車。

ハーバーランド駅から乗った列車は乗客がわずかに乗っているのみで、声かけ等は全くなく無事に和田岬駅に到着した。

今日は交通局訪問の後に他のメンバーと合流して神戸市営地下鉄での乗車会を予定しているので、購入した1日乗車券は交通局訪問後もまた使うことになる。

和田岬駅で地上に出て数分ほど歩くと神戸市交通局の入っている建物が見えてきた。

神戸市交通局の入っている建物
建物内に掲示されているインフォメーション。交通局が3・4階に入っているのが分かる

建物内に入り1階のロビーらしき場所でしばらく待っていると交通局の職員の方が来られたので、その場で挨拶を交わし、建物内の会議室らしい部屋へと案内された。

交通局の担当者と対談

室内に入ったところで改めて挨拶して名刺を交換した。

当会からは先述の通り3名だが、交通局側も3名(神戸市交通局高速鉄道部運輸担当のT氏と他2名)で対応していただくこととなった。

以下、交通局とのやりとりであるが、全体で1時間近くやりとりしたので、すべて掲載するとあまりにも長くなってしまうため、話が脱線したと思われる部分や、似たような内容が重複した部分などはカットしている。

福山代表
福山代表

本日は私どものためにお時間を取っていただきましてありがとうございます。

以前から女性専用車両については神戸市さんに限らず、いろいろと思うことがあったのですが、今年の2月に当会のメンバーの1人が女性客から暴行を受けるという事件がございまして、そのことからいろいろと質問並びに要望をさせていただきたいと思い、本日訪問させていただきました。よろしくお願いいたします。

交通局T氏
交通局T氏

え~と、事前にこちらの方に意見書をいただいております(※1)ので、内容を確認させていただきたいんですけど、まず最初に…

※1.交通局訪問に先立ち、当会からメールで意見書を交通局に送信していた。

交通局T氏
交通局T氏

ご意見としていただいていますのが5点。

1点目が女性専用車両の利用基準を緩和して、従来の小学生以下の男児、障害者と介護者の男性だけでなく、高齢者男性とか子供連れの男性の方、その他配慮の必要な方、LGBTの方にもご利用いただけるようにするというのがひとつ。

2点目なんですけども、女性専用車両は任意協力に基づき運行していることを目立つ方法で駅ホームや車内などに表示してほしい。その上で「男性が乗車されることがありますけどご理解ください」そして「女性専用車両に乗車されている男性にお客様から降車や移動を促す声かけ等をなさらないでください」という表記とか案内放送を行ってください。

3点目ですけど女性専用という名前があらゆる誤解やトラブルを招く要因になるため、今後まず一般車両の優先席のような強制力を持たない車両であることを乗客が認識できるようにしてほしい。

4点目ですけど統計的根拠から乗客が男性全体を、属性(性別)により推定犯罪者であるかのように仮定し、女性専用車の車両を設けるということは人権侵害に当たり、憲法に定められた男女平等の理念から大きく逸脱し、現代社会が推進しているジェンダー平等の理念と逆行するものであるということを認識してください。そして女性専用車両は将来的に廃止してください。

5点目にいただいてますのが、犯罪に遭うのは女性のみではありません、加害者は男性のみではありません。あくまでも総合的な安全性を重視した犯罪対策をしてください。具体的には①すべての地下鉄車両に防犯カメラを設置してください。②警察官や警備員を積極的に配置し混雑時等に車内警乗を常に行ってください。③男女問わず犯罪に遭遇した人が被害を申告し相談しやすいような環境を推進してください。

福山代表
福山代表

はいそうですね。

交通局T氏
交通局T氏

以上5点いただいております。

あの~、交通局としましてですね。まず全体的な考え方を含めてお示ししたいと思います。

福山代表
福山代表

はい。

交通局T氏
交通局T氏

基本的な考え方なんですけども、我々鉄道事業者でございますのでお客様が駅や車内で安心して安全にご乗車いただくというのが鉄道会社として課せられた責任であると考えております。

その中で、ご存じかと思いますけども2000年代に特に車内における迷惑行為・痴漢問題が社会問題として大きく取り上げられてきました。深刻な犯罪であり直接的に防いでいく必要があると言うことが認識されてきました(※2)

※2.当時から女性専用車両の推進に公明党が深く関わっており、純粋に「迷惑行為・痴漢問題が社会問題化したから女性専用車両ができた」

とは言えない部分があることに注意が必要である。

交通局T氏
交通局T氏

そうした背景で女性が安心して乗車できることを目的として各鉄道同会社が女性専用車を導入したと言うことでですね、交通局においても様々なまあ、実はアンケート(※3)も当時採らせていただきましたし、検討を経て2002年12月に防犯対策(※4)として終日女性専用車両を導入していったところです。

※3.当時は女性専用車両を導入した多くの鉄道事業者が軒並み「女性専用車両の利用者に重点的にアンケート用紙を配る」「反対多数の結果が出たらアンケートを取り直す」など

「最初から賛成多数の結果を出すためのアンケート」を採っていた。詳細1)(詳細2詳細3)(詳細4

※4.導入当初から「土休日も含めて始発から終発まで毎日、全列車に完全終日実施」であり、

「混雑のない時間帯にも女性専用車両を実施」していたことから当時、「痴漢対策」という導入理由を疑う声もネット上には少なからず見られた。

先ほどの女性専用車両の導入促進に公明党が深く関わっていたことと併せて考えれば、防犯対策(痴漢対策)という理由が本当かどうか、非常に怪しいものであることが分かる。

交通局T氏
交通局T氏

現在においても同様の考えで女性専用車両を運用しておりますけども、社会情勢というのはいろいろ変化してきているというのは我々は当然承知しております。多種多様なニーズは承知しており、近年では女性専用車両に乗車しておられる男性の乗客の方に対して、声掛けとか無理な移動や降車はお願いしていないのが現状でございます。

我々として今後の考え方も含めて話をさせていただきますけども近年、女性専用車両に対して多種多様なご意見があるというのは重々理解しております。ご指摘をいただきましたような女性専用車両の利用基準の緩和ですとか、掲出方法の見直しを求める意見等存在するというのもございますし、あの~、一方で厳格な運用をしてほしいという声も実はいただいているのが現状でございます。

こういった相反する意見が当然あるんですけども、その中で現在は運行基準を見直すということはやっていないという現状でございます。

しかしですね、我々としてもご指摘があるように安全性を重視をした犯罪対策というのは当然必要であると考えております。当初お話ししたとおり、我々その安全を鉄道事業者として守っていかなければなりませんので、その中で車内に非常通報装置を設置したり、駅構内の防犯カメラ、こちらの方も拡充をしていっています。

車内や駅構内の巡回強化とか、これ特に言われていますが受験日の時に受験生が痴漢被害に遭ったとき逃げられないで泣き寝入りしているということで、特にその場合は警戒したりとか、特に多客時にですね、いろいろなお客様が乗られる時も鉄道警察隊と(対策を)検討しているところでございます。

社会情勢とか他社局の動向を見ながら女性専用車両のあり方というのは、研究していかなければならないと認識しておりまして、引き続き鉄道施設内では防犯対策と事故対策を進めていきたいというのが我々の考え方でございます。

福山代表
福山代表

はい。

交通局T氏
交通局T氏

大まかにですね、全般的な形としてお話をさせていただきましたけども、ご指摘をいただいている事項というのは我々も承知しておりまして、当初2000年の時(2002年の導入時の意味か)は女性対象という形で女性専用車両ということで犯罪防止ということになってきておりますけども、今はご指摘のあるようにLGBTの話だとか、男性旅客に対してのことであるとか、いろいろある中でどのように変えていくべきかというのも実は我々も試行錯誤しているというのが現状でございます。

福山代表
福山代表

防犯対策に関しましては、もちろん私共も反対する者では決してございません。痴漢も卑劣な犯罪であると言うことは認識しておりますし、それについては大々的に対策はしていただきたいと思っているんですが、今までたくさんの意見が交通局さんにも行っていると思いますので、皆様もご存じかと思うのですが、女性専用車両というのはそもそも差別という問題を孕んでいるわけですよね。

なぜ女性専用車両と名乗りながら強制になっていないか、やはり強制すると憲法上もまずいし差別になるというのがあるから出来ないのだと思うのですが、そういうものをいつまでも続けるのはどうかと思います。ましてや神戸市さんは公営の事業者じゃないですか、そして公共交通機関じゃないですか。

同じ運賃を払った乗客に対して、乗れる車両を(事実上)制限したり、乗れる車両の数が違ったりというのはまずいと思うので、防犯対策自体は先ほども申し上げた通り否定しませんが、女性専用車両というやり方に関しましては私共、非常に疑問を感じているところでございまして、これについては再考をお願いしたいと、そう思っております。

会員B
会員B

先ほど代表からもありました通り、犯罪対策自体に反対しているのではなくて安全輸送、旅客の安心というのは鉄道事業者として必要なことだと思いますけども、ただ目的は正しいんですがそれを達成するための手段が誤っているのではないかということで、差別ということが出ましたけど、私達はそういうことについて議論をしているわけなんですね。

安心安全は大事なんですけど、やはりそのためにそれよりも人権とか多様性社会とか、そちらの方をまず重視した上で、その枠組みの中でできる対策をしていって欲しいというのが私達の主張です。安心安全というのはもちろん大切ですが、だからといって差別を正当化しても良いのかという話になりますのでまずやはりそういう倫理的な部分も重視してほしいと思います。

女性専用車両は差別ではないと言う人もいるのですが、女性専用車両には「統計的差別」という問題もあります。「差別を意図しているわけではないけれども、理論的な統計値とかから物事を判断した結果、差別になってしまうこともありますよ」と。

例えばかつてのアパルトヘイトの黒人差別で、黒人と白人が公共の場所で分けられたりとか、白人専用の場所が作られたりとか、その理由は「黒人は犯罪率が高くて危険だから」ということで当時はそれが支持されていたんですけど、現在は差別ということで認識されていると思います。

あるいは昔、女性は結婚退職する可能性が高いからと男性の採用を優先したりとか、近年ではコロナ医療従事者やその家族に対する差別… こういうのを統計的差別というのですが、統計的差別という言葉はあまり広く知られていないかも知れません。

つまり、先ほど申し上げました「統計的差別」ですよと。人種差別だということで

全ての訴えが認められたわけではないですが、男性に対する賠償を命じる判決が出されたという、こういう事件というか問題があったということです。

…小樽温泉の入浴拒否問題ってご存知ですか。

交通局T氏
交通局T氏

ごめんなさい。それは知らなかったです。

会員B
会員B

これはどういうことがあったかと言いますと、北海道の小樽の入浴施設である時期から外国人客の入浴を拒否して日本人専用として運用していたということがあって、2001年にアメリカ人男性が人種差別・人格権の侵害だということで訴えたということがありました。

で、なぜ日本人専用としていたかというと

交通局T氏
交通局T氏

訴えられて結果、どないなったんですか?

会員B
会員B

それを今から話しますけど。

交通局T氏
交通局T氏

ああ、ごめんなさい。(結果が)気になって…

会員B
会員B

これは結果としてですね…いや、まず主張ですよね。施設側の主張。

小樽港に入港する船の外国人船員が酒に酔って入浴客に迷惑をかけたり、物品の盗難とか女性従業員にイタズラをするとか、問題行為が頻発していて、施設が経営難に陥る可能性があるということで、必要な措置を取ったと… 

外国人が来なくなればこういったことが少なくなるだろうという判断だったと思うんですけども、結果はどうだったかというと(原告のアメリカ人男性の)訴えの一部が認められました。つまり、先ほど申し上げました「統計的差別」ですよと。人種差別だということで…

全ての訴えが認められたわけではないですが、男性に対する賠償を命じる判決が出されたという、こういう事件というか問題があったということです。

交通局T氏
交通局T氏

施設側が敗訴したと

会員B
会員B

はい。小樽市の方にも訴えていたんですけど、小樽市側への責任追及については認められなかったと…

交通局T氏
交通局T氏

施設側だけが敗訴したと…

会員B
会員B

そういうことですね。

私達は女性専用車両の問題を提起する時に今の問題についても挙げさせていただいているんですけども、そういうことから見ても女性専用車両が差別ではないというほうがかなり苦しいのではないかなというように思いますね。

交通局T氏
交通局T氏

私も交通局にずっと長いことおりまして、確かに痴漢被害を防ぐということで女性専用車両を導入したというのもあるんですけども今、触ったとき、その瞬間を見ればそれがベストだという考え方で当然のことながら国交省ですとか各鉄道事業者をそういう形で犯罪防止でスタートしたというのが多分女性専用車両というやり方になるのかなと思っています。

で私、その当初のアンケートを存じ上げておりますけど、2000年代ですので、女性の立場がまだ弱い時代でしたので(※5)、女性の方々を守るということで女性専用車両が理解を得られていた(※6)という認識はあるんですけども、時代も変わってきまして、20年経ちましてその中で多様性の定義が問題ってのはいただいていますので、その中で我々としても考えていく必要はあるかなと思っています。

※5.これは個々人各々によって見方・考え方が変わってくる部分であるが、交通局T氏は2000年代は今よりまだ女性の立場が弱かったと見ているということである。

※6.先ほどの(※3)と同じ。当時のアンケートは疑ってかかる必要がある。

ただ、当時は(反対派も含め)ほとんどの人が「女性専用車両=痴漢対策」を疑っていなかっただろうと思われることから、今よりも女性専用車両が世間で”理解”を得られていたというのはある意味、当たっているかも知れない。

交通局T氏
交通局T氏

今日、皆さんに来ていただいてますので、逆にいろいろ意見交換もさせていただきたいんですけども、全国の鉄道事業者で女性の痴漢被害対策ということで女性専用車両が導入されていると、導入当初は多分世論としてそうなっていた(痴漢対策と認識されていた)と思うんですけども、今はLGBTの問題でありますとか、いろいろ出てきて世論が動いていくというというのが、我々には…申し訳ないけど後押しになりますけれども、そのあたりこの活動をされていて今、どんな状況なのか教えていただいても良いですか。各社さんの状況も踏まえて…

会員A
会員A

京では以前、終日導入していたところもありますけど今、東京とか首都圏の鉄道は朝と夕方だけで、終日というのは無くなってますね(※7)

関西の阪急電鉄も一昨年(の12月)に終日運行が無くなりましたね。

※7.首都圏では以前、東急東横線が平日に女性専用車両を終日運行していたが菊名問題(菊名駅に一か所しかない階段の目の前に女性専用車両が終日停まる)などで非難の声が相次いだことや、後に渋谷から東京メトロ副都心線などに相互乗り入れするようになった関係から現在(2024年)は平日の朝ラッシュ時のみの運行となっている。

また、首都圏の鉄道路線で朝夕(夜)女性専用車漁があるのは京王・TX(つくばエクスプレス)・JR埼京線のみで、それ以外は平日朝のみの運行(2024年現在)である。

会員A
会員A

共の活動として「痴漢はあってはいけない」ということでやっております。しかし一方で男性であるだけで乗れない、乗りにくい車両があってもいけない。そういうところで活動しておりますが、僕も今年の2月17日に地下鉄で三宮まで行く時に車内で女性のお客さんに「女性専用車両」だと言われて(移動を)拒否したらいきなり殴って来られたということがありまして。

結局警察に通報して警察署まで行って、その時は女性客が泣いて謝っているからということで「今回だけ」という形で不問にしたんですけど、女性専用車両は本来「任意協力で男性も乗れるから差別ではない」ということに裁判でもなっていますが、こういう「女性専用車両」という、女性しか乗れないと勘違いをさせるような名前のせいで暴行事件が起こって、女性のほうが加害者になってしまうというのもどうなのかなと。

やはりそういうところ、公務員として責任をどう感じておられるのかな、というのはあるんですけど

交通局T氏
交通局T氏

確かにまあ、その私個人の意見としてお話しさせていただきたいんですけど、やっぱり専用という言葉で勘違いされるお客様がいらっしゃると。ただ、方やそういう形(専用として)で多分導入してきているんで、なんか方向性がみんな一緒になってしまってこういう風な状況になっているんで、全体的にそういう風な(任意協力という)話に持って行かなければしんどいかなと思っています。

それでまあ、今回の事案については確かにご意見を伺う女性のお客様(加害者の女性ではなく、交通局に意見してくる女性)からは、女性専用だからっていう勘違いをされているお客様もいらっしゃいますんで、今回あの、他社さんとかもホームでそういう風なことに対して、男性のご協力っていうことを掲出されているところもございましたんで、そのあたり表に出していくというか、ホームページでもこういう風な形で、(男性客に)協力していただいてるんやでっていうのは出さなあかんかなっていうのは思っています。今のところ(神戸市)交通局では出していませんので、それはちょっと考えなあかんかなと。

会員A
会員A

そうですね。お願いします。

会員B
会員B

そういう形でされていないので、まあ要するに(乗れるのは)子供の方と介護者の方、介護される方だけですよって感じになっているので、ここのところを変えてほしいなというのはあります。特に今回は実際に本人(会員A)が暴行を受けたということなんで、女性の方(暴行事件の加害者)は女性しか乗れないと思ってそういう行為に及んでしまったっていうことがあるので、「乗る男性もいるんだな」と分かる形で表示があれば、それも小さい表示ではなく、目立つようにきちんと周知していただいて、男性が乗っていることもありますよというのを、是非ここのところはお願いしたいですし、やはり私達もここは譲れないところなんですよね。

障害者の方とかは色々障害者差別というのもあるので、乗車OKにしていると思うんですけど、高齢男性とか今、神戸市は子育て支援やっているのに、では子供連れの男性はどうなのかとか、そういう疑問もありますし、性的少数者の問題もあるのでここは是非変えてほしいなというのはありますね。

このような感じで約1時間にわたって交通局の担当者と意見を交わした。

そして最後は会員Aに対し「先日は申し訳ございませんでした」と交通局側から直接謝罪があった。

私達からは「私どものためにお時間を取っていただきありがとうございました」と礼を述べ、交通局を後にした。

交通局訪問を終えて

交通局訪問を終えて、まず名古屋の会員Bが「今まで訪問したところの中では一番まともに話を聞いてくれたと思う」と感想を述べた。

(しかしその後、6月と8月にも神戸市営地下鉄で「女性専用車両は任意協力」だと知らされていないが故に発生したと思われるトラブルが相次ぎ、神戸市交通局側が当会の申し入れをきちんと現場に伝えていなかったことが判明した。これについては今後も粘り強く抗議活動をしていくしかないだろう)

神戸市交通局の入る御崎ビル前で

この後は再び地下鉄和田岬駅に集合して神戸市営地下鉄で非協力乗車を行うことにしている。

こちらの模様は別記事にて掲載する。

カテゴリー
活動履歴

2023年9月 相模鉄道(相鉄)本社訪問の報告

当会では2023年9月4日に横浜にある相模鉄道(相鉄)の本社を訪問し、意見書を手渡すと共に当会役員が相鉄の担当者に対して女性専用車両に対する抗議をしました。


相模鉄道(相鉄)について

今回の相模鉄道(相鉄)訪問には当会の役員の代表・副代表・関東本部長も含めた6名の会員が参加。相鉄線、東急線やJR、横浜市営地下鉄なども乗り入れる横浜駅から相鉄の本社に向かった。

相鉄本社までは横浜駅からだと徒歩で約10分ほどの距離である。

当日の横浜駅前。小雨が降っていた

相鉄と言えば今年(2023年)の3月に東急東横線やその先の路線に直通する「相鉄新横浜線」を開業したことから、首都圏の人でなくともその名前を聞いたことのある人は多いのではないだろうか。

もともと神奈川県内にしか路線がなく、東京都内への乗り入れはなかったが、その後JRの路線に直通して新宿やその先も埼京線で埼玉県内にまで直通運転するようになり、そして今年の春からは相鉄新横浜線を介して東急線やその先の東急線が直通する東京メトロ線・都営線などにも乗り入れるようになった。

相鉄新横浜線は相鉄線の西谷から分岐してきた列車が直通することや、直通先の東急にも女性専用車があることから、相鉄新横浜線でも開業と同時に女性専用車が設定されたが、直通先の東急は「女性専用車の前に係員を置いたり声掛けをしたりはしない」としていた一方、相鉄は「開業からしばらくは係員を置いて女性専用車に男性(と思われる)乗客が乗車しようとした場合には声掛けする」というように、開業時の対応が異なっていた。

今回はその声掛けについてのことや相鉄線内での複雑な女性専用車の運用(列車の行先によって女性専用車の位置が先頭車両だったり最後尾車両だったりする)についても「なぜそこまでして設定するのか?」と、質問もしくは抗議することを考えていた。

相鉄本社へ

さて前置きが少々長くなったが、私達は横浜駅前からしばらく歩いて相鉄の本社に到着した。

相鉄本社ビル

早速中に入り受付を済ませると、相鉄の社員3名が出てきて、まずは私達とあいさつを交わした。

そして、会議室のようなところに案内していただくことになったのだが、あまり広い部屋ではないため、入れる人数に制限があるらしい。

そこでその場にいた会員のうち、当会役員の福山代表と田中副代表、川上関東本部長の3名が入ることになり、他のメンバーはロビーで待ってもらうことにした。

案内された部屋は確かにちょうど6人(相鉄側3名+当会3名)で一杯になるくらいの大きさの部屋だった。

事前にアポを取っていたわけだが、具体的な訪問人数を伝えていなかったこともあって、そもそも相鉄側も「3人くらいだろう」と想定して、そのサイズの部屋を確保していたものと想像する。

改めてあいさつを交わした後、私達はテーブルを挟んで3対3で話をすることになった。

まず、当会が作成した「意見書」を相鉄側の担当者に手渡し、話し合いがスタートした。

ここから先は対談形式で記載する。

相鉄と当会との対話

福山代表(以下、福山):それでは始めさせていただいてよろしいでしょうか?

相鉄担当者A(以下、担当者A):はい

福山:すみません。私共「女性専用車両に反対する会」と申します。代表の福山と申します。

本日はお忙しい中、私共のためにお時間を取って頂きまして誠にありがとうございます。

よろしくお願いいたします。

田中副代表(以下、田中):私、副代表をしております、田中と申します。どうぞよろしくお願いします。

川上関東本部長(以下、川上):関東本部長をしております川上と申します。よろしくお願いします。

担当者A:お願いいたします。ちょっと私もすみません。

私、相模鉄道で経営統括部でCS(顧客満足)の担当をしております、〇〇と申します。よろしくお願いします。

福山:よろしくお願いします。

担当者A:本日、私の他にCSの担当から…

担当者B:はい、同じくCSの担当をしております、◇◇と申します。

担当者C:私、相鉄グループの業務受託をしています、お客様センターのセンター長の△△と申します。

福山:よろしくお願いします。

田中:よろしくお願いします。お客様センターに電話した時につながるのはどっちの方ですか?

担当者C:我々のほうです。

担当者A:なので本日、鉄道の問題のほうとお客様センターのほうでお話を伺わせていただきますので、よろしくお願いいたします。

福山:よろしくお願いいたします。

相鉄の声掛けについて

福山:ではさっそく読ませていただきます。

当、女性専用車反対する会では主に以下の観点から貴社を含む鉄道事業者(公営含む)において導入されている女性専用車両に反対する活動を行っております。本来公共交通機関の原則として…

(以下、意見書の内容通りなので中略)

―直通先のJR東日本や東急電鉄をはじめ、東京メトロや都営地下鉄、東武鉄道などでは、昨今は男性客が女性専用車に乗っている場合でも個別に声掛けは行わないと回答しており、実際に当会男性会員が上記鉄道会社の女性専用車に乗っても声掛けされません。

福山:―という事なんですけども、相鉄さんでは現在声掛けはされているのでしょうか?

担当者A:現在はしておりません。

田中:私の知っている中で、直近では直通運転を開始した時、今年の3月ですね。駅員ではなくスーツを着た方から、名前はちょっと忘れましたけれども、しつこく声掛けされました。

今の回答だと、この3月から8月までの5か月間で変わったということですか?

担当者A:そうですね。新横浜線開業時にですね、女性専用車の運用を変更させて頂いておりまして、直通運転を開始したという事で、かなりお客様にも複雑な運用になっております。ですので開業から1カ月程度の間、女性専用車だけでなくいろいろお客様にご案内しなければいけないことがあるかと考えておりまして、駅係員以外にも、ちょっきん(?)の者であったり警備の者を駅に配置させて頂いております。

担当者A:その1か月時より先については、ちょっきん(?)の者も警備の者も配置していないですし、直接のお声掛けも行っていないという状況でございます。

田中:駅員とか乗務員とかが(男性の乗車を)見かけても、声掛けは一切しないということになっていると…

担当者A:今現在、お声掛けをしないという事で…はい。

ただ、ちょっと場合によってはそれぞれケースバイケースあるかと思いますので、あまりにも何かお客様同士のトラブルになってしまったとか…

当社線内列車とJR線直通については(女性専用車を)最後尾車両で運用しておりますので、ちょうど車掌の前に当たるんですね。ですので女性専用車問わずなんですけども、何か危険なことを見つけた場合は声掛けをさせていただくことはございます。

これは朝の時間帯に限らず、昼間や夕方夜間のラッシュ時間帯もそうかと思います。

田中:まあ、それは当然ですね。ただいろいろな事情を抱えた男性たちが居る中で、イヤホンしながら乗る人とか、スマホしながら乗っている人とか、我々のように女性専用車を気にせず乗っている人とかが居ても近づいて声掛けしないというのであれば、ほかの会社と同じなんだなというようには思いますね。

担当者A:車両全体へのお声掛けということで、現在は駅の方でも車掌の方でもしているという事で…

田中:はい

福山:はい。では次いいですか?

相鉄の女性専用車の複雑な運用について

福山:貴社の女性専用車の設定は他社との直通の関係だと思うのですが、かなり複雑で利用者には混乱の原因になっていると思います。今、他社では防犯カメラの設置などが進んでいますが、女性専用車しか対策がないというわけでもないのに、なぜ防犯カメラなどを強化するのではなく、このような複雑な運用にしてまで女性専用車をやるのでしょうか?

担当者A:お答えになるかどうかわからないのですが、本日、お話をご意見・ご要望としてお伺いするという形でございますので、当社には女性専用車の担当がいるというわけではないので、お話をうかがわせていただくということで、本日お話しできるところといたしましては、複雑な運用になっているためにご迷惑をおかけしている部分があるのであれば、申し訳ないと考えております。

担当者A:防犯カメラと言う方法につきましても、まったく選択をしないと言うわけではなくて、少しづつ配備をしているところでございます。が、すべてが一斉にできていないところはございまして、なので、女性専用車と言う手段だけに頼っているわけではないんですけども、すぐに違う方法を一斉にとる事も出来ずに今の状態になっております。

回答ではないかもしれませんけども…

田中:そこはちょっと疑問があって、今のお話ですとJR東日本とか東京メトロとかオリンピックの話が出たときに2020年までに100%(防犯カメラ導入を)やりますと。

相鉄さんもJR東日本と直通する12000系に限っては初期から全部防犯カメラ導入したと、JR東日本側の直通する条件とか分かりませんけども東京メトロも100%になっていると。相鉄さんは3割ほどだったと認識しているんですけど…データ上では。

相鉄さんはどちらかと低めの方だったと思います。ちょっと気になるんですけども、それは資金力の問題になってくるんでしょうか?

担当者A:ちょっと本日はその、回答出来かねるところはあると思うんですけども、おそらくご想像されているとおりではないかと思います。

田中:相鉄さんも大手私鉄ですよね、黒字経営の…

担当者A:グループとして…

田中:はい。なので(設備)投資は十分できる余力はあるのではないかと思いますけどね。

女性専用車を設けても「痴漢が移動」するだけ

福山:女性専用車だと痴漢する人間は他の車両でやるわけですね。なので結局全体としては痴漢は何も困らない。女性専用車があっても他の車両でやればいいだけですから。結局、痴漢の撲滅も出来ないし、悪いことをする奴(痴漢)は今まで通りと…。しかも、特に朝ラッシュ時などには男性乗客に負担をかける。

車内防犯カメラを設置する、そして警備を増やすというようにすれば、女性専用車1両設けるよりもそうやって全体として監視を強めることのほうがよほど痴漢は困るのではないかと思いますが、それはどうなんですか?

担当者A:そのような考え方もあるかと思いますので、こちらは社内でご意見として伺いまして検討させていただければと思います。

福山:はい、お願いします。

田中:女性専用車でそもそも痴漢の被害を減らせる効果がないというのはご存知の上で設置されているんですよね?データは存在しないんですか?

女性専用車によってこれだけ痴漢が減りましたというデータがもしあるのであれば教えていただきたいですし、導入前と導入後でどれだけ減ったか…2000何年でしたっけ、相鉄さん導入されたの…

福山:結構早かったですよね?2005年の一斉導入の時(※)だったんじゃないですか?

※2005年の一斉導入
当時の国交省の働きかけにより、2005年のGW明けに関東の大手私鉄や地下鉄のほとんどが女性専用車両を一斉に同時導入した。
公明党が女性専用車両を導入させるため署名活動を行い、約7万6千筆の署名を集めて当時の国土交通大臣に提出するなどしていたためである。このように女性専用車両は政党の人気取り・手柄取りに当時から利用されてきた。これは現在(2023年)でも同じ。都営大江戸線の女性専用車導入も公明党や共産党が躍起になって推進したものであり、痴漢対策は表向きの理由で実際には政治に利用されているのである。
「女性専用車両は御堂筋線事件がきっかけで、その事件を受けて発足した『性暴力を許さない女の会』が10年以上にわたって粘り強く鉄道事業者と交渉して実現させた」などという言説が流布されているが、これは根も葉もない完全なデマである。
(肝心の「性暴力を許さない女の会」が御堂筋線事件と女性専用車両導入の関係を全面的に否定している)

田中:前年と導入後の1年比較して、減ったんですか?

担当者ABC:…

田中:言い換えれば、女性専用車から男性を排除すれば他のところ(車両)で痴漢がなくなるのかといえば、そんなわけないじゃないですか。当たり前の論理ですよね。

全車両女性専用車とかなら話は別ですが。…まあそれはそれで別の問題がありますけど。

女性専用車を設けて女性専用車に乗っているAさんは痴漢に遭わないが、代わりに女性専用車に乗っていないBさんが痴漢に遭う。だから効果があるとは言えない感じだと思いますが、相鉄さんはどう思われますか?

担当者A:今、会社としての見解ということを、ちょっと調べて話は出来ないかなと言うように考えておるんですけど…

(ここでしばらく沈黙)

福山:まあ「痴漢対策としての効果」という話もあると思うんですが、やはり公共交通機関としては同じ運賃を払っている乗客には公平にサービスを提供しなければいけないわけですよね。

そこを当時は各鉄道事業者とも「痴漢被害が深刻だから」という理由で押し切って導入したと記憶していますが、今まで申し上げてきたように、女性専用車があっても痴漢は他の車両で発生する。また現在では女性専用車でなくても車内防犯カメラその他諸々、他に方法もある…

そういう中でこうしたもの(女性専用車)をいつまでも続けることが公共交通機関として果たして正しいのかを考えていただきたいですね。

相鉄に要望

(ここまで質問事項とそれに対する回答を求めてきたが、一通り終わったので、続いて「意見書」にある「要望事項」について読み上げた)

福山:すみません、要望事項になりますけども、今までから出ている話もあるのでちょっと重複するところもあるかもしれませんが、読ませていただきます。

(以下、意見書に記載している通りに読み上げたが、長くなるので、ここでは要約を載せる)

1.現在、女性専用車両が実施されている路線について将来的には、廃止・縮小を。
2.法的な根拠がない女性専用車両に協力の意思を持たない男性が乗車しても不測の事態を招かないよう、適切な案内をもって任意協力である旨の周知を行うこと。
3.相鉄でも早急に車内防犯カメラ(JR埼京線で痴漢6割減の実績あり)の導入を。
4.ラッシュ時間帯に、警察官や警備員による「見せる警備」と、私服警察官による覆面刑事を行い、すべての利用客が安心して利用できる鉄道にして頂きたい。

担当者A:ご要望いただきましたことは、社内に持ち帰らせていただいて、検討させていただきたいと思います。ただ他のお客様からのご意見ご要望についてもそうなんですが、全てのものに回答させていただくというお約束までは出来ないということをご了承いただければと…

田中:今日の朝、電車が止まるほどのことにはならなかったんですが、私共「反対する会」が朝に任意確認乗車を行ったところ、女性客から声かけされました。

「女性専用車なんだから駅員に言います」とか言ってきたんですよ。私達のほうであらかじめ(降りる駅の)予定を決めて乗車していましたので、私達の方が先に電車から降りてしまったのですが、そういった「脅し」じゃないけど、なんかそう言って男性に突っかかってくる女性客も結構いらっしゃるんですよね。

担当者A:女性専用車に限らず、電車の中に優先席がありましたり、駅にはエレベーター・エスカレーターがございまして規則ではないけどマナー、お客様同士の譲り合いであったりそういうところが公共の場として前提になる部分があるのかなと思っております。

どちらの立場の方もいらっしゃるのかなというのも思っております。その中で私どもができることとしては、それをマナーというのであれば効果的なマナー啓発に努めていく必要があるのかなというのは日々考えておるところでございます。

田中:マナーと言うより、私は迷惑行為だと感じますね。性別だって見た目で判断できない時代になっているし、事情を抱えている男性もいらっしゃるかもしれないのに「女性専用ですよ」って言われるし。

福山:実際にはどこの鉄道会社も「任意協力」だと言うことは、質問したらそのようには答えてくださいますけども、一般の乗客からすれば「女性専用」と書いてあるから男性禁止だと思いますよね。

なぜ公共交通機関でこのようなものが存在できるかと言えば、「任意協力だから差別ではない」ということになっているからですが、それを言わずに本当に強制であるかのように「女性専用車」と表示するなり放送するなりしていれば、他の乗客からすれば「あ、入ってはいけない場所に入っている奴がいる」となるじゃないですか。

だからトラブルになるんですよね。これはマナー云々ではなくまず鉄道事業者として正しく事実を利用客に伝えていただきたい。任意協力なのに「女性専用」と表示を出していると言うことは、実質ウソをついているようなものじゃないですか。

そこは早急に改めて頂きたいと私どもは思っているんですが、それは出来ないものなんですか。

担当者B:ご要望の2番(=法的な根拠がない女性専用車両に協力の意思を持たない男性が乗車しても不測の事態を招かないよう、適切な案内をもって任意協力である旨の周知を行うこと)が時間的には早めに対応してほしいというのが今回のご要望…

福山:…まあそうですね、はい。

田中:1番(=現在、女性専用車両が実施されている路線について将来的には、廃止・縮小を)にあるとおり、私共は「女性専用車両に反対する会」という名前の通り、廃止が目的です。

田中:熊本は女性優先車両として運用を始めました。札幌は「女性と子供の安心車両」という名前で女性専用という言葉を使っていません。別に「専用」という言葉を使わなくても運用は出来ているんです。そこら辺どう思ってらっしゃるんですか?

田中:運用と事実が違う(任意協力なのに女性専用車という名前で運用されている)状態なんですよ今は。しかし札幌や熊本の場合は事実には(一応)反してはいない。今すぐ女性専用車を廃止できないのであれば、まず表示を改めてほしいです。

女性客と男性客のトラブル、こういう乗れる・乗れないのトラブルで通報があって乗務員や駅員が対応せざるを得なくなって電車が遅延する、というのは織り込み済みなんですか?

女性客も今回は通報しに行かなかったけど、過去には別の路線ですけど、男性が乗ったというだけで非常通報装置が押されて。

10年くらい昔ですけど、男性客に対して「傘で刺そうか」なんて(危害を加える脅しを)言う女性客がいたという話も聞いています。

田中:そういったことはあってはならないはずなんですが、その原因を作っているのは女性専用車という名前の任意協力の車両を走らせている鉄道会社であって本人に悪気はない。

ある意味騙されている女性客も被害者です。

そうしたことで列車が遅延することも度々あるわけですね。最近は少なくなりましたが、数年前はありました。こういう運用をしていると言うことは、それも折り込み済みなんですか?

担当者A:会社の見解となると、今ちょっとお伝えすることが難しいんですが…

田中:もし回答していただけるならば書面でいただけると助かります。

田中:(乗車中のトラブルで)警察沙汰になったこともありますし、それこそ大阪では今年3月にトラブルで警察沙汰になりましたし…2023年3月 関西本部:大阪メトロ御堂筋線非協力乗車会

福山:あぁ…まあそのときは結局、警察に事情を聞かれただけでしたけど…

田中:それで列車が遅延する…女性専用車がなければそんなことは起きなかったはずじゃないですか。

福山:まあ、そうですね。結局「女性専用」と書いてあるからってことで、女性客の中には乗っている男性に手を出してしまったりする人がいるんですが、そうなると女性客が暴行罪ということで警察のご厄介になってしまったりすることもあるわけですよ。

女性客は間違ってないつもりで、知らない間に加害者になってしまうんですよ。これも女性専用車という事実と違う表記(=任意協力なのに専用表記)の言ってみれば弊害というか問題じゃないかと思いますが、そういう意味でも改善していただきたいと思います。

川上:今日やっぱり一緒に乗ってみて分かったことは、やはり未だに女性客の中にどうしても名称(女性専用車)を見て勘違いされる方がいるんだなということが一番問題と思いましたね。だいぶ今無くなりましたけど、それでもまだ完全になくなってないでのはないかと思いましたので…はい。

痴漢抑止のために警備員を

田中:冒頭で、「女性専用車設置後1ヶ月経過以降は警備員を置いていない」と仰ってたじゃないですか?

逆に痴漢防止のためにおいてほしいんですよ(※もちろん「女性専用車に男性を乗せないため」ではなく、女性専用車は廃止した上で「痴漢等の犯罪が出来ないよう見張るため」)

要望の4番(ラッシュ時間帯に警察官や警備員による「見せる警備」と、私服警察官による覆面刑事を行い、すべての利用客が安心して利用できる鉄道にして頂きたい)に書いてありますが、警備員がホームに立つことによって…人件費というのもあるかもしれませんけど、(痴漢の)抑止効果がありますよね。

福山:やはり痴漢する輩にしても、近くに警備員や警官がいたらやりにくいじゃないですか。女性専用車を1両設けるより、そのほうが効果的なんじゃないかと思いますけどね。

田中:京王さんなら警備員が警乗してますので、京王ライナーとか…すごい存在感あっていいと思うんですけど、逆に何で相鉄さんはなくしちゃったんですか?

男性客に対する(女性専用車に乗るなという)声かけじゃなくて、痴漢を抑止するために監視をしてほしいんですけど。

福山:もちろんですけど、「女性専用車に男性を乗せないために警備員を置く」のではなくて、「女性専用車は廃止した上で、代わりに警備員を置いてほしい」ということですからね。

なぜこんな複雑な運用をするのか

田中:本当に疑問なのは何でこんなに複雑な運用をするんですか?

相鉄さんには「運用を何とかしてほしい」などというような意見は届いてませんか?

担当者C:直接的なご意見ご要望というのはないんですけど何かの発言の中に混ぜ込んで言われる方はいらっしゃいますね。つまり電話で…ですね。お問い合わせフォームを使って直接廃止してくれとか、時間帯をわかりやすくしてくれと言うのはないですね。

新横浜線開業して半年近く経ちますけど…

福山:私達としても決して「痴漢対策自体をするな」とは決して言いませんし、むしろ大々的にやっていただきたいんですが、なぜそこで(男性差別的な)女性専用車なの?ということなんですよ。

田中:手段は目的を正当化しないんですよ。手段(女性専用車)が不当であれば目的(痴漢対策)が正当であってもそれは不当となってしまうんです。

福山:痴漢対策だから何をやってもいいというわけではないですよね。

さっきも少し言ったと思いますが「女性専用車と表示しながらなぜ任意なのか」ということなんですよ。

これは相鉄さんに限らないですが、やはり「差別に当たるので、強制したら法的にもまずい」というのがあるんじゃないですか。

かなり前の話ですが、実際に裁判になったことがありまして、そこでも被告となった鉄道事業者が「女性専用車両は任意協力で男性に何の義務も負わせるものではないから問題ない」と裁判所で主張しているんですよ。

ということは、やはり女性専用車を強制するとまずいということはどこの鉄道事業者も分かっていると思います。

痴漢対策をするなとは言いませんが、女性専用車という手段をとるのはやめていただきたいと思います。

防犯カメラの設置を推進せよ

田中:相鉄さんのことで気になるのは防犯カメラの設置率の低さですね。相鉄さんは何年までに何%という目標を公表されていないように思いますが…ありますか目標って?

担当者A:目標はありますが、公表はさせていただいておりません。車両の更新と共に機器の更新とかをさせていただいている状況でありまして、今もそれは進んでいる中ではあります。ただ目標であったり今これだけ進んでいるといったことについての情報の公開は出来ていないというところでございます。

田中:公表した方が安心ですよね。

担当者A:それはご要望としてあの別に…はい。

田中:他社はどんどん公表していますし、そっち大事じゃないですか。

防犯カメラなら全車両効果ある。更新と仰ってますけど。別に新造車両という話ではないですよね。

担当車A:そうです。中古車両でも機器の更新がございますので、その際に合わせて行っている状況でございます。

田中:それはもう本当に公表した方が好感度上がりますよ。

福山:やっぱ取り組んでるって感じしますもんね。

田中:JR東は最初に埼京線で監視カメラ導入して、「痴漢が6割減りました」って言っているんですから。

福山:当時マスコミでも大きく取り上げられましたね。

有料着席サービスも痴漢対策になり得る

川上:あと私ね、痴漢対策で他の鉄道会社にも提言していることなんですけど今、東急さんで一部にQシートというのを導入していて、ラッシュ時に一部の列車で座席指定の車両を走らせて、ああいった電車を相鉄さんでも増備していただきたいなってのはあるんですよね。

それは全員着席が前提なので、痴漢対策としても効果的だし、あと座って通勤したいって需要もあると思うんですよ。

東急さんからそうしたQシートのある列車を相鉄線にも直通させたり、ラッシュ時以外には座席を回してロングシートにもできるので、ああいった施策は相鉄さんも是非やっていただきたい。

女性専用車に代わる施策として是非お願いしたいと思います。

田中:ここに関しては見てきた中で言うと、JR(東日本)って、朝ラッシュ時とかグリーン車とか結構満席ですよね。

川上:そうですね。

田中:座って行きたいお客さんが結構たくさん…湘南新宿ラインとか。

川上:まあ、あれ(グリーン車)は逆に言うと座れない可能性もある…

田中:まあ、満席になるぐらい人気がある…数百円払っても。

川上:そうなんですよね

担当者E:需要はある…

川上:そうそうそうそう…

田中:やるなら、そっちの方が全然いいですね。平等に料金を払っているわけですし。

担当車A:有料着席サービスについても、ご要望として…

川上:是非…

福山:はい。お願いします。

訪問を終えて

こんな感じで、相鉄担当者3名と私達は約1時間近くに渡ってやりとりを行った。

最後に私達3名から改めて、担当者の方々へ「本日はお忙しいところお時間を取っていただき、ありがとうございました」と礼を述べ、会議室をあとにした。

本社1階のロビーで待ってもらっていた他の会員達と再び合流し、時刻も昼近くなっていたので全員で横浜駅近くの中華料理店へ。

差別ネットワーク元代表のドクター日本さんもやって来られ、みんなで楽しく歓談しながら中華で昼食とした。

中華で昼食(刀削麺)

そして昼食を終えたあと各自解散し、今日の活動は終了となった。

カテゴリー
活動履歴

2023年7月 関西本部:大阪メトロ本社訪問の報告

当会関西本部では、2023年7月5日に大阪メトロ本社を訪問しました。

今回は大阪メトロの担当者にいくつかの質問を行うとともに、「抗義・質問状」を手渡してきました。


大阪メトロがトラブルの女性客に謝罪の電話をしたのか等の事実確認を行う

大阪メトロ本社へ

2023年7月5日。梅雨時ということもあり今日の天候はあいにくの雨である。

今回は大阪メトロ本社に比較的近いJR大阪環状線の大正駅に集合。

しばらく待っていると参加予定メンバーがそろったので、私達はここから歩いて大阪メトロの本社を目指すことにした。

ただ、JR大正駅が比較的近いと言っても大阪メトロ本社までは歩けば10分はかかる。

雨の降る中を歩くのはあまり気が乗らないが、まあ致し方ない。

雨の降る中を歩く

大正駅から線路に沿ってしばらく歩くと、大阪環状線が尻無川を鉄橋で渡りながら左に離れて行き、一方右側には野球が好きな人なら誰もが知っているであろう大阪ドームが見えてくる。

そして、私たちが目指す大阪メトロ本社はその大阪ドームのすぐ脇にある。

大阪メトロ本社ビル。写真左下に大阪ドームの屋根が少し写っている

本社に到着してすぐ受付でこちらの氏名を述べると、担当者の方がここまで来てくださるとのことで私達はその場で待つことにした。

しばらくして担当の方が2名来られ、私達とまずはあいさつを交わした。

そして、話し合いのため各自テーブルにつき、担当者に「抗義・質問状」を手渡した。

040407dac740f597a17bd6d32d519f0a

3月22日の御堂筋線乗車会でトラブルとなった女性客のものと思われるツイート

当会サイト「活動履歴」にも掲載している通り、今年(2023年)の3月22日に当会が御堂筋線で非協力乗車を行っていたところ、途中で一人の女性客が私達に声をかけてきて口論となり、女性客が「お前ら降りろ!」と暴言を吐いてきたためトラブルとなった。

2023年3月 関西本部:大阪メトロ御堂筋線非協力乗車会

この件を後日、当会サイトの「活動履歴」に公開したところ、3月の乗車会でトラブルとなった相手の女性客のものと思われるツイートが5月26日にされているのが見つかった。

ひとつ言っておくが、この女性客は最初のツイート(上記左)で「女性専用車両に嫌がらせ目的で乗り込む男たちについて」などという表現をしているが、私達は事前に大阪メトロに女性専用車両に男性も乗れることを確認しており、その上で

「鉄道事業者が女性専用車両を本当に任意協力として運行しているかどうか」

「任意と言いつつ事実上の強制にしていないか」

を確認するために乗っているのであって、乗り合わせた女性客に嫌がらせするために乗っているのではない(だから非協力乗車のことを別名「任意確認乗車」とも言うのである)

これは担当者にも口頭でしっかりと伝えた。

それにこの女性客から先に高圧的な態度で絡んできていながら「男たちに嫌がらせされた」と言うのもまるで筋が通っていない話である。

また2枚目(上記右)のツイートについても一応反論しておくと、

たとえ強制力がなくても優先席に嫌がらせしないし御堂筋線事件が設置のきっかけであることを踏まえれば問われているのは良識

先にも述べた通り、当会の活動は女性への嫌がらせ目的ではない。

しかし、このツイートのように「当会が嫌がらせ目的で活動している」という前提で、それをさも当たり前のように発言し続けることによって「反対派は女性に嫌がらせをするのが目的」と世間に思わせようとしているのではないのか?

また、御堂筋線事件が女性専用車両のきっかけなどではないのはこれまで何度も繰り返し述べている通り。

(参考:女性専用車両の導入は御堂筋線事件がきっかけというデマについて

3月22日にトラブルになった時もこの女性客が「女性専用車両は御堂筋線事件からできた」などと言うので、私達から「それはデマ」「御堂筋線事件は1988年」(御堂筋線に女性専用車両が設置されたのは2002年で、事件からは14年も後のことであり時期が違う)と説明したが、それに対し(女性専用車両の導入は)「御堂筋線事件の年度に近い」などと平然とウソをついてまで間違いを認めなかった。

ちょっと調べればすぐわかるが御堂筋線事件が起きたのは議論の余地なく1988年である。

また、デマ上で女性専用車両を実現させたことになっている当事者の「性暴力を許さない女の会」自体が御堂筋線事件と女性専用車両の関係を全面的に否定している。

(下記参照)

この画像はネット記事のスクリーンショットであるが、この記事自体もあわせてご紹介しておく

大阪メトロ御堂筋線で起きたレイプ被害について by 牧野雅子|LOVE PIECE CLUB(ラブピースクラブ)

にも関わらず、3月に私達とトラブルになったこの女性客がその後もまだ(5月26日の)ツイートで「御堂筋線事件が設置のきっかけであることを踏まえれば…」などと言い続けているところを見ると、本当に御堂筋線事件が女性専用車両設置のきっかけだと思い込んでいるというよりも「そのように主張し続けることで世論を誘導しようとしているのではないか?」と思ってしまう。

当会の活動を「嫌がらせ目的」と一方的に決めつけているのもやはりそういう狙いがあるのではないだろうか。

上記2つのツイートに関して大阪メトロの担当者に質問

さて、上記2つのツイートに関して、私達から大阪メトロの担当者に以下のような質問をした。

①まず、女性客から上記のような問い合わせがあったこと、および大阪メトロ側から謝罪の電話をしたのは事実か?

②そして謝罪したのが事実であれば、この女性客が言っている「せっかくの方針が貫徹できずすまなく思っている」と、大阪メトロは本当に言ったのか?
また、言ったのであればつまりそれは「男性を完全に排除したいが、出来なくて申し訳ない」という意味か?

③近年LGBT法案が成立し、それに伴い「このままでは、『心が女』とか言って乗り込む男が続出し、女性専用車両が成り立たなくなる」という女性専用車両賛成派の危機感ともとれる意見がツイッターなどネット上で見られるようになってきたが、それを受けて男性排除を強化したり、新たに「男性を乗せないための取り組み」を行うような考えはあるのか?

④2017年の暮れごろから「女性専用車両は御堂筋線事件がきっかけで生まれた」という言説ネット上で広く流布されており、3月22日にトラブルとなった相手の女性客も同じように「御堂筋線事件がきっかけ」と主張していたが、御堂筋線を運行する大阪メトロとしてはこの言説についてどう思っているのか?

当会の質問への担当者の回答

上記の4つの質問に対して、大阪メトロの担当者に質問してみた結果は以下のようなものだった。

①女性客から上記のような問い合わせがあったこと、および大阪メトロ側から謝罪の電話をしたのは事実か?

担当者に上記の質問を行ったところ「5月に女性客から問い合わせがあったかどうか」や、その後「大阪メトロからその女性客に電話して謝罪したのかどうか」については「知らない」とのことだったが、それ以前にまず3月22日のトラブル自体についてもご存じないようだった。

毎日多数の苦情や質問、その他問い合わせがある中で、しかも3か月以上前の出来事となれば知らないのも無理はないのかもしれない。

そこで、私たちが「女性専用車両は任意協力であることの確認のために乗車していること」や「こちらからは女性客には話しかけず、あくまで乗車するだけ(女性に敵対するのが目的ではない)であること」などを説明した上で、当日の状況を大体以下のように説明した。

  • 私達が梅田の駅からなかもず方面の列車の女性専用車両に5人で任意確認のため乗車していたところ、列車が本町駅あたりに差し掛かったところで1人の女性客がわざわざ私たちのところまでやってきて「ここ女性専用車両なんだけど…」と声掛けをしてきた。
  • 私達からは「女性専用車両は”専用”という名前だけで実際は任意協力だから、私達はあえて協力しない選択をしている。だから降りる気はない」という趣旨のことを丁寧に説明するも納得せず、「なら、禁煙の場所でタバコを吸うのか?」「お前らわざと乗ってんやろ女性専用車両に。なんでできたかも男の都合でできたのもあんねんで…」などと言ってきて、さらには私達に「お前ら降りろ!」などと声を上げて強要してきたので、やむを得ず当会の者が反論した。
  • そこから大声での怒鳴り合いになり、当会の別の会員が「警察呼ばんか!」と言ったことから女性客が通報。心斎橋駅で下車して駅員と警察に事情を話すことになった。
  • このトラブルのことを後日、当会サイト上に公開したところ、5月26日にその女性客と思われるツイートがあり、大阪メトロに「女性専用車両に嫌がらせ目的で乗車する男たちについて意見を送ったところ、大阪メトロから謝罪の電話があった」という趣旨のツイートをしていた。

担当者が問い合わせがあったこと自体を認識していなかったため、本当に女性客がそういう問い合わせをしてきたのかどうか、またその問い合わせに大阪メトロ側が謝罪電話をかけたのかどうか、事実確認をすることは出来なかった。

②そして謝罪したのが事実であれば、この女性客が言っている「せっかくの方針が貫徹できずすまなく思っている」と、大阪メトロは本当に言ったのか?
また、言ったのであればつまりそれは「男性を完全に排除したいが、出来なくて申し訳ない」という意味か?

これについて担当者からは「乗車中に不快な思いをされたと思われるお客様には、まず謝罪することになっている」との回答であった。

つまりどのような事案かに関わらず、車内で不快な思いをしたという意味合いのことを言ってきた人には謝罪することになっているようだ。

なので、おそらく男性客が女性専用車両で女性客に嫌がらせを受けたと苦情を受けたらそれも謝罪をするのだろう。

実際に別の鉄道事業者での話だが当会会員が上記のような苦情をしたところ、とりあえず鉄道事業者から謝罪の言葉があったことはあるという。

よって、女性客がツイートの中で言っていた「せっかくの方針が貫徹できず、すまなく思っていると受け止めた」というのは(大阪メトロ側が謝罪したというのが仮に事実であったとしても)どうやら「その女性客が勝手にそう思い込んでいるだけ」で実際には違うということのようである。

③近年LGBT法案が成立し、それに伴い「このままでは、『心が女』とか言って乗り込む男が続出し、女性専用車両が成り立たなくなる」という女性専用車両賛成派サイドの危機感ともとれる意見がツイッターなどネット上で見られるようになってきたが、それを受けて男性排除を強化したり、新たに「男性を乗せないための取り組み」を行うような考えはあるのか?

これについては「男性のお客様が乗車されている場合、これまで通り声掛けをすることはあるかもしれないが、特に新しく男性を乗せない対策などは考えていないし、予定もしていない」とのこと。

少し話がそれるが、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」、いわゆるLGBT法が世に出る以前から女性専用車両はもともと「女性専用と名乗っているだけで実は誰でも乗れる車両」である。

当該法律があってもなくても、また乗る男性が「心は女性」であってもなくても、そのようなことには一切関係なく、最初から「心も体も完全に男性」の人も乗れるのだが、ツイッターなどを見ていると女性専用車両という名称から「男性の乗車は禁止」だとか「女性トイレや女風呂に男性が入るようなもの」というような思い込みをしている者が少なくないようである。

④2017年の暮れごろから「女性専用車両は御堂筋線事件がきっかけで生まれた」という言説(※これはデマ)ネット上で広く流布されており、3月22日にトラブルとなった相手の女性客も同じように「御堂筋線事件がきっかけ」と主張していたが、御堂筋線を運行する大阪メトロとしてはこの言説についてどう思っているのか?

先にも述べた通り、この女性客も含め「女性専用車両は御堂筋線事件がきっかけでできた」と主張する者が少なくないわけだが、では肝心の大阪メトロ自身は「御堂筋線事件がきっかけで女性専用車両ができた」とする「御堂筋線事件起源論」についてどう思っているのだろうか?

私達もこのあたりのことには関心があったので、どのような答えが返ってくるかと注目していたのだが、担当者は御堂筋線事件起源論が事実かどうか以前に「そもそも御堂筋事件自体を知らなかった」のである。

よって、こちらも先ほど3月22日のトラブルの概要を説明したのと同じように、まず私達から御堂筋線事件について説明することとなった。

私達からは

  • 御堂筋線事件とは1988年にある女性が他の女性に痴漢行為を働いている男性グループを注意したところ、逆恨みした男たちがその女性を連れ去って、マンション建築現場で強姦したというもの。
  • その事件をきっかけとして『性暴力を許さない女の会』という団体が立ち上げられ、その団体が鉄道事業者に対して以後、様々な痴漢防止の啓発活動をするよう働きかけてきたのだが、その中に「女性専用車両の設置」は含まれておらず、性暴力を許さない女の会が女性専用車両を求めて活動していたわけではない。
  • ところが、2017年の暮れごろから2018年にかけて突然、「女性専用車両ができたのは御堂筋線事件がきっかけ。御堂筋線事件を受けて発足した性暴力を許さない女の会が粘り強く鉄道事業者と交渉し、女性専用車両を実現させた。」などというデマがネット上で広く拡散され、さらには一部のマスコミなども「女性専用車両は御堂筋線事件がきっかけ」などと、誤った報道を行った。
  • しかし言説の肝心の要である「性暴力を許さない女の会」自体が御堂筋線事件と女性専用車両の関係を全面的に否定している。

と説明した。

大阪メトロが「御堂筋線起源論」を知らないとなれば、それはつまり女性専用車両は御堂筋線事件がきっかけでできたものではないということである。

なぜなら、もし本当に御堂筋線事件がきっかけで女性専用車両を設置したのであれば、いずれ利用者からこの質問が来ることが想定されるため、何らかの回答を用意し、少なくとも『知らない』とはならないはずだからである。

実際に御堂筋線事件と女性専用車両は無関係のため、利用者からそのような質問が来ることは想定されておらず、そのため「御堂筋線起源論」を「知らない」と答えるのは当然である。

担当者にさらに質問や申し入れ

その後は私達からさらにいろいろな意見や質問、申し入れなどを行った。

私達が行ったのは大体以下のようなものである。

  • 当会は痴漢対策をするなと言っているのではない。
  • 女性専用車両を設置しても痴漢が移動するだけ。一般車両でいくらでもできるから痴漢は何も困らない。本当に痴漢対策したいなら、車内防犯カメラのほか、警官や警備員を各駅に配置して、見せる警備を行ったり、車内を巡回させたりした方が、痴漢としてはずっと困ると思うが、なぜ女性専用車両ではない車両に痴漢犯が移動して、そこで痴漢するだけになっている女性専用車両にこだわるのか?
  • 女性専用車両が任意であることについて、3月22日の乗車会の時のように車内でトラブルとなり警察沙汰になるのは、とてつもなく任意とはかけ離れていると言わざるを得ないが、これで任意性が担保されていると言えるのか?
  • 女性専用車両という名称にするから、勘違いした女性客がトラブルを起こすのではないか?

これらの意見や質問を参加者それぞれが担当者に述べていった。

まず、

「当会は痴漢対策をするなと言っているのではない」

「女性専用車両を設置しても痴漢が移動するだけ。一般車両でいくらでもできるから痴漢は何も困らない。本当に痴漢対策したいなら、車内防犯カメラのほか、警官や警備員を各駅に配置して、見せる警備を行ったり、車内を巡回させたりした方が、痴漢としてはずっと困ると思うが、なぜ女性専用車両ではない車両に痴漢犯が移動して、そこで痴漢するだけになっている女性専用車両にこだわるのか?」

この質問について、当会ご意見フォームに「女性専用車両に反対する会は女性専用車両をなくすのにはものすごいエネルギーを使うのに、そのエネルギーをなぜ痴漢撲滅に向けないのか不思議です」などという、全然当会サイトの内容を読めていない、浅はかなご意見投稿もあったので言っておくが、当会は痴漢の減らない、しかも差別になる女性専用車両にこだわる鉄道事業者に対し「するなら本当に痴漢対策しろ」と言っている側であり、当会サイトをちゃんと見ていれば、このような浅はかな発言は出てこない。

しかし、当会サイトをろくに読まず、あるいは読解力のなさから読み取れず、このような軽率な批判をする者がいるのでここで改めて申し上げておく。

当会が「女性専用車両さえ廃止できれば、痴漢撲滅などどうでも良い」と考えているのなら、そもそも鉄道事業者にこんな質問や要望はしない。

また、

「女性専用車両が任意であることについて、3月22日の乗車会の時のように、車内でトラブルとなり、警察沙汰になるのは、とてつもなく任意とはかけ離れていると言わざるを得ないが、これで任意性が担保されていると言えるのか?」

女性専用車両という名称にするから、勘違いした女性客がトラブルを起こすのではないか?」

これについては大阪メトロの担当者から、車内でトラブル(3月22日の時のような場合を含む)が発生した場合、

「車内非常ボタンを押して知らせていただいたら対応する」

との回答があった。

「女性専用車両という名称にするから、こういう勘違いした女性客がトラブルを起こすのではないか?」については

(名称を)「専用車両でなく優先車両とすると、もしもの可能性を排除できないことや専用とした方がより男性客により協力していただきやすいように女性専用車両という名称にしている」

との回答。

しかしこれには参加した会員から

  • もうすでに「女性専用車両」という名前でも「任意協力」だと言うことは広く知られているのではないか?
  • 裁判所も任意であることは認めているし、女性専用車両が任意と言いながら、このように「専用」という言葉で惑わせて、本来は任意で男性客でも乗車しても問題はないのに、強制力があるかのように騙し騙しの形で女性専用車両が運用されているのではないか。

との反論が出た。

そして、政治的利用や女性専用車両限定広告もあり、とうてい痴漢対策とは言えないので当会は女性専用車両に反対であるとも伝えた。

さらに私達からは今回口頭で質問させていただいたことに対する回答の他、さらに文書での回答も求めたが、これについては「ここでは判断できないので、部署に持って帰って相談する。後から電話で結果を申し上げる」とのことであった。

(その後、「文章での回答は致しかねます」との電話がかかってきた。これは予想通り)

大阪メトロ本社前で、抗議質問状を持つ当会会員

最後は「私どものためにお時間をとっていただきありがとうございました」と言って、大阪メトロ本社を後にした。

カテゴリー
活動履歴

2023年3月 東急電鉄本社訪問

2023年3月6日、近く新横浜線が新規に開業し、相鉄や東京メトロ線と直通運転を開始する東急電鉄の本社を当会として訪問し、東急目黒線・東京メトロ線直通の列車には女性専用車を今後も導入しないよう、要望書を提出してきました。


渋谷の東急電鉄本社を訪問

当会代表・副代表が東急電鉄の担当者と直接対談、要望書を手渡す

東急電鉄本社を訪問した理由

2023年3月18日から新たに「新横浜線」を開業し、相鉄や東京メトロと直通運転を開始する東急電鉄に対し、直通開始後も女性専用車を導入しないよう、当会ではその12日前の2023年3月6日に東急電鉄本社を直接訪問して要望書を提出した。

その3月6日の東急電鉄本社訪問の直前、東急から発表があり「3月18日の改正では目黒線(と、その先の東京メトロ線・都営線)直通の列車には女性専用車を導入しない」とのことであった。

現在、直通先の東京メトロ南北線などでは列車の8両化を進めているところであり、今は6両と8両が混在している状態だが、8両に統一されたときに東急目黒線も含め導入されるのではないかという懸念がある。

そこで今回はそのあたりも含めて申し入れを行うことにした。

東急電鉄本社を訪問。その前に千代田線で任意確認乗車。

本社への訪問予定時刻は午前10時であるが、当日はそれよりも早く、朝8時過ぎ頃に北千住の駅に集合し、そこから東京メトロ千代田線で任意確認乗車を行った。

これは会としての正式な活動ではないので詳しくは書かないが、結論から言うと特に何事もなかった。

千代田線の北千住駅で

それにしても東京の朝ラッシュはやはりすごい。

ぎゅうぎゅうの車内でドアに押しつけられながらの乗車となった。

途中いくつかの駅で一旦下車し、後続に乗り換えるなどして任意周知を行っていった。

そして明治神宮前から副都心線に乗り換え、午前9時頃に東急電鉄本社のある渋谷に到着。

そこで東急電鉄側に提出する要望書の印刷を人数分近くのコンビニで行い、そこから徒歩で本社に向かうことにした。

渋谷駅から東急本社へ

渋谷駅から東急電鉄の本社へはちょっと距離がある。

スマホで場所を調べつつ、約10分かけて本社まで歩いて到着した。

東急電鉄側が提示してきた人数制限は2人なので、集まったメンバーの中から代表と副代表が本社に入り、他のメンバーは近くの喫茶店で待つことにした。

東急電鉄本社でのやりとり

東急電鉄側で当会に応対したのはH氏。感じの良い年配の男性の方である。

東急電鉄側はH氏ともう1人の2名に加え、記録役が1人の計3名。

こちらは先述の通り、代表と副代表である。

ここで、東急電鉄側に提出した要望書を貼っておこう。

36f1eb60044b384393e01f05f58265fe

請願書2ページ目の「請願事項1」(目黒線に導入しないでください)について、東急電鉄側からの回答は「現時点ではまだ何も決まっていないし、他社様も関係するので、現時点ではなんとも言えません」とのこと。

これは予想通りの回答であった。

東急電鉄側としても現時点ではこう答えるしかないだろう。

請願事項2・3(既存の女性専用車についても縮小廃止を検討してください)についてもこれは東急電鉄側としても今すぐにどうこうできることではないだろう。

それは承知だが、こちら側の意向を伝えるため、あえてこれも請願書に盛り込んだ。

そして請願事項4・5・6(女性専用車によらない痴漢対策を強化してください等)について話をする中で、当会としても「痴漢対策については決して反対するものではない。むしろ大々的にやってほしい」と伝えた上で、「女性専用車は公平性が求められる公共交通機関において不適切である」「監視カメラの方が痴漢対策としてより効果的である」と伝えた。

東急電鉄でも監視カメラはすでに導入されている。

また、女性専用車があることで、勘違いした女性がツイッターなどに「臭いオヤジがいなくて快適」などとひどいツイートをしたりすることもあることも伝えた。

さらに(これは過去、東急東横線であったことだが)女性専用車の優先席に知らずに座っていた90歳くらいの高齢男性に警備員が移動するように言ったが、その高齢男性が耳が遠かったのか、なかなか移動しなかったため、半ば無理矢理隣の車両に移動させるようなこともあったと伝えた。

また、当会では東急・相鉄直通開始直後「女性専用車の前に警備員などを置いて声かけする」という情報をつかんでいたので、それについて質問したが、これは東急電鉄側から「これはどこからの情報ですか?」と逆に尋ねられた。

どうやら、声かけを行うのは相鉄線だけのようで、東急線側ではそうしたことは行わないようだ。

これについてはこちらの調査不十分だったため「これは失礼しました」とお詫びした。

結局、時間は30分弱ほどだったが、こちらの伝えたいことは十分伝えられたと思う。

先日は東京都交通局を訪問したが、それに比べると東急電鉄は誠意のある対応であった。

東急電鉄も過去に「菊名問題」で強い非難を受けたことがある。

菊名問題とは東横線の菊名駅がホームの最も横浜寄りの1カ所にしか階段がない構造で、しかも当時その「最も横浜寄りの車両」を上下両方向とも平日・終日女性専用車(各駅停車除く)にしていたという問題である。

そのせいで、利用客からの非難・苦情が東急電鉄に多数寄せられた。

その結果、後になって「平日の始発から午前10時までの上下両方向と18時以降終電までの下り(渋谷から横浜方面行き)」の設定に縮小され、さらに女性専用車の位置も最も横浜寄りの車両から中間の車両に変更された。

さらにその後、渋谷で東京メトロ線に乗り入れるようになった関係で、設定は「平日の朝ラッシュ時のみに縮小」され、設定車両も今度は「最も渋谷寄りの車両」となった。(一方で、それまで設定のなかった各駅停車にも設定されるようになった)

訪問を終えて、代表・副代表は東急電鉄本社を後にし、他のメンバーが待つ近くの喫茶店に向かった。

そしてそこで待っていた他のメンバーに、代表と副代表が東急電鉄側の対応や話した内容について説明した。

願わくは今後、東急電鉄においては今以上の女性専用車の拡大を行わず、将来的には女性専用車を廃止の上、それによらない痴漢対策を行うようにしていただきたいものだ。

カテゴリー
活動履歴

2023年1月~ 関東本部:東京都交通局訪問の報告

2023年1月20日の都営大江戸線での任意確認乗車会の後、一部のメンバーで東京都交通局を直接訪問し、申し入れと再度抗議書を提出しました。

抗議書は一度、昨年(2022年)の11月に提出し、郵送で回答を得ていましたが、短文のテンプレート回答で、こちらの質問や抗議に対してまともに回答していなかったことから、今回改めて抗議書を作成し、交通局にも事前に訪問することを申し入れした上で直接提出することといたしました。

東京都交通局に2度目の抗議書を手渡す

初回の抗議書では短文のテンプレ回答だった東京都交通局

当会関東本部では昨年(2022年)11月28日に東京都交通局に対し一度、大江戸線への女性専用車導入に対する抗議書を手渡して、同年12月31日にまでに回答するよう要請して帰った。

これについては、下記リンクのページをご覧いただきたい。

2022年11月~ 関東本部:JR東日本本社&東京都庁訪問等の報告

2023年の年明け早々に東京都交通局から回答はあったものの、短文のテンプレート回答で、こちらがした質問にまともに答えておらず、実質上回答していないも同然のひどいものであった。

その前に比較のため(上記2022年11月の報告ページ内でも一度掲載しているが)昨年11月に当会が交通局に手渡した1度目の抗議書をここで改めて掲載する。

そしてその下に、それに対する交通局からの回答も掲載するので、改めて両方を見比べてみてほしい。交通局が誠意のない対応をしているのがよくわかるだろう。

(↓昨年11月28日に交通局に手渡した抗議書)

cf065de129c260dd069299a231129eac

一方、それに対する交通局からの回答がこちら↓である。

女性専用車両に反対する会 福山 博様

ジェンダー平等を実現する会 様

いつも都営交通をご利用いただきまして、ありがとうございます。

都営地下鉄では、社内での痴漢等の性犯罪・迷惑行為の撲滅に向け、車内防犯カメラの整備や新宿線での女性専用車の運行、痴漢撲滅キャンペーンの実施など、警察や他の鉄道事業者とも連携しながら様々な取り組みを実施しています。

しかしながら、依然として痴漢等の被害に遭われている方がいらっしゃいます。

被害に遭われた方は、精神的な苦痛を受け社会参画に支障が出ることもあります。

痴漢等の行為は決して許されないものであり、より安心して電車をご利用いただけるよう、

この度、大江戸線に女性専用車を導入することとしました。

大江戸線への女性専用車の導入に関するご意見につきましては、以下のとおりします。

○項目 1

女性専用車は、被害等を防止する一つの有効な手段として認識しています。

○項目 2

女性専用車は、女性のお客様のほか、小学生以下のお客様 お身体の不自由なお客様とその介護者の方もご利用いただけます。

また、お客様の任意のご協力のもとに運行しているものであり、強制力を帯びないことや導入目的の運旨等が 差別には当たらないと考えています。

○項目 3 及び 4

女性専用車は、痴漢被害を防止する一つの有効な手段として認識しています。

また、女性専用車の運行のほか、車内防犯カメラの設置や鉄道事業者・警察と共同での痴漢撲滅キャンペーンの実施、駅員等よる巡回などを継続的に行っています。

○項目 5

車内防犯カメラの設置や駅係員等による巡回、警察と連携した訓練等を継続的に行っています。

○項目 6

・都営地下鉄の車内防犯カメラについては、令和 6 年度までに全車両への設置完了を予定しています。

・都営地下鉄では痴漢行為を防止するため、女性専用車の運行のほか、車内防犯カメラの設置や鉄道事業者・警察と共同での痴漢撲滅委キャンペーンの実施、駅員等による巡回などを継続的に行っています。

・今後の事業運営の参考にさせていただきます。

当会からの質問状(全7ページ)に対し、交通局からの回答はたったこれだけ(回答全部で1ページのみ)である。

しかも回答内容は「女性専用車の運行のほか、車内防犯カメラの設置や…」など、同じようなことの繰り返し。

これだけでも十分誠意のなさが表れているが、さらに個別にみていくと、

項目1について

女性専用車は、被害等を防止する一つの有効な手段として認識しています。

当会の質問には全く答えておらず、ただ「女性専用車は有効だと認識している(そう思う)」と言っているだけである。

当然ながら「有効だと認識している=有効である」ではない。

また、有効だと思うにしても「どう有効だと思うのか」「なぜそう思うのか」すらも答えていない。

項目2について

女性専用車は、女性のお客様のほか、小学生以下のお客様 お身体の不自由なお客様とその介護者の方もご利用いただけます。

また、お客様の任意のご協力のもとに運行しているものであり、強制力を帯びないことや導入目的の趣旨等が 差別には当たらないと考えています。

まず、女性専用車が強制力を帯びないから問題ないといいつつ「女性のお客様のほか、小学生以下のお子様や障がい者が介護者も乗れる」などと、あたかも「それ以外の男性は乗車できない」と勘違いさせる言い方をしている。

「強制力を帯びない」のなら、子供や障がい者・介護者に限らず「誰でも乗れる」が正解であろう。

また、「導入目的の趣旨等が差別には当たらない」というのなら、なぜ任意協力にしているのか。

強制すると差別に当たると認識しているから「任意協力です」と言って、「差別だ!」と追及されても逃げられるようにしているだけではないのか?

それ以前に、そもそも交通局が回答の中で言っている「導入目的の趣旨」って何?という話である。

「公明党や共産党の人気取り政策に付き合い、女性専用車と称する”実は誰でも乗れる車両”を、強制であるかのように見せかけて導入し、男性が自分の意志で協力くださっているので問題ありません」というのが差別ではないというのか?

(※公人のため名前や顔を隠す処理をしていません)

世間は痴漢対策だと思ってくれているから表向き「痴漢対策だから差別ではない」と言っておけば問題ないということなのだろうか。

ざっくり言うと、

差別とは「差をつけて分けること」

区別とは「差をつけず、ただ分けること」

であるから、同じ運賃を取りつつ男女で乗れる車両数が違うのなら、「導入目的の趣旨」が何だろうとこれは立派な差別である。

こういう言葉がある。「目的は手段を正当化しない。」

これは、「目的が正当であっても手段が正当でなければその行いは不当である」という意味だ。

つまり、女性専用車を実施することに「導入目的の趣旨」で正当化されることはなく、やっていることが正当な手段なのか不当な手段なのか、それだけでしかないのでである。

もし、手段も正当であると認識しているなら強制すればいいが、それをしないのは薄々手段が差別であると認識しているからではないのか?

(だからこそ女性専用と言いつつ「任意協力」にして「乗れる車両数に差をつけていません」と言い逃れできるようにして、その上で「女性のほか、男性の子供や障がい者・介護者も乗れる」と案内し、「それ以外の男性は乗れない」と乗客に勘違いさせるのだろう)

「痴漢に遭うのがほぼ女性だからそうしているのであって、これは合理的差別だ」という反論もあるかもしれないが、女性専用車は「痴漢対策を理由にして、合理的差別を装っているだけ」だ。

先にも述べた通り女性専用車は政党の人気取り政策であり、痴漢対策は建前である。

項目3・4について

女性専用車は、女性のお客様のほか、小学生以下のお客様 お身体の不自由なお客様とその介護者の方もご利用いただけます。

また、お客様の任意のご協力のもとに運行しているものであり、強制力を帯びないことや導入目的の趣旨等が 差別には当たらないと考えています。

項目1と同様、理由も言わずにただ「女性専用車は有効と思う」と言っているだけ。

思う(認識している)だけなら誰でもできるし、先にも述べた通り「有効だと認識している=有効である」ではない。

あと、監視カメラはもともと「女性専用車を廃止しろというなら、ただ反対するだけでなく代案を出せ」という賛成派からの声に対して、当会をはじめとする反対派が「代案」として奨励してきたものだが、いつしか女性専用車の代案としてではなく「女性専用車だけでなく、監視カメラなど幅広くきちんと痴漢対策を行っています(→女性専用車にこだわっているわけではありません)」という、言い訳の道具になってしまっている。

項目5について

車内防犯カメラの設置や駅係員等による巡回、警察と連携した訓練等を継続的に行っています。

項目3・4と同様、監視カメラや巡回が痴漢対策の代案ではなく「女性専用車だけでなく総合的に痴漢対策をきちんとやってます」という、女性専用車を正当化するためのうまい言い訳になっている。

もう一度言うが「女性専用車が痴漢対策は建前」であり、監視カメラや巡回は女性専用車と組み合わせて「女性専用車をいかにも本当に痴漢対策であるかのように装うためのもの」ではない。

当会が本社抗議する理由

このように、当会の1度目の質問状については、ほぼ答えていないも同然の回答で、ひどいものであった。

よく乗車活動をしていると直接、あるいはネット上で「女性専用車に文句があるんだったら本社(本局)に直接言えばいいのに、なぜそんなこともわからないのか。女性専用車に乗って女性客や現場の職員に文句を言ったって仕方ないのに…」

などと言ってくる者がいたりするが、そういうことを言う者こそ実は【何もわかっていない】。

本局に直接言ってもこういう態度をとるだけだから、あえて乗車しているのである。

男性が乗車できないように強制すれば、そちらの方が問題になるような代物を「女性専用車」と称して強制的なものに見せかけつつ、法的に問題にならないよう「任意協力」だと言ってごまかしながら運行するという茶番を演じているのだから、反対派としてはそこを突かない手はない。

また乗車活動をせず、交通局に言うだけなら適当にやり過ごされて終わりの可能性が高いし、しかもその上、世間からは女性専用車に反対の声があること自体、全く認知すらされない。

「ならば、交通局に文句を言いに行ってもそれ自体無駄ではないのか?」と思う人もいるだろうが、それでも私たちが本社・本局を訪問しているのにはきちんとワケがある。

もちろん「交通局に直接言いに行けば言うことを聞いてくれるだろう」と思っているからではない。

まず、上記のような「女性専用車に文句があるんだったら本社(本局)に直接言えばいいのに、なぜそんなこともわからないのか。」などと、よく知りもせずに言ってくる者がいる。

しかし、当会は現場(車内)での活動も本社(本局)での活動も車の両輪と考え、たとえ本社が聞く耳持たずとも、どちらも大切にしていると言うことである。

そして本社(本局)に対し、こちらの存在をしっかりと示しておくためという意味もとても大きいし、このページのように本社(本局)の態度を世間に知ってもらうという意味も大きい。

やはり「女性専用車には反対する者がいて、それは現在でもしっかりと活動している」ということを交通局に認識させておかないと、いずれ反対の声自体が存在しないことにされてしまう。

今、東京都交通局も大江戸線に新規導入した女性専用車をなんとか定着させようと、全駅に警備員を配置し、壊れたスピーカーのように「ただいまの時間、こちらの車両は女性専用車となっておりまーす」と繰り返させているが、そんな警備員の目の前で男性が女性専用車に乗っても決して個別に直接声をかけてきたりはしない。

ましてや両腕を広げて通せんぼをしたり、腕をつかんで乗車を阻止しようとは絶対にしない。

以前は男性が女性専用車(と名のつく一般車両)に乗ろうものなら個別の声かけは当たり前であり、しかも鉄道事業者によっては男性が移動するまで何度もしつこく声かけをしたあげく、それでも移動しなければ力ずくで引きずり降ろすなどということもあった。

(参考:2011年12月 JR西日本福知山線強制排除に対する報告

このような鉄道員や他の乗客による強制排除行為は、暴行罪・強要罪に当たるが、以前はそれが珍しくなかったのである。

しかし今では、このようなことはもちろん、声かけ自体も(路線にもよるが)少なくなってきた。

なぜこのように鉄道事業者の対応が変わってきたのかといえば、反対派が地道に活動を続けてきたからである。

女性専用車反対運動をしていても目に見えて大きな成果がすぐに得られることはまずない。

それゆえ途中で諦めてしまう人も少なくないのだが、諦めずに根気よく続けることでこのように少しずつ状況は変化してくる。

女性専用車反対運動には「諦めない心」が必要なのだ。

改めて東京都交通局を直接訪問

2023年1月20日、関東本部では朝から都営大江戸線の任意確認乗車会を行った。

そのときの模様は「2023年1月関東本部:都営大江戸線任意確認乗車会」のページで報告しているのでそちらをご覧いただきたいが、その乗車会の後に一部のメンバーが近くの喫茶店に入り交通局に提出する2回目の抗議文(前回、年明け早々に交通局からテンプレ回答があった時以来、再度抗議するべく、当会メンバーの間で話し合いを重ね作成していた)の内容について、最終的な打ち合わせを行った。

そして出来上がった抗議書がこちらである。

57fef72246eeab5f054bc0b511895de9

前回2022年11月28日の際は単に抗議書を手渡して「回答してください」と言っただけだったので(そしてその結果、ほとんど答えていないも同然のテンプレ回答が返って来ただけだったので)今回は交通局に事前にアポを取り、訪問する日時を伝えた上で直接、抗議書の内容を読み上げ、その場で回答していただくことにしたのである。

東京都庁
交通局が入っている第二本庁舎

対応したのはお客様サービス課の課長とその他に職員が2人の計3人。一方、こちらは代表・副代表と田中関東本部長の3人。

田中本部長が抗議書の内容を一点一点読み上げて質問して行くも、課長は「今ここで回答しても私個人の私見になるので、交通局としての回答は出来ない」として、やはりはっきりとは回答しなかった。

この課長、物腰は柔らかく話した印象は悪くないものの、こちらの質問についてはうまくかわしているように見える。

いろいろ話をするうち、どうやら東京都交通局も当会のサイトをチェックしているらしいことが分かった。

交通局側としてもこちらの動きは意識しているようだ。

結局、約1時間ほど話をした後、2月末までに回答をしていただくよう要求し、改めて職員3名に挨拶し、交通局を後にした。

後日、交通局から…

交通局訪問を終え、回答が来るのを待っていたが、2月下旬になって交通局から当会に「先日の抗議書について、ご意見としては賜るが回答はしない」という連絡が入った。

先に「交通局側も当会サイトをチェックしているらしい」という話をしたが、当会内部からは「もしかすると当会サイトで『交通局から回答があれば報告する』と記載してあるのを見て、回答した内容をサイト上で公開・批判されることを警戒したのではないか?」という意見も出た。

しかし、いずれにしても結局、交通局はこちらが直接持って行った質問にも回答しなかったわけで、やはり誠意のない対応と言われても仕方がない。

ここまでの流れををまとめると、

  1. 2022年11月28日に東京都交通局に抗議書を手渡し、12月31日までに回答を求める。
  2. 2023年の年明け早々に回答があったが、短文テンプレ回答でほぼ答えていないも同然。
  3. そこで、2023年1月20日の大江戸線乗車会の後で再度交通局を訪問して、その場で直接抗議書を直接読み上げ回答を求めることにした。
  4. しかし、対応した交通局の課長が「私見になるのでここでは交通局としての回答は出来ない」と言うので、2月中に改めて回答するよう伝えて交通局を後にした。
  5. 2月下旬になって「ご意見としては賜るが回答は出来ない」と、交通局から当会に電話連絡が入った。

―こんな感じである。

交通局は当会に対する1回目のテンプレ回答でも、交通局自身のサイトでも、

しかしながら、依然として痴漢等の被害に遭われている方がいらっしゃいます。被害に遭われた方は、精神的な苦痛を受け社会参画に支障が出ることもあります。
痴漢等の行為は決して許されないものであり、より安心して電車をご利用いただけるよう…

と、いかにも「痴漢被害者に寄り添った政策を真剣に考えて、女性専用車を導入しました」というような意味のことを述べている。

しかし、ではなぜ日本若者協議会という団体の呼びかけに応じて公明党や共産党が動き出したのに合わせて女性専用車を導入し、このようなことを言い出すのだろうか?

女性専用車が本当に「痴漢被害者に寄り添った政策を真剣に考え実行した結果」なら、当会の抗議書(質問状)に対して「意見としては賜るが回答しない」などと逃げを打つ必要はないだろう。

結局、交通局からまともな回答は得ることは出来なかったということであるが、やはり今後も「男性も乗れること(男性の乗車は禁止できない)」や、実は「痴漢対策は建前で、政治に利用されていること」などを引き続き情報発信し続けていく必要があるだろうと思っている。

また、今後も乗車活動を続けて行くことで、反対派の存在も示していく必要があるだろう。

そして今の状況を動かすために、1人でも多くの方に活動に参加していただけたらと考えている。

我こそはと思う方は、入会申し込みフォームよりお申し込みいただければ幸いである。

カテゴリー
活動履歴

2022年11月~ 関東本部:JR東日本本社&東京都庁訪問等の報告

先日、日本共産党の議員団がJR東日本の本社を訪れて女性専用車両の拡充を要求したのを受け、2022年11月28日に当会からもJR東日本の本社を訪れて女性専用車両の拡大は行わないよう、そして差別にならない形での痴漢対策を推進するよう求めました。

そして同日、すぐ近くの東京都庁にも訪問し、2023年1月18日から大江戸線に女性専用車両の導入を決定した東京都交通局の担当者に抗議書を手渡しました。


JR東日本本社と東京都庁を訪問

JR東日本に申し入れ&東京都交通局に抗議書を提出

まずJR東日本本社を訪問

2022年11月28日、当会の主要メンバーが新宿に集まった。代表・副代表・関東本部長の他、名古屋からもメンバーが参加した。

JR東日本に女性専用車両の拡大を行わないよう、そして女性専用車両以外で効果的な痴漢対策(監視カメラなど)を推進するよう申し入れるためだ。

(2枚とも)JR東日本本社ビルを背景に、
当日提出した意見書を手に持つ当会メンバー。

首都圏ではこれまで女性専用車両を大々的に推進してきた公明党に加え、最近では共産党が東京都交通局をはじめ、首都圏の各鉄道事業者に女性専用車両の導入拡大を要求している。

そんな中、JR東日本の本社にも共産党の議員団が訪れて女性専用車両の拡充などを申し入れたため、当会としても黙って見ているわけには行かず、今回当会もJR東日本本社を直接訪問して女性専用車両の拡大をしないよう、申し入れを行うことにしたのである。

予定の時刻が近づいたので、私達はJR側の担当者と連絡を取り、JR本社ビル内に入った。本社ビル内は撮影禁止なので、本社内部の画像はない。

また、今回の申し入れについては録音も禁止ということになっていたので、以下の内容は当日、参加メンバーが紙に書き残した内容を基に記載している。

まず、JR東日本に提出した意見書はこちら↓

af6be913a5de837919121e8f74fa6c23

本社内の一室に案内され、まず最初にお互い挨拶をかわした後、メンバーの一人が

「女性専用車は男性に対する差別であること」

「痴漢行為を行う男性はごく一部であるにもかかわらず、男性を排除するのはおかしいこと」

そして

「当会は女性専用車によらない痴漢対策を求めていること」などを伝えた。

その上で各自が交互に思うところを述べていった。

各自が述べた内容は大体以下のようなものである。

●過去に東急東横線の女性専用車内にいた高齢の男性に、警備員が出ていくよう強く言い、混雑している隣の車両に半ば無理やり移動させたことがあった。

女性専用車は弱者保護と言いつつ、実際には男性であるというだけで弱者を排除するようなことにもなっている。JRではそのようなことは行わないでほしい。

●日本国憲法がある以上、男性を本当に排除する車両は作れないから、女性専用車と言いつつ実際には任意協力にしてごまかしているが、公共交通機関でいつまでこんなことを続けるつもりなのか。

JR東日本では埼京線で導入した監視カメラが高い効果を発揮した実績があるのだから、いつまでも女性専用車を続けるようなことをせず、もっと女性専用車によらない痴漢対策を真剣に考えてほしい。

その他、九州の熊本市交通局が市電に女性専用車両を導入した際、反対意見を受けて本格導入の際に名前を「女性優先車両」に替えたことなどを話したメンバーもいた(もちろん「女性優先車両なら全然問題なくOK」というわけでは無いが、専用でも無いのに女性専用車と名乗るよりはずっとマシだろう)

最後に田中関東本部長がJR側に「どうなったら女性専用車を廃止するのか、基準はあるのか」と質問したところ、

「そのようなものはございません」という趣旨の回答であった。

つまり、JR東日本は痴漢がなくなっても女性専用車をやめる気はないし、そもそも女性専用車を廃止すること自体想定していないということである。

もちろん、だからこそ今後も粘り強く抗議していかなければならないのだが…

JR東日本本社から東京都庁へ移動

JR東日本本社への申し入れを終えて、次は東京都交通局に大江戸線への女性専用車導入に対する抗議書を手渡すため、東京都庁に移動することとなった。

JR東日本の本社から東京都庁までは徒歩で移動できる距離である。

時間的にそろそろ昼食にしたいところだが、調べてみると東京都庁の職員食堂は一般人も利用可能らしい。

それならまず東京都庁についてすぐ職員食堂に行き、そこで昼食を済ませてから交通局に抗議書を提出しようということになった。

新宿のJR東日本本社からしばらく歩くと、特徴的な形をした新宿都庁のビルが見えてくる。

JR東本社から徒歩で移動…。

しばらく歩くと東京都庁が見えてくる。

都庁内に入り、入館手続きを行う。

手続きが完了すると、各自ICカードのようなものを手渡された。

そしてそれをまるで駅の自動改札のような機械に押し当てるとピッ!と音がなり、ゲートが開いた。

職員食堂は都庁の32Fにある。エレベーターでそこまで移動するとすぐ職員食堂である。

高層階にあるから窓からの眺めも素晴らしいが、食堂自体もかなり広くて、またとてもキレイである。

さらにメニューも豊富で、見るからに美味しそうでもある。これはなかなか凄い。筆者の会社の貧弱な社員食堂とはまるで比べ物にならない。

どうやら食券を買ってから並ぶ形式のようだが、ちょうど昼休憩の時間だったのか、この広い食堂もほとんどの席が埋まっていた。

しばらく昼休憩が終わるのを待ち、それから席が空いたのを見計らって、各自食券を購入しここで昼食とした。

筆者は味噌ラーメンにした。なかなかうまい。

東京都交通局に抗議書を提出

昼食を終えた私達は食堂をあとにし、交通局に抗議書を提出しに向かった。

同じ都庁内でも、食堂とは場所がかなり違うので、再びエレベーターで下に降り、交通局のある別の棟に向かった。

そして受付カウンターの職員に交通局に連絡を取るようお願いした。

しばらくしてやってきたのは交通局の職員2人。

その場で抗議書を手渡し、2022年12月31日までに回答するよう要請した。

(その後、年が明けてからにはなったが、2023年1月に交通局より当会の私書箱に回答が届いた。これについてはまた改めて紹介させていただきたいと思う)

cf065de129c260dd069299a231129eac

JR東日本への申し入れと交通局への抗議書の提出を終え、この日の活動はこれで終了となった。

この後、夜になってから都内の居酒屋に入り、今日の活動を振り返ったりこれからの活動でやりたいことやその他いろいろな話を飲みながら楽しくワイワイと語り合った。

ここ数年、感染症の流行の影響でなかなかこういうことも出来なかったのだが、当会は乗車活動や今回のような抗議活動だけでなく、こうしてメンバーどうしの交流を深めることも目的としている。

女性専用車両について疑問や不満のある方は(人によっては、ちょっと勇気がいるかもしれないが)よければ当会入会申し込みフォームから入会を申し込んでみてほしい。

カテゴリー
活動履歴

2022年3月 熊本市電の女性優先車両の本格導入とその後の動向、当会とのやり取りについて

2020年9月に突然、2両編成の市電に女性専用車両の導入を発表し、翌2021年4月に女性優先車両と名称を変えて本格導入した熊本市交通局。

本格導入から約1年が経ち、最近はあまり話題にならなくなってきましたが、当初からおかしなことだらけだったので当会としても様々な方法で抗議活動を行ってきました。

ここで昨年(2021年)11月に3回目の質問状を出したことも含め、導入発表から現在までの経緯を様々な考察も交えながら振り返ってみることにしました。


感染症の流行で乗客が減った⇒女性専用車両を設けて女性客を呼び込もう

女性専用車両は痴漢対策だから仕方ない?

女性専用車両と言えば世間では痴漢対策だと多くの人が認識していると思われる。

「本当に痴漢対策なのか?」と疑問を呈する人は恐らく少数派だろう。

(以下はインターネット上で良くある専用車両賛成派と反対派のやり取りをこちらで再現したものである)


反対派:女性専用車両は差別!

賛成派:痴漢する男がいるから女性専用車両ができたんでしょう。そんなに差別差別って言うなら痴漢に文句を言えばいいのでは?痴漢を無くせば女性専用車両も必要なくなりますよ。
(↑痴漢をゼロにすることはほぼ不可能なので、そう言っておけば反対派はギャフンと黙るだろうと計算をしている。また詳しくは後述するが、女性専用車両には痴漢対策ではない存在理由があり、仮に痴漢がなくなっても女性専用車両はなくならない。そして鉄道事業者は痴漢の件数を公表していないため、痴漢がなくなったことを把握するすべがない。)

反対派:痴漢に文句を言っても聞くわけがない。女性専用車両は差別だから廃止するべきです。

賛成派:痴漢被害者がどれほどひどい目にあっているか、知らないんでしょうね。
まあ、痴漢被害が深刻だから設けられた女性専用車両を差別だなんて言ってしまうようではそこまで考えられないのも仕方ないかもしれませんね。

(↑痴漢被害者を引き合いに出す賛成派の常套手段。女性専用車両が絶対唯一の痴漢対策であるかのような前提でものを言い、反対派を「痴漢被害者のことを考えられない奴」に仕立て上げてしまう。こういう人間は男性への差別に無配慮なのはもちろん、痴漢被害者に対しても配慮しているように見えて、実は「自分が女性専用車両を保持・拡大したい」から痴漢被害者をダシにうまく利用しているだけである。

反対派:女性専用車両で痴漢は減っていませんが…

賛成派:女性専用車両はシェルターなんだから、痴漢が減る・減らないは関係ないですよ。
それに、そんなに女性専用車両を廃止したいんなら代替案を出すべきです。
(↑女性専用車両で痴漢が減らないと分かったので「これはシェルターであって、痴漢を減らすためのものではない」と正当化。導入当初の目的は「痴漢を減らすため」だった。また「代替案を出せ」といいつつ、実は代替案など望んでいない。「どうせ代替案など出せるわけがないだろう」と思って言っている。)

反対派:車内監視カメラをJR埼京線に設置したところ、痴漢が6割減少しました。痴漢の減らない女性専用車両と監視カメラならどちらが有効ですか?

賛成派:死角も多いカメラで一体何ができるのですか?
まして、監視カメラはプライバシーの侵害です!
それにカメラは設置費用が莫大なんです!

世の中何をするにもお金がかかる…そうすると結局設置が進みませんね。
地に足つけてものを考えないとダメですよ!
(↑あれほど「痴漢被害者が!」と言っていたのに、より効果のある代替案を示すと「女性専用車両を無くすな!」とばかりにあの手この手で反撃。こういうところからも「女性専用車両を保持したいだけ」で、効果的な痴漢対策など実は全く望んでいないのが分かる。)

反対派:設置費用が莫大と言うのはウソですよ、一畑電車など地方の赤字ローカル線でもやっているところがありますから。痴漢対策は監視カメラに任せて、公共の場での差別である女性専用車両は廃止しましょう。代替案は出しましたよ。

賛成派:女性専用車両と監視カメラを同時に運用すればいいんですよ!

反対派:あれ? さっき「カメラはプライバシーの侵害」とか言ってませんでしたか?
女性専用車両と併設すると、監視カメラがプライバシーの侵害でなくなるんですか?
それに監視カメラの設置に莫大な費用が掛かるというなら、女性専用車両と同時に運行した場合はもっと費用がかかるはずです。
監視カメラ導入によって女性専用車両が廃止になるのを阻止したいだけなのがミエミエですよ。
本当は効果的な痴漢対策など望んでないのでしょう。
女性専用車両を守るために痴漢やその被害者をダシに使っているだけじゃないですか?

このように正論で応答していると(インターネット上の議論ではありがちだが)賛成派に逆ギレされることもある。

賛成派:女性専用車両は差別だとかくだらないことばっかり言ってるから%$#&@?#Φなんだよ!(…以下、暴言のため略)
(↑自分の立場が悪くなると暴言を吐いて反対派をブロックしてしまう。暴言には「モテない」だの、「アホ」「ボケ」「低脳」だの、挙げ句の果ては「○ね!」だのと目を覆いたくなるような誹謗中傷・罵詈雑言・人格攻撃が含まれることも。)

反対派:あぁ、これは賛成・反対以前の問題だね。
女性専用車両を守るのに必死でなりふり構わずになってしまってるよね。
自分で「賛成派なんてこの程度」と言っているようなものなんだけど、気づいてないよねきっと。


一応念のために言っておくと、当会は鉄道事業者の施策に異を唱える団体であって、女性に敵対するための団体ではない。

あくまで活動対象は鉄道事業者であって女性ではない。

また、インターネットネット上では当会のような団体を「非モテ男の集まり」と決めつける人もいるが、実際には多くの男性会員が普通に女性との関わりも持っているし、何なら既婚者だっているし、女性会員もいる。

当会の会員達は鉄道会社の欺瞞を許せない者達の集まりである。

さて、上記の”再現”では敢えて反対派を勝たせたが、実際のやり取りでは「女性専用車両が差別であり不当だ」といくら主張しても「痴漢対策だから差別じゃなくて区別」「ちょっとは被害者のことを考えろ!」「男が痴漢するから悪い!」などと一方的に押し切られた経験をお持ちの方も多いのではないだろうか?

上記の賛成派のように女性専用車両を自分の既得権益と捉え、それを守ろうとしているだけの人間でも、痴漢やその被害者の存在を引き合いに出せば、もっともらしく被害者の擁護をしているフリをして差別を正当化できるのである。

しかし、乗客の中にそうした者がいるだけでなく、女性専用車両を痴漢対策以外の目的で導入しているとしか思えない鉄道事業者がほとんどだ。

以前から述べているように、女性専用車両自体が本当に痴漢対策なのかどうかは非常に怪しい。

今回、以下に紹介する熊本市交通局もそんな事業者のひとつだ。

「迷惑行為防止の取り組み」は表向きの理由だった

熊本市交通局が突然、2両編成の路面電車に女性専用車両を導入すると発表した2020年9月以降、当会から2度にわたって熊本市交通局に質問状を出している。

いずれも交通局から回答があったが、女性専用車両(優先車両)は「痴漢等、迷惑行為防止の取り組み」という前提での回答であった。

(2020年12月に出した1回目の質問状

ところが、女性専用(優先)車両が本導入されることがほぼ本決まりになった翌2021年3月頃になって、熊本市交通事業管理者の古庄修一氏が2020年9月の市議会で「コロナで市電の利用が減っている中で話題作りのため、女性に快適に乗車していただくため、女性専用車両を設けようというアイデアが出ました」といった趣旨の答弁をしていたことが判明した。(下記)

http://kumamoto.gijiroku.com/voices/cgi/voiweb.exe?
ACT=200&KENSAKU=1&SORT=0&KTYP=0,1,2,3&KGTP=3&FYY=2020&TYY=2020&TITL=
%93s%8Es%90%AE%94%F5%2C%8C%9A%90%DD&TITL_SUBT=%97%DF%98a%81@%82Q%94N%91%
E6%81@%82R%89%F1%93s%8Es%90%AE%94%F5%95%AA%89%C8%89%EF%81%7C09%8C%8E17%93%
FA-01%8D%86&KGNO=1558&FINO=2908&HUID=190151&UNID=K_r02091735011

熊本市議会議事録での「古庄発言」これでは女性専用(優先)車両は、コロナによる減客・減収対策だと言っているようなもの

要するに「コロナウイルスで乗客が減ったから女性専用車両を設置して女性客を呼びこもう!」ということだったのである。

女性客に対する人気取り、コロナによる減客・減収対策であり、最初から「防犯のためのやむを得ない導入」などではなかったのだ。

交通局はそれを「痴漢等、迷惑行為防止の取り組み」などと称していた(今も称している)のである。

しかも、熊本市交通局が女性専用車両の導入を発表した2020年9月から当会で「女性専用車両」「女性優先車両」などのワードで数か月にわたって何度も市議会議事録を検索したのだが、表示されるのは「該当する発言は存在しませんでした」の文字ばかりだった。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-12kumamoto-10.png
熊本市議会議事録の検索画面。古庄氏の答弁から約3か月経った2020年12月の時点でもご覧の通り

ところが先述の通り、2020年9月の古庄氏の答弁から約半年も経ってから、女性優先車両の本格導入がほぼ決まった翌年の3月ごろになってようやくその答弁が公開されたのである。

女性専用(優先)車両の導入が本決まりになるまで、一般に知られないよう公開を遅らせていたのだろうか。

マスコミも偏向報道で女性専用(優先)車両の正当化に加担

2020年9月に熊本市交通局が女性専用車両の導入を発表した直後からマスコミ報道を見た全国の人々から熊本市交通局に反対意見が殺到するも、偏向マスコミが「女性専用車両=痴漢対策」の前提で報道し、さらに「反対意見はなぜか県外からのものばかり」などと、最初から反対意見を「よそ者の意見」として切り捨てた。

そもそも女性専用車両が差別か否かは特定の地方・路線の問題ではなく、「公共交通における普遍的な問題」であるので、このように県外だからと切り捨てること自体おかしい。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-09kumamoto-07.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-09kumamoto-05.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-09kumamoto-06.png

https://www.j-cast.com/tv/2020/09/15394400.html

https://kumanichi.com/news/1601574

https://kumanichi.com/news/1595315

もし、県外からの意見が反対ではなく賛成意見だったら、マスコミはそれを「県外からの意見」と切り捨てただろうか?

恐らく「熊本の女性専用車両導入は地元だけでなく、全国的にも広く支持されている」などとやっていたであろうことは想像に難くない。

要するにマスコミは最初から一方的に賛成側に寄った偏向報道をしていたのだ。

これがマスコミによる世論形成(プロパガンダ)の常套手段ではあるわけだが。

ちなみにネットニュースのコメント欄には地元民からのものと思われる反対意見も少なからず存在したのだが、取り上げられることなく黙殺されてしまった。

 
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-09kumamoto-09.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-09kumamoto-11.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-09kumamoto-10.png  

また、2020年9月に女性専用車両の試験導入を発表してから翌年3月までの間に交通局は2度にわたって乗客にアンケートを取り、女性専用車両に賛成多数だったとして、女性専用車両の本格導入を決定した(本格導入がほぼ決まってから古庄氏の発言が市議会議事録に公開されたのは先述の通り)。

これだけでも交通局・マスコミ共にやり方が非常に汚いといえるが、良く考えてみてほしい。

そもそも公共交通機関に女性専用車両のようなものを設けること自体が「同じ運賃を支払えば誰でも公平に利用できる」という、公共交通の大原則に真っ向から反するものだ。

そこを「痴漢対策のため」と言って、原則を無視して導入されたのが女性専用車両なのである。

なのに今回の熊本市交通局は感染症の流行で客が減ったからと、女性客を呼び寄せ収益を上げるための人気取りサービスとして女性専用車両の導入を行っており、まさに言語道断。

ましてや熊本市交通局は❝公営の❞公共交通事業者である。

公営の公共交通機関がこんなことをしても良いものだろうか?

もっとも、そのあたりを追及しようとすれば「任意のご協力で強制ではありませんので、公共の場における差別には当たりません」と言い逃れすることだろう。

そう考えて行くと、なぜ熊本市交通局が女性専用車両を本導入の際に「女性優先車両」と改名したのか、良く分かろうというものである。

熊本市交通局への3回目の質問状とその回答

先述の通り、1回目と2回目の質問状を出した時点では当会もそうした情報(=古庄氏の発言など)を知らされておらず、何かおかしいと思いつつも一応「女性専用車両は痴漢等の迷惑行為防止の取り組み」という前提で質問せざるを得なかった。

しかし「女性優先車両が痴漢対策ではない」といえるほぼ決定的な証拠が市議会議事録で公開されたため、当会では2021年10月に3回目の質問状を熊本市交通局に出すことにした。

(質問状冒頭の挨拶及び、末尾の連絡先等の記載は省略)

それに対する熊本市交通局の回答は実にふざけたものだった。

(こちらも冒頭の挨拶及び、末尾の連絡先等の記載は省略)

【女性優先車両に関する質問に対する回答】

<質問 1> 貴局市電における女性優先車両の導入について、本当の目的は何でしょうか。

【回答】

これまでお答え申し上げたとおり、市電車内で痴漢や盗撮等の迷惑行為が毎年発生しており、その被害を受けるおそれのある女性のお客様に対し、少しでも安心して利用できる環境を提供するために導入いたしました。

<質問2> 導入理由が変遷しているといえる点」について、その経緯をご説明願います。 また、当初「女性専用」としていたものを「女性優先」と変更した件はこの導入理由の変遷とは関係があるのでしようか。

【回答】 導入理由が変遷している認識はございません。

(補足) 令和2年 第3回都市整備分科会での発言は、委員からの質問に対し、その導入を検討するに至った切っ掛けについてお答えしたもの(他の団体等からのご意見ではなく、現場の提案をきっかけに検討を進めたこと)でありその後局内において検討した結果、被害を受けるおそれのある女性のお客様に対し、少しでも安心して利用できる環境を提供することで、快く市電を利用いただくという趣旨で導入することにしたものでございます。

交通局からの回答はこれだけである。

当会からの質問状には、質問の前に前置き(女性優先車両の導入理由が交通局の発表と市議会の内容とで大きく異なることなど)を記載し、その上で「【これらの経緯を踏まえ】以下の通り質問します」と書いてある。

ところが交通局は「これらの経緯」をほとんどスルーして回答しており、都合の悪いことには触れず、ただシラを切ったようなものである。

<質問1>への回答について、質問状の中で当会からは

「迷惑行為防止の取り組み」に端を発したものではなく、「女性専用車両(女性優先車両)の導入によって話題作りと女性客の呼びこみを行い、新型コロナウイルスの影響による減収対策にしよう」という意図が明白であります。

と言った上で、「本当の理由は何でしょうか」と質問しているのだから、それでもやはり交通局が「女性優先車両は痴漢や盗撮等の迷惑行為防止の取り組みだ」というのなら、きちんとその根拠・理由も言わなければ説得力がない。

なのにそこにはまったく触れずに、ただ「これまでお答え申し上げた通り、痴漢など迷惑行為防止の取り組みです」と、シラを切ったようなもの。

シラを切るだけなら小学生でもできる。

なぜまともに回答しないのか。

一言で言えば「答えられないようなことをやっているから」である。

当会の言っていること(=女性優先車両は迷惑行為防止のためではない)が違うというのなら、きちんと反論すれば良いのである。

それをせずにこのようなふざけた対応をするということは熊本市交通局がどういう考えで女性専用(優先)車両を推していたか、良く分かろうというものだ。

<質問2>への回答についても同様。

「導入理由が変遷している認識はございません」と、とぼけるだけなら小学生でもできる。

古庄氏が「コロナで人が減っている中で、話題作りのため…」と言っていたのが、いつの間にか「迷惑行為防止の取り組み」に変遷しているのは誰の目にも明らかではないか。

(熊本市交通局サイト内、一般向けお知らせページ)

http://www.kotsu-kumamoto.jp/kihon/pub/detail.aspx?c_id=3&id=1156&pg=1

それを理由も述べずに、ただ「変遷している認識はございません」とすっとぼけて済まそうとするのはみっともないにも程がある。

まるで不正を追及されて言い訳ができなくなり、「記憶にございません」を連発している政治家のようだ。

また、回答の最後に(補足)として、

令和 2 年第 3 回都市整備分科会での発言(=古庄氏の発言)は、その導入を検討するに至った切っ掛けについてお答えしたもの(他の団体等からのご意見ではなく、現場の提案をきっかけに検討を進めたこと)であり…

と書いてきているが、そもそもコロナ禍で客が減ったからと、女性専用(優先)車両を導入する話が出てくる時点で「迷惑行為防止の取り組み」はウソである。

逆に言うと、コロナ禍による減客・減収がなければ女性専用(優先)車両導入の話は出て来なかったわけで、これを

その後、局内において検討した結果、被害を受けるおそれのある女性のお客様に対し、少しでも安心して利用できる環境を提供することで、快く市電を利用いただくという趣旨で導入することにしたものでございます。

などと言っても、客寄せのために女性専用(優先)車両を導入したのを、後から「迷惑行為防止の取り組み」にかこつけて正当化しているだけなのがバレバレである。

これだけ見ても、熊本市交通局がいかに腐りきっているか、よくわかるだろう。

このすぐ下の「熊本市交通局は女性専用(優先)車両に集客効果を期待していた」の項で後述するが、
実は交通局自身も女性専用(優先)車両導入による集客効果に非常に大きな期待を寄せていたのである。

当会は熊本市交通局に対し「(交通局が自ら)女性客寄せのためにやったんだろう?迷惑行為防止は建前だろう?」と今回の質問状で追及したわけだが、いずれにしても交通局は当会の追及には答えず、シラを切っただけで完全スルーした形である。

「女性専用(優先)車両も本決まりになったので、あとは反対派が何を言おうがもう女性優先車両の本格導入は動かない。だから都合の悪いことを突っ込まれても、まともに答えず適当にあしらっておけばそのうち諦める。」と見くびって、交通局はこのようなふざけた回答をしてきたのだろう。

だからこそ徹底的に非協力(任意確認)乗車して、こちらからも「決して諦めない」と意思表示をする必要がある。

諦めたら交通局の思う壺だ。

インターネットを見ていると、我々の非協力(任意確認)乗車という「諦めない意思表示」に対し「女性専用車両に不満があるなら、無理やり乗り込んで迷惑かけるという馬鹿なことはしないで本社(本局)に直接言えばいいのに反対派って何でこんな簡単なことも分からないんだろうね。」などという人間がいる。

だが何も分かっていないのは実はそのように言う人間である。

本局に直接言えば交通局が言うことを聞いてくれると思っているのだから。

それに女性専用車両(熊本は「優先車両」だが…)と書いてあっても、これは「男性は乗車禁止と勘違いさせるため」であって実際は任意協力なのだから、乗ったから迷惑と言うのもおかしい。

本当に「女性専用」だと勘違いしているから迷惑と思うだけである。

他の車両に男性がいただけで迷惑と思うかどうか考えてみれば良い。

女性専用車両も「”女性専用”車両と書いたステッカーを貼った、ただの一般車両」であって本当に女性専用というわけではない。

我々の非協力(任意確認)乗車という「諦めない意思表示」に対し「反対派は本局に行け」と批判する人は、一度ご自身が交通局に直接行って「男の乗車を禁止にして下さい」と申し入れてみてはどうだろう?

局がどういう対応をするか、よくわかるはずだ。

熊本市交通局は女性専用(優先)車両に集客効果を期待していた

ここまで、

「熊本市交通局は女性優先車両を女性向け人気取りサービスとして捉えている」

「迷惑行為防止の取り組みはウソだ」

と言い続けてきたが、中には「本当にそうなのか?」と思う人もまだいるかもしれない。

「確かに市議会で交通事業管理者の古庄氏が『コロナで人が減っているので何とかしたい中で、女性専用車両を設けたらどうだろうというアイデアが…』と発言していたが、それは古庄氏がそう言っていただけで交通局全体が女性専用(優先)車両を『女性客を呼びこむための切り札』だと考えていたと言えるのだろうか?」と。

実は交通局側が女性専用(優先)車両をどのように考えていたかが良く分かる、こんなエピソードがある。

2020年9月に交通局が女性専用車両の導入を発表した際「わずか2両編成で女性専用車両を設置して混乱を生じないか?」という懸念の声がネットをはじめ、あちらこちらで上がったのだが、交通局がそれに対して、

「乗客の男女比が1:1なので、2両に1両女性専用車両を設けても今まで一緒に乗車していたのが分かれて乗車するようになるだけなので問題ない」

などと答えていたことがある。

すでに女性専用車両が導入されている路線を利用している人なら分かると思うが、女性専用車両を設けたからと言って女性がすべてそちらに行くわけではない。

だからこそ女性専用車両を導入しても痴漢がなくならないのである。

交通局は「女性専用車両を設けると女性が100%女性専用車両に乗るはず」という、ありえない思い込みをしていながら、それを全く意識していないのだ。

さらに交通局はその「女性専用車両を設置すると100%男女が分かれる」という思い込みを前提にして、

「他の時間に利用していた女性が女性専用車両に乗りたいと考えることで、女性専用車両の混雑率が上がるかも知れない」

などと、さらにぶっ飛んだ回答をしていた。

つまり、「熊本市電の利用者の男女比は1:1で、女性専用車両を導入すると女性がすべてそちらに行く。なので男性が乗る非女性専用車両はこれまで通りだが、女性専用車両の効果で女性客が大幅に増えて、そちらが混雑してしまわないか?」と言っているのである。

これは2020年9月11日付の「FNNプライムオンライン」で報道されたものだが、これを見ても熊本市交通局の考えがいかにズレているか、手に取るように良く分かるだろう。

2両編成の1両を“女性専用車両”に…路面電車に試験導入する熊本市に聞いた(FNNプライムオンライン)

https://www.fnn.jp/articles/-/81330

熊本市交通局は「女性専用(優先)車両を設けると、まるでアイドルにキャーキャー言って群がるファンのように女性客が女性専用車両に乗りたがり、どんどん集まってくるだろう」と考えていたのである(もちろん実際にはそんなことにはならないが)。

すなわち、「熊本市交通局は女性専用車両設置による客寄せ効果に強い期待を寄せていた」ということになる。

またこの発言(報道)について、2020年12月に出した当会からの1回目の質問状で交通局に「本当に事実なのか」と確認を取ったところ、回答で「事実であること」を認めていた。

(質問6とその回答を参照)

なおこれは余談だが、熊本で2両中1両女性専用(優先)車両を設けても混乱しなかったのは、もともと首都圏や関西圏ほど人が多くないというのもあるが、一番の理由は朝の時間帯は数分に1本程度の高頻度運転を行っている上、女性優先車両がある列車はその中のごく一部(10本中1本程度)だからである。

交通局の言うように「今まで一緒に乗っていたのが男女分かれて乗るようになっただけだから」では、決してない。

それは2020年12月に行った、熊本市電への非協力乗車会で女性専用車両でない前方車両にも女性客が多数乗っていることを確認済みである。

質問状への回答だけではない、熊本市交通局のふざけた対応

上記の「3度目の質問状」(2021年11月)からは少し戻るが、熊本市交通局通局は2021年の3月に女性専用(優先)車両の本格導入を決める前に、一度「1月から本格導入を行う」と発表したことがある。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-12kumamoto-11.png

この時は市議会で「拙速すぎる」との批判を受け、とりあえず3月に延期したようだが、なぜ熊本市交通局はこのような「拙速な」本格導入を実行しようとしたのか?

実は、当会が2020年の12月7日に熊本市交通局本局を直接訪問し抗議活動を行ったのだが、それに先立ち11月の下旬に「12月7日にそちらを訪問したい」と、交通局に申し入れていたのである。

すると当会が訪問する直前の12月4日になって突然「熊本市交通局が2021年1月から女性専用車両を本格運用」というニュースが流れ、12月7日の交通局訪問の前日(つまり12月6日の夜)全国から熊本に集まったメンバーが急遽、交通局に直接質問する内容を変更する話し会いを行わざるを得なくなったのである。

2020年12月 熊本市電非協力乗車会&熊本市交通局訪問の報告

もちろん、女性優先車両の本格導入発表がたまたま当会の訪問の直前になった可能性も完全に否定は出来ないが、当会の申し入れを受けて交通局がそれに合わせて本格導入を発表したのなら、かなりやり方が露骨だとも言えるだろう。

それこそ当会が抗議に行った時点で「既に本格導入は決まってしまいましたので、残念でした!」で片付けようとしていたのではないかと勘ぐってしまう。

しかもその上、当会が12月7日に実際に交通局を訪問すると「このあと研修があるので」と対応を非常に短い時間で切られてしまい、こちらが言うべきことも十分に言えないまま抗議を終わらされてしまった。

これも本当に研修があった可能性もゼロとは言いきれない(あるいは当会が抗議に来ると知って、わざと研修を入れた可能性もある)が、やはり当会をさっさと帰らせるための作戦だったと見るほうが自然な気がする。

当会が訪問の一か月以上前から話し合いを重ね、本格導入を阻止するべく作成していた質問の数々も、訪問直前の「本格導入決定発表」で大幅に書き直さざるを得なくなった。

仕方なく訪問前日に熊本市内でミーティングを行って、限られた時間内で必死で質問の内容を話し合いなんとか作り直したのだが、それで実際に訪問したらこれである。

このことからも、熊本市交通局は女性優先車両を本格導入するため、反対派対策としてあの手この手を尽くしていたことが分かる。

もちろんここまで再三述べて来たように、痴漢被害から女性を守るためではない。

世間一般の人々からすれば、恐らく「女性専用車両は痴漢被害から女性を守るために設置されたのに、それを理解できない男たちが差別だの不公平だのとゴネている」程度の認識しかないだろう。

そして交通局もそれを知っていてわざと「迷惑行為防止の取り組み」などとウソを言っているのだろう。

「コロナによる減客・減収対策」という本当の目的を隠すために…

先ほども貼ったが、交通局がウソつきだと再認識していただくため、もう一度熊本市交通局サイトに記載されていた「女性優先車両導入の背景」を貼っておく。

痴漢対策・迷惑行為防止の取り組みではないからこそ、交通局はそれを指摘される前に先回りしてわざわざこのようなページをアップし、「これは迷惑行為防止のための取り組みなんです!」と予防線を張っておく必要があったのだろう。

ここまできっちりとこのページを読んでくださった方なら、当会に偏見のある人や女性専用車両を自分の既得権益だと捉えているような人でない限り、交通局の言う「迷惑行為防止の取り組み(痴漢対策)」など、単なる「表向きのキレイごと」であることがお分かりいただけると思う。

だからこそ私達は抗議活動を行っているのだ。

そして抗議の対象は「女性」ではなく、このようなふざけた態度をとる鉄道事業者である。

当ページをお読みくださっている皆様へ

世間では特にインターネット上の女性専用車両賛成派や当会アンチなどは、反対派が『女性だけ優遇されてずるい!』という認識で女性を憎んだり怨んだりしているという方向に話を持って行きたがる傾向がある。

「常に女性に恨みや憎しみを抱いており、そのうち女性に対して恐ろしいことをやりかねない」といった実際とかけ離れた反対派のイメージを世間に垂れ流しているのだ。

またマスコミがそういった記事を流すこともある。

「女性専用車両を許せない男」が女性に抱く6種類の怒り-「この世は女尊男卑」と信じる人たち
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

https://president.jp/articles/-/37888

この記事の書き手は「女性専用車両反対派=ミソジニスト(女性嫌悪者)」と、本当にそう思って書いているのなら、もう少し当会をはじめ反対派のことを良く見るべきだろう。

まさかとは思うが、意図的に女性専用車両反対派=ミソジニストと世論を誘導しようとしたのならとんでもない事である。

(とは言え、この世に一人でも「女性専用車両反対を唱えるミソジニスト」がいれば、この記事も一応は「嘘はついていない」となってしまうので、こちらとしては何とももどかしいところではある。)

先ほども言ったが、私達の活動対象は鉄道事業者である。

鉄道事業者に文句が言いたいのであって、女性に文句が言いたいのではない。

女性の側から文句を言ってくればこちらも対応せざるを得ないが、それが当会の目的ではない。

私達は鉄道事業者や専用車両推進派(男女問わず)に異を唱えているだけであり、女性を憎んでいるわけではない。

ただ、公共交通機関における男女差別に疑問を抱き、活動しているだけなのだ。

当会は性別に関係なく、当会の活動の趣旨を理解し同意してくださる方なら入会を受け付けているし、実際に女性の会員もいる。


以前、当会関東本部の活動を取材していただいたマスコミ記事。女性会員の存在も記載されている(左の記事のアップ)

大体、当会が本当に女性を憎悪するような団体なら、そもそも女性の入会を受け付けるわけがない。

当会は「男女が憎しみ合わない社会を」をスローガンに掲げている団体であり、女性に対する憎しみや恨みから「坊主憎けりゃ袈裟まで憎し」で「女性専用車両反対」を言うような人は当会に入会を申し込んできたとしてもお断りである。

もちろん当会の活動趣旨を正しく理解し、賛同いただける方には是非とも当会に入会していただきたい。

先ほど、交通局は反対派など軽くあしらっておけばそのうち諦めると思っている。だから徹底的に非協力(任意確認)乗車して、こちらからも「決して諦めない」と意思表示をする必要があるのだと述べた。

しかしながら現在、熊本には非協力乗車する会員がいない状態である。

当会から何度か会員が関東・関西・名古屋などから熊本に出向いて非協力乗車などをしているが、毎日のように乗車するわけには行かない。

この先も交通局を牽制する意味でも、熊本やその周辺にお住まいの方で女性専用車両に反対の方や交通局のやり方・態度に疑問を感じる方は是非入会申し込みフォームより入会申し込みいただきたい。

今回は「熊本市交通局の女性優先車両は迷惑行為防止の取り組みを口実にした女性客寄せサービス」という話をしたが、これは熊本だけの特殊事情ではない。

当会サイトでは関西のJR西日本の実態なども再三取り上げてきた。

もし興味があれば過去の活動履歴も読んでみてほしい。

もちろん熊本市交通局通局やJR西日本以外の鉄道事業者でも、女性専用車両が客寄せやイメージ戦略・広告料収入源などになっていることは往々にしてある。

引き続き関東・関西・名古屋(札幌や福岡も)の新規入会も受け付けているので、熊本以外の方も是非お願いしたい。

カテゴリー
活動履歴

2021年12月 首都圏の鉄道事業者の対応について国土交通省に通報

このところ首都圏の鉄道事業者では任意確認(非協力)乗車の男性に対し、半ば降車・移動を強制するかのような対応が当たり前のようになっており、このことについて当会の会員が国土交通省に電話で問い合わせ、担当者にその実態を伝えました。

その結果、担当者からは鉄道事業者に聞き取りと指導を行うとの回答がありました。


首都圏の鉄道事業者のひどい対応を国土交通省に【通報】

【任意協力】だからこそ「差別ではない」ことになっている女性専用車両の強制は許されない。

国土交通省の公式見解

当会サイトをいつもご覧の皆様は既にご存知かもしれないが、まずは国土交通省の公式見解をご覧いただきたい。

***************************

国土交通ホットラインステーション
東京都千代田区霞が関2-1-3
連絡担当 西川
TEL 03-5253-8111(代表)
03-5253-4150(直通)

***************************

*********************************
*********************************

以下のとおり回答します。

現在各鉄道会社で導入されている女性専用車両については、あくまでも利用者のご理解と任意のご協力のもとに行われているものであり、法的な根拠はありません。

女性専用車両はあくまでも男性利用者の任意のご協力のもとに実施されているものであることから、実際の運用に際して、駅係員等が誤乗車された方に対して呼びかけ、ご協力をお願いすることはあると考えます。

しかしながら、強制的に降車させるような行為は不適切と判断されることから、そのような事実があれば指導して参りたい。

つまり、全国の鉄道事業者の監督省庁である国土交通省が「女性専用車両は任意協力であり、法的根拠はなく、強制するのは不適切である」との見解を示しているのだが、最近、首都圏の鉄道事業者は女性専用車両に男性を乗せないよう、ほぼ強制ともとれる対応を取っている。

女性専用車両は本当に強制すると憲法(に示された両性の平等)云々になりかねない代物であり、任意協力だからこそ「公共の場での差別ではない」ということで、何とか罷り通っているのだが、それを事実上強制するのは非常に由々しき問題である。

首都圏鉄道事業者の実態

当会サイトでは「活動履歴」として主に任意確認(非協力)乗車会の報告などを掲載しているが、当サイトに掲載しているものが全てではない。
ここしばらく関東の乗車会の活動履歴を出していなかったが、実はこのようなこと(下記)があったのである。

2021年10月15日 JR中央・総武線

千葉駅から任意確認乗車を開始。

西船橋駅で一旦下車するまでは特に何もなかったが、西船橋駅8:48発 中野行き各駅停車に乗るため当会会員が女性専用車位置に並ぶと運転士が声掛けをしてきて、

「女性専用車両です。皆さん、決まりを守っています。隣の車両に移動してください。移動していただけないということでしたら駅員を呼んで強制的に降りていただきます。女性専用ですから。」

と、明らかに「女性専用車両は強制」である旨の発言をした。

西船橋駅で声掛けしてきた運転士

それでも会員達が乗車すると、今度はその先の市川駅で助役1人と駅員3人が乗車してきて、かなりの勢いで詰め寄ってきた。

そして、

「(女性専用車両には)意味があります。女性専用で不安な女性達が大勢乗っています。今すぐ降りてください。降りないと発車できません。ご理解ください。他の皆さんはちゃんと守ってますよ!」

などと発言し「降りないと列車を発車させない」と、半ば強制的に降車させようとした。

さらにその後、錦糸町駅や浅草橋駅でも一旦下車して後続の列車に乗り換えたが、浅草橋9:24発の列車の運転士が列車をホームに停車させた後、運転室のドアを開け、

「女性の方ですか?違うので隣に移ってください。あ!この方は障がい者なのでお付き添いとしてなら乗れます(障がい者の方とは隣にいた別の会員のこと)。男性は乗れません。皆さん守ってますよ」

…「皆さん守っている」からどうだというのだろうか?

法的根拠のある(最低でも輸送約款に規定のある)ものならまだしも、そうでもないのに「みんなが守っているから必ず守るべき」というのなら、

【ただの同調圧力】である。

さらにその先の中野駅で駅の助役に浅草橋でのことを話すと、

「女性専用でご利用いただいており、男性の方をお断りして運行しています。理由は不安な女性のお客様が大勢乗っているからです」

と回答。

「不安な女性客がいる」などと、女性客の存在を盾に「女性専用で男性はお断り」というウソを正当化した。

「不安な女性がいる」といえば一見もっともらしく聞こえるが、そもそも女性専用車両が女性にとって素晴らしい場所とは限らない。

「女性専用車両は女性が唯一、安心して利用できる場所」みたいな思い込みのようなものが存在するが、それはステレオタイプ(固定観念)というものである。

特に最近は列車内での犯罪が多様化しており、凶器を使用しての無差別事案も複数発生していることから、防犯上からも男性乗客の存在は犯罪抑止力として重要度を増しており、また加害者が女であるケースも散見される(つい先日も横浜市営地下鉄で女がハンマーで無差別に他の乗客を殴るといった事件もあった)ことから、

「女性のみの空間では絶対の安全が保たれるとは言い難い」のではないか?

また、女性専用車両に賛成している女性の中でも「わざわざ選んでまで乗らない」という意見が少なくないということにも留意する必要がある。

2021年10月20日 東京メトロ千代田線

北綾瀬8:28発 明治神宮前行きに乗車。

列車が町屋駅付近に差しかかった時、車掌が肉声で以下の様なアナウンスをした。

「女性専用車を利用可能なお客様は、女性のお客様・男性の障がい者と介助者もしくは小学生以下のお子様に❝限られます❞のでご理解ください」

現在、日本の多くの鉄道事業者は女性専用車両には「男性の障がい者・介助者、小学生以下のお子さまも乗れる」としているが、それ以外の男性の乗車についても任意のはずである。

「男性の障がい者・介助者、小学生以下のお子さま」に【限られる】と言うのであれば、これは明らかに「女性専用車両は強制である」と言っているようなものであり、事実に反する。

このあと、女性客が車掌に「男性が乗っている」と言いつけると、車掌はさらに肉声で

「女性専用車が利用できる男性の方は、小学生以下・障がい者あるいはその介助者に❝限られます❞。」

と会員個人に対して言っていると思われるアナウンス。会員は車内の笑いものにされてしまった。

その放送を行った車掌になぜそのようなアナウンスをしたのかと質問すると、「女性客の要望を聞くマニュアルになっているのであなたに対して個別の放送をした」と発言。

車掌に質問

2021年10月22日 JR中央・総武線

会員達が西船橋駅8:01発の列車に乗るため女性専用車位置に並ぶと、運転士と車掌が声掛け。

運転士:「女性専用です。移動してください。」

車掌:「移動する決まりです。ステッカーに書いてあります。」

女性専用車には法的根拠がないのはもちろん、輸送約款にさえ「男性は女性専用車から移動しなければならない」などという規定はない。

「ステッカーに女性専用と書いてあるから移動するのが決まり」などとは、デタラメもいいところ。

そもそも任意協力で法的根拠も強制力もないものに女性「専用」などという名前をつける方がおかしいのだが…

そして電車が発車すると、10月15日の時と同様にやはりその先の市川駅で駅員2人と助役1人が乗ってきて個別の声かけをしてきた。

JR中央・総武線の電車(当日撮影)

2021年11月26日 JR中央・総武線

西船橋駅8:08発の列車に乗ろうと乗車位置に整列していると運転士が声をかけてきた。

「女性専用です!この車両は乗れません!遠慮してもらってます!皆さん守ってます!特別扱いは出来ません!ルールを守ってください!お断りしてます!」

女性専用です → ウソ

この車両は乗れません → ウソ

皆さん守ってます → ウソついて「乗れない」と思わせているだけ

特別扱いは出来ません → 特別扱いは女性専用車両のほう

ルールを守ってください → 任意協力であり、男性が乗ってはいけないというルールなど存在しない

もう滅茶苦茶である…

それにしてもJRの駅員や乗務員は皆そろって同じことを言う。

「女性専用車両は決まりだ」

「みんな守っている」

「乗っている女性はみんな不安がっている」

等々…

恐らく、女性専用車に男性がいたらこのように対応するよう「マニュアル化」しているのだろう。

つまり現場の判断ではなく、会社ぐるみで女性専用車を半ば強制しているといえるのではないだろうか?

東京メトロについても車掌が「女性客の要望を聞くマニュアルになっている」とはっきり言っているので、これも現場の判断ではなく、会社からの指示と考えられる。

国土交通省に通報

このように首都圏の鉄道事業者は最近、あからさまに女性専用車両を強制するような態度を取っている。

しかし、任意確認乗車を続けるだけではこうした鉄道事業者の「女性専用車両の任意性」を蔑ろにするひどい対応が改まるとも思われない状況であることから、当会の会員の一人が国土交通省に電話をかけ、担当者に首都圏の鉄道事業者の実態を詳しく話した。

国土交通省に電話

電話に対応したのは国土交通省・鉄道局お客様サービス政策室担当者のK氏。

K氏によれば、上記会員からの報告にあったような「男性の乗車はお断りしている」「移動をしていただく」等の関係者の発言は「明らかに女性専用車両の運用ルールに反した対応」であり、この件については追ってJR・地下鉄(東京メトロ)へ聞き取り、指導を行うとのこと。

一方で「しつこい協力要請」については「鉄道各社で対応が異なるため、国交省からどうせよとは言い難い部分がある」との回答だった。

しかし少なくとも、改めて女性専用車両の運行に際し、男性の乗客に対し強制と取れる言動・対応はできないことについて確認が取れたので、今後多少なりとも男性の乗車に対する鉄道関係者の態度は軟化する可能性はある。

先ほども言ったが、女性専用車両は本当に強制すると憲法云々になりかねない代物であり、任意だからこそ「公共の場での差別ではない」ということで何とか罷り通っているのだ。

今では大都市圏の路線に女性専用車両があるのが当たり前のようになってしまい、「実は公共交通機関にはあるべきでないものを『痴漢被害が深刻だから』『緊急措置だから』と理由をつけて押し切って導入したもの」という認識が利用者にも鉄道事業者にもなくなってしまっているのではないだろうか?

そういうと「痴漢被害が深刻だからこういう措置を取らざるを得なくなったんじゃないか!」と言いだす人が必ず出てくるが、これも当会が繰り返し「痴漢対策は建前」と言っているように、「痴漢対策のために緊急避難措置として設けられたもの」という前提が本当かどうかは極めて怪しい。

百歩譲って本当に痴漢対策だとしても、何もその手段が女性専用車両でなければならないと言う理由はどこにもないのだ。

車内監視カメラがJR埼京線で大きな効果を発揮したというのは既に多くの人が知るところであり、当会も以前から「性犯罪対策も含む多様な犯罪対策推進を」と、鉄道事業者に対して訴えかけ続けてきた。

そして近年では実際に監視カメラを設置する鉄道事業者も全国的に増えてきている。

ならば憲法云々にもなりかねない、グレーゾーンの女性専用車両は廃止するべきと言いたくなるが、実際にはそのような話にはまったくならない。

まあ「女性専用車両の代替案」として監視カメラの設置を主張すると(JR埼京線での痴漢6割減の実績は無視して)「監視カメラごときに何ができる」「カメラには死角がある」「設置する費用が莫大だから無理(→実際はそうでもない)」「プライバシーの侵害だ」などと非難の声が上がる一方で「監視カメラの設置が進んでも女性専用車両の廃止にはつながらない」と分かると、そうした非難の声が聞こえてこなくなるという現状では代替策によって女性専用車両が廃止になることは期待できないだろう。

やはり少しでも多くの男性が実際に乗車して「任意という名の強制」を許さないようにし、女性専用車両を形骸化していくしか、今のところはないのではないだろうか。

カテゴリー
活動履歴

2021年11月 札幌市交通局訪問の報告

※このページは「2021年11月 北海道:札幌市営地下鉄南北線 任意確認(非協力)乗車会」からの続きです。

2021年11月1日の朝、地下鉄南北線での乗車会のあとに東西線で大谷地にある交通局を直接訪問し、約45分ほど女性と子どもの安心車両について抗議してきました。


札幌市交通局を訪問

朝から地下鉄南北線で任意確認(非協力)乗車会を行った後、私達は地下鉄東西線に乗り換え、大谷地にある札幌市交通局の本局に向かった。

そして午前10時から交通局側と対談することとなった。

札幌市交通局庁舎外観
庁舎前の石製の看板

私達(当会側)は3名。そして交通局側も3名で対応。

うち2名がこちらの質問等に口頭で回答し、後の1名は「対談の内容を紙に書きとめる役」という形だった。

以下、当会の会員達と交通局側とのやり取りである。

交通局のサイトには「男性が乗車しても声掛けはしません」とあるが…

会員C:よろしくお願いします。

会員C:さっそくお伺いさせていただいてよろしいでしょうか?
交通局のサイトには「安心車両に男性が乗車しても任意によるものなので声掛けはしない」と記載しておられますが、現場の職員などにも声掛けなどはしないよう、指導はしておられるのでしょうか?

交通局A:乗務員には声掛けしないように(指導)しております。

会員C:実際に乗車すると、今でも時々声掛けがあるんですが、それについてはどうなんですか?

交通局A:駅員ですか?

会員C:乗務員(運転士)ですね

会員A:特に南北線だと安心車両が先頭車(※真駒内方面行きの場合なんで、入る際についでに声かけしてくるパターンが結構ありますね。

会員C:一応任意ということになってて、サイトにも「声かけはしません」と書いてあるのに、声掛けがあるというのは「事実に反する」ということになるので、これは何とかしていただきたいですね。交通局さんの方では実態は把握しておられますか?

(しばらく沈黙)

会員A:交通局さんの乗務員とホーム上に立っている振興社の人間(※2)は別ということですか?
声掛けをするかしないかに関しては…振興社の人間は声掛けしてくるが、運転士はしないと…

※2:「振興社の人間」とは改札やホームにいる駅員のことを指す。札幌市交通局は地下鉄の現場での業務を業務委託している。

交通局A:同じですね。

会員A:同じですか、声かけはしないということで…

交通局A:実際には知らずにホーム(の安心車両位置)に並ばれているお客様もいらっしゃるかもしれないので、その場合は案内させていただく場合はあるかもしれませんが、注意とか指導とか出来ないのは駅員も全員知ってますから…
注意とかでなく、「ここはこう言う車両になってまして…差し支えなければ」というようなことをやっているのは承知しておりますが…

会員A:(交通局さんは)そう思っておられると思うんですよ。
でも、現場だと「乗れないです」っていう人がいるんですよ。
振興社の人(駅員)が「乗れないからあっち行ってください」って。

8月に会員Aが南北線で乗車した時のこと

会員A:あと、さっぽろ駅で過去(2021年8月)に一度あったんですが、あそこは対面式と言うか島式ホ―ム(つまり真駒内行きも麻生行きも同じホームに発着する)なんですけど、そこで麻生行きに乗ったり真駒内行きに乗ったり(つまり、非協力乗車で南北線を行ったり来たり…会員Aは定期券で乗車)していると、駅員が「目的地に迷っているんじゃないかと思って声かけしました」って言いながら安心車両の声掛けをしてくるんですよ。言っている意味わかります?
「安心車両の案内」をしてくるから「なぜ声掛けしたのか?」と問えば、「目的地に迷っていると思って…」なんですよ。
迷っていると思うんなら「どちらに行かれますか?」と言えばいいのに(※3)

※3:その駅員は安心車両の声掛けをして会員Aに抗議されたため、「目的地に迷っているのかと思って…」と、思い付きの言い訳をしたと思われる。

会員A:恐らく交通局さんはこういう実態を把握しておられないと思うんですよね。

(しばらく沈黙)

交通局A:現場でこういった声掛けがあるのであれば、これはちょっと、言わなきゃいけない…

会員A:で、以前交通局さんにこの件(8月の件)電話したと思うんですけど、南北線のさっぽろ駅の男性のMさんという駅員の方なんですよ。恐らく、新卒でまだ経験ないんでしょうね。
私に「ここ安心車両ですので」と個別に声掛けしてきたから、なぜ声掛けしたのかと聞くと「全員に声掛けしている」と言うんですよ。
「交通局からの指示で個別じゃなくて不特定多数に声掛けする」と…。
「不特定多数に声掛けするというなら、並んでいる特定の個人に声掛けするんじゃなくて、その場にいる全員に声掛けしないとおかしいだろう」と言うと「それはやらない」と…そして声かけについては「交通局からの指示」だと繰り返すばかりで…。
交通局さんとしては不特定多数に声掛けすることを指示しているのか、個人を選んで声掛けすることを指示しているのか、どちらなんですか?

交通局A:そこは細かい指示は出ていないですね。

会員A:では声掛けをしろというわけですか?

交通局A:ご協力をお願いしている。

会員A:誰に対して?

交通局A:お客様に対して。

会員A:お客様全員に対してですか?

交通局A:男性のお客様に対して。

会員A:男性というのはどうやって判断されるんですか?

交通局A:それはその、現場で判断するしかないですね。

会員A:現場はそれは社会的に失礼な行為だと認識しているらしいです。
今まで私、何人もの駅員に聞いてきましたが、ほぼ全員「見た目で判断して声かけするのは失礼だ」と認めているんですよ。
そこは私達の見解と一致しているのですが、あなた方(交通局)はそういう、社会的に失礼な行為を推奨されるのですか?

交通局B:トランスジェンダーの方とか、そういう方々に対してということですか?

会員A:それも含めて、見た目だけで男性か女性かを判断して声掛けするのが失礼ではないかということです。

交通局B:それ(見た目判断での声かけ)自体が失礼だと…

車両の名称にも疑問

会員B:そもそも名前が「女性と子どもの安心車両」という名前じゃないですか。
これだと「それ以外は安心でなくてよい」とも捉えられるんですが、それはおかしくないですか?

会員C:女性と子どもだけではなく、誰しもが安心して乗れるのが本来ではないですか?
それに、もう一つ言うとあの名前だと…恐らくは「専用」という言葉を避けたのだとは思いますが、今の安心車両という名前も「男性がいないから安心」という風にとれます。
これは男性客に対してかなり失礼ではないですか?

これについてはどうお考えなんですか?

(しばらく沈黙)

交通局B:まあ、その男性一般…一番悪いのは痴漢とかを働く人で多くの方はそのようなことをしないのは我々も承知しております。
この取り組みをもって男性全般が悪者であるということには一切なっておりませんから。

会員C:交通局さんの見解はともかく、世間にそう思っていただけるかどうかはまた別だと思いますが。

会員A:対象は男性全体じゃないですか。男性全体を締め出すような運用だったり案内をしているじゃないですか?

交通局B:あの…出来ませんので、痴漢だけを排除する…

会員A:だったらするべきではないんじゃないですか?

会員C:それに、痴漢対策と言ってもそういう車両を設置するだけが対策じゃないはずですよ。
実際に監視カメラで大きく痴漢件数が大きく減った路線もありますし、専用車、こちらでは安心車両ですが、なぜそれを任意協力にしているかと言えば、憲法などの絡みから本当に強制は出来ないからそうしているわけでしょう?
こういうことは本来、公共交通機関でやるべきことではないのでは?
他に方法があるのだから何もこんなことをわざわざしなくても、と言いたいですが…

安心車両(女性専用車両)は今の時代にそぐわない?

会員B:見た目で声かけするというのは失礼だと思うんですよ。
体は男性でも心は女性という方もいらっしゃいますし、そういう人が(見た目男性だからと)声をかけられたら傷つくと思います。
そもそもあれだけでかでかと(安心車両の)案内を貼っていたら、誰でも気づくと思うんですよ。
あれだけ案内出していて間違えて乗るというのもないと思いますが…

会員C:そもそも痴漢対策と言っても、こういう方策を取ること自体方向性が違うんではないですか?

(しばらく沈黙)

交通局B:被害者と言いますか、女性の立場で考えた場合、過去に被害にあったトラウマであったり、それで男性嫌いになっちゃったりとか、怖いとかそう言う人はこの車両があることでそれを避けることができるというのは事実だと…(※4)

※4:「痴漢を避けるため」というのと「痴漢被害のせいで男性が嫌いになったので(痴漢ではない)男性も避けるため」というのでは意味合いが全く違うが、いつの間にかすり替わっていることに注意

会員A:公共の場でやる必要あるんですか?電車は公共の場ですよね?
男性が存在するのも当然じゃないですか?わざわざそこでやる必要あるんですか?
男性が存在して当たり前の場所にわざわざ自分から出てきているわけですよ。
それで男性が怖いというのは通らないんじゃないですか?
男性も誰だって望んで今の性別に生まれたわけではないですよ。
そういう生まれつきの属性を理由に公共の場から排除しようとするというのは違うんじゃないですかね?

(しばらく沈黙)

交通局B:これは、いただいたご意見として…

会員B:男性が女性になりたい、あるいは女性が男性になりたいといってもなれないじゃないですか。

会員C:本人の努力でどうすることも出来ない生まれつきの属性で扱いに差をつけるようなことには本来慎重でなければならない。
まして公共交通機関ですからなおさらだと思いますが、こういう車両をもう10何年も続けていらっしゃる…なぜなんですか

交通局B:2007年…

会員C:はい。

会員A:2007年と今だったら当然(世間の)考え方も全く別ですよね。

交通局B:トランスジェンダーというのが…まあ、この15年くらいで社会の考え方も変わって来ていると思いますから、あの、まあ見直すきっかけに今後なっていくのか、それはちょっと今すぐ結論は出ないんですけど、もし痴漢対策を今後、札幌市交通局としてしていくことがあればですね、こういう性的な配慮っていうのは当時、15年前よりはですね、また少し違った側面も見ながら考えていく必要があるのかなというのは、感じたことはありますね。
あまり男・女と言うのを前面に出してやってしまうというのは確かに時代としては違うのかな、というのは感じていますね。

会員A:現状の案内はそうですよね。男性が、女性が、とよく仰ってますよね。

交通局B:まあ15年前の取り組みを、ひとまずは継続はしています。

会員C:何か、ずっと継続しなければならない理由でもあるんですか?

会員A:公明党さんおっかないですか?やっぱり。そんなことないですか?

(しばらく沈黙)

交通局B:「無くせ」という声を強くいただくことは、そんなにはないですね。
まあ我々もいろいろな苦情をいただきますけども、逆に東豊線は編成が少ない
(※5)ので安心車両がございませんけど、高校生とかこういう若い人が多いので、たまに「東西線・南北線と同じように安心車両をつけてほしい」と言うのをいただくんですけど、そっちのほうがお声としては多いですね。

※5:東豊線は4両のため安心車両の設定がない。南北線・東西線は6両。

交通局B:ただやはりそれを導入することで、その代わりに不便になる部分、それは男性の方が残り3両を選ばざるを得なくなるという制限も出ますから、それはちゃんと見極めて勘案しなければならないということで、すぐに導入するという話にはならないですね。

会員C:先ほども申し上げましたが、何も痴漢対策と言えば専用車(安心車両)だけではない、他にもいろいろあるんですから、そういうところで「きちんと痴漢対策しています」というアピールは出来ないんですか?
監視カメラはもちろんですが、それだけじゃなくて例えば警備員を増やすとか、どうしても乗車するのが怖いという方には私服警官の付き添い乗車とか、何なりと方法はあると思うんですけどね。

女性は「交通弱者」として「最優先」なのか?

会員C:交通弱者と言われる人々がいますが、痴漢被害者だけでなく、足腰の弱った高齢者なども交通弱者と思います。
女性と子どもの安心車両などと言っていますが、これに足腰の弱った高齢の男性なども含めて、交通弱者のための車両にするとかできないんですか?
さらにその車両については他よりも警備を重点的にするとかすれば、男だから乗るなとか…実際には任意協力といいつつ、事実上排除みたいな感じになっていますが、そう言うのは避けられるんじゃないですか?

交通局B:車いすスぺースという、車椅子・ベビーカー用のそういう方のために空けていただく場所を設けています。全部の車両ではないんですが。

会員A:東豊線だけじゃないですか?南北線ついてますか?

交通局B:全線についてます。あとは専用席(※6)とか、そういう困難を抱えている人たちのためのスペースというのは今もあるんですが…

※6:札幌市営地下鉄では安心車両とは別に全ての車両に優先席ではなく「専用席」が設けられている。

会員C:身体障がい者については「介護者も含め(安心車両に)ご乗車いただけます」とは案内されていますが、高齢男性については少なくとも安心車両の案内の上では完全に「蚊帳の外」ですよね。

会員A:それになぜ英語表記示が、「Women only」なんですか?
なぜonlyという表現を使うんですか?…限定句ですけども。

会員B:結局それは「専用」ということを意識しているってことですか?

会員C:あれを見る限り、任意だという解釈は出来ないですね。

会員A:なぜこの表記を採用するに至ったんですか?

交通局B:導入当時の…決定の経緯は記録していないんですけど、まあ、あくまで制度上何かに基づいた、強制力のあるものじゃないというのは、かねがねこちらも存じておりますが、一方でメッセージとしてお客様に伝えなければならない、しっかり表示しないと何のためのものかわからなくなると思いますから、そういう意味では主旨がわかるようにある程度明確な意味合いをもって出すしかない。
男性も乗っていいですよということも併せて書いてあると、使う側からすれば「何なの?」と思いますから。

会員A:私達とあなた方(交通局)って、運用者と客の関係ですから、鉄道約款に基づいて契約するわけで、言ってしまえばそれ以外は「知ったことじゃない」ではないですか。
私達が運賃払って地下鉄に乗りますよ、そして交通局は乗っけて運びますよと。
それ以上でもそれ以下の関係でもないわけじゃないですか。そういうものですよね。
安心車両に法的根拠があるなら、それに基づいて運用するのは結構ですが、現状はそうじゃないですよね?

交通局B:お客様には同一料金をお支払いいただいている中で、男性のお客様には任意のお願いでご協力をいただいているというものでしかないので、少しご不便をおかけしてしまっていますが、申し訳ないということで…

任意と言いつつ実態は…

会員A:「任意のご協力」でどつかれたりとか、犯罪者扱いされたりとか「あっち行け」なんて言われなければならないんですかね?

交通局B:そこの言い方がちょっと我々も気になっているところでもあるので、ここは適切な形でご案内を…まあ今冒頭に私が申し上げた言い方・ニュアンスってものが本当のところなので、そこを間違えてしまうと不快に思うお客様がいらっしゃるのも当然かと思いますので、ここは現場のほうに伝えなければいけないと…

会員A:駅に交通局の人います?基本的に振興社の人間ですよね。だから振興社に言ってもどうしようもないんですよ。言ってしまえば業務委託じゃないですか。
だから交通局さんはこうやって(現場に伝えなければと)仰ってますけど、現場は全然なんですよ、実態としては。
(交通局さんを)呼んでいいですか?現場へ。そういうことがあれば…
たまにですけど、乗ろうとすると声掛けする人いるんですよ。こういうことがあったら(交通局の方を)呼んでいいですか?
今まで、僕4年間(地下鉄に)乗車してますけど、改善してないんですよ。4年前と。
そして振興社に言ってもどうしようもないなと分かったんで、交通局の方をお呼びしていいですか?大谷地から…
それを要望していいですか?

(しばらく沈黙)

会員A:有形力の行使って強制じゃないですか。言葉で言うだけならまだしもですよ。
実際に有形力行使されたこともあるんですよ。呼んでいいですか?

交通局B:いえ、あの呼ぶというよりは、事実を確認して注意指導…

会員A:その結果が現在ですよ。4年経ってます。変わってないです。

交通局A:実際にこう…体を使って止められるということですね。

会員B:それって、イジメですよね。

会員C:いじめと言うより、下手したら暴行罪ですよ。これ。

会員A:110番していいですか?

交通局A:今は時代も変わっているので、声掛けとか、そういったことのないよう周知しまして…

会員B:こういうことをするのはイジメじゃないですか?

会員C:特定の属性を持ってそういうこと(乗れなくする・乗りにくくする)をするのは良くないと思います。

会員A:さっきも仰ってましたけど、男性も実は乗れるとは書いてないですもんね。ポスターとか駅で見るもの…
たまに駅のポスターに「男性のご協力によって」云々と書いていることがありますが、基本的には列車表示のやつ(車体・車内のステッカーなど)には書いてないじゃないですか。それを信じる乗客もいっぱいいるわけですよ。
それを盲信して、男性は乗車禁止なんだと思いこんで、変な正義感を発揮して声かけしたりだとか…乗客なんで向こうも。
あなた方のような事業者ではないので普通に有形力とかも行使したりするんですよ。
「乗れないから出ていけ」とか、変態とか、犯罪者とか言うわけですよ。
表記にも問題があるんじゃないですか?

交通局B:ああ、お客様が…

会員A:女性客が私とかを見かけたら、そうやってやってくるんですよ。
交通局B:ああ…専用っていう風に思ってらっしゃる方もいらっしゃる。

会員A:そこは交通局さんの周知不足ですよね。
こういう表記をしているんだから乗客が勘違いするのもしょうがないですよね。

会員B:日本国憲法14条1項、法の下の平等…
それで(男性は)乗れないみたいな言い方するのはおかしいですよね。

会員C:ポスターやステッカーも車内や駅構内にたくさん貼っていますが、イラスト付きで「以下の方にご乗車いただけます。女性・子供・障がい者とその介護者」って書いてありますけど、知らない人が見れば「これ以外、乗ってはいけない」と思うと思うんですね。
そこのあたりも誤解を招かないようにできないものかと。

会員B:乗れないと思わせるようにしようという意図があるんですか?

会員C:騙す意図がなくても結果的に騙してますよね。

会員A:ヤクザと一緒じゃないですか。
乗れるといってないけど、乗れないとも言ってねえよって、汚くないですか?

会員C:これ札幌に限らず、全国的にそうなんですが、何か男性が乗ってはいけないような雰囲気を出しておきながら、もし問題になったら「これは任意協力で強制はしていませんので」となるんですよね…

交通局A:痴漢抑止という明確な主旨はある取り組みですから、男性が自由に乗れるとなれば効果が下がってしまうし、元も子もない。
一方、法的な根拠に基づいていないのでそこは難しいかなと、制度としては曖昧なものになってしまっているんですが・
まあ、なんというか、誤ったものではないと。

会員C:本当に痴漢対策なんですか?

会員A:なぜ(”協力”するのが)男性だけなんですか?

交通局B:一般的に性犯罪と言うのは、たいてい男性から女性であって、逆は少ないですよね。
正確な数字は持ち合わせておりませんが…

会員A:男性がよく性犯罪するからですか?犯罪者の割合としては、という話ですか?

交通局B:そうですね。

会員A:では、黒人のほうが犯罪の加害者になることが多いから(排除してよい)という話になるじゃないですか。
「黒人と白人ではどちらが犯罪を起こすか?」という統計あるんですけど。

交通局B:肌の色と性別では…

会員B:一緒ですよ。

会員C:どちらも生まれ持った(本人の意思や努力では変えられない)「属性」です。

会員A:だから、黒人のほうが加害者になる割合が多いから白人専用車両を設けますというのも通るんですよ。交通局さんの理論だと。
そういうことでよろしいですか?

交通局B:性別というよりは、性犯罪・痴漢問題というのが存在するというのがありますから。
後から性別というのが来ているというだけであって…
女性であるために痴漢に遭いやすいということは、女性からしたら避けられない、生まれ持った社会的な状況というのがありますから。

会員A:それは女性全体が弱者と言いたいんですか?

交通局B:個人差はあると思います。
しかし性犯罪に遭われた方が地下鉄に乗りづらいと言うのは間違いなくあると思いますので。何かしらする必要はあるだろうと…それは先ほど「安心車両以外での形で」というご意見もいただいたので、それ以外にもいろいろと事業者として考えていく責務はあるだろうと。
被害に遭われた方がなるべくこう…
快適にというか地下鉄を使いやすくするための取り組みだと考えています。

本当に「痴漢対策」か?

会員C:ここまでいろいろ話してきましたが、LGBTとか差別とか非常にデリケートな問題を含んでいるものであるにもかかわらず、なぜ他の施策ではなく安心車両(女性専用車両)をあえてやるのか、そしてもう一つ言いたいんですけどこれ、本当に痴漢対策なんですか??
正直疑問なんですけど。

会員A:痴漢する人間は人ごみに紛れてやろうとすると思うんですが、安心車両から流れた男性で混雑した他の車両でドサクサに紛れてやることになると思います。そうしたら他の車両の女性が守られない。

会員C:結局、痴漢する人間は「安心車両があっても何も困らない」ということではありませんか?

(しばらく沈黙)

会員C:私達だって、痴漢対策をすることそのものには反対しませんが、安心車両は本当にそのためのものなんですかと。
2007年頃の札幌市議会の議事録などでも、公明党が強く働きかけていますし、本当は別の目的じゃないかと…
何度も言うように痴漢対策自体には反対しませんが、こういう車両を設けるのは違うんじゃないの?というのが私達の言いたいところです。

交通局A:今すぐここで答えは出ないので…

声掛けはしないと改めて約束してもらいたいのだが…

会員A:一番最初のほうで「声掛けはしない」と仰ったではないですか。
このことを明言された書類を送っていただくことは出来ます?
書類にまとめて送っていただきたいんですよ。
「交通局としては声かけはしません」ということで。

交通局A:過去のものではなく、現在の日付けで…

会員A:10何年前の書類を持ってても…と言うか持ってますが。

交通局B:昨年、情報公開請求されました?

会員A:はい、それ僕がしました。
それだと15年前のものじゃないですか。
現在の交通局のスタンスを私から質問させていただくので、その回答を郵送していただくことは出来ないですか?

交通局B:「今でもスタンスは変わってませんよ」と今ここで改めて確認することで良くありませんか?
事実変わってないんですよ。ずっと同じですよ。

会員A:でも現状そうじゃないじゃないですか。
一時期私、駅員とかにそういうものを見せたりしてたんですよ。
でも「10年以上前のものなので…」とか言うんですよ。
なので2021年付の…もう22年になりますけど、その日付けで書いたものを送ってほしいんですよ。
振興社の人間(駅員)もそうですし、運転士もそうですが、私に声掛けしてきたときに書類見せて「あなたそれ違うんじゃないの?」と言うんですけど、「10年以上前なんで、今と状況違いますよ」という人がいるんですよ。

交通局A:交通局と振興社の認識のずれが現場レベルであるかもしれない。

交通局B:我々(交通局)の考えているのは変わっていません。

会員A:それは結構なんですけど、現場ではそういう言い分をする人間もいるので…
私としては現在の書類が欲しいので検討してください。

(しばらく沈黙)

会員Aが交通局に最新の日付での書類を求めているところだったが、沈黙しているうちに終了時刻になってしまう。

会員C:あの…そろそろ時間なので、よろしいですか?
本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

まとめ

結局、会員Aが改めて最新の日付で「声掛けはしない」旨の書類を求めても交通局側は応じようとしなかった。

交通局サイトにも「男性が乗車していても任意のご協力によるものなので声掛けはしません」と記載されているのだから、何も改めて書類を出すことを拒否する理由はないはずである。

まさかとは思うが、交通局も『任意協力なので声掛けをしません』を「過去のお話」にしてしまう気なのだろうか。

このページをご覧の方ならすでにご存知の方も多いと思うが、女性専用車両(安心車両)は本当に男性禁止にすると差別だとして憲法云々にもなりかねない代物である。

だからこそ「任意協力で男性の乗車を禁止するものではない」ということにして、罷り通らせているのだ。

しかも「本当に痴漢対策なのか?(痴漢対策は「建前」ではないのか?)」とこちらが疑問を呈すると「ここでは答えは出ませんので…」と逃げるだけ。

まるでこちらが諦めるのを待っているかのようだ。

これに対抗するためには「任意協力と言いつつ、事実上強制」というようなやり方を許さないよう、この先も男性が実際に乗車していくしかない。

しかし実際に敢えて女性専用車両(安心車両)に乗車する男性は、まだまだ数が少ないのが現状である。

札幌かその近辺に在住の方で普段からこの車両に疑問を抱いている方は入会申込フォームより是非お願いしたい。

カテゴリー
活動履歴

2021年6月 関東本部:東武鉄道本社訪問&抗議文提出の報告

6月11日の任意確認(非協力)乗車において、東武鉄道の車掌が乗車していた当会メンバーの一人に至近距離まで近づき、「男性ですか女性ですか、答えてください!」と失礼極まりない質問を3分近くに渡って浴びせ続けるなどしました。

これは個人のプライバシーを深く侵害しようとする行為であり「配慮がない」というような生易しいレベルの問題ではないことから、このまま放置するわけには行かないということで、当日声をかけられたメンバーと他数名で、東武鉄道の本社を直接訪問&抗議文を提出してきました。


東武鉄道本社を訪問&抗議文提出

6月11日の件については謝罪。しかし、女性専用車導入後の痴漢件数の推移を尋ねると「数えていないから教えられない」と惚ける。

このページは、6月11日の関東本部乗車会の報告

2021年6月 関東本部:東武線&東京メトロ線(半蔵門線&千代田線&有楽町線) 任意確認乗車会

の続きです。

まだ上記リンクのページをお読みになっていない方は先にそちらを読みください。

東武鉄道本社へ抗議文提出

2021年6月25日午後に東武鉄道本社に行ってまいりました。

まず、3階にある受付で手続きを済ませて待合スペースで10分ほど待ちました。

そこではお客様サービス課?の社員2人の方と3階のテーブルでお話をさせていただきました。

まずは女性専用車の声かけについてですが、男性に見える人が乗っていた場合に関してはその方に対しての個別の声かけはしないのが基本でありルールだとの事でした。

しかしながら女性客からの多数の車掌に対する苦情により、車掌が精神的?に追い込まれて病んでしまって、無断で男性に見える人に対して声かけしたりしているのが現状の様です。

この車掌の個別の声かけについては、キチンと最後に本社の2人の方から正式に謝罪していただきました。

「決して多数の言い分だけを聞く会社ではない。それでは今の時代はやっていけない。」と本社の方から丁寧に説明を受けました。

ただ、抗議文を渡したときに文書での回答を求めましたが「文書での回答はマスコミの取材も含めてしていない」とのことでした。

「メールでの問い合わせだと返信メールだから残ります」と言われました。

証拠が残ると何かまずいことでもあるのでしょうか。

古くからの会員によると、過去に東武ではないのですがとある鉄道会社に当会から公開質問状を出し、文書での回答を求めたところ、

「文章では様々な機微が伝わらないので、電話で答えるようにしている。この件だけではなく、すべての問い合わせに対して電話で答えている。」

などと言って文書での回答を拒否しながら、それとほぼ同時期に当時学生だった当会会員が所属する学校の部活動で、 学校長名義で都市開発関連(女性専用車両とは全く関係ない内容)についての質問状を送ったところ、その鉄道会社から学校宛へ【手書きの】回答文書が送られてきたということがあったそうです。

つまり、その鉄道事業者は「すべての問い合わせに電話でお答えしている」と言いながら、実際には当会からの質問状に文書で回答したくなかっただけなんですね。

要するに平然とウソをついたわけですが、今回の東武鉄道はどうなんですかね?

また、近年の東武鉄道の痴漢犯罪の推移について尋ねたところ「数えていないから答えられない」様な事を言われました。

コールセンターの女性専用車関連の問い合わせ数に関しても「お答えは差し控える」とのことでした。

今回の東武鉄道に限らず、女性専用車導入後の痴漢件数の推移を鉄道事業者に尋ねると、ほぼどこも「数えていない」「データを取っていない」「把握していない」などと惚けてきます。

これは今に始まったことではなく、はるか昔今から10数年前でもやはり鉄道事業者の態度は同じようなもので、(これも東武鉄道ではなく他社ですが)当会から問い合わせても「データーは無い」と回答しながら、問い詰めると渋々データーを出してきたりというようなことがありました。

またそれ以外にも「痴漢件数の統計は取っていない」と回答していた鉄道事業者の路線の痴漢件数が後に新聞等のマスコミ記事で公開されていたりというようなことが度々ありました。

要するに各社ともデーターがあるのに「データーは無い」とウソをついているのですね。

知られたら都合が悪いから隠しているのでしょうが、女性専用車に関しては聞かれてもまともに回答できないようなことをしているということですね。

本当に正しいことをしていて、かつそれなりの成果も出ているのなら「数えていないから答えられない」「データーは無い」などと言い訳してコソコソ隠す必要はありませんから。

あと余談になりますが、当会が任意確認乗車(非協力乗車)を行っているからといって、それだけで「女性専用車両をやっているのは鉄道会社なんだから、乗客の女性に抗議しても仕方ないのになぜそれが分からないのか」などと、まるで当会が「女性専用車両に乗り込むだけで、鉄道会社(本社や本局)に抗議しようとしない」かのように思い込む人間が多いようですが、このように本社や本局への抗議もきちんとやっています。

「乗車活動をしている=他の活動を全くしていない」ではありません。

また、任意確認乗車は乗客に抗議するのが目的ではありません。

どうしてこんなに勘違いな人が多いのでしょうか。

当日提出した抗議文の内容

さて、若干話が横道にそれましたが最後に当日提出し、回答することを拒否された抗議文の内容を公開します。

77396f11a03d342e8549ae9a20142acf
カテゴリー
活動履歴

2021年3月 当会からの質問状に対する熊本市交通局の回答および熊本市議会議事録について

熊本市交通局は2020年9月より試験導入している女性専用車両を2021年1月から「女性優先車両」と改称の上、2021年3月末まで試験導入を延長(4月から正式導入)しましたが、ここでは昨年(2020年)12月7日に当会が熊本市交通局を訪問・抗議を行った際にこちらから提出した質問状に対する交通局からの回答を公開します。

交通局は女性専用車両の導入理由を「痴漢や盗撮等の迷惑行為防止の取り組みの一環」としていますが、最近(今年3月)になって市議会議事録に交通局の管理者による「市電としてもコロナウイルスでこれだけ人が減っておるという中で、いろいろな話題を提供したい、明るい話題を提供したいという中で…(中略)…女性専用車両というのを導入したらいかがかなというところで一つアイデアが出ました。」という、昨年9月の答弁が記載されているのが発見されました。

昨年9月の答弁がなかなか公開されず、女性専用(優先)車両の導入が本決まりになった今頃になって公開とはどういうことなのでしょうか。

熊本市電の女性専用(優先)車両は感染症流行による減客・減収対策だった

昨年12月に当会が提出した質問状に対する、交通局の回答

当会は昨年(2020年)12月7日に、関東・関西・名古屋・福岡など、全国から集結した会員が熊本市交通局を直接訪問して抗議活動を行ったが、その際提出した質問状に対する交通局からの回答をここに公開する。

<質問1>
首都圏で女性専用車両をめぐる事件(東京メトロ千代田線における緊急停止等)が起きてニュースになったことにより社会問題になったり、COVID-19(以下、新型コロナウイルス感染症)で混乱しているこの時期にわずか2両編成の列車に女性専用車両をなぜ試験導入したのでしょうか。

【回答】
市電車内で痴漢や盗撮等の迷惑行為が毎年発生しており、その被害を受けるおそれのある女性のお客様に対し、少しでも安心して利用できる環境を提供するために導入いたしました。

<質問2>
当初どのような経緯で 「女性専用車両」を導入しようという話が持ち上がったのでしょうか。 外部(政党など)から犯罪対策として「女性専用車両」の提案、要請があったのでしょうか。 また、いつから「女性専用車両」が検討されているのでしようか。

【回答】
女性優先車両の導入については、日頃、利用者と直接応対する乗務員から提案があり、 令和2年度 に入って検討を行い、9月14日から試験導入することといたしました。なお、外部(政党)からの提案、要請はございません。

<質問3>
他事業者ではラッシュ時などでの安全確保の問題や車両による混雑差が激しくなるなどの理由から、短編成での導入はしていませんが、貴局がわずか2両編成の列車における導入でも問題ないと判断した理由は何でしょうか。
また、昨今では様々な場面で「三密」防止策について試行錯誤しているところなのに、明らかに「三密」を招くと思われる「女性専用車両」の導入について貴局内では疑問や不安の声が出なかったのでしょうか。

【回答】
車両による混雑状況の不均衡については、事前に車内カメラで確認したところ、男性と女性の乗車人数が概ね均衡していたことから、導入によって混雑差が相当激しくなることはないと判断いたしました。
ただし、導入前に懸念された課題の確認や利用者ニーズの把握を行う必要があるために試験導入いたしました。

<質問4>
貴局のHPでは新型コロナウイルス感染防止対策の一環として過去の「混雑度状況」をまとめた一覧を閲覧できるようになっているが、これは列車内の混雑度と新型コロナウイルス感染症増加の危険性のつながりを認識しているからではないのでしょうか。

【回答】
新型コロナウイルス感染防止のためには、咳エチケットや手指衛生等に加え「密閉」「密集」「密接」のいわゆる3密を避けることが重要だと認識しております。
公共交通機関においては、社会的距離を保つことは困難であることから、乗務員の体調管理やマスク着用をはじめ、車内換気や定期的な消毒など様々な感染予防対策に取り組み、お客様が安心して利用できる環境づくりに努めているところです。
車内の混雑状況の公表については、時差出勤やお客様自身で混雑を回避したい場合の参考情報とてご活用いただくために公表しております。今後も、車内の抗菌 抗ウイルスコーディングや抗菌吊手の導入、一部車両の座席改修など、 更なる感染防止対策に努め、お客様が安心して利用できる環境を提供してまいります。

<質問5>
後述のデーターをみれば、性別によらない犯罪防止策が重要であると思うところですが、女性専用車両により隣の車両が混雑すれば男性の性被害を増やす恐れがあると考えられるが、そこはどのように考えておられるのでしょうか。
男性の性被害を生まないようにする為の施策の考えはあるのか?

『「青少年の性行動全国調査報告書2011」』より
(電車の中などで身体を触られる迷惑行為を受けた男性) 男子中学生1.2%/男子高校生2.5% /男子大学生 6.4%

【回答】
車両による混雑状況の不均衡については、事前に車内カメラで認したところ男性と女性の乗車人数が概ね均衡していたことから、導入によって混雑差が相当激しくなることはないと判断し、試験導入を行いました。
試験導入期間中の調査結果では、車両による混雑状況の不均衡については導入前後で大きな変化はありませんでした。
性別にかかわらず、痴漢や盗撮等の迷惑行為防止対策については、全車両に車内カメラを設置しており、利用者に車内カメラの搭載について強く認識してもらえるようわかりやすい表示に改めるとともに、車内放送を活用した防犯啓発にも取り組んでまいります。

<質問6>
9月11日付のFNNプライムオンラインの記事によれば「それまで一緒に乗っていた男女が別々になるだけ」「他の時間に利用していた女性が女性専用車両に乗りたいと考えることで、女性専用車両の混雑率が上がるかも知れない」という貴局のコメントがありますが、これらのコメントは事実ですか。 事実であれば、既に導入された路線で女性専用車両があるために他の車両が混み合うことが問題視されていたのを知らなかったのでしょうか。

【回答】
記事のコメントについては、交通局で回答したもので間違いございません。 既に導入された路線での混雑状況について、詳細までは把握しておりませんが、車両による混雑状況の不均衡については、事前に車内カメラで確認したところ、男性と女性の乗車人数が概ね均衡して いたことから、導入によって混雑差が相当激しくなることはないと判断し、試験導入を行いました。

<質問7>
また前述の質問から、女性専用車両を設定すると他の時間帯に利用していた女性客がわざわざ乗る時間帯を変えてまで乗りたがり、女性専用車両が混雑すると本当に考えていたのでしょうか。

【回答】
女性優先車両を運行している時間帯において、市電は約3分間隔で運行しております。そのため、女性優先車両の前後をご利用いただいている女性のお客様が、時間をずらしてご利用される可能性もあると考えておりましたので、試験導入期間中に一部の電停カメラで確認したところ、 到着した電車を1本見送り、次の女性優先車両にご乗車されているお客様を確認しております。

<質問8>
女性専用車両導入の目的について、痴漢対策(貴局ホームページより)と言いつつ実は女性のみの満足度向上サービスとして捉えているのではないでしょうか。

【回答】
導入日的についでは、質問1の回答のとおりです。

<質問9>
当局において、女性専用車両の導入の前後での痴漢被害の認知件数の増減について公表する予定で しょうか。

【回答】
市電車内における痴漢、盗撮等の迷惑行為の年度別推移について公表する予定です。

<質問10>
近年、性的少数者(「LGBT」などと一般的に呼ばれています)の人権を尊重しようとする動きが広まっており、熊本市においても「熊本市パートナーシップ宣誓制度」を開始し、文化市民局人権推進部において「性的マイノリティサポートハンドブック(「サービス業向け」及び「医療従事者向け」)」を作成するといった動きがあります。

「LGBT」の「T」にあたるトランスジェンダー(性自認と身体的な性が一致していない方)の方の中には、性自認が女性である一方で身体的な性別が男性であること等により女性専用車両に乗ること、および女性専用車両そのものに強い抵抗感がある方もいます。昨年には、女子大学が戸籍上男性であっても性自認が女性である人を受け入れることに対して、一部のフェミニストを名乗る人物により、「女性専用スペースに入ってくる「生物学的に男の人物を排除しよう」などと、トランスジェンダーの人々に対する攻撃が行われるといった問題がありました。

熊本市が作成した前述のサービス業向け性的マイノリティサポートハンドブックにおいて、「こんなことばを使ったり聞いたりしたことはありませんか?あの人って、男なの?女なの?」といった記述があり、また「だれでもトイレ」の確保や「性別限定のサービスの見直し」といった対応を求める記述がありますが、いわゆるトランスジェンダーの方の中には、女性専用車両を利用するうえで性別を詮索され、本人のプライバシーを毀損するといったことも考えられます。

貴局において、女性専用車両の導入にあたり、性的少数者、とくにトランスジェンダーの方々の人権についての議論は行われたのでしょうか。

【回答】
痴漢などの被害にあうのは女性だけでなく、男性や性的マイノリティの方もいることから、今回の女性優先車両の導入で全ての痴漢犯罪を抑止できるわけではなく、それぞれの性的志向によって、男性と女性という分け方をするだけでは、対応が充分でないことは理解しております。

そこで、熊本で活動するLGBT団体(セクシュアルマイノリティにとっても住みやすい熊本にするために活動する団体グループ)に対し、女性優先車両についてのご意見を伺ったところ、女性が被害者になる可能性が高い性暴力から守るために設置に至ったということについて理解しているとの意見をいただきました。
また、性的マイノリティの観点では、トランスジェンダー女性は性暴力被害を受けることが多いため、法律上の性別だけでなく、性暴力被害を受けやすい方が安心して利用できる対応をお願いしたいとの意見もいただきました。

そこで、試験導入期間の延長に合わせて、任意協力とわかりやすい女性優先車両に表現を改め更に、車内にカメラを設置していることを利用者にわかりやすく表示したり、車内放送等を活用した防犯啓発にも併せて取り組んでいくことで、女性優先車両を利用される方も、利用されない方も性暴力を受けることなく、安全、安心に利用できる市を目指してまいります。

<質問11>
過去の事例から「女性専用車両」に協力するのは当然とする人達が様々な理由にて「女性専用車両」に乗る男性乗客へ侮辱や暴言暴力などの加害行為を行ったり、盗撮してSNSに拡散するなど、大衆へ批判を浴びせるように仕向け、場合によっては名誉毀損や差別、最悪個人情報を特定して脅しをかける恐れは十分に考えられます。
そのことについては貴局はどう考え、どう対処されるおつもりでしょうか。

【回答】
他人に対し、侮辱や暴言、暴力などの加害行為等については、刑法、軽犯罪法、各都道府県迷惑行為等防止条例等の規定に反する行為であると認識しています。交通局では、女性優先車両の全車両に車掌(職員)を配置し、車掌には、女性優先車両は任意のご協力のもと成立しているものであり、強制ではないことを車内アナウンスすることや女性のお客様が男性のお客様に対し、車両を移るなどの声かけを行った場合は速やかに女性のお客様を制止することなどを指導しております。
また、名称についてもより任意協力とわかりやすい女性優先車両に表現を改めます。

<質問12>
近年は「何をもって男性/女性とするのか」という部分で多様性が重要であると考えられ 外見的な部分でも配慮が必要であるとされる中、一口に「障がい者」といっても、貴局がイメージしている障がい者は「身体障がい者」であるようにしか見えない。
身体障がい以外にも知的障がい、発達障がい、 難病の人など、種々のハンデを持つ人が存在し、妻による介助が必要な高齢男性、小さな子供を連れた父親などもハンデを持っていますが、そうした人々の存在への配慮について、 どう思われていますでしょうか。

【回答】
交通局では高齢者・障がい者・体調不良者・妊婦・乳幼児連れのお客様など様々な方が安心してご利用いただけるよう全車両に優先席を設置するなどの対応を行っております。

<質問13>
貴局ではアンケートを取って本格導入するかどうか決めるとのことですが、アンケートを取った結果、どのような基準で本格導入の有無を判断するのでしょうか、「賛成反対がそれぞれ過半数を越えたら」なのか、もしくは他に基準があるのか、または特に基準はないのでしょうか。 また、アンケートはどのような形式で、どのような対象(人数・男女比・乗客のみか、それ以外も合めてか)に対して行うのでしょうか。

【回答】
利用者アンケートについては、11月に実施し、別紙のとおりの結果となっております。 なお、今回、女性専用車両の試験導入については、当初、令和2年(2020年)12月28日(月)までとしておりましたが、本格導入に向けてさらに多くの利用者のご意見を伺い検討を深める必要があると判断し、試験導入を令和3年(2021年)3月31日(水)まで延長することといたしました。
また、延長にあたっては、これまでいただいたご意見を踏まえて、より任意協力とわかりやすい「女性優先車両」に表現を改めます。加えて、女性優先車両の導入だけで迷惑行為を防止することは難しいため、車内カメラの搭載について、利用者に強く認識してもらえるようわかりやすい表示に改めるとともに、車内放送等を活用した防犯啓発にも取り組んでまいります。なお、本格導入については、利用者アンケートにより半数以上の賛成が得られる事を一つの目安として、利用者の意見等を踏まえ総合的に判断することとしております。

その後、市議会議事録に女性専用(優先)車両導入の本当の理由が…

これまで交通局は繰り返し「女性専用車両の導入はこれまで痴漢盗撮等、迷惑行為対策に取り組んできたが効果が現れなかったために今回踏み切ったもの」と強調してきた。

そしてこれまで当会では市議会で何らかのやり取りがあったのではないかと、昨年9月ごろから12月ごろまで何度も市議会議事録検索サイトで「女性専用車両」のワードで検索をかけていたのだが、何度やっても「該当する発言は存在しませんでした」と表示され、全く市議会でのやり取りがつかめなかった。

ワードを「女性優先車両」などに変えてもやはり同じであった。

”古庄発言”から3か月経った昨年12月の時点でも全く議事録に掲載なし。

しかし今年の3月になって、女性優先車両の正式導入が発表されたので「またどうせ検索してもなにも引っかからないだろうな」と思いつつも一応、市議会議事録検索サイトで検索をかけたら出てくる出てくる…

それも半年近く前の昨年9月の市議会でのやり取りが。

今まで何度検索しても全く何も出てこなかったのは一体何だったのだろうか?

実は昨年9月に先ほどの当会の意見書への回答でも名前が出てきた、交通局管理者の古庄修治氏が市議会でこんな答弁をしていたのである。

(令和 2年第 3回都市整備分科会-09月17日-01号)

私も現場の運転手さんたちのいろいろな意見を聞きたいということで、その中で一つ市電としてもコロナウイルスでこれだけ人が減っておるという中で、いろいろな話題を提供したい、明るい話題を提供したいという中で、アイデアの一つとして、特に女性は通学が多いです。通勤が男性が多くて大体比率が1対1ぐらいになっているそうで、だからそういう女性の通学の女学生、高校生とかそういったところの人たちに快く乗ってもらうためにも、女性専用車両というのを導入したらいかがかなというところで一つアイデアが出ました。

http://kumamoto.gijiroku.com/voices/cgi/voiweb.exe?
ACT=200&KENSAKU=1&SORT=0&KTYP=0,1,2,3&KGTP=3&FYY=2020&TYY=2020&TITL=
%93s%8Es%90%AE%94%F5%2C%8C%9A%90%DD&TITL_SUBT=%97%DF%98a%81@%82Q%94N%91%
E6%81@%82R%89%F1%93s%8Es%90%AE%94%F5%95%AA%89%C8%89%EF%81%7C09%8C%8E17%93%
FA-01%8D%86&KGNO=1558&FINO=2908&HUID=190151&UNID=K_r02091735011

これは熊本市議会の光永議員からの質問を受けて古庄氏が答弁したものだが、これでは「女性専用車両はコロナによる減客・減収対策」と言っているようなものではないか。

なぜ、コロナ禍のこのご時世にわずか2両編成で車内の密度をさらに上げる可能性の高い女性専用車両の導入を反対意見を押し切ってまで強行したのか、これが答えである。

つまり「真剣に防犯対策に取り組んできたが効果が今一つ上がらないので、やむを得ず女性専用車両の導入に踏み切った」…のではなく、明らかに「女性専用車両導入により話題を集めて世間から注目され、さらに女性客を優遇することによって、女性が喜んで市電にどんどん乗りたがるようになり、増収増益につながるだろう」という下心からのものだと言えるだろう。

よく、女性専用車両賛成派は「女性専用車両をレディースデーなどと同列に論じるのはおかしい。痴漢対策のための正当な措置なんだからそれを差別と言うほうがおかしい」などと言ってくるが、熊本市交通局の女性専用車両は明らかにレディースデーなどの発想と同じ「女性を優遇すれば儲かるだろう」という考えである。

それも一般のサービス業などと違って、熊本市電は公共交通機関である。

しかも公営の…。

「コロナで人が減っている中で、話題を提供したい」などと幹部が市議会で発言している時点で「女性専用車両は痴漢対策なんだからやむを得ないだろう!」は通用しない。

『特に女性は通学が多いです。通勤が男性が多くて大体比率が1対1ぐらいになっているそうで、だからそういう女性の通学の女学生、高校生とかそういったところの人たちに快く乗ってもらうためにも』…と言っているから「やはり防犯対策じゃないか」という人もいるかもしれないが❝迷惑行為防止対策の取り組み❞と❝快く乗ってもらうため❞では、同じように見えて実は意味合いが全く違う。

「迷惑行為防止の取り組み」ならそれ以外の意味はないが、「快く乗ってもらうため」だと、迷惑行為をする・しないに関わらず「男という存在自体がイヤ」などという女性に「快く乗ってもらうため」(→そうすれば女性客が喜んで市電をもっと利用するようになるだろう)という意味合いも含むことになる。

しかし、それでもまだ

「迷惑行為防止の取り組み」という意味も含んでいるのだから、いいじゃないか。

「男という存在自体がイヤ」という女性がいてもそれは一部だ。

という反論があるかもしれない。

しかし、

「コロナで客が減っているから…」と、導入に踏み切った時点ですでに「痴漢対策・防犯対策はウソ」である。

防犯対策にかこつけた女性ウケ狙いの客寄せ女性優遇サービスだ。

しかしながら、(すでにご存知の方も多いかも知れないが)熊本市交通局は自らのサイトで「女性優先車導入の背景」と称して以下のような文章を載せている。

(熊本市交通局一般向けお知らせページ)
http://www.kotsu-kumamoto.jp/kihon/pub/detail.aspx?c_id=3&id=1156&pg=1

いかにも「熊本市交通局は迷惑行為対策に真剣に取り組んでいます!」と言わんばかりだが、先ほどの古庄氏の答弁と、この交通局のサイトの文言をよく見比べてほしい。

さっきも言ったが、「コロナで客が減っているから」と減客・減収を理由に女性専用(優先)車両の導入に踏み切った時点で、すでに導入目的は「女性を優遇すれば儲かるだろう」という下心であって「迷惑行為防止の取り組み」ではない。

表向き「迷惑行為防止の取り組み」と言っておけばもっともらしく聞こえるし、またそうすれば「熊本市交通局は正当なことをしている」と思ってもらうこともできる。

さらに「女性専用車両は差別だ」という意見についても「痴漢対策・迷惑行為防止の取り組みなんだから差別だと言うほうがおかしい」の一言で簡単に片づけられるし、また私達のような反対派を「痴漢被害者に理解のない情けない連中が反対している」と世間に誤解させることもできる。

しかし、自らのサイトにわざわざ「女性優先車両導入の背景」などと称してこんな記事を載せる時点で、熊本市交通局も「女性専用(優先)車両が実は痴漢対策・迷惑行為防止の取り組みではない」と疑われていることを察知しているのだろう。

だからこそ「女性専用(優先)車両は、迷惑行為防止のための正当なものです!」と世間をだまし切ろうとしているのだ。

交通局は3月17日に4月からの正式導入を市議会で報告・発表している。

そして古庄氏の発言も含め、昨年9月からの議事が公開されたのがその直前である。

交通局は正式導入を決めた理由の一つとして、

試験導入期間中に実施した2回の利用者アンケート両方で、男女ともに女性優先車両に対し「賛成」又は「どちらかと言えば賛成」と回答した人が過半数を超えており、2月に実施した直近のアンケートでは、11月に実施した1回目のアンケートより、男女ともに「賛成」又は「どちらかと言えば賛成」と回答した割合が増加しております。

などとして、アンケートで賛成が多かったことを理由にしているが、そもそも「女性専用車両をやりたい交通局」が取ったアンケートであり、このアンケート自体の信憑性については疑問符がつく。

とは言え、昨年の9月17日の時点で古庄氏が市議会でこのような発言をしていたことが公に知れていたなら、アンケートでこんな結果が出ただろうか?

賛成した人の多くは交通局が真剣に痴漢対策・防犯対策に取り組んだ結果として賛成していたのではないだろうか。

そう考えると、議事録に最近まで古庄氏の発言が公開されなかったのも「女性専用(優先)車両の本格導入が決まるまで、古庄氏の発言を議事録に掲載せず、封印していたのでは?」と疑われても仕方がないだろう。

女性専用(優先)車両に過剰な集客効果を期待する熊本市交通局

昨年9月に女性専用車両を試験導入すると発表した直後、ネット上では一斉に「2両編成で女性専用車両を実施するなんて無茶だ」「女性専用でないほうの車両の混雑がものすごいことになるのではないか?本当に大丈夫なのか?」と、車内の混雑偏りによる混乱を指摘する声が相次いだ。

(熊本市交通局では2両編成の場合、前の車両に混雑が偏る傾向があった為、後ろの車両を女性専用車両にしても大混乱は起きなかったのだが、これはあくまで「たまたまそうだっただけ」である。

首都圏や関西圏ほど人が多くないというのも一因だろう。

だが通常の電車と異なり、停留所のホームが非常に狭く、そんな中で朝のラッシュ時に女性専用車両を行うのは安全確保の上で非常に問題があるといえる。)

しかしその当時、熊本市交通局はそういった世間の声をよそに

「これまで男女関係なく乗車していた乗客が分かれて乗るようになるだけだから、混雑率は特に変わらない(と思う)」

「女性専用車両に乗りたい女性客が女性専用車両に集中して、むしろ女性専用車両のほうが混むのではないか?」

などと、トンチンカンなことを言っていた。

これは2020年9月11日付のFNNプライムオンラインの記事で紹介されたもの。

熊本市交通局は「女性専用車両が出来れば女性は全てそちらに行くはずなので、男女が分かれるだけで混雑差は生じない」、さらに「女性専用車両を導入すると女性専用車両に乗りたがる女性客がどんどん増えて女性専用車両のほうが混むかもしれない」と思い込んでいたようである。

まず「女性専用車両を設けると女性がそちらに行くので男女が分かれる」という思い込みについて、交通局は「女性優先車両による混雑格差はない」としているが、実際には極端ではないとは言え、列車によっては女性優先車両と非女性優先車両の混雑差はある。

つまり非女性優先車両にも女性客は乗ってくるのだ。

(当会は昨年、熊本市電でも何度か非協力乗車を行っている)

熊本市交通局のサイトや当会の意見書への回答などを良く見ると「男女の乗車人数の比率が概ね均衡しているので、導入によって混雑差が激しくなることはないと判断した」といった趣旨の記載が度々現れる。

先ほども触れた通り「女性専用車両を設けると女性がすべてそちらに行く」という前提でものを言っているのだ。

もちろん何の根拠もなく。

これは熊本市交通局に限らず、これまで女性専用車両を導入してきた鉄道事業者の中にもこういう勘違いをしているところが少なくない。

また、女性専用車両に賛成する者の中にもこういう勘違いをしている者がいる。

そしてこういう根拠のない思い込みが「女性専用車両は男性を痴漢えん罪から救うから男性にもメリットがある」などという、さらなるデタラメな思い込みへと発展していく。

そもそも、女性専用車両を導入しても目に見えて痴漢認知件数が減らない時点で「男女が分かれていない証拠」である。

そして目に見えて痴漢が減らないからこそ、賛成派は「女性専用車両はシェルターだ」などと言うのである。

つまり導入しても痴漢が減らなかったから「痴漢を減らすためのものではなく避難場所だ」と、女性専用車両を正当化しているのである。

女性専用車両が男性の痴漢えん罪防止に役立つという賛成派には、女性専用車両で男性の痴漢えん罪が何件減ったのか、何%減ったのか、感覚的ではなく具体的なデーターを示していただきたいものだ。

しかし明確に女性専用車両に反対している者でなければ、「女性専用車両を設けると男女が分かれる」という思いこみは「やってしまいがち」であるが、今回の熊本市交通局の「女性専用車両を設けると乗りたい女性が増えて女性専用車両のほうが混むかもしれない」などという思い込みは、さすがに群を抜いたトンデモぶりである。

これまで女性専用車両を導入してきた鉄道事業者でもこんな思い込みをしていた鉄道事業者は(当会の知る限り)さすがにない。

どうやら熊本市交通局は「女性専用車両が首都圏や関西で女性から絶大な支持を集めている」と勘違いしているようである。

「熊本でも女性専用車両を導入すれば、女性専用車両に乗りたい女性客が殺到し、コロナによる経営不振も吹き飛ぶだろう」などと、ありえない期待をしていたのではないか?

実際には女性専用車両に賛成している女性でも「女性専用車両があるからといって、わざわざ選んでまで乗らない」(自分の利用している駅の改札やエスカレーターなどに近い車両に乗る)という意見をたびたび聞く。

つまり、女性専用車両よりも「利便性の方が上」なのだ。

先ほどの当会からの質問状の<質問7>(=「女性専用車両を導入すると、女性が乗る時間帯を変えてまで女性専用車両に乗りたがり、女性専用車両が混雑するとでも思っていたのか?」という質問)への回答もまともな回答とは言えない。

試験導入期間中に一部の電停カメラで確認したところ、 到着した電車を1本見送り、次の女性優先車両にご乗車されているお客様を確認しております。

とのことだが、列車を一本見送った女性客がいたからといって、それを必ずしも「女性専用(優先)車両が目当て」とみなすのには無理がある(単に混んでいるから一本見送っただけの可能性がある)。

また、それが女性専用車両を混雑させてしまうくらい多いのかということにも触れていない。

それに、当会が言っているのは「乗る時間帯を変えてまで、女性客が乗りたがるのか?」ということであって「来た電車を一本見送って女性専用(優先)車に乗る」のとは全然意味が違う。

かなり苦し紛れの、いい加減な回答にしか見えないのだが…

しかし交通局は、それでもやはり女性専用(優先)車両は集客策の切り札になると考えているようで、先ほど紹介した一般向けお知らせページの末尾には

また、迷惑行為は運行している全ての時間帯で発生していることから、引き続き車内放送等を活用するなど積極的に防犯啓発に取り組むとともに、今後は、新たに多両編成車両導入に合わせて女性優先車両を増車することを検討するなど、誰もが安全、安心に利用できる環境の提供に努めてまいります。

などという一文がある。

どうやら熊本市交通局は世間が「女性専用(優先)車両=痴漢迷惑行為防止の取り組み」と騙されているのを良いことに、更なる女性専用(優先)車両の拡大、恐らくは完全終日化を今から目論んでいるのではないか。

こうした動きに対抗するには、1人や2人でなくある程度の人数の男性が別々に、そして定期的に(できればほぼ毎日)女性専用(優先)車両に乗り続け、女性専用(優先)車両を形骸化させるしかない。

こう言うと必ず、「女性専用車両をやっているのは交通局のお偉いさん方なんだから、そっちに文句を言うべきなのに、女性専用車両に乗りこむのはお門違い」などと言ってくる者が出てくるが、反対派は車内の女性客に訴えかけるために乗車しているのではない。

それに今までの経験からして、鉄道事業者に直接主張や抗議を伝えに行っても軽くあしらわれたり、丁寧に聞いてくれても所詮「上手なクレーム対応」扱いだったり、要は「馬の耳に念仏」である。

もちろん「反対派の存在を認識させる」という意味で、交通局に抗議に行くのは決して無駄ではないが、交通局に直接伝えるだけでなく、実際に乗って女性専用(優先)車両を形骸化させることが有効なのだ。

もっとも、これもある程度人数が増えないと効果が薄いのだが…

しかし、いずれにしても当会が関東や関西・名古屋などから熊本まで度々出ていって乗車するというわけにもいかないので、ここはやはり地元の方々に動いていただきたいところである。

当会では熊本の方の入会も募集しているので、市電の女性専用(優先)車両に反対の熊本市民(およびその周辺)の方は是非、入会申し込みフォームより申し込みいただければ幸いである。

カテゴリー
活動履歴

2020年12月 熊本市電での非協力乗車会&熊本市交通局訪問の報告

2020年12月7日に関東・名古屋・関西・九州の会員が熊本に集結し、朝の熊本市電で任意確認(非協力)乗車を行いました。

そしてその後、全員で交通局を訪問・抗議を行いました。


全国から集結した会員が熊本市電に乗車

前日に熊本で打ち合わせ

2020年9月に突然市電への女性専用車両の試験導入を発表し、それから2020年一杯(後に2021年3月まで延長)まで試験導入を行っている熊本市交通局に対し、当会もこれまで九州の会員による非協力乗車や交通局訪問などを行ってきたが、今回は関東・名古屋・関西、そして地元九州の会員も含め全国から集まった会員で任意確認乗車を行い、交通局を訪問することとなった。

市電での女性専用車両は平日の運行であり、また交通局も土日祝日は閉まっていることからこうした活動は平日に行う必要がある。

会員の多くが参加したくても仕事で参加できない中で、それでも結構な人数が休暇を取ったりするなどして今回の活動に参加した。

12月7日に市電での乗車会と交通局訪問を決行することになっていたが、その前日の6日の夜、熊本市内に集まって打ち合わせを行った。

夜の熊本の商店街

こうして全国からの会員が集まるのは久しぶりだが、普段からチャットなどでやり取りを行っているため、お互い久しぶりという感覚はない。

インターネットが普及した今の社会ならではである。

今回は乗車会後の交通局訪問で担当者に質問状を手渡し、その内容について担当者に回答を求めることにしていたのだが、乗車会交通局訪問決行直前の12月4日になって交通局が女性専用車両を(女性優先車両と名称変更の上)2021年1月から正式導入するというニュースが飛び込んできた。

テレビ熊本のニュース記事(現在は公開終了)

11月くらいから質問状をどうするかについて話し合いを重ねてきたのだが、訪問直前になって正式導入の話が飛び込んできたため、それに合わせて内容を変更せざるを得なくなった。

そのため熊本市内での打ち合わせも、本来なら交通局訪問時にどのように話を進めていくかを詰める予定だったのだが、質問状を作りなおすための場となってしまった。

約2時間話し合い、夜も遅くなってきたのと翌日朝早いので市内で解散し、各自宿泊しているホテルへと戻っていった。

多人数で熊本市電にて非協力(任意確認)乗車

前日の打ち合わせから一夜明けて12月7日の朝、JR熊本駅前にある熊本駅前電停に集合し、以下のルートで乗車会を実施した。

  1. 熊本駅前7:22→7:40通町筋
  2. 通町筋7:47→8:00呉服町
  3. 呉服町8:06→8:23水道町
  4. 水道町8:34→8:44辛島町
  5. 辛島町8:52→9:08上熊本

(路線図:wikipediaより)

ご覧いただけると分かる通り、女性専用車両のある電車に乗って熊本市の中心部を行ったり来たりするルートで、最後は辛島町から上熊本へ行きそこで終了である。

本来こういう乗り方をすると降りて乗りかえる度に運賃(170円)が必要だが、今回は全員「市電一日乗車券」を使っているのでこれ一枚で今日一日、自由に市電に乗ることができる。

一日乗車券
熊本駅前電停

熊本駅前電停7:22発の健軍町行きの女性専用車両に筆者と関西の会員Yとで乗った。

車内にはすでに始発駅(田崎橋)から乗車していた地元九州の会員Zがいた。

車内は座席がほぼ埋まる程度だった。

女性専用車両には乗務員が2人いたが、私達が目の前で乗っても一切声かけはなかった。

この先、途中の電停で一人また一人と、当会のメンバーが乗車してくる。

慶徳校前では関東の会員Lが乗車してきた。このあたりから立ち客が増えてくる。

熊本市中心部の辛島町で会員Sが乗車。

かなり立ち客が増えてきたが、まだ押し合いへし合いにはなっていない。

辛島町から2つ先の熊本城・市役所前で多数の乗客が下車し、立ち客が少なくなった。

どうやら朝は多くの乗客がここで降りるらしい。

私達は次の通町筋電停で全員下車し、ここで名古屋の会員Aと合流した。

通町筋~呉服町

通町筋7:48発の田崎橋行きで、再び熊本駅前方面に戻る。

私達が乗車する際に一人の男性客が「女性専用車両」の表示を見て、目の前にいた乗務員に「乗れないのか?」と尋ねると、「強制排除はいたしません」と回答していた。

私達が乗車すると、すでに女性専用車両内には子連れの男性客が一人いた。

また女性専用車両と前の車両で極端ではないが混雑差があった。

私達は熊本駅前までは戻らず、途中の呉服町で下車し、ここで折り返し健軍町行きの電車を待った。

呉服町~水道町

呉服町電停はホームの幅が人の肩幅くらいしかない。

朝はそこに乗客が並んでいるわけだが、こんな状況で女性専用車両を設定すること自体、かなり無理があるように思えて仕方がないのだが…。

呉服町電停ではホ―ムに人が一杯に並んでいたこともあり写真は撮影出来なかったのだが、どのくらい狭いかこのページをご覧の皆様にも分かるよう、同じぐらいのホ―ム幅である健軍校前電停の写真をここに出しておく。

この写真は端部分だが、ホ―ム全体がこの幅しかない。

幅が人の肩幅くらいしかない、健軍校前電停のホーム(別の日に撮影)

しばらくして8:06発の健軍町行きが到着したが、ホームがこの幅だから待っている私達の、それこそすぐ目の前に電車が入ってくる。

まさに「大迫力」である。

しかし、これは安全上かなりよろしくないのではないか?

とは言え、路面電車で場所が限られているから仕方がないという部分はあるだろう。

しかし、それならなぜこんな状況で女性専用車両を設定するのか。それもわずか2両編成で。

朝ラッシュ時の安全性の確保について、交通局はどういう考えなのだろう。

しかもそれだけでなく、将来的には急行運転も検討しているという。

ただでさえ人の肩幅くらいしかないホームに人がたくさん並んでいるところを急行が通過して行くというのはかなり怖い気もするが…

痴漢対策なら他にも方法はあるのに、なぜそこまでして女性専用車両を何が何でも設定しようとするのか、その意図が分からない。

少なくとも痴漢対策や盗撮対策というのは恐らく建前で、実際には他に理由があるのだろう。

ツイッターなどには「熊本市交通局は路面電車での女性専用車両や急行運転など、常に新しい施策を先取りしていて先進性がある」などと交通局を持ち上げている意見もあるが、私達から見れば熊本市交通局はちょっと思考がぶっ飛んでいるようにしか思えない。

この健軍町行きもラッシュ時のためか、かなり混んでいる。

このまま辛島町・花畑町を過ぎ、やはり熊本城・市役所前電停で乗客が多数下車した。

私達は先ほど降りた通町筋を過ぎて水道町まで乗車し、ここでまた熊本駅前方面の電車に乗り換えた。

水道橋電停ホ―ム
駅(電停)標

水道町~辛島町

次に乗車するのは8:37発、田崎橋行きである。

しばらく時間があるのと、狭いホームで待つのは気が引けるので、一旦ホームから離れ電停近くの交差点の歩道で次の電車を待つことにした。

この時間帯、数分おきに電車は運行されている。

ただその多くが女性専用車両のない1両編成である。

私達が待っている間にも次々と電車が到着し、電停に停車しているすぐ後ろにまた次の電車が待っているのが見えたりした。

会員の一人が「電車が渋滞している」と表現していたが、まさにそんな感じだった。

乗車予定の8:37発田崎橋行きが到着したので私達も乗車した。

こちらもかなり混んでいる。すでに男性が一人乗車していた。

乗車してすぐ女性専用車両の案内アナウンスがあり、次の通町筋電停で多数の乗客が下車した。

私達はそのまま辛島町まで乗車して、今度は熊本駅前方面には行かず、上熊本方面の電車に乗り換える予定である。

辛島町~上熊本

辛島町電停も朝ラッシュ時のためか、ホームは人でいっぱいだった。

先ほどの呉服町電停ほどではないものの、やはり路面電車ということでホームは広くない。

このページの上に貼った路線図を見ていただけると分かるように、辛島町から熊本駅前(田崎橋)または上熊本方面へ向かう場合はここが路線の分岐点となる。

つまり、ここでは電車の行き先に注意する必要があるということである。

しばらくするとホームに田崎橋行きがやってきたが、ホームの端のほうに座っていた地元のおばあさんが私達に「これは上熊本には行かんよ」と教えてくれた。

私達の会話の内容から、上熊本に行くつもりだということが分かったのだろう。

声掛けされるにしても、こういう声掛けならばありがたい。

もうしばらく待って、8:59発の上熊本行に乗車。こちらはそれほど混んでいなかった。

ここまで乗車したすべての電車がそうだったが、この電車でも乗務員は女性専用車両に男性がいても一切声はかけてこなかった。

やはり男性に「声はかけない」「排除はしない」ということを、熊本市交通局は徹底しているようである。

またここまで乗車していて、乗務員たちの接客態度も非常に丁寧で好感が持てるのだが、一方で上層部は先にも述べた通り2両編成で女性専用車両とか、ちょっと思考がぶっ飛んでいるような気がしてならない。

ある意味、従わざるを得ない職員が気の毒である。

熊本市交通局も今は「安心してご利用いただくため、痴漢・盗撮等の対策として女性専用車両を導入…」などとしている(写真)が、そのうち他の鉄道事業者と同じように「痴漢・盗撮対策」を言わなくなり「女性に安心してご乗車いただくため」だけになって行くのではないだろうか?

これは、女性専用車両を運行している鉄道事業者に見られる、ある種の法則みたいなものである。

ちなみにこの写真は今回の乗車会とは別の日(11月中)に健軍町の電停で撮影したものだが、この写真を撮った時点ではまだ正式導入は発表されていなかった。

交通局は「アンケートを取って、その結果を見て本格導入するかどうかを決める」と言っていたが、まだ決まっていない段階で「本格導入に向けて検討してまいります」などと公言しており、恐らく正式導入決定が最初からほぼ既定路線だったのではないかと思われる。

やがて、進行方向左に新幹線の高架が見えてきた。

朝は肌寒かったが、今は陽が昇ってきて辺りはすっかり行楽日和である。

しばらく新幹線の高架に沿うように走って9:15に上熊本到着。ここで乗車会は終了とした。

上熊本到着後は乗務員が車内に貼りだしていた「女性専用車両」の表示を手ではがしていた。

市電B系統の終点、上熊本
すぐ近くにJRと熊本電鉄の上熊本駅がある。

熊本市交通局に訪問

この後は熊本市交通局への訪問である。

交通局へは市電の交通局前電停で降りることになるが、一日乗車券があるので当然ながら市電で向かうことに。

女性専用車両の時間は過ぎたので、これは任意確認乗車ではなく、単なる移動である。

先ほど「訪問直前の12月4日になって突然正式導入が発表されたため、交通局に出す質問状の内容を急遽変えざるを得なくなった」という話をしたが、当会が交通局に訪問のための事前アポを取ったのが11月25日である。

もちろんその際に「12月7日にそちらに行く」と伝えているので、当会メンバーの中からは(これはあくまで推測の域を出ないが)「当会が訪問する前に正式導入を決定してしまったのでは?」という疑念の声も出た。

やがて私達の乗った上熊本からの電車は熊本市内中心部を抜け、交通局前電停に到着した。交通局前電停から交通局まではすぐである。

熊本市交通局

交通局に入り、受付で10:30から予約していた者だと伝えると、すぐに担当者が出てきたが、開口一番「11時から研修なので、対応できるのは今から30分です」と言うではないか。

「は? そんなこと、たった今まで全く聞かされていなかったのだが? 研修というのは本当か??」

「まさか、当会に対応する時間を最小限にするためにそんなことを言っているのではないだろうな??」

と思ったものの、後の祭りである。

これでは交通局と意見交換どころか、質問状に記載している質問全てについて交通局からまともに回答を得ること自体、時間的にほぼ不可能である。

先述したように、交通局訪問直前に正式導入を発表されたので、11月から内容を煮詰めていた質問状を前日に大急ぎで作りなおす羽目になったわけだが、それでも何とか作成して当日いざ訪問したら「時間は30分だけ…」

これでは一体何のために、質問状の内容や訪問当日の話の持って行き方などについて、当会内で何度も話し合いを重ねてきたのか…

もちろん、正式導入の時期や研修が当会の訪問と偶然重なった可能性は残されているが、もし交通局が意図的に当会の訪問前に女性専用車両の正式導入を決定し、さらに当会にものを言わせないため、研修を口実に時間を切ってきたのなら、熊本市交通局は相当に狡猾であるといえるだろう。

仕方がないので、質問状の内容のうち4つから5つ程度に絞って質問することにした。

<質問1>首都圏で女性専用車両をめぐる事件(東京メトロ千代田線における緊急停止等)が起きてニュースになったことにより社会問題になったり、COVID-19(以下、新型コロナウイルス感染症)で混乱しているこの時期にわずか2両編成の列車に女性専用車両をなぜ試験導入したのでしょうか。

「なぜこの時期に?」という質問には「今年11月の時点で痴漢認知件数が10件になった」「痴漢被害は圧倒的に男性から女性に向けてのものであり、女性に安心してご利用いただくため」などと言っていた。

しかしすでに痴漢対策という理由は関西地区のJR西日本が女性人気取り丸出しポスターを作った例などでウソがバレはじめている。

先にも少しふれた通り最初は「痴漢・盗撮対策」と言っていたのが、痴漢や冤罪に明確な効果が見られないとなるといつしか「女性の安心のため」にすり替わるのだが、熊本市もやがてそうなるのだろうか?

それにしても、痴漢対策といいつつやはりこのコロナ禍の時期に余計に車内を密にする恐れのある女性専用車両をわざわざ導入することについては本当に疑問が残る。

<質問2>当初どのような経緯で「女性専用車両」を導入しようという話が持ち上がったのでしょうか。
外部(政党など)から犯罪対策として「女性専用車両」の提案・要請があったのでしょうか。
また、いつから「女性専用車両」が検討されていたのでしょうか。

市議会などで外部(政党など)から女性専用車両を勧められたりしたのかについては、「そのようなことはない」と完全に否定した。

「現場の乗務員から『痴漢対策のために女性専用車両が必要』との声が出たから」とのことだった。

しかし、そうだったとしてもそれは単なるきっかけであり、恐らく交通局側に「女性専用車両をやりたい意識」が多分にあったであろうことは想像に難くない。

編成両数の問題や朝ラッシュ時の安全性の確保、さらには今現在コロナ禍で世間が騒がしくなっているこの時期に女性専用車両を実行に移すのは相当に高いハードルがあるからだ。

交通局は女性専用車両に痴漢対策とは別の「何か」を期待しているのではないだろうか?

ちなみに交通局内で女性専用車両の導入云々が言われるようになったのは、今年度に入ってからとのこと。

少し話がそれるが、以前から当会では、市議会で女性専用車両についてのやり取りがないか、市議会議事録をチェックしていた。

しかし何度検索をかけても「該当なし」であった。

ところが、正式導入が決まったことを報じた12月4日のマスコミ記事では「4日の市議会で明らかになった」とある。

2020年9月の活動報告で「公明党の関与は無さそうだ」としたのも、議事録検索で全く何も引っかからなかったためだが、今まで多くの鉄道事業者に女性専用車両を要求してきた公明党が本当に関係していないのかどうか、やはり気になるところである。

<質問3>他事業者ではラッシュ時などでの安全確保の問題や車両による混雑差が激しくなるなどの理由から、短編成での導入はしていませんが、貴局がわずか2両編成の列車における導入でも問題ないと判断した理由は何でしょうか。
また、昨今では様々な場面で「三密」防止策について試行錯誤しているところなのに、明らかに「三密」を招くと思われる「女性専用車両」の導入について貴局内では疑問や不安の声が出なかったのでしょうか。

熊本市交通局では2両編成の場合、もともと前の車両に混雑が偏る傾向があるとのこと。

「それならば後ろを女性専用にすれば、男女が分かれるのではないか?」と考えているとのことだった。

そして、密については「市電の構造上、やむを得ないと考えている」とのことだった。

<質問10>近年、性的少数者(「LGBT」などと一般的に呼ばれています)の人権を尊重しようとする動きが広まっており、熊本市においても「熊本市パートナーシップ宣誓制度」を開始し、文化市民局人権推進部において「性的マイノリティサポートハンドブック(「サービス業向け」及び「医療従事者向け」)」を作成するといった動きがあります。
「LGBT」の「T」にあたるトランスジェンダー(性自認と身体的な性が一致していない 方)の方の中には、性自認が女性である一方で身体的な性別が男性であること等により女性専用車両に乗ること、および女性専用車両そのものに強い抵抗感がある方もいます。
昨年には、女子大学が戸籍上男性であっても性自認が女性である人を受け入れることに対して、一部のフェミニストを名乗る人物により、「女性専用スペースに入ってくる『生物学的に男』 の人物を排除しよう」などと、トランスジェンダーの人々に対する攻撃が行われるといった問題がありました。
熊本市が作成した前述のサービス業向け性的マイノリティサポートハンドブックにおいて
「こんなことばを使ったり聞いたりしたことはありませんか?・あの人って、男なの? 女なの?」
といった記述があり、また「だれでもトイレ」の確保や「性別限定のサービスの見直し」といった対応を求める記述がありますが、いわゆるトランスジェンダーの方の中には、女性専用車両を利用するうえで性別を詮索され、本人のプライバシーを毀損するといったことも考えられます。
貴局において、女性専用車両の導入にあたり、性的少数者、とくにトランスジェンダーの方々の人権についての議論は行われたのでしょうか。

この質問については「市内の性的少数者の団体に女性専用車両について意見を聞いたが、概ね賛同的だった」とのこと。

一瞬、「本当か?」という気がしたが、すぐにサッと答えが出てきたことから考えて、恐らくは私達からこういう質問をされることを想定して事前にそうした団体に問い合わせていたのだろう。

ただ「トランスジェンダー女性も性的被害にあうことがあるので、そうした人々でも女性専用車両に乗れるようにはしてほしいといった意見があったことから、任意の協力ということにさせてもらっています」とのことだった。

今回、質問状の他、「反対する会が提案する未来志向の迷惑行為防止策について」と題した、女性専用車両によらない痴漢対策の提案書も一緒に交通局に手渡した。

女性専用車両を導入すること自体が目的になっている感のある交通局にどこまで真剣に読んでもらえるかは未知数だが、少なくとも当会は決して痴漢対策自体に反対ではないし、当然ながら 「女性専用車両に反対=痴漢対策に反対」でもない。

一連の活動を終えて…

結局11時になったので面談は切り上げて、今回、回答を求めることが出来なかった質問については年内に文書で回答をいただくことにして私達は交通局を後にしたのだが、「11時から研修」というのがどうも信じられなかった。

帰りの市電の中で、つり革をもってメンバー同士「研修って本当か?」という会話をしていたら、乗務員から「(コロナ対策のため)車内での会話はお控えください」と声掛けがあった。

…おっと、これは失礼。ただし全員マスクはしていたが。

女性専用車両に男性がいても声はかけないが、こういう声かけならあるようだ。

それだけ「女性専用車両に男性がいても声はかけないこと」は熊本市交通局では徹底されているということである。

それは良いのだが、交通局はなぜ男性を排除できないと分かっていながら、痴漢対策・盗撮対策と言いつつ、2両編成で電停のホームも非常に狭いにもかかわらず女性専用車両を導入しようとするのか?

2両編成の場合は後ろの車両にも乗務員が乗りこんでいるので(そして通常の電車に比べ、かなり車両がコンパクトなので)、車内で何かあったとしても乗務員がすぐ対応できるはずである。

やはり「熊本市交通局は先進的」という、対外的なアピールの一環のような気がしてならない。

その後12月11日になって、「熊本市交通局の女性専用車両の本格導入が延期」というニュースが飛び込んできた。

それによると「試験期間が短すぎる」「議員への説明が不十分」という声が議会で挙がったからとのこと。

これを見る限りどうやら公明党などの女性専用車両推進勢力によるものではなく、やはり交通局が自発的に先走ったもののようにも思える。

2021年3月まで試験導入期間を延長するとのことだが、こちらについても市議会の議事録検索をかけたものの、やはり何も引っかからなかった。

報道では「『試験期間が短すぎる』・『議員への説明が不十分』という声が議会で挙がった」とあるのだが、なぜ議事録に載らない(載せない?)のか疑心暗鬼になってしまう。

カテゴリー
活動履歴

2020年9月 熊本市電にて非協力乗車&熊本市交通局訪問の報告

新型コロナウイルス感染症の影響で「三密回避」が言われる中、それに逆らうかのように熊本市交通局が女性専用車両の試験導入を発表しました。

そこで、「反対する会 福岡地区」の会員が導入初日に熊本市電で非協力乗車を行い、その後交通局を訪問して当会の意見書を担当者に手渡しました。


熊本市電、女性専用車両初日に非協力乗車

交通局を訪問し、当会の意見書を担当者に手渡す

突如、女性専用車両導入を発表した熊本市交通局

新型コロナウイルス感染症の影響で、世の中の混乱がまだ収まりきっておらず、いわゆる「三密回避」が繰り返し言われる中、突如としてそれに全く逆行する形で熊本市交通局は9月14日から市内電車で女性専用車両を試験運行すると発表した。

痴漢認知件数が年間1ケタ(6~7件程度)である中で、どう見ても痴漢が「激増」している中でのやむを得ない緊急避難措置とは到底考えられず、しかもこんなコロナ禍の時期に突然、2両編成中の1両を女性専用車両にするとは何かおかしい。

ご存じの方も多いと思うが、女性専用車両は過去に公明党が当時の国交省を巻き込んで強い圧力をかけ、多くの鉄道事業者に導入させたという経緯がある。

女性専用車両は政党の実績作りや女性票を集めるための選挙対策として利用されてきたのだ。

特に公営の鉄道事業者(地下鉄など)や首都圏の私鉄の女性専用車両はこうした政治的色彩が濃い。

また、女性専用車両を金儲け(女性専用車限定広告)や女性客寄せサービス、あるいは「女性にやさしい」というイメージ戦略として利用したり、あるいは「他がやっているから」と横並び意識で導入したりする鉄道事業者も多い。

表向き「痴漢対策が目的」といいながら、実際には「女性専用車両の導入自体が目的」になっているのである。

熊本市交通局は知っての通り、公営の事業者である。

だから「今回もまた公明党か?」と思われたが、当会で市議会議事録などをざっと調べてみた限りでは、熊本に関しては公明党の関与を示す形跡は見つからなかった。

どうやら、交通局内部(恐らく幹部クラス)に女性専用車両をやりたい人間がいると思われる。

しかし、「なぜこの時期に突然?」という疑問はまだ残る。

このように、女性専用車両自体純粋な痴漢対策ではなく、非常に裏表のあるものだが、熊本市交通局の女性専用車両のことを取り上げたマスコミ報道では、必ずと言っていいくらい「痴漢や盗撮を防ぐための女性専用車両」が繰り返し強調されている。

また交通局に抗議が殺到している現状を「県外からの抗議がほとんど」「利用者からはおおむね好意的に受け止められている」などと、反対派の声を「部外者が騒いでいるだけ」として片付けようとするなど、明らかに賛成派寄りの偏向報道が行われている。

https://www.j-cast.com/tv/2020/09/15394400.html
https://kumanichi.com/news/1601574
https://kumanichi.com/news/1595315

一応、申し訳程度に「県外の男性意見と、県内の女性意見を取り上げているだけでは? という指摘があった」ことを添えている報道もあるが、これではまるで「県内はみんな賛成しているのに、部外者だけがギャーギャー騒いでいる」と言わんばかりだ。

しかしながら、熊本市交通局の利用客とそれ以外のすべての国民であれば、後者のほうが圧倒的多数であり、全国から意見を受け付けている以上反対の声が「県外からのものがほとんど」になるのは、ある意味当然であろう。

「反対意見など聞くに値しない」と思わせるために「反対意見=部外者」とやたらに強調し、県内の反対意見は黙殺されているのである。

ニュースのコメント欄(以下の画像はヤフーニュースのもの)などを見ていると、熊本県内の方のものと思われる反対や疑問の意見もちらほら見かけるが、県内の反対意見についてはマスコミはこの先も黙殺し続けるのだろう。

また、コロナ禍のこの時期に他車両を混雑させる可能性のある女性専用車両を導入することについての批判は、マスコミ各社とも見事に完全スルーしている。

交通局といい、それを取り上げるマスコミといい、本当にふざけているとしか言いようがないが、当会としてもこうした現状を放置するわけには行かない。

そこで熊本に近い「反対する会・福岡地区」の会員が導入当日の朝熊本で非協力乗車と交通局への訪問を行い、当会の意見書を担当者に手渡した。

以下、当該福岡地区会員からの報告である。

女性専用車両導入初日に非協力乗車

今朝は熊本の女性専用車両の初日ということで乗車してきました。

行程は

熊本駅前7:22→通町筋7:40

通町筋7:51→健軍校前8:12 (通町筋→健軍校前は車両運用の都合上、非女性専用車両)

健軍校前8:16→田崎橋9:00


熊本駅前から乗車。

導入初日ということでマスコミ(熊本朝日放送)の関係者がホ―ムにいました。

ホームで待っていると、田崎橋行き(これには乗らない)が到着。

都心とは逆方向へ向かう便のためか、乗務員以外には乗客が3名ほど乗っているだけでした。

しばらくして、乗車予定の7:22発の辛島町方面へ向かう列車が到着。

熊本駅前に到着した列車

熊本市交通局は女性専用車両について、サイト上で「個別の声かけは行わない」としていますが、一応その記載通り実際に男性である私が乗車しても、乗務員がアナウンスで「後ろの車両は女性専用車両となります」とは言うものの、声かけは行ってきませんでした。

ただし、あくまで「個別の声かけは行わない」というだけで、車内での女性専用車両アナウンスは非常にしつこく行っていました。

混雑は前(非女性専用車両)の方がやや混み気味。

途中、祗園橋で男性が女性専用車両に乗車してきました。

この男性客に対してもやはり個別の声かけはなかったものの、しつこいアナウンスでのせいで非女性専用車両のほうに移動してしまいました。

河原町あたりで前の車両(非女性専用車両)はほぼ満員になりましたが、女性専用車両はまだ余裕が。
私以外にもう一人、女性専用車両内に男性がいるようです。

女性専用車両に乗る男性には直接声をかけないが、近くにいた中学生の会話の声量が大きかったのか、こちらに対し職員が声をかけて注意していました。

辛島町からは都心部に入るので降車が増え、そして熊本城・市役所前で大量に降車しました。

通町筋で上熊本からのB系統に乗り継ぐため降りましたが、乗る予定にしていた電車がこの日は運用の都合で1両編成に変更になっていました(女性専用車両があるのは2両編成のみ)。

そのため健軍校前までは非協力乗車ではなく、単なる移動となりました。

健軍校前に到着した列車

健軍校前からA系統(熊本駅前方面)に…

健軍校前からはA系統の熊本駅前方面に乗車。既に立ち客も多く出ていました。

今のところ、女性専用車両も非女性専用車両も混雑は同じくらい。

やはり女性専用車両に乗る男性に対する個別の声掛けはないものの、アナウンスがしつこいです。

女性専用車両内には私以外に男性はいないようです。

「男性は1本見送って後続の列車を待つのか?」と思っていたら実際に神水交差点(電停)で男性客が乗車を見送ったのを確認しました。

交通局前で乗務員が交替し、男性の乗務員に替わって女性の乗務員が乗車してきました。

この女性乗務員はあまり女性専用車両の案内をしつこくはしませんでした。

水道町から都心部に入り乗客は減っていき、辛島町で多数下車して車内の混雑は大幅に緩和しました。

女性専用車両内には私以外に男性客が2人。

どこの局かは分かりませんが、前の非女性専用車両にマスコミ関係者も乗車していました。

辛島町を過ぎてからは女性専用車両への男性の乗車がやや増えてきました。

時間的に女性専用車両が終了したと思っているのかもしれません。

熊本駅前で残りの乗客もほぼ降りて、終点の田崎橋に着く直前ではほんの数人になりました。

そして到着後、女性専用車両の時間が終わったので「女性専用車両」の表示をはがしていました。

車内から「女性専用車両」の表示を外す作業をしている。

この後少し休憩して交通局に向かい、会の意見書を提出し、今日の活動を終了しました。

熊本市交通局
5c7f90451fcb1ac9172bf5685c63b56f

(福岡地区会員からの報告ここまで)

熊本の女性専用車両について考察してみる

会員からの報告を見る限り、確かに女性専用車両の設置で車両による混雑差は生じていたようだ。

実際、「いつもより混雑しておらず、乗りやすかった」などという女性客の声(その分、非女性専用車両や後続列車が混んでいるはずだが…)を紹介したマスコミ記事が女性専用車両の導入早々に出ているので、女性専用車両のほうが空いているのはどうやら間違いなさそうである。

しかし、2両編成中の1両を女性専用車両にするということで、恐ろしいまでの混雑格差が生じるかと思われたが、どうやらそこまではいかなかったようである。

恐らく、女性専用車両のある列車がごく限られていることや朝ラッシュ時には列車を頻繁運転しているためだろう。

つまり、列車自体は編成が短いが頻繁に運転をしているため、実質編成の長い列車が1時間に2~3本程度来るのと、輸送力としてはさほど変わらないのである。

そして、女性専用車両のある2両編成の列車がごく限られている(下の時刻表の〇印のみ)ため、全体としては編成の長い列車に女性専用車両が1両あるのと割合としては変わらないのである。

熊本駅前電停の平日朝(健軍町行)の時刻表
女性専用車両があるのは〇印の列車

もし、上記〇印の列車だけでなく、すべての列車で(1両の列車でも中に仕切りを設けて)車内の半分を女性専用車両にしたならば、恐らく大混乱は必至だろう。

しかしながら、混乱に至らないからそれでいいというものではない。

建前ではあっても痴漢対策・盗撮対策を前面に出している時点で、男性を全て犯罪者予備軍として特定の車両から締め出そうとしていることには違いない。

そして同じ運賃を取りながら、生まれもった「性別」という本人の意思や努力では如何ともしがたい「属性」で排除することは男性に対する不当な差別である。

(だからこそ、任意協力という名目にして、「強制してないから差別ではありません」と言えるようにしているのである)

また、男性であるというだけで乗車を見送っている人がいることを考えると、すんなり差別を受け入れてしまっているわけで、大いに問題ありだろう。

男性自身の自己肯定感が、無意識のうちに失われているのではないか?

そう言うと、「痴漢がいるのだから仕方がない」などと言いだす者が必ず出てくるのだが、先述の通り「痴漢対策は建前」である。

痴漢対策という表向きの綺麗ごとに騙されてはいけない。

交通局にメールや電話で抗議をするのも一つの方法だが、これ【だけ】ではいずれ抗議の声は「沈静化」してしまう。

いつまでもメールや電話で抗議し続けられる人などそうそういないし、また実際の乗車活動などと組み合わさなければいずれ抗議で言う(書く)こと自体なくなってくるのだ。

また、メールや電話での抗議は、個人と鉄道事業者とのやり取りであり、それだけでは世間には活動としてなかなか認知されない。

やはりこうした活動は、世間に認知されないとなかなか影響力を持つことは出来ないから、そういう意味でも実際に乗車する活動は重要である。

熊本は現在試験導入中だが、今後さらなる拡大をさせないためにも実際に非協力乗車を定期的に続けるなど、継続的に活動をして行く必要がある。

熊本の方で女性専用車両に不満や疑問を持たれている方は是非、入会申し込みフォームより、当会に入会申し込みいただきたい。

カテゴリー
活動履歴

2020年2月 札幌市交通局訪問の報告

(このページは2020年2月 札幌市営地下鉄東西線・南北線で非協力(任意確認)乗車会からの続きです)

2020年2月12日、朝から札幌市営地下鉄南北線で非協力乗車を行った後、私達は札幌市交通局の本局を訪れ、女性専用車両(安心車両)への抗議を行うと同時に、全9ページに渡る意見書を手渡してきました。


札幌市交通局を訪問

札幌市交通局へ

札幌市営地下鉄での乗車会を終え、すすきのの喫茶店で少々時間を潰した後、私達は大谷地にある札幌市交通局の本局に向かうことにした。

すすきのからは大谷地まで、やはり地下鉄で向かうことになるが、札幌の女性専用車両(安心車両)は午前9時までで終了なので、ここからは非協力(任意確認)乗車ではなく、単なる移動となる。

大通で南北線から東西線に乗り換え、新さっぽろ方面へ。

ここから結構な距離を走り、終点新さっぽろの2つ手前の大谷地駅で下車。

大谷地駅から札幌市交通局はすぐ目の前である。

札幌市交通局

私達は担当者に手渡すための意見書を用意し、受付に向かった。

担当者と対談。

受付で要件を伝えると「担当の者が参りますので、こちらでしばらくお待ちください」とのこと。

しばらくして、担当者の方が来られた。

担当者
担当者

私、総務課の〇〇と申します。

会員
会員

よろしくお願いします。

担当者
担当者

今日は意見書をお持ちとのことで…

会員B
会員B

はい。こちらになります(意見書を提出)

担当者
担当者

こちらは局内で共有して、改善できるところがあれば、活かさせていただくというような形で…

会員B
会員B

では、今朝あったことなどを今、ここでお話しさせていただいてよろしいですか?

担当者
担当者

はい。

会員B
会員B

(会員Aに)じゃ、今朝のことを。

札幌会員A
札幌会員A

南北線で乗車している時に女性客から「ここは女性専用の車両」だと声をかけられまして、「任意協力なんですが、どうなんですか?」と聞いたところ、固定観念的に男性は乗れないものだと思っていたようで、肉声による案内とか、ポスターに書いてある『only』という表記とか、(男性は乗れないという)錯誤を招く案内の仕方にまず問題があるのではないか?
男性が乗れるということを知らないでonlyとか安心だとか、(ポスターなどで案内している)「乗車できる方」の中に健常者の男性が入っていないとか、これでは至極当然に「男性は乗れないものだ」と思うと思うんですよ。

担当者
担当者

はい。

札幌会員A
札幌会員A

で、そういう案内の方法に問題があると思ったのが一つと、あと南北線さっぽろ駅でホームに並んでいたら、女性客が「痴漢だ」とブツブツ言ってたんですよ…

会員B
会員B

痴漢集団とか言ってましたね。私達のことを。

札幌会員A
札幌会員A

有効な乗車券をもって、誰でも乗れる(はずの)車両に乗っているだけで、そんなことを言われる筋合いはないので、そういう(男性は乗れないという)錯誤をさせるような表記・案内はしないで、(本当は)乗れる前提があって、男性の協力のわけですから、これをひた隠しにして運行している現状に問題があると考えているので、そこのところを改善していただきたいと思います。

担当者
担当者

そうですね…、そういったご意見も、お越しいただいている皆様の他にも、いろいろなご意見を、ホームページとかいろいろなツールを通していただくこともありますので…
仰る通り運送約款とか、鉄道営業法とかそういった根拠があってやっているものではなく、あくまでご存知かと思うんですけど、主に男性の皆様の任意のご協力というところでですね、札幌市以外の大手民鉄などもやっているかとは思うんですが、主旨としては、そこを強く出してしまうと、結局何が言いたいのかということになるので、バランスを見ながら設定して行ければと…

会員C
会員C

法的には男女差別は禁止されているから強制には出来ないということですよね?

担当者
担当者

そうですね。

会員C
会員C

今年(2020年)は東京オリンピックがあって、「東京」という名を冠してますけど、競技によっては札幌でも行われますが、それでもこんなことを続けるのですかね?

担当者
担当者

安心車両ですか?…そうですね。オリンピックまで日も迫っているので、今から変えるということはちょっと厳しいものがあるかとは思いますけども…

会員B
会員B

しかしながら、ポスターとか車両のステッカーにも書いてありますけども、「以下のお客様がご利用いただけます」ということで、「女性・子供・身体障がい者とその介護者」と…。あれだけ見たら、普通の人は「それ以外乗ってはいけない」と思ってしまいますよ。そういう点でも勘違いを誘発しているのではないですか?そういうのがあるから今朝のこういう声かけになったのではないかと。やはり公共交通機関ですから、属性によって乗れない車両を設定するわけには行かないので、そのへんはきちんと告知していただきたいと思います。

…・こんな感じでしばらくやり取りを行ったが、やがて時間が迫ってきたので、対談は終了となった。

世間では女性専用車両に反対する私達のことを、(マスコミ報道を鵜呑みにして)「女性を犯罪から守るための車両に差別だと難癖をつけている連中」だと思っている人も少なくないだろうが、先のページ(2020年2月 札幌市営地下鉄東西線・南北線・非協力(任意確認)乗車会の報告)でも述べた通り、女性専用車両は公明党などの政党によって、選挙対策・実績作りなどの目的で推進されたものであり、痴漢対策・性暴力対策ではない。

女性専用車両(安心車両)は決して正義の車両などではないのだ。

もちろん、マスコミなどは恐らく意図的にそのあたりのところを言わないようにして黙殺していると思われる。

また、「安心車両」という名前が意味する「男性がいない=安心」というのは、(男性の多くが犯罪者などではないことから考えても)とんでもない偏見であり、そういう意味でもこの車両は不適切であるといえる。

当会は関東・関西をはじめ、名古屋や札幌・福岡などでも活動を行っているが、札幌やその周辺にお住まいの方で、女性専用車両(安心車両)に疑問をお持ちの方、入会申し込みフォームから入会申し込みみいただければ幸いである。

カテゴリー
活動履歴

2018年9月 札幌訪問の報告

2018年9月、札幌の会員に直接会うために、関東・関西から会員が札幌を訪れ、一緒に、女性専用車両(女性と子どもの安心車両)を運行する札幌市交通局に抗議を行う予定でしたが、訪問直前に台風21号が北海道にも被害を及ぼし、さらにそれに追い打ちをかけるかのように強い地震が北海道を襲い、「交通局も非常事態だろうから、今回は抗議に行くのは見合わせよう」という話になりました。

結局、関東・関西のメンバーが札幌の会員と、札幌市内で直接会って交流を深めましたが、札幌市交通局への活動は今回は出来ませんでした。


台風と地震で余儀なく計画変更

抗議活動は出来なかったが、札幌メンバーとの対面は果たす。

交通局に抗議のはずが…

当会内で数か月前から進めていた、札幌遠征計画。

関東・関西と違い、普段なかなか多人数の反対派による活動がしにくい地域において、たまには反対派の存在も見せておかないと、というのと、やはり (関東や関西から見て)遠くにいる会員とも、たまには実際に会っておかないと、ということで話を進めていたのだが、計画実行の直前に、今世紀最強とも言われた台風21号が四国や関西だけでなく、北海道にも被害を及ぼし、さらに間を置かず、今度は最強クラスの地震が北海道を襲い大混乱に。

何と言うことであろうか。

関西空港や新千歳空港もかなりの被害を出している中、一時は計画そのものを中止しようかとも思ったが、計画実施日の数日前になって、関西空港やその関連施設も一部復旧し、運行を再開したことなどから、せめて札幌の会員と顔だけでも合わせておこうということで、今回は9月下旬、札幌の会員1名と、関東・関西の会員が直接会って、札幌市内のジンギスカンの店で飲食しながら、いろいろと語り合うこととなった。

ジンギスカンの店で、札幌の会員と対面

本来の計画では、日中に札幌市内で直接待ち合わせた後、交通局に抗議に向かう予定にしていたが、今回は地震の影響で、札幌の地下鉄も節電のため減便運行している状態であり、これでは交通局もとても抗議に対応していられる状態ではないだろうということで今回、抗議活動は断念。

しかし、今回の会合に出席してくれた札幌の会員(とりあえず「A会員」とする)によれば、朝の札幌市営地下鉄で時々、個人的に任意確認乗車しているが、札幌ではA会員が乗車していても、職員や女性客などの声掛けは現在のところ、ほとんどないとのこと。

結局、そのA会員とは日が暮れてから札幌市内の、あるジンギスカンの店で待ち合わせをすることになった。

札幌市営地下鉄さっぽろ駅
当日のすすきの交差点

筆者も含め、関東と関西の会員が、先に地下鉄すすきの駅で待ち合わせ、そこから徒歩でジンギスカンの店に向かい、店内でA会員の到着を待った。

そして、しばらくしてA会員が到着。

これで参加者が全員そろった。

普段、私達とはメールやチャットなどでよくやり取りしているA会員だが、私達もA会員に「直接」会ったのは今回初めてで、まず「初めまして」と互いに挨拶したが、実際は全然「初めまして」ではない、何とも不思議な感覚である。

これもインターネットが当たり前のように普及した、現在の世の中ならではのことであろう。

ジンギスカンを頂きながら、約2時間語りあった。

当会では、過去(2013~2014年頃)に札幌地区の会員数名で交通局を訪問するなどしているが、やはり当会も会員の入れ替わりがあるため、当時の札幌の会員はすでに活動していない。

会員の入れ替わりがあるのは札幌に限ったことではなく、全国共通だが、まだ関東や関西では元々の人数が比較的あるため、会員の入れ替わりがあっても、活動は何とか続けられる。

しかし札幌などの遠隔地の場合、元々の人数が少ないため、ちょっと人が抜けるとそれだけで以後、活動自体まともに行えなくなることが多い。

事実、当会の札幌地区は人数の関係から、まとまって活動する機会も少ない。

今回は、札幌のメンバーと一緒に活動することが出来なかったが、また日を改めて、札幌での活動も計画したいところである。

結局、A会員とはそのジンギスカンの店で約2時間語り合って、その日はお別れすることにした。

札幌かその周辺にお住いの方で、女性専用車両(札幌では「女性と子どもの安心車両」)に疑問を持たれている方、札幌でもまとまって活動ができるよう、是非、当会まで入会申し込みいただきたい。

カテゴリー
活動履歴

2017年8月 関西本部:京阪本線での非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告④

4.阪神本社訪問

これまで抗議に行ったことのない、阪神電鉄の本社も訪問しました。


阪神本社を訪問

女性専用車両を拡大する気はないと答えたものの…

阪急本社から阪神本社に移動

阪急での抗議を終えた私達は、続いて野田にある阪神電鉄の本社に向かった。

阪神電鉄の本社は、阪神野田駅の駅前にある。

阪急本社から阪神の駅まで歩くと結構かかるのと、阪急本社のすぐ近くにバス停があり、バスが野田まで行くことから、私達はバスで阪神電鉄の本社に向かうことにした。

10分あまりバスに揺られ、野田阪神に到着。目の前が阪神電鉄の本社であった。

阪神電鉄本社

ここでは入り口に看板があり、対談は2人までに制限とのこと。

3人になっていた私達はどうしようかと、その場で話し合ったが、会員Rが今日はここで帰るということで、会員GとFが向かうことになった。

ここでも、受付で要件を伝え、担当者が来るまでしばらく待つことにした。

女性専用車両は効果がある? どういう意味で??

しばらく待って、出てきたのはなぜか、「助役」の名札をつけたT氏。

阪神は、本社に入ってすぐのロビーにおかれていたテーブルを囲んで私達2人とT助役が対談する形になったが、このT助役、一応私達の話は聞くものの、私達が女性専用車両反対派と言うだけで何か、内心馬鹿にしたような態度を終始取っていた。

まず、女性専用車両を今後どうするつもりなのか尋ねてみたが、現状以上に拡大する気はないとのこと。

それはそれで良いのだが、同時にT助役は、「女性専用車両を設定したことによって効果が上がっている」などとも言っていた。

しかし、T助役が女性専用車両導入前後の痴漢件数のデータを示さなかった(というより、データがその場にはなかったのだろう)ため、T助役の言う「効果があった」は、かなり疑わしいものであるといわざるを得ない。

また、その「効果」も「痴漢件数が減少した」ということなのか、それとも「女性が安心して利用できるようになった」などの他の意味なのか、判断がつかない。

阪神の場合、朝ラッシュ時に何本か運転される梅田行き区間特急のみの設定であり、それらの列車だけで全体の痴漢件数が大きく減るとは考えにくい。

阪急京都線(の特急)やJR西日本などのように、女性専用車両を終日やっているようなところでも痴漢件数を尋ねると「痴漢が減った・減らないではない」とか「公開するためにデータを取っているのではない」などと、苦し紛れの言い訳ともとれる回答をしてくる。

だから、阪神で痴漢の件数が大きく減っているとは考えにくいといえる。

また、「女性が安心して乗れるようになった」などは、具体的に数値として見えるものではなく、あくまでも「感覚」である。だからこれは個人の主観でどうにでもなってしまう。

よって、このようなものを女性専用車両の効果があった・なかったの尺度にすることは出来ない。

「女性専用車があるおかげで女性が安心できる」などと言えば、一見もっともらしく聞こえるが、実際には女性客の「もう女性専用車両には乗りたくない」という意見も実は少なくない。

これについてはこちらのページ内でも紹介しているので見てほしい。

もちろん、「もう女性専用車両には乗りたくない」も、これは各個人の「感覚」であるから、これをもって「女性専用車両が効果がない理由」にするつもりはないが、ここで言いたいのは「女性専用車両があると安心」というのが、絶対的なものではなく、単なる利用者各自の主観でしかないということである。

「女性専用車両で痴漢が減らないから」だけで反対ではない

これは女性専用車両反対派の中にも誤解している人がいるのだが、当会は、単に「女性専用車両で痴漢が減らないから」という理由だけで女性専用車両に反対しているのではない。

もし、単なる痴漢件数の増減だけで反対しているのであれば「女性専用車両で痴漢が減れば大賛成」になってしまう。

当会もよく、痴漢件数が減らないことを問題にしているし、確かに「これも問題」ではある。

しかし、これはあくまでも、「女性専用車両を設置した結果、後から生じた問題」であって、女性専用車両問題の本質ではない。

痴漢件数だけでなく、車両の混雑差や利便性(女性専用車両がちょうど階段の位置に来る 等)も同じで、それらが解決したからといって「女性専用車両は問題ない」ということにはならないのである。

そもそも、女性専用車両は男性に対する不当な差別であり、そこが解決しない限り、女性専用車両は問題ないとは言えないのである。

そういうと、
「女性専用車両は痴漢対策で設けられたのだから男性に対する不当な差別ではなく、女性を痴漢から守るための物」
「反対派は、女性専用車両がなぜ作られたか、作らざるを得なくなったか、その経緯を考えていない」

などという反論が来るが、そういうことを言う人は、女性専用車両が本当に痴漢対策のために設けられたものかどうか、よく調べなおすことである。

はっきり言っておくが鉄道事業者は痴漢被害者のことを思って女性専用車両を運行しているのでもなければ、痴漢対策を真剣に考えて女性専用車両を運行しているのでもない。

もちろん、本当に痴漢対策だったとしても、やり方に問題がありすぎであり、反対であることに変わりはないが。

未だに、女性専用車両が冤罪対策になると思っているT助役

また、T助役は「痴漢冤罪が問題になっているが、それなら逆に女性専用車両をもっと増やして、女性が近くに来なくなるほうが男性にとっても良いのではないですか」などとも言ってきたが、ピント外れも甚だしい。

女性専用車両が作られても、多くの路線で痴漢が減っていないか、逆に増えているのが現状である。

そして、痴漢がなくならないということは冤罪もなくならないということである。

実際、女性専用車両の設定されている列車で、冤罪事件が何件も起こっている。

女性専用車両が出来ても、痴漢犯は他の車両で痴漢行為をするわけだから、痴漢も冤罪もなくならないのも、ある意味当然といえる。

むしろ、女性専用車両の設定で他の車両が混雑しやすくなっている分、男性には冤罪のリスクがかえって増しているというのが実情であろう。

また、故意に痴漢をでっち上げて、示談金を狙うような輩などは最初から女性専用車両に乗るわけがない。

また、乗客がどの車両に乗ろうとそれは乗客の自由であるから、女性客に「女性専用車両に行け」とも言えない。

実際に、女性専用車両があっても自分の利用する駅の階段や改札などに一番近い車両を選ぶ女性客は非常に多い。

「女性専用車両が痴漢冤罪対策にならない」ということは、これまでからも当会が繰り返し言い続けてきたことである。

女性専用車両が冤罪対策になると思いこんでいる人は、事実を良く確かめもせず、イメージだけで物事を判断しているということである。

普段から活動を行っておく重要性を再認識して解散

結局、約30分ほど話し合ったが、どうやら今回の阪神電鉄の対応を見る限り、そもそも女性専用車両反対派の存在自体を問題視していないようにも思われた。

もっと分かりやすく、砕けた言い方をすれば「女性専用車両に反対とか言っているような奴など、どうせ低レベルな人間なんだから、まともに相手にする必要もない」と認識しているという事かもしれない。

T助役の対応もそうだが、そもそも今回、なぜ対応に出たのが担当者ではなく「助役」だったのか?

たまたま担当者が席を外していた可能性も否定は出来ないが、「やはり阪神電鉄側がこちらのことを軽く見て、担当者ではなく、クレーマーを軽くあしらうのを得意としている助役を持ってきたのではないか?」と見ることもできる。

阪神電鉄は女性専用車両の実施列車や時間帯がごく限られており、そのこと自体はまだ土日・祝日も含め毎日終日実施している、どこかの他社に比べたらマシといえるのかもしれない。
しかしその反面、実施列車や時間帯がごく限られているがために、これまで阪神電鉄に対し、女性専用車両に対する批判や抗議の意見を言う人がほとんどいなかったのではないか?

もちろん、「非協力乗車」する人もほとんどいなかったのではないだろうか?

そして、だからこそ阪神は今回のような対応を取ってきたのではないだろうか?

他社では、反対派と現場の職員とで、激しいバトルになることもこれまで何度もあった。

あのJR西日本ですら、(100%そのためだとは断言できないものの)2014年に乗車活動していた私達を強制排除しようとして、職員が書類送検される騒ぎになり、最近では非協力乗車している私達に対して、直接の声掛けはあまりして来なくなっている。
昨年(2016年)1月に、当会と差別ネットワークのドクター差別氏とでJR西日本の本社を訪れた際も対応に出た職員2名は丁寧に対応していた。

関西だけではない。

関東のつくばエクスプレスも当会が非協力乗車(任意確認乗車)し始めた2008年頃には、警察を出動させて当会メンバーを強制排除するという暴挙に出た。(TXは警察を出動させたことを否定しているが、その場にいた警視庁の成田警部の発言から、TXが警察を呼んだのは明らかである)
しかしその後、当会をはじめ、反対派からの強い抗議活動によって、TXも今では女性専用車両は運行し続けているものの、女性専用車両に対して、「やる気のない」鉄道事業者となり、男性が乗車していてもほぼ声をかけられることはなくなった。

よく、「女性専用車両反対運動とかやっていても実際には女性専用車両が全然なくなっていない。

全然効果がないじゃないか」などという人がいるが、決してそんなことはない。

実際に廃止・縮小されたりしなくても、鉄道会社側の対応は明らかに活動によって変わってくる。

時間がかかっても、いずれは廃止・縮小に話が向かう可能性にもつながってくるだろう。

逆に言えば声を上げないと鉄道事業者にナメられるということである。

阪神については、先ほど述べた通り、女性専用車両の実施列車や時間帯がごく限られているため、今後も当会の活動対象の中心になることはないだろう。

しかし、今回の阪神の対応を見て、改めて普段から活動を行っておく重要性を再認識した次第である。

時刻は午後3時を少し回っていた。

対談を終えて、本社を後にした私達は今後も積極的に活動していこうと決意を新たにし、そこで解散した。

(終わり)

カテゴリー
活動履歴

2017年8月 関西本部:京阪本線での非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告③

3.阪急本社訪問

以前、会社のHP上に「人にやさしい魅力ある鉄道サービスを実現するためのサービス水準向上の一施策」などと明記して、女性専用車両を宝塚線・神戸線にまで拡大した阪急電鉄を再度訪問。

改めて女性専用車両に対する抗議を行ってきました。


阪急本社を訪問、抗議

担当者の発言に、会員から突っ込み続々…

天満橋から梅田に移動

京阪本社訪問を終えた私達は、天満橋から次の訪問先である阪急電鉄の本社がある梅田に移動した。

天満橋からは地下鉄谷町線で移動。

ここも平日の始発から朝9時までの間で女性専用車両があるが、今私達が乗車しているこの時間帯は設定対象外である。

関西ではJR西日本や神戸市営地下鉄のように、土日も含めて毎日、年中無休で終日実施というようなところや神戸電鉄・神戸市営地下鉄海岸線などのように、わずか4両編成で、そのうちの一両を終日、女性専用車両に設定(神戸電鉄は早朝だけ解除)するような、実施時間帯を見るだけでも明らかに痴漢対策とはかけ離れた、悪質な事業者が多い。

そのため、先ほどの京阪やこの谷町線などのように「平日朝だけ実施」の鉄道事業者はつい忘れがちだが、平日朝だけと言っても公共の場における不当な差別には変わりない。

谷町線で東梅田に到着した私達は、とりあえず梅田近辺で昼食を取ることにした。

会員の一人が、安くて良い店を知っているとのことで、一同その店に向かうことに。

腹が減っては戦が出来ぬ…

店内では、昼食を取りながら各自歓談し、しばし楽しいひと時を過ごした。

外部から見れば、私達はどんな人間の集まりかと思われているかも知れないが、実際にはこのように仲間として交流を深めつつ活動している。

ただ、なかなかこのHPでは当会の内部の雰囲気まで伝えることが出来ないのは、いつももどかしく感じているが…・

さて、昼食を済ませた私達は、そこから徒歩で阪急の本社へ。

阪急本社には、過去にも一度、差別ネットワークのドクター差別氏とともに、抗議に行ったことはあるが、その後も男性が女性専用車にいると、しつこい声掛けをしたり、職員がついて同乗するなど、相変わらずなので、改めて訪問することにした。

梅田駅からしばらく歩いて、阪急本社に到着

受付で要件を伝え、しばらく待っていると、阪急の担当者2名が私達のところにやってきた。

互いに「よろしくお願いします」と挨拶をかわし、阪急本社内の面談室へ…

2人いるうちの一人が回答役に回り、もう一人が記録するスタイルは京阪と同じ。

まずは会員Fが話を切り出した。

以下、阪急の担当者と私達とのやり取り。

数年前から女性専用車両に

会員F:阪急さんはだいぶ前に、京都線に女性専用車両を導入されましたが、それからかなり長い間、京都線だけだったのですが、最近になって宝塚線や神戸線にも導入されました(※)。急に女性専用車両の拡大に熱心になったようにも見受けられるのですが、これは何かあったのでしょうか?

※阪急は2002年に当時の国土交通省の社会実験に付き合う形で、京都線に女性専用車両を終日導入したが、その後、
2015年以降に宝塚線・神戸線に導入するまで10年以上、拡大の動きはなかった。

担当者:あー まあ、京都線での女性専用車両にご協力いただいた中で、やはり宝塚線や神戸線にも京都線と同じ考え方で、痴漢対策とか迷惑行為防止に有意義であるということと、お客様からもそうしたご意見をいただいていることもあり、拡大いたしました。

会員F:では、京都線で女性専用車両を導入してから、痴漢は減ったんですか?

担当者:えーと 減った・減らないの話ではなく、国土交通省からの「有意義である」という判断を頂いて…ということですね。←痴漢が減らないのに「有意義」とはこれいかに?

会員F:その「有意義であるという判断をいただいて導入」というのは、京都線のことですか?
それとも、宝塚線・神戸線でもやはり国土交通省からそのような判断をいただいたということですか?

担当者:(宝塚線・神戸線に関しては)そうではないですね。多くのお客様からご支持いただいているということがベースにございまして、有効な政策のひとつであると…

で、国交省から京都線の時に導入を提言されていると…

神戸線・宝塚線に関しても「女性専用車両を設置してほしい」というご意見をいただいているということから拡大いたしました。

会員F:反対意見は来てないんですか?

担当者:…どちらもございます。

確かにどちらもございますが、宝塚線・神戸線にも入れてほしいという意見が多く来ていましたので、導入いたしました。

PRが足りない?

会員F:最近では、多くの鉄道事業者で「男性の障がい者は単独でも女性専用車両に乗れる」ということになっていますが、実際に男性の障がい者や足腰の弱った高齢者が女性専用車両に入った場合、それを知らない女性客が暴言を吐いたり、場合によっては暴力を振るうというようなことも起きていますが、それでも女性専用車両はあるべきとお考えなんでしょうか?

担当者:あのー 私達も女性専用車両に対してのPRが少ないと言われれば、そこはお詫び申し上げなければいけないんですけれども。

会員F:PRが足りないと仰いましたけれども、では今後そのあたりのことについてPRするお考えなんでしょうか?

担当者:実際のところ、女性専用車両については男性のお客様のご協力の上に成り立っているものでございますので、現状のPRでやらしていただいている所でございます。

これ以上と言われましても、…それはお客様からいろいろいただくご意見を参考にさせていただいて、分かりやすい案内を研究してまいります。

会員F:それでしたら私どもが申し上げたいのは、まず「男性の障がい者が乗れる」と、一応駅では掲示されてはいますが、もっと分かりやすく、例えば駅で掲示するだけでなく、放送で言うとか…

あと、もう一つ申し上げたいのは、女性専用と名乗っているから、男性は乗ってはいけないように思われる。

実際には任意協力であって、強制ではないわけですから、事実上「女性専用」ではない。

だから女性専用車両という名前は不適切であると思います。

そういった点についても今後、研究・ご検討はしていただけるんでしょうか?

担当者:すぐに実現できるか分かりませんけれども、研究を重ねさせていただきたいと思います。

痴漢の減らない女性専用車両が、「一番有効な手段」???

会員F:今、痴漢対策と仰いましたけども、他に方法があれば、女性専用車両の廃止はありえるんでしょうか?

担当者:現在のところはお答えできません。

会員F:さっき、痴漢件数が減ったかどうか尋ねましたが、「減った・減らないではない」とのお答えでした。

どうしても女性専用車両でなければならないわけですか?

他に何か対策は考えていらっしゃるんですか?

担当者:対策としましては、現状これが一番有効な手段だという考えでございます。

会員G:有効と言っても、特に神戸線ですけど、女性専用車両を設定するためにかなりダイヤにしわ寄せしていて、何か女性専用車両を設定すること自体が目的になっているようにも見えます。

女性専用車両設定のために、新開地から梅田まで直通する特急を減らして、新開地から梅田方面の乗客の利便性を犠牲にした上、車両の使い方にも無駄を生じさせて、そこまでしてする必要があったのかと思いますね。

会員F:公共交通と言えば、「同じ運賃を支払えば、だれでも公平に利用できる」というのが本来ですが、当初「痴漢被害が深刻だから」と言って、そこを押し切って女性専用車両を導入したというのが、(阪急に限らず)最初の頃はどこもそうだったと思うんですけども、何か今見ていると、痴漢対策云々よりも「サービス」になってきているのではないですか?

何度も言いますが、痴漢件数が減ったのかという問いに対し、「そういうことではなくて…」というお答えでした。

ということは、「女性専用車両で目に見えて痴漢が減っていない」ということですね。

で、そんなもののために、公共交通の大原則に反することをやってまで、なぜ女性専用車両を拡大するのか。

やるなら他にもっと方法があるんじゃないのかと …本当に痴漢対策ならね。

「世間が支持しているから女性専用車両は存続する」と言いながら…

会員F:ご存知かどうか知りませんが、2009年に関東のJR埼京線で監視カメラが導入されたというのは、ご存知ですか?

それで痴漢件数が約6割も減ったというのはご存知ですか?

本当に痴漢対策がしたいなら、そちらをやればよいと思うのですが、なぜ女性専用車両にこだわるのかと…

担当者:繰り返しになりますが、多くのお客様からご支持をいただいている観点から、男性のお客様にもご協力頂いて運行しているところでございますので、現状のまま運行させていただくということで…

会員F:ということは、「女性専用車両を支持する人がいる」から、男性の障がい者や高齢者が不利益を被ってもそれは仕方がないということですか?

担当者:そういう意味ではございませんけれども…

会員R:「女性専用車両が必要」だと言うのは、国交省の判断なんですか?

それとも事業者自身の判断なんですか?

あるいは両方の判断なのか?

どうなんですか?

担当者:国土交通省とか、あのー、有効な政策の一つとして提言されておって、それを弊社でも、その…判断の上、えー、女性専用車両を設定させていただいたと…

会員R:ということは国交省が「女性専用車両は意味がない」とか、「差別的だからやめましょう」と言うまでは、いつやめるとか、そういうことは考えないわけですか…

担当者:現状では、世間の動向とかを見た上で、女性専用車両についても判断させていただくというか…

会員R:世間の人々っていうのは、「女性専用車両は来月から止めましょう」とか、そういうこと判断するんですか?

「女性専用車両が必要」という意見は、女性専用車両に賛成する人なら言いますけれども、では「もう女性専用車両は必要なくなった」と誰が言うのか?

普通、そんなことをわざわざ言う人はいないと思いますが。

担当者:ご意見を一杯いただいている中で、やはり総合的に判断して…ということですね

会員F:ということは、「反対意見がたくさん来たらやめる」ということですか?

担当者:…そこは、反対意見が極端にたくさん来たからやめる、ということではなく総合的に…

↑「女性専用車両の存廃は、世間の動向を見て判断する」と言いながら、「では、世間から反対意見がたくさん出たら廃止するのか?」と問われると、今度は、「(賛否だけでなく)総合的に…」と言う。

要するに、「現在、女性専用車両を続けていることを、世間の動向のせいにしている」だけで、実際は女性専用車両を廃止する気など、全くないのである。

会員R:ということは、事業者(阪急)自身が「女性専用車両の存廃の判断基準を持っている」(=反対意見が多数でも、存続させるかさせないかは阪急が”総合的に”判断して決める)ということになりますが、事業者内ではどういった基準で女性専用車両の存廃を決めるんですか?

担当者:判断基準と言うのは、世間一般の方々からご意見を頂いて、総合的に判断しているということです。

会員R:世間一般の人々は「女性専用車両が存続しているということは、必要とされているから存続しているのだろう」と判断しますよ。

会員F:今、「総合的に判断」と仰いましたが、このやり方だと、賛成が多かろうが、反対が多かろうが、どちらに転んでも「総合的に判断した」と言えば、結局、存続ということにしてしまえるわけです。

阪急さん以外でも、「総合的に判断した」という言葉を使った鉄道事業者がありました。

極端な話をすれば、仮に女性専用車両に99%の人が反対して、賛成が1%だったとしても、「他の要素も含めて、総合的に判断した」と言えば、反対多数の結果など、簡単にひっくり返すことができるということです。

担当者:他社のことについては弊社では分かりかねるのですが、弊社に関しては、総合的な判断としか申し上げようがございません。

女性専用車両は「人にやさしい魅力ある鉄道サービス」???

会員G:警視庁のデータですけど、痴漢に遭う人の多くは20代・30代の若い人が圧倒的に多いというデータがあります。

にもかかわらず、実際にその世代の人々が、女性専用車両を積極的に利用しているかと言えばそうではなくて、わざわざ乗りに行くのが面倒くさいなどの理由で他の車両を使うなどしていることが多い。

一方で、痴漢被害にはほとんど遭わないと思われる世代の人々が多く女性専用車両を使うということになって、その時点ですでに痴漢対策と言う理由は破綻していると思う。

国交省が「女性専用車両が有意義である」と言っているのは、そうしたデータを踏まえてのことなのか?

どう考えても女性を優遇して、女性客の顧客満足度を上げるためのものとしか思えない。

阪急電鉄は男性無視なのかと…

会員F:少し前ですが、宝塚線や神戸線での女性専用車両導入に関して、阪急さんのHPに「人にやさしい鉄道サービスを実現するための、サービス向上策の一環」という文言がありました(下の写真)。ここでいう、”人”とは誰のことを指しているんですか?

女性専用車両を「サービス向上策」と、堂々と公言している阪急電鉄のHP

担当者:お客様ですね。皆様です。

会員F:ということは、男性客も含めてということですか?

担当者:そうですね。人にやさしいということですから。

会員F:では、男性客に対して女性専用車両がどうやさしいのですか?

担当者:…やさしい えーと…どういう観点でと言うのが私にはわからないんですけど?

会員F:どう考えても、男性に女性専用車両がやさしいとは思えないんですけどね。

しかしHPには「人にやさしい」と書いてある。

解釈のしようによっては「”人”の中に男性は含まれていないのか?」となります。

担当者:…全ての人…ですよね。

会員F:だったら、「男性に女性専用車両がどうやさしいのか説明できないのは何で?」という話になります。

担当者:…あのー、「やさしい」というところが私としては、何をもって「やさしい」と仰るのかよく分からない。

何をもって「男性にはやさしくない」と仰るっていうのは… まあ…

会員F:いや、これ阪急さんのHPに書いてあったんですよ。「人にやさしい」って。

阪急さんのHPに書いてあることを、なぜ阪急さんが説明できないのかと…

担当者:……

この後、女性専用車両は、「同じ運賃を支払えばだれでも公平に乗れる」という公共交通の大原則に反するものだが、それが「やむを得ず」ではなく、「あって当たり前」のような感覚になっている。

男性の存在を無視して、女性へのウケを狙っていると思われても仕方がないような女性専用車両を拡大するのではなく、犯罪者が本当に犯罪行為をしにくくなる、そんな防犯対策を確立していってもらいたい。

というようなことを念押しに言って、私達は阪急本社を後にした。


この後、阪急本社から、阪神の本社のある野田に移動。

京阪に続き、阪神も本社訪問は今回が初めてだったが、その模様は次のページで…

続き

カテゴリー
活動履歴

2017年8月 関西本部:京阪本線での非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告②

2.京阪本社訪問

京阪本線・淀屋橋~出町柳間での非協力乗車を終えた私達は、続いて京阪電鉄の本社を訪問。

担当者に抗議も含め、いろいろと意見してきました。


当会メンバー4名で京阪本社訪問

担当者に直接 抗議&講義

天満橋にある京阪電鉄本社へ

京阪本線での乗車会を終えた私達は、京阪の本社を訪問すべく、天満橋で下車した。

天満橋で下車

地下駅である天満橋の改札を出て、地上には上がらず、そのまましばらく地下を歩いて、京阪の本社が入っているOMMビル(大阪マーチャンダイズマート)の地下に到着。

ビル入り口の案内によると、京阪本社はこのビルの9階と10階に入っているようだ。

当会ではこれまで、関西では阪急電鉄JR西日本南海電鉄

関西以外では名古屋市交通局札幌市交通局などを何度か直接訪問し、過去の活動報告にもアップしているが、今回、京阪電鉄の本社を訪問するのは初めてである。

京阪本社が入っている、OMMビルの入り口
京阪本社は9・10階

ビルの入り口前で、今回どういったことを担当者に話すか等、軽く打ち合わせしてしてからビル内へ。

入ってすぐ、上の階に登るエレベーターがあったので、乗って9階まで行くことにした。

9階で降りるとすぐ、目の前が京阪の本社である。

会員G氏が受付で担当者と面談したい旨を話し、担当者が来るまで、私達はロビーでしばらく待つこととなった。

ロビーには、今回導入したプレミアムカーの座席が展示されていた。

京阪としてもプレミアムカーにそれだけ力を入れているということなのだろう。

しかし、女性専用車両をそのままにして、プレミアムカーで一般車両をさらに一両減らすのは、(女性専用車両を除く)一般車両の混雑をさらに悪化させるであろうことは先に述べた通り。

やがて担当者が私達のところにやってきたので、お互いに「よろしくお願いします」と挨拶をかわし、
本社ロビー内の、壁で仕切った一角に移動した。

担当者と意見のやり取りを開始

壁で仕切った一角の中に、椅子と机があり、私達4人と担当者2人の計6人で、意見のやり取りをすることになった。

担当者は京阪電鉄のS係長と、T氏(役職は分からず)で、主にS係長が私達の質問や意見に答え、T氏は話し合いの内容をノートに記載する役に回っていた。

以下、当会メンバー達とS係長とのやり取り。

約1時間にわたるやり取りをすべて記載するのは若干長くなりすぎるので、話がそれた部分や、重複する部分などは、一部要約している。

S係長(以下、担当者):私、お客様センター係長のSです。こちらがTです。よろしくお願いします。

会員一同:よろしくお願いします。

会員G:8000系なんですが、8両編成だったのを、女性専用車両を残したまま、プレミアムカーを導入して、女性専用車以外の一般車両を7両から6両にして…プレミアムカーは特別料金いりますから。

そういうことしたの、京阪さんだけなんですよね。

一般車両に乗車している男性客にとって、それまで8両中7両に乗れていたのが6両にしか乗れなくなって、影響が大きいと思うんですよ。

(中略)

警察が痴漢対策を言ってきたりすることもあると思いますが、それは女性専用車両を一両作って解決する問題ではないと思うんですよ。

人が多い(混雑する)から痴漢が発生するわけで、女性専用車両があっても、そのせいで他の車両が余計に混んで、そこで痴漢や冤罪が発生しやすくなるわけで、何のための女性専用車両なんだと…

これは同じ運賃を取っている男性客に対して、あまりにも酷いんじゃないかと。

担当者:混雑したところに寄せられて…って感じ?

会員G:そうですね。(女性専用車を)無くそうとしたら、女性客は「私たちの空間が」となるかもしれませんけど、男性からすれば「お前らのせいで俺たちは押し込められているんだ」と、対立することになりますから、こうしたものを公共交通機関で作ってしまったのは考えものだと…

担当者:これって私もあの、知識が薄くて申し訳ないんですけど、他の電鉄とかでも女性専用車両がないというところってあるんですか?

大体どこでも一車両あるんですかね。

会員R:大手私鉄では、名鉄だけやってない…

地下鉄は、やっているのが、東京(都営)・東京メトロ・横浜・名古屋・大阪・神戸・あと、札幌。

やっていないのが、福岡・仙台…

会員F:京都もやってないです。

担当者:京都も…京都市営地下鉄?

会員G:はい。

会員F:あとJR東海もやってませんね。

会員R:JRでやっているのが、東日本と西日本だけ。

交通弱者は女性だけではない

担当者:「社会的に女性専用車両を設けなければならないのか?(必要なのか)」というのはたぶん、皆さん分かってらっしゃるのかなと思っているんです。

車内で迷惑行為と言うのは発生しています。

毎日のように朝7時台・8時台とかに盗撮行為とか、いろいろな部分で(女性は)弱い立場なので、迷惑行為を受けているのは皆さん分かっていらっしゃると思います。

ただ、反対に私ら男性からすれば、女性専用車両があるのに、なぜ一般車両に女性客が乗っているのだろう。せっかく(女性専用車両を)設けているのだから、もうちょっと女性が女性専用車両に乗ってくれれば一般車両にも余裕ができるし、そうなれば良いのにな…という私個人の意見はあります。

男性の方からもご意見はいただいておりますので、上のほうにあげて、こういう意見ということで、(会社に)読んではもらっています。

只今、うちも社会的な部分でも女性専用車両を設けることは企業の立場として明確にはして行きたい部分があるのかなあ…と

会員G:痴漢の多くは男性だといっても、男性の多くは痴漢ではないですから、「男性」から切り離せば安全です、ということではないと思うんですよ。

東京の警視庁のデータなんですが、痴漢被害は10代・20代の女性が圧倒的に多い。

で、皮肉なことに、そういう人たちが女性専用車両を利用するかと言うと、別のデータでは「その世代の女性はむしろ、女性専用車両をあまり使いたがらない」というのがあります。

これは不便だとか…

会員F:理由は他にもありますね。「身勝手な女性客が女性専用車両に多い」ということで、ツイッターとか見ていても、敢えて女性専用車を避けている女性もいるようです。

会員J:痴漢にあうリスクを取るのか、女性専用車両の不便さを取るのかであれば、痴漢にあうリスクを取っているわけです。

会員R:「女性専用車両が必要だ」と言って導入されても、では逆に「必要なくなった」と、誰がどうやって判断するのか、そもそもそういう判断すること自体、プログラムされているのか?

会員J:私が言いたいのは今回、プレミアムカーが出来てライナー(※)も出来ました。

どうしても痴漢にあいたくない、周りとスペース空けて乗りたいという人はそれに乗れば、痴漢に限らずほとんどの犯罪から身を守ることが出来ますし、(女性専用車両の)辞め時は今じゃないかと思いましたが、女性専用車両の運用は何も変わっていない。

※ライナーとは、枚方市などの途中駅始発で、そこから京橋までノンストップで走る、通勤客用の列車。女性専用車両の設定なし。今回のダイヤ改正で登場。

担当者:必要性はどうだということで検証していって、一回やってしまったことを辞めるのは、仰るように難しいかも知れない。

私も男性で分からないんですが、女性の方でPTSDとか男性恐怖症とか、それでも通勤・通学しなければならない方もいらっしゃるので、その方にも乗っていただきたいというのは企業としてあるので…

会員G:今、痴漢冤罪というものがありますよね。

弁護士つきの保険が出ているくらいですから、それが商売になるくらい問題になっていると思うんですよ。もともと隠れていた問題が表に出てきたんじゃないかと…

そんなものが商売のネタになるということは、すなわち女性以上に男性の行き場がなくなってきているんじゃないかと…

そのあたりの社会情勢から考えても、男女同じ料金を取りながらこういうこと(女性専用車両)をするのは、それは違うんじゃないかと思うんです。

会員R:同じ交通弱者対策と言っても、バリアフリーのエレベーターなどは、別段、障がい者・高齢者などでなくても利用できるが、女性専用車は最初から(性別という)属性で排除するみたいなことになっているから、そのあたりが違うと思う。

「排除の論理」がつかないと実施できないのが女性専用車両だと思う。

担当者:そうですね。

会員J:先ほど、女性のPTSDとか男性恐怖症とかがあって、女性は社会的弱者だから、その方々にも乗ってもらいたいということで、女性専用車両はあってもいいんじゃないかという話がありましたが、弱者は女性だけではなくて、例えば脚の悪い男性もいますし、お年寄りや障がい者の男性もいます。

しかし実際そういう方々が、女性専用車両が比較的すいていたとして、それに乗りやすいかといったら、現状そうではないと思います。

確かに小さい字で(男性の障がい者も乗れると)書いてあるかもしれませんが、駅の放送でも、男性が乗る場合があるという案内はしていませんし、そもそも「専用」という表記を見る限り、普通の人は(よく調べない限り)「男性禁止」だと思いますよね。

そういう現状を変えていただきたい。

現状として私も、御社の女性専用車両を使わせてもらうこともありますけど、私がパッと見、健常者男性に見えるからと、大体駅員さんが声をかけてくるわけです。

私の知り合いにも健常者に見えて内部障害のある人もいます。

いろいろな事情があって女性専用車両を利用する男性もいるわけですから、そういう男性には干渉しない(声掛けしない)でほしいと思います。

会員F:足腰の弱った高齢者の男性や目の見えない男性の方など、そういう人々が男性であるというだけで事実上排除されてしまう。

最近では各鉄道事業者も「障がい者は男性でも単独で乗車できる」という案内をしていますけれども…

担当者:車内放送でですか?

会員F:会社によりますね。中には(障がい者男性も単独で乗れることを)放送では全く言わずに、小さく車内に掲示しているだけで、できるだけ乗客に知られないようにしているのでは?

と思うようなところもあるんですが、結局「男性の交通弱者をないがしろにしてまで、健常者の女性を優先するのか?」と言われたときに、「うちは障がい者乗れますんで…」ということで(鉄道事業者が)うまく逃げてしまうわけです。

痴漢の減らない女性専用車両よりも、車内監視カメラを

会員F:女性専用車両にこだわるのではなく、監視カメラとか、警備員・鉄道警察の車内乗車を増やすとか他にもいろいろ方法はあると思うんですけれども、どうしても女性専用車両でなければならないのか?

もう一つ言うと、どこの車両に乗ろうと自由なわけですから、女性客に「女性専用車両に行け」と言えないわけで、結局、一般車両で痴漢とか冤罪が発生する…

全体として痴漢の件数は減ってるんですか?

担当者:うちは増えてますね。(←京阪も女性専用車両で痴漢が減っていないことを担当者が認めた)

会員F:ということは、女性専用車両を導入して、さてどれだけの意味があったのかと。

結局痴漢は減らないわ、しかも男性の障がい者や高齢者など、本当に保護されるべき人が保護されずに事実上排除されているわ…

また女性専用車両に乗る乗客も世間には痴漢被害者だと思われがちですが、実際には全然関係ない理由で利用している女性客が多いんですね。

よくあるのが、「臭いオヤジがいなくていい」。

担当者:ああ、女性専用車両は…

会員F:女性専用車を自分たちの特権・縄張りのように勘違いしている女性客が少なくなくて、そういう人が男性の障がい者や知らずに乗ってきた男性客に罵声を浴びせたり、場合によっては暴力を振るうこともある。

そんな代物を何が何でも残さなければならないのかと…

さっき監視カメラの話をしましたが、JR埼京線で…あそこも痴漢が多いことで有名ですが、2009年に監視カメラを導入したところ、痴漢件数が6割減ったというデータがあります。

本当に痴漢対策がしたいのであれば、監視カメラも視野に入れていただきたい。

そして、先ほどからも申し上げているように、女性専用車両は非常に弊害が多い。勘違いした女性客もいるし、男性の交通弱者を事実上排除してしまう。

ですのでそういうことにならないような犯罪対策なり、弱者保護を考えていただきたい。

担当者:監視カメラも、導入できたら痴漢だけでなくいろいろな犯罪も防止出来ていいのかな…と、JR埼京線は女性専用車両はないんですか?

会員F:あります。女性専用車両のほうがカメラよりも先に、10両編成の端の車両に導入されたんですが、女性専用車両では特に目立って痴漢が減らなかったんですよ。

で、あとから反対側…逆の端の車両ですが、そこに監視カメラを入れたら痴漢が6割減ったんです。

担当者:一両だけですか?

会員F:はい。ですので、どちらが効果的かと言えば、もう明らかなんですけど、それでもJR東日本は女性専用車両を廃止せず、持ったままにしているわけです。

本当だったら、先ほどから言っている通り、女性専用車両は弊害が多いし、他の車両を混雑させる原因にもなるから廃止するべきだと思うんですけどね。

ところが実際には、他にも監視カメラを導入した会社・路線もありますが、やはり女性専用車両はそのままにしている。

ですから私達の希望としましては、京阪さんにおかれましては、監視カメラの導入とともに、女性専用車両は廃止していただきたいと思います。

担当者:監視カメラに関しては、良い意見と言うか、駅のほうにもだんだん増えていってて、車内のほうでも、先の新幹線の火災などもありましたので、車内の監視カメラも見直されていっているかと思いますが、ただ、企業として資金の捻出が難しいというのはありますので、今すぐには無理ですが、何年か後には(カメラが)ついていくような状態にはなるのかなあ…とは思うんです。

ただ、仰るのは良く分かるんですが、埼京線でも監視カメラが導入されたが、それでも女性専用車両が残っているというのは、別の社会的な意味があって、(鉄道会社が)残しているのではないかな?とは思うんです。

会員F:「痴漢対策してます」という、表向きのアピールにはなりますが、先ほども申し上げた通り、実際には痴漢件数は減っていませんし、男性交通弱者を事実上排除するものを何が何でも残さなければならないのかということです。

「女性専用」車両という名称も問題。

担当者:監視カメラと併用して、さっき言われた「放送」で男性の交通弱者が女性専用車両を利用しやすいような環境にしていくという企業努力をして行ったら、共感していただける部分はあるんですかね?

会員F:ただ、「女性専用車両」という名前自体がいけないですね。

いかにも男性は利用してはいけないみたいな…

会員J:名前と実際の運用の内容に隔たりがあるんですよね。

先ほど痴漢対策の話と防犯カメラの話があったんですが、まず痴漢が減らないということについて、「女性専用車両に行けば痴漢を回避できるからいいんじゃないか」という声もあるんですが、まず私が言いたいのは、他の足の不自由な男性客を排除してまでする必要があるのかと言うのがあるんですね。

言い方は悪いですが、公共の場と言うのは、犯罪は「やった者勝ち」なんですよね。

つまり、証拠がなければ泣き寝入りになってしまう。

だから自分の身は自分で守らなければならない。

これは痴漢に限らず、強盗とかスリとか他の犯罪でもそうですが、痴漢だけ女性専用車両で守るというのがまず大前提としておかしいんです。

本来であればすべての車両を男女共用として「痴漢被害から身を守るためには」という啓蒙をしていくというのが本来のやり方だと思います。

それでも女性専用車両があるとしましょう。

それでも実際には痴漢被害が増えていると(担当者のS係長が)先ほど仰いましたが、ということは今まで痴漢していた「常習犯」が痴漢をやめていないということと、そういう犯罪者にとっては女性専用車両があったところで何も困らないということです。

つまり、新しい被害者がどんどん出てくるだけで、何一つ解決にはならないということです。

女性専用車両は男性の痴漢冤罪対策にはならない。

会員F:あと、女性専用車両で痴漢が減らないということは、他の一般車両にしわ寄せが行っているわけです。

ということは男性も冤罪に遭いやすくなる。

担当者:そうやね…

会員F:ですから、よく世間で「女性専用車両を設けると男性も冤罪から救われる」という人がいますが、真っ赤なウソです。

しかも女性専用車両を利用している女性客で、痴漢対策として利用している人がどれだけいるのかと言えば、実は少数派というデータもありまして、「女性専用車両の社会学」という、ある大学教授の方が出された著書ですけれども、大半の女性が痴漢対策以外の理由で利用しているという結果が出ています。

朝のラッシュなどは、どこの鉄道会社も乗客をさばききるのに一苦労されているんじゃないかと思いますが、そんな時に、他の車両に混雑をしわ寄せする女性専用車両を運行する必要があるのかと。

担当者:メールとかでも女性専用車両に関する話はちょくちょくお伺いしているんです。

それに対しては、私達だけで共有するのではなく、会社のほうにも共有しています。

今日はせっかく来ていただいたんで、この話は会社の上のほうに伝えて、しかるべき方向を取らせていただきたいとは思うんですが、私一人の判断ではなかなか難しいのはご承知いただきたいのと、とっかかりは女性専用車両を一発でなくすことは企業としては難しいのかなと、監視カメラとかを併用していって、その結果どうなのかなど検証して行きたいとは思います。

会員F:今すぐは難しいにしても、いつまでも女性専用車両を保持し続けるのではなく、そのようなものによらない防犯対策を確立していっていただきたいと思います。

担当者:それはもう本当に伝わってくるので…カメラも併設してだけれども、女性専用車両がなくなっていないのも現実なので、新たな手を打っていかないとと思います。

女性専用車両は男性にのみ負担をかけるもの。監視カメラは…

会員J:私も監視カメラについて付け加えさせていただきたいんですが、今、埼京線だけでなく、東急や東京メトロも監視カメラ車両を増やそうという方向で動いているんですね。

担当者:東急と東京メトロ…

会員J:はい。東急は今、実際に監視カメラの付いた車両の運行を始めていると思います。

会員F:京王もやってませんでしたっけ?

担当者:どこどこ?

会員F:京王。

会員R:京王は埼京線的な、一両だけカメラ設置…

担当者:東急とか、東京メトロも一両だけ?

会員R:東急と東京メトロは将来的には全列車・全車両につける方向で…

担当者:全車両つけるということですか?

まあ、一車両だけつけてもあまり意味ないけどね…

会員F:一車両だけでも意味ないことはないですよ。

埼京線でも、先ほど申し上げましたが…

会員J:監視カメラについて、もし反対意見があるとすれば、費用は置いといて、プライバシーのことかと思いますが、女性専用車両と比べた場合、女性専用車両は「男性だけに協力を求めるもの」であるのに対し、防犯カメラについては乗客全員に「プライバシー云々はあるかもしれませんが、ご協力をお願いします」ということで、少なくとも女性専用車両よりは公平なお願いをするものですから、私は監視カメラのほうが良いと思います。

会員R:空港の手荷物検査と同じで、全員に面倒をかけるが、一応全員がメリットを共有できる…

会員J:女性専用車両は男性だけに負担をかけて、メリットを享受できるのは女性だけ。

担当者:これから東京オリンピックもありますので、痴漢とかそういう犯罪だけでなくテロ対策も(オリンピックまで)もうあと四年切ってきているんで、そういう対策も考えていかなければならないと思っています。

会員J:テロとか他の犯罪についてもそうですが「混雑した車内で痴漢しているところが防犯カメラに映るのか?」という意見もありますが、少なくとも抑止効果は映る・映らないではなく、防犯カメラがあると分かっていて、そこで犯罪をやる人間など、よほどの馬鹿ぐらいのものでしょうから、やはり抑止効果はかなり大きいと思いますし、実際に埼京線でもデータとして出ているわけですから、(京阪社内でも)議論していただければと思います。

女性専用車両は「あって当たり前」ではない。

会員G:女性専用車両は快適だという意見に「臭いオヤジがいなくていい」というのがありますが、それってどうなんだと…

結局そこで女性の意見だけが通ってしまう。

そういう意見があるという事実。

…何かの資料で見たんですが、中高年男性の体臭を理由に「女性専用車両を導入してほしい」という意見を出す人がいて、こういうところからも(そういう意見を出す人は)、「女性専用車両=女性を優遇してもらえるもの」というイメージしかもっていないのでは?

会員J:あまりにもやっている会社が多いもので「本当はおかしい」という感覚がもうないんですよ。

女性専用車両があって当たり前になっている。

会員F:導入当初は「痴漢被害から女性を救済するための緊急的な避難措置としてやむを得ない」とか言われていて「公共交通機関であれば本来、同じ運賃を支払えば誰でも公平に利用できるのが本来だが、仕方がない」ということで、十数年前からどんどん導入されましたが、年数が経ってきて、今では何か「あるのが通常」みたいな感じになっている。

先ほど、京阪さんでも「痴漢が減っていない」という話がありましたが、実は他の鉄道事業者でも軒並みそうなんですよ。

ところがなぜか、女性専用車両の存廃の議論にならない。

「あって当たり前だから別にいいじゃない」みたいになってしまっている感がある。

これも本当はおかしいのですが、京阪さんにはそのあたりも含めてこの先、考えていっていただきたいと思います。

会員R:鉄道事業者も女性専用車両の存廃に関する判断を放棄しているような状態だし、利用者も単に「鉄道会社が現にやっているのだから必要なのだろう」のだと解釈しているふしがあるように思う。

結局誰も存廃に対する判断をせず、そのまま何となく続いているような状態になってしまっている。

会員J:神戸の地下鉄なんですが、女性専用車両を導入して数年経ってからアンケートを取ったら男性客の大半が反対だったんですよね。

でも、実際には神戸市営地下鉄は今でも日曜・祝日も含めて毎日、朝から晩まで全部(終日)やっているんですよ。

完全に男性の意見など、はなから聞く気もない事業者もいるということです。

女性専用車両をやめた路線もある。

会員J:女性専用車は定着しているから廃止しにくいという意見もあるかもしれませんが、実際にやめた路線もあります。

東急(東横線)ですけども、以前、夕方~夜間にやっていたのをやめています。

担当者:東急は夕方はやめた…

会員R:もともと東急は特急系統に平日・終日実施していたのがその後、朝夕だけになり(※)、現在は朝だけになっています。

その代わり普通列車にも実施するようになった。

※終日から朝夕だけになった際は、菊名問題(一カ所しかない階段の前に女性専用車両が終日停まる)などで、やはり利用者からのブーイングの声が大きく、上下両方向で終日実施していたのを、「始発から朝10:00までの上下と、夕方5時から終電までの下り(横浜方面)」のみに変更した他、女性専用車両の位置も、菊名駅での階段の位置に当たらないよう、中ほどの車両に変更した。
その後、副都心線乗り入れに伴って、女性専用車両を先頭車両(横浜から渋谷方面行の場合)に変更し、夕方から夜間に実施していた横浜方面行の女性専用車両は廃止。朝の横浜から渋谷方面行のみになったが、それと同時に、これまで設定のなかった各駅停車にも、副都心線乗り入れの関係で女性専用車が設置された。

会員J:朝だけになったのは、渋谷で(東京メトロ)副都心線と乗り入れるようになった関係で、要は鉄道事業者の都合なんですが、しかしながら(女性専用車両を)廃止しようと思えばできるということです。

会員F:あと四国の高松琴平電鉄は一時期女性専用車両をやりましたが、これはすぐに廃止しました。

あそこは2両編成なんですよね。

そのうちの一両を女性専用車両にしたものだから、ブーイングがすごかったようです。

(…このあと、神戸電鉄が平日終日実施だったのを、利用客のブーイングで「早朝」だけ解除した話や、東京メトロ東西線の女性専用車両が、導入後、大手町~中野間廃止になったことなども話した。)

会員F:結局、朝のラッシュ時の安全確保という意味でも特に首都圏ではかなり無理をして女性専用車両を運行しているように思いますが、そんなものを何が何でも存続させなければならないのかと…

担当者:今回4人来てくれはって、貴重な時間だったんだけど、今回京阪に来られたのは初めてですか?

会員F:本社訪問は初めてですね。

担当者:廃止された女性専用車両のこととか、いろいろ皆さん一生懸命説明してくれはったんですが、…もし偉そうな言い方になっていたら申し訳ないんですが、もし今後来ることがあったら、その時は事前に電話とかして、資料とかも用意してくれはったら、私らも話がしやすいんで…

いろいろ説明してくれはっても、私らも急に言われて回答するにしてもしどろもどろで…
(中略)
本日はありがとうございました。これからも京阪を応援していただければありがたいです。

会員一同:今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

…・・このような感じで、気がつけは約1時間近く、担当者の方と意見の交換を行った。

そして最後はお互いに、「ありがとうございました」と礼を述べあって、私達は京阪本社を後にした。

この後、梅田に移動。

昼食を取り、続いて、以前から「また抗議に行かなければ…」と思っていた、阪急電鉄の本社に向かいました。

続き

カテゴリー
活動履歴

2017年8月 関西本部:京阪本線での非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告①

1.京阪本線乗車会

当会関西本部では、京阪電鉄が特急にプレミアムカー(有料座席指定車両)を設けて、8月20日のダイヤ改正から運行を開始したことを受け、京阪本線淀屋橋~出町柳間で非協力乗車を行い、さらにそのあと、天満橋に戻って京阪の本社を訪問し、担当者に抗議も含め、いろいろと意見してきました。


京阪・プレミアムカー運行開始

女性専用車両+プレミアムカーで、非女性専用車両は実質6両に

(往路)淀屋橋~出町柳

今回は淀屋橋7時40分発、特急出町柳行きに乗車することになっている。

平日の朝早い時間で、なかなか参加者は集まりにくい(夕方・夜間の非協力乗車会のように、最大で参加者10人以上とまでは行かない)が、それでも今回、4名が参加予定である。

淀屋橋駅の駅標
当日のホームの様子

4名のうち3名が淀屋橋駅に集まり、ホームで列車を待っていたのだが、私達が乗車する予定の一本前、7:33発の特急に男性客が一人乗車したので、運転士が声をかけて降ろしているのを目撃。

抗議しようかとも思ったが、私達の乗る列車ももうすぐ入線してくるであろうと思われるので、そのまま列車を待つことにした。

ここで、もう一人の参加予定者から連絡があり、「遅れる」とのこと。

その参加者は神戸方面から大阪(淀屋橋)までやってくる予定だったが、大阪まで来る際に、阪急神戸線で単独で非協力乗車していたところ、女性客にしつこく絡まれ、さらにそのことについて、電車を降りてから駅員に抗議したものの、その駅員もおかしな態度を取った為、かなり揉めたのだという。

とりあえず3人で7:40発の特急に乗り、神戸方面からの会員は、あとから合流ということになった。

淀屋橋駅の列車案内表示。当日は7:40発の特急に乗車。
淀屋橋駅停車中の京阪8000系

私達が到着した列車の女性専用車両に乗りこむと、近くにいた女性客が、「1号車は女性専用車」などと言ってきたため、「協力しません」と言ったら、それ以上は何も言ってこなかった。

私達はクロスシート(向かい合わせで座る座席)に3人で着席した。

始発駅のため私達は着席することができたが、女性専用車両を設定している上からさらに、プレミアムカーまで設置したのだから、この先、非女性専用車両への混雑のしわ寄せは、今まで以上になることはまず間違いない。

前回、3月の京阪での乗車会の時は、淀屋橋駅で乗車した私達に、乗務員や駅員が結構しつこく声をかけてきたが、今回、淀屋橋駅では乗務員や駅員などから、私たちへの声掛けはなく、そのまま発車した。

しかし、淀屋橋駅では(女性専用車ではなく)プレミアムカーの前に駅員が集まっており、またこの先々の駅でもやはり、プレミアムカーの前に駅員が集まっていたことから考えて、導入したばかりのプレミアムカーの対応に手を取られ、私達に声掛けできなかっただけであると思われる。

列車は地下の北浜・天満橋を過ぎ、天満橋の先から地上に。窓から朝日がさしこんできた。

ここで、「この列車の一番前の車両は、女性専用車両となっております」とアナウンスが入る。

ほどなくして、列車は次の京橋駅に到着。

京橋駅ではホームの女性専用車両位置に駅員が立っており、「男性のお客様は他の車両へ…」などと肉声で案内をしていた。

京橋を出発。

特急は京橋を出ると、枚方市までノンストップで走る。車内は座席がすべて埋まっていた。

隣の非女性専用車両は確認しづらいが多分、かなり混雑していることであろう。

朝日の中を、守口市・寝屋川市・香里園と過ぎて行く。

車内はいたって静かで、列車の走行音以外、ほとんど何も聞こえてこない。

やがて、車窓に枚方パークの大きな観覧車が目に入ってくると、速度を落としながら枚方公園駅を通過し、次の停車駅枚方市へ。

前回、(2017年)3月の乗車会の際は、枚方市やその先の特急停車駅のホームに、「こちらが女性専用車両になります」という、立て看板を持った駅員が立っていたが、これはどうやらプレミアムカー導入(車両改造)のために、一時的に8000系が8両から1両抜かれて7両編成になっていたための対策(つまり、女性専用車両の位置が列車によってずれるための対策)だったらしい。

前回はここでも駅員が車内に乗り込んできて声掛けをしてきたが、今回は声掛けなし。

といっても、なぜ声掛けがないかは、先に述べた通り。

枚方市で多数の乗客が降り、車内はかなり空席が目立つようになってきた。

枚方市の次の停車駅、樟葉(くずは)を出てすぐ、2回目の専用車アナウンス。

樟葉の先で列車は県(府)境を超え、大阪府から京都府に入る。

京都府に入って最初の停車駅、中書島あたりから、再び乗客が増えて、座席が埋まってきた。

七条の手前から列車は再び地下に潜り、七条・祇園四条と停車し、三条で多くの乗客が下車しガラガラに。

そのまま神宮丸太町を通過し、8時42分終点出町柳に到着。

当日の出町柳駅

(復路)出町柳~天満橋

出町柳で折り返し、8:49発淀屋橋行特急に乗車。

プレミアムカーの前に駅員が集まっているのは、ここ出町柳でも他と同様だが、京阪では女性専用車両が最も京都寄りの車両に設定されているため、淀屋橋(大阪方面)行の場合、女性専用車両が最後尾になる。

最後尾ということは、常に車掌の目が届くということであり、案の定、私達を見つけた車掌が座席まで「こちらは女性専用車両になっております」と、声をかけに来た。

しかし、私達が一言「分かっています」と言うと、「あ、はい分かりました」とすぐに引き下がったので、恐らく、現場の職員たちも「女性専用車両が任意協力」だということは知らされているのだろう。

車掌が「女性専用車両は任意協力であると知らない(と思われる)関東の京王電鉄とは対照的であり、その時は「何だ、ちゃんと任意協力だと分かっているじゃないか」と思ったのだが、問題はその後である。

その車掌、車掌室に戻ると以後、各停車駅ごとに女性専用車アナウンスをしだしたのである。

まず、三条発車後に女性専用車アナウンス。七条発車後にも、女性専用車アナウンス。

さらに丹波橋・中書島・樟葉発車後にも、全て「この列車の一番後ろの車両は女性専用車です」と専用車アナウンス。

そのしつこさといったら、半端ではない。

もちろん、そんなことをしたところで私達が移動するわけはないが、私達を見て他の男性客が乗って来ないように徹底的に女性専用車アナウンスをしまくっているのだろうか?

私達が協力を拒否したらすぐに引き下がったこと、そしてそのあと徹底的に専用車アナウンスをしまくったことから考えて、「女性専用車両に協力しない男性がいたらこうするべき」という、マニュアルがあるのかもしれない。

もしそうなら、京阪も女性専用車両を守るため、反対派対策をしているということになる。

やがて列車は枚方市に到着。

先ほど、私達が淀屋橋駅で、出町柳行き特急を待っている際に、「遅れる」と連絡してきた当会の会員が、ホームの女性専用車両乗車位置に立っているのが見えた。

座席はほぼ埋まっていたが、枚方市で降りた乗客が結構いたため、一部の座席が空き、その会員は空いた座席(私達が座ってい位置からは少し離れていた)に着席。

すると車掌が車掌室から出てきて、その会員に声掛けをした。

もちろんその会員も協力を拒否し、そのまま乗車。

ほどなく、列車は枚方市駅を出発。

枚方市を出て、またまた女性専用車両アナウンス。

しかし、いくら女性専用車アナウンスを徹底的に行ったところで、「実は男性も乗れる」ことに変わりはないのだが…

そもそも公共交通機関で、男性を「男性である」というだけで乗車を禁止する車両など本来作れない。

喫煙や携帯電話での通話は、本人の意思で止めようと思えば止めることができる「行為」であり、車内でこんなことをすれば「ルール違反」「マナー違反」と言われても仕方がないが、「男性である」ということは、生まれつきの「属性」であり、本人の意思で男性であることを止めることは出来ない。

だからこそ、「女性専用車両」などと名乗りながら、実は任意協力でしかないのである。

もちろん「男性は乗ってはいけない」などと言うルールやマナーはない。

逆に、「男性に乗車しないことを強制してはいけない」というルールならあるが…(男性を強制的に排除すれば、刑法223条・強要罪に該当する可能性あり。体に触れた場合は刑法208条・暴行罪に該当する)

車内は若干立ち客もいるくらいの乗車率。

枚方市からは、京橋までノンストップで走る。

この後、京阪の本社を訪問することにしているので、とりあえず京橋で降りた。

帰りの車内では、女性客からの声掛けは結局なかった。これで良いのだ。

車掌のしつこい専用車アナウンスは不愉快だったが。

京橋が本社かと思いきや、調べたところ、現在ではどうやら天満橋に本社が移転したらしい。

後続の列車(女性専用車無し)に乗って一駅、天満橋へ。

この後の、京阪本社訪問は次のページで…

続き

カテゴリー
活動履歴

2017年8月 関西本部:京阪本線での非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告

当会関西本部では、京阪電鉄が8月20日のダイヤ改正から、特急にプレミアムカー(座席指定車両)を導入し、もともと8両編成中の一両を女性専用車両としていた上から、さらにもう一両、混雑が他にしわ寄せされるであろう車両を設けたことを受け、朝の京阪本線で非協力(任意確認)乗車会を行いました。そして、その後京阪・阪急・阪神電鉄の本社をそれぞれ訪問し、女性専用車両に対する抗議などを行いました。

活動報告が長くなりますので、分割して報告いたします。「1.」より順にお読みください。

  1. 京阪本線 非協力乗車会の報告
  2. 京阪電鉄 本社訪問・抗議
  3. 阪急電鉄 本社訪問・抗議
  4. 阪神電鉄 本社訪問・抗議