都営地下鉄大江戸線への女性専用車の導入報道について、2022年3月24日付の読売新聞にて「痴漢被害多い大江戸線、女性専用車両を導入へ、都は混雑への影響小さいと判断」<アーカイブ>という見出しで記事が掲載された。
- 3月22日の都議会において、公明党の松葉多美子議員の質問に対し、内藤淳交通局長が導入を検討する旨回答した。
- 大江戸線は痴漢被害が多く、2020年度に交通局が警察に通報した被害件数28件のうち、13件が同線内だった。
- 都はコロナ禍で乗客が減っており、(導入による)影響は小さいと判断した。
- 今後、導入済みの新宿線を参考にしながら、検討を進める。
という内容で、これだけ読むとまるで「大江戸線への女性専用車の導入自体はすでに決定で、これから時間帯や車両位置など、導入方法をどうするか検討する」というように勘違いしかねないような記事だ。
実は正確には「これから導入するかしないかを検討する」ということであり、現時点で都が導入の決定を表明したわけではないと判明した。
しかしながらこの記事を見て勘違いした人は少なくなかったようで、都営交通お客様センターもその例外ではなかった。
早速3月24日朝に当会の会員(会員Aとする)が都営交通お客様センターに問い合わせたところ、「導入自体は決定で、区間や車両位置を決めているところである」との回答があった。
しかしその後、別の会員(会員Bとする)が同じく都営交通お客様センターに電話で問い合わせたところ、別のオペレーターが対応し、「導入するという方針は決まったが、導入自体決まったわけではない」と回答。
朝の会員Aへの回答と内容が異なっていた。
会員Bに対応したオペレーターによると「都交通局から大江戸線への女性専用車導入の話が来たわけでなく、私達もニュースを見てその事実を知ったので、他にも多くのお客様から問い合わせをいただいているが、こちらとしても回答出来る情報がなく、困惑している」とのことであった。
どうやら、都議会で交通局長が「大江戸線について導入を検討する」と答弁したのを読売新聞が早速報道したということらしい。
会員Bへの回答を受け、今度は朝にお客様センターに問い合わせした会員Aが東京都庁交通局電車部に問い合わせしたところ、「お客様センターが導入決定と回答したのは、読売新聞の報道を見たお客様センターの責任者がそのように回答するよう指示したから」であり、これについては対応した都庁の担当者から「教育不足だった」と謝罪があったとのこと。
さらにお客様センターに対し、厳しく指導するとのことであった。
今回、交通局が導入を検討すると答弁したのには公明党や共産党などが都交通局に対し、昨年あたりから非常に強く女性専用車の導入を迫っていたという背景がある。
情報元:
痴漢被害多い大江戸線、女性専用車両を導入へ…都は混雑への影響小さいと判断 : 読売新聞オンライン<魚拓>
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