2023年12月25日、東京都による「痴漢被害実態把握調査」の結果が公表された。
これは2023年8月に都が民間の調査会社に委託して調べたもの。都内在住の方や通勤通学で電車を利用する方々について、インターネットを通じて調査した。
(インターネットによる回答のため『犯罪行為としての痴漢』ではなく、『痴漢被害を受けたと感じた』という回答の結果であることに留意されたい)
調査結果を見ると、女性の約45%・男性の約8%が痴漢に遭ったことがあると回答したとのことだが、その結果についてはX(旧ツイッター)などSNS上でも様々な意見や感想などが出ている。
女性専用車両反対派からは
- 「女性はほぼ全員痴漢に遭っている!」「男は被害に遭わない」という女性達の訴えとは乖離したデータが出てきた。
- 女性の9割が被害に遭っているというのは「誇張」であるということが行政によって証明された。
という意見がある一方で、賛成派?からは
- 4割なわけない。もっと多いはず。
- 電車通学で痴漢にあったことのある女性はほぼ100%だろう。数値を調整して被害を少なめに見せているんだろう。
- 私の周りの子はみんな痴漢にあっているんだから、みんな遭ってるはず。
- 痴漢被害 女性45.4% 男性8.6% 電車内81.2% 路上7.9% 駅構内・・・ これ本当?甘いんじゃない?女性の痴漢被害って余裕で7割超えてると思ってた。この日本で女性が痴漢に一度も合わずに過ごすなんで絶対に無理です。
というような、統計を信用しないで「被害を多く主張する声」が目立つ。
東京都ではこれまでこのような調査を行ったことはなく、今回が初だという。
これまでは、例えば首都圏に女性専用車両が一斉導入された2005年前後のタイミングや2018年2月に反対派が任意確認乗車した際にトラブルになってその様子がテレビで取り上げられたことによって世間で女性専用車の是非が大きく話題になったタイミング、2023年1月に大江戸線に女性専用車を導入するタイミングなど、調査をするきっかけはいくらでもあったにも関わらず、それこそ直近で「女性専用車両の導入は御堂筋線事件がきっかけ」などとデマに利用されるような特定の事件が話題になっているわけでもないのに、なぜここで急に調査を行うことになったのか。
東京都では2023年1月に都営大江戸線で女性専用車が導入されており、その前には『日本若者協議会という団体が主に共産党に女性専用車両の拡大推進を働きかけた結果、その共産党が動いて大江戸線に導入が決まったという経緯があることから、今回の調査もその流れの延長線上のものではないかという見方ができる。
実際、日本共産党の池川友一議員のX(旧ツイッター)へのポストによると
「日本共産党都議団が提起し、今年度から痴漢撲滅プロジェクトが始動。なかでも位置付けてきた実態調査の結果を公表」
とある。
今回の調査もやはり、最近になって女性専用車両を積極的に推進している共産党の主導によるものだったのである。
このような調査を行い、公表することで「もっと女性専用車両が必要だ」という世論を盛り上げようということだろうか。
ちなみに『日本若者協議会』という団体自体、調べていくと日本共産党の支持団体と思われる。
今回も東京都が「痴漢被害実態把握調査」を公表したとほぼ同時に『日本若者協議会』の代表の室橋氏がボリューミーな記事を公表している。
普通に考えて東京都の当該報告書が出ることを事前に知らず、報告書が出てから記事を推敲したのであれば、この記事の公開は報告書よりも数日遅れてから公開されるはずである。少なくとも【ほとんど同時】はあり得ないだろう。
今回の報告書や日本若者協議会代表の室橋氏が書いた記事(上記画像)を見る限り、あまり女性専用車両のことについては触れられておらず(室橋氏の記事では一言も触れられていない)一見、女性専用車両によらない痴漢対策を推進する方向にシフトしたかのように見える。
しかし、東京の共産党がこれまでかなり急進的な女性専用車両の拡大を目指していたことから、見方を変えれば女性専用車両反対派を刺激しないよう、なるべく女性専用車両のことは触れないようにしながらも、まだ女性専用車両を推進する考えはあるのかもしれない。
もし仮に共産党など推進勢力にそのような考えがなかったとしても、恐らく世間の人々の多くは「痴漢対策=女性専用車両」という認識であろうから、結果として「もっと女性専用車両を増やすべき」という世論の形成につながる可能性はあるだろう。
もちろん「女性専用車両によらない痴漢対策を推進する」のなら当会も異論はない。
余談だが『日本若者協議会』という団体名から「若者の総意を具現化した団体」と思う人もいるかもしれないが、当会にはそれこそ近年若い人が「女性専用車両に反対」の意思を示して当会に続々入会していることからもそれは誤りであって、女性専用車両に反対する若者も多くいる(周囲から攻撃されないよう、敢えて口に出さないようにしている者もいるであろう)ことを付言しておく。
なお今回の報告書には116ページに以下の記述がある。
痴漢被害防止策の拡充に向けた課題(女性専用車両、女性専用施設の形骸化の恐れ)
女性専用車両に反対する団体等の活動により、女性専用車両に乗車している男性に対する鉄道会社側の対応に制約が生じており、形骸化する恐れがある。
まず見出しからしておかしいのだが、女性専用(や男性専用)施設(例えばトイレや浴場など)が形骸化するのは問題であるが、そもそも女性専用車両は女性専用施設(女性専用の車両)では全くなく、誰でも利用できる施設(誰でも乗れる車両)なのだから形骸化するのは至極当然であろう。
「○○専用」でないものに対して「○○専用xx」と表示しただけで形骸化しないほうが『嘘が罷り通っている』ということになり、おかしい話である。
逆に「○○専用」でないものに対して「○○専用xx」と表示しても形骸化するのであれば、『嘘が罷り通らない社会』ということで良い社会だろう。
そして本文。ここで言う「女性専用車両に反対する団体等」というのは『活動家』とか『人達』ではなく、あえて『団体』と言っていることから当会や差別ネットワークなどのことを指していると推測されるが、自治体の報告書にこのような記載がなされるということは、当会のような女性専用車両に反対する団体の存在を無視することが出来なくなってきたということだろう。
しかしながら結社(団体)の結成や、それによる合法の範囲内での活動に関しては憲法で保障された市民の権利であることから、自治体がそれを阻害しかねない内容を公開するのはいかがなものかと思う。
現在の女性専用車両は事前に国土交通省に『女性専用の用途にする認可』を受けたわけではなく、ただ『一般乗用の用途にする認可』を受けている車両に『女性専用車両』と表示しているだけのものなので『誰でも乗れる一般車両』という条件は変わらない。
それを鉄道事業者がさも「男性禁止」であるかのように見せかけて利用客を、ひいては世間全体をだまし切ってしまおうとしているのが現在の女性専用車両なのだ。
誰でも乗車出来るからこそ当会を含む反対派は敢えて男性として乗車しているのだが、『形骸化する恐れがある』と言われてもそれは至極当然である。
そもそも女性専用車両は「ウソをつき通さなければ成り立たない」ものなのだから。
そして女性専用車両は任意協力であるということは既にばれてしまっている。
形骸化する恐れをなくすためには国土交通省から女性専用車両について『女性専用の用途にする認可』を受けなければならないのであるが、今の日本国憲法下ではまず無理ではないだろうか。
本当に痴漢対策がしたいのであれば、女性専用車両の推進には見切りをつけるべきだろう。
情報元:
痴漢被害実態把握調査
東京都の初の痴漢調査 女性4割超、男性1割に被害経験 | 毎日新聞
東京都初の痴漢被害実態調査の結果公表!目撃者が行動する場合、痴漢被害の9割超が止まる(室橋祐貴) – エキスパート – Yahoo!ニュース