2024年7月26日午前11時15分ごろ、熊本市電A系統の田崎橋電停~二本木口電停間で走行中の列車が脱線事故を起こした。
運転士が衝撃と異音を感じ、列車を停車させて確認したところ、2両編成のうち前の車両の4つの車輪が脱線していたが、運転士はその場で列車をバックさせてレール上に戻した。
この列車には乗客・乗員計4名が乗車していたが、幸いけが人等はなかった。
まもなく開業100周年を迎える熊本市電だが、今年に入ってから走行中にドアが開いたり、信号見落とし・誤認などトラブルが相次いでいる。
そのため7月10日から12日にかけて国交省九州運輸局が立ち入り検査をし、同25日には市交通局が設置した有識者委員会で対策の中間報告書案をまとめたのだが、今回その矢先の脱線事故。
これで今年に入ってから事故やトラブルは10件目となる。
交通局は今回の脱線を重大事故として九州運輸局に報告し、原因を調べているところであるが、こうも事故やトラブルが相次ぐ背景には熊本市交通局の姿勢や体質の問題があるのではないだろうか。
これだけ事故やトラブルが続けざまに発生するということは、どう考えても列車の安全運行に対する認識・対応がなっていないということである。こんなにもトラブルが相次ぎ、ましてや脱線事故まで惹き起こすようでは、利用者としても熊本市電は怖くて利用できないだろう。
その一方で熊本市電は2020年から路面電車では全国唯一となる女性専用車両(のちに女性優先車両と名称変更)を導入し、交通局サイトでも「女性優先車両試験導入の背景」というタイトルで「迷惑行為防止の取り組み」とわざわざ発表していたこともあるなど一見(列車の安全運行は出来ていなくても)防犯に対しては力を入れているようにも見える。
しかし実際は(当会サイトではこれまで何度も取り上げているが)熊本市交通局は表向き「迷惑行為防止の取り組み」といいながら、実際は【コロナで人(乗客)が減っている中、話題作りのため】という理由で2020年9月に女性専用車両の試験導入に踏み切っている。
これは熊本市議会の議事録にも証拠が残っている(令和 2年第 3回都市整備分科会-09月17日-01号)
つまり、「迷惑行為防止の取り組み」は単なる表向きの理由で、実際は「コロナによる減収対策」であり「女性客ウケを狙った客寄せ策」だったのである。
本来、公共交通機関というものは同じ運賃を支払った者は誰でも公平に利用できなければならないものであり、痴漢などの迷惑行為を口実にしながら実際は話題作りや客寄せ目的と思われる女性専用(優先)車両を導入するようなことはあってはならない事である。
ましてや熊本市交通局は民間企業ではなく「公営」であるから尚更なのだが、その辺の認識が全く欠けていると言わざるを得ない。
結局、列車の安全運行が全くなっていない上に、表向き「迷惑行為防止の取り組み」といいながら「女性客寄せサービス」の女性専用(優先)車両を導入するなど、公共交通機関としての自覚も失ってしまっているのではないだろうか?
「女性に快く乗ってもらうため」と言っても、これでは女性優先車両を利用している女性からしてもいつ事故に巻き込まれるかも知れず、このように交通局が安全面をないがしろにしているようでは、とても安心して乗車できないだろう。
現場が人員不足だと言われて、昨年には減便もしている状況なのに、現場に丸投げしてまで女性優先車両に拘っている場合ではない。
情報元:
NHK 熊本News Web
熊本市電で脱線事故けが人なし 市交通局「組織の非常事態」 07月26日 16時35分
【魚拓】熊本市電が脱線して5メートル走行、運転士が異音と衝撃感じて停車…「重大事故」九州運輸局に報告:地域ニュース : 読売新聞 (megalodon.jp)